77. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:29:49.21 ID:pF5Or6Xn0
今日のケーキは二種類。

ショートケーキが二個と、チョコケーキが三個。

私はショートケーキ。

でも、チョコケーキも食べたかったな。

ちぇ。

唯「りっちゃん、半分こしようね」

唯のはチョコケーキ。

……。

唯なんて大嫌い。
80. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:31:26.12 ID:pF5Or6Xn0
唯「りっちゃん、口にクリーム付いてるよ」

律「え、どこ」

唯が指で私の口元をぬぐう。

指はそのまま、唯の口の中へ。

唯「おいしいね」

む……かつく。

唯なんて大嫌い。

81. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:33:46.21 ID:pF5Or6Xn0
梓「先輩、ここはこうです」

唯「こう?」

梓「違います」

手とり足とり。

むかつく。

唯なんて大嫌い。

83. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:35:18.56 ID:pF5Or6Xn0
梓「そう、そうですよ!」

唯「ありがとあずにゃん!」

梓「わっ!  抱きつかないでくださいぃ…」

むかつく。

倍むかつく。

唯なんて大嫌い。

84. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:37:07.72 ID:pF5Or6Xn0
澪「じゃあ、私達はここで」

律「じゃあな」

紬「また明日ね」

梓「さようなら」

唯「ばいばい、澪ちゃん、りっちゃん」

また澪が先。

むかつく。

唯なんて大嫌い。

87. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:39:01.75 ID:pF5Or6Xn0
ふと振り向いた。

唯が、こっちを見ていた。

にっこりと手を振られる。

澪も、ムギも、梓も気づいていない。

私と唯だけ。

律「……」

私も、手を振る。

唯なんて大嫌い。

嫌い、だからな。

88. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:41:06.22 ID:pF5Or6Xn0
澪「最近律、おかしくないか?」

律「なにがだよ?」

澪「なんか、唯に対して」

ふと、澪が訊いてきた。

律「ああ。だって、私唯のこと嫌いだもん」

澪「えっ!?」

むかつくし。

見てると、いらいらするし。

柔らかいしにこにこするし。

私のこと分かってるって感じだし。

律「唯なんて大嫌い」

澪「……にやけながらいわれても、全く説得力無いな」

なにいってんだよ。

私は、唯なんて大嫌いだ。
90. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:43:18.98 ID:pF5Or6Xn0
合宿になると、いつも二人ではしゃいだ。

唯「りっちゃん!」

律「ゆーい!」

呼べば子犬のように寄ってきて。

呼ばれて振り向いたら笑ってる。

むかついた。

92. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:45:50.17 ID:pF5Or6Xn0
二年のときの文化祭。

唯は、遅れてやってきた。

目に涙をためて、皆に謝っていた。

らしくもない。

さっさと泣きやまないから。

いつものふわふわした笑顔を見せてくれないから。

むかついた。

律「みんな、唯のことが大好きだよ」

ほら、早く泣きやめ。

唯が普段どおりじゃないと、

胸がしくしくした。

むかついた。

93. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:47:13.00 ID:pF5Or6Xn0
私が、ドラムは嫌だと投げ出したとき。

唯「一人で悩んじゃやだ!」

私のために必死になっている姿に

む、むかついたし。
94. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:48:22.80 ID:pF5Or6Xn0
梅雨の日。

唯のワイシャツのボタン付けをしてやった。

唯「もったいなくて着れないよお」

手放しで喜んでいた。

頬が熱くなった。

むかついた。

97. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:50:23.48 ID:pF5Or6Xn0
最後の文化祭。

気がつけば、唯と私の手がつながっていた。

ぎゅっとにぎり合った。

泣きそうなくらいに安心した。

あったかかった。

むかついた。
100. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:52:31.02 ID:pF5Or6Xn0
そうだよ。

こんなにむかついたんだから。

私は唯なんて大嫌いだ。
103. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:55:05.27 ID:pF5Or6Xn0
今日は、唯に会わなかった。

唯と登校できなかった。

いつもより寒い。

風邪ひくだろ。

むかつく。

唯なんて大嫌い。
104. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:56:42.91 ID:pF5Or6Xn0
律「私、唯のこと嫌いなんだ」

紬「えっ?」

開口一番、ムギに宣言した。

気が合うし。

じゃれているときの体温とかちょうどいいし。

律「唯なんて大嫌い」

紬「りっちゃん、そんなに教室のドアをちろちろ見なくても、唯ちゃんならすぐ来るわよ」

律「なんで知ってんの」

紬「さっき、メールが来たの」

……。

律「唯なんて大嫌いだ」

紬「説得力無いわよ、りっちゃん」
105. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 00:58:08.60 ID:pF5Or6Xn0
律「私、唯のこと嫌いなんだ」

和「はいはい。それでも唯は、皆のことが好きな子よ」

皆からいじられてるし。

それを見てると、むかむかするし。

律「唯なんて大嫌い」

和「じゃあ、唯の机を撫でるのをやめなさい」
107. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:01:14.87 ID:pF5Or6Xn0
唯「りっちゃん。あのね、聞こえちゃったんだけど」

休み時間。

結局、朝は遅刻すれすれでやってきた唯が、私の席まで来た。

唯「りっちゃん、私のこと嫌いなの?」

悲しそうに。

涙目で、うるうるきらきらしている。

……。

ばか。

唯なんて大……。
108. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:03:29.75 ID:pF5Or6Xn0
律「……とりあえず、今日部室に来い」

唯「えっ?」

律「いいから」

唯「……うん」

眉をハの字にして、

不安でいっぱいの表情をしている。

そんな顔するなんて。

……。

ばーか。
109. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:06:11.98 ID:pF5Or6Xn0
放課後。

唯「澪ちゃんたち、まだきていなくてよかったね」

約束通り、唯は部室に来ていた。

澪たちには、今日は部活は休みと伝えておいた。

律「そうだな。まだきていない」

唯「うん」

人の異変にはすぐ気付くのに。

こういう嘘には鈍い。

むかつく。

気づかないのか。

気づいてよ。
110. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:08:19.24 ID:pF5Or6Xn0
唯「あの、りっちゃん、それで」

律「うん」

唯「えーっと……」

瞳を潤ませて、

もじもじしている。

可愛い。

むかつく。

111. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:10:37.29 ID:pF5Or6Xn0
律「……唯」

唯「う、ん」

律「今から、思っていることと反対のこというから」

唯「?  ……うん」


律「私、唯のこと嫌いなんだ」


112. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:13:07.95 ID:pF5Or6Xn0
唯「……え?」

律「唯なんて大嫌い」

唯「え?  え?」

慌てふためいている。

必死で頭を整理しているんだろう。

うん。

やっぱりむかつく。

唯なんて大嫌い。
113. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:15:22.30 ID:pF5Or6Xn0
少しして、冷静になった唯。

花が咲いたように笑った。

む、むかつく。

唯「私は、ひねくれりっちゃんとは違って、そのまま言うね」

一呼吸置いて。

唯「りっちゃんが大好き」

今までで一番、あったかい笑顔。

とことんむかつく。
114. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:16:59.05 ID:pF5Or6Xn0
律「唯なんて大嫌い」

唯「りっちゃんなんて、大好き」

言い合いながら、部室を出た。

いつの間にか、私と唯の手はしっかりとつながっていた。
116. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:19:29.06 ID:pF5Or6Xn0
むかつく。

唯なんて。

唯なんて……。



唯に聞こえないように、こっそり呟いた。


――唯、大好き。


おわり
118. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/12(土) 01:21:59.73 ID:pF5Or6Xn0
これで終わりです。
読んでくださった方、ありがとうございました!
原作と違うところがあったらすみません……

とりあえず、唯律・律唯もっと増えろ

駄文失礼いたしました。



最終更新:2011年02月13日 00:47