唯「お部屋に戻ろう」

憂「お姉ちゃぁん…」ポロポロ

唯「これで拭いて」

憂「…」フキフキ

唯「怖かったね…」


唯の部屋

唯「…」

憂「ごめんね…お姉ちゃんの服で…拭いちゃって」

唯「ううん、洗えばいいんだし気にしてないよ」

憂「うぅ…」

唯「…」

憂「いつになったら終わるのかなぁ…」ポロポロ

唯「…」

憂「お姉ちゃん…」ギュ

唯「…」ナデナデ

憂「お姉ちゃん」

唯「…」

憂「…お姉ちゃん?」

唯「ごめんね、憂…」

憂「え…?」

唯「違うんだよ…」

憂「何が違うの…?お姉ちゃん」

唯「わたしは…」

時計は10:30を指していた


唯「ひらさわゆいじゃない、あなたのあねじゃない」

唯はそう言うと憂を押し倒す

憂「お姉ちゃ…ん!?」

唯「憂…」

憂「!?」

唯が憂の唇を奪う

憂「おね…んっ……」

唯「はぁ…」

唯は憂の言葉を遮るように舌を絡ませ、左手を憂の豊かな胸に乗せる

唯「んふ…」

憂「っ…!」

憂は両手で唯を突き飛ばす

憂「わ、わ…」

唯「…」ジーッ

憂「だ、誰…お姉ちゃん…?」ガクガク

唯「…」ジーッ

憂「なに…どういうこと……?」

唯「…」ギッ

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!

憂「んあ……」

再びドアが物凄い勢いで叩かれ始める

ガチャン!!!!バタン!!!!

ドアが物凄い勢いで開き、そして閉まる

憂「ぇ…ぁ……」

唯「憂」

憂「あなたは…だ…れ……?」

『ひらさわゆい、憂のお姉ちゃんだよ』

憂「!?」ゾクッ

唯「憂、おいで」

憂「お姉ちゃん…」

唯『うい~ちゅ~して』

憂「ちゅ…?」トロン

唯『うん、ちゅ~』

憂「ちゅ…」

憂「…はっ」

唯『憂?』

憂「お姉ちゃんじゃない…」

唯『なに言ってんの?憂』

憂「…あなたはお姉ちゃんじゃない」

唯『う~い~』

憂「お姉ちゃんはもっと…温かくて」

憂「優しい笑顔だから」

唯「…」

憂「…お、お姉ちゃんから出ていって下さい!!」

唯「!!」

憂「お姉ちゃん!!お姉ちゃんを返して!」

唯「ふ…ふ」

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

憂「っ!?」ビクッ

ドンドンドンドンドンドンドンドンドン

「うい…」

憂「お姉ちゃん!?」

唯「憂…」

憂「下だ…お姉ちゃん!!」タタタッ

唯「待って!」

バタンッ!

ドアが閉まる

憂「うっ!!」

唯「どこ行くの?憂」ジーッ

憂「開かないっ…!」ガチャガチャ

唯「憂、落ち着いて」

憂「開け…開け…」

唯「…憂ぃいい!!!!」

憂「っ!」ギュ

襲ってきた唯に、憂が抱きつく

唯「!?」

憂「あなたはお姉ちゃんじゃない…」ギュウ

憂「帰ってください…」

唯「あああ…」

憂「私のお姉ちゃんは一人しかいない…!」

唯「ああ…」

女「あ…」

女「

ビチャッ ビチャッ!!

唯に見えた女は液状になり消滅した

憂「…」

憂「お姉ちゃん!」

びしょ濡れの憂は階段を駆け下りる


一階は水浸しになっていた

足首の高さまで水がたまっている

憂「お姉ちゃん!!返事して!」

「うい…」

憂「お姉ちゃん!!!」

憂「今行くからね……うっ」

憂の足首が床から現れた手に掴まれる

憂「離してぇっ!!もうっ!」

「うい…助けて…」

憂「お姉ちゃん待ってて……このっ!このっ!」

憂を掴んでいた手が離れる

憂「トイレだね…お姉ちゃん……」ズルズル

便器からは泉の様に水らしき液体が湧き出ている

唯は便器を塞ぐ様にしてぐったりともたれていた

憂「お姉ちゃん!!」

唯「うい…」

憂「大丈夫!?」

唯「だめ…」

憂「…え?」

唯「来ちゃだめ…うい…」

憂「早く出ないと…お姉ちゃん」グイグイ

唯「やめてっ」バンッ

憂「あぁっ」

バタンッ!!!!

憂がトイレから突き飛ばされると、トイレのドアが閉まった

憂「お姉ちゃん!!」

憂「ひらけ…」グイグイ

憂「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」

中からは水が湧き出る音しか聞こえない

憂「開け!!開いて!!」ガチャガチャ

憂「お姉ちゃん…」

唯のヘアピンが憂の足元に浮かんだ

憂「お姉ちゃん…?」

憂「お姉ちゃん!!!」

憂「お姉ちゃぁぁあん!!!!」


……

気付くと憂は自分のベットの上で寝ていた

憂「…!!」ヌクッ

憂「お姉ちゃんは…」

窓の外は真っ暗で時計は11:00を指していた

憂は階段を駆け下りる

憂「水が消えてる…」

憂「お姉ちゃーん…」

返事は無い

憂は恐る恐るトイレのドアを開ける

何の変哲もないトイレがある

憂「…」

憂「あれ?」

コン…コン…

憂「…」ゴク

コン…コン…コン…

階段を下る音が聞こえる

憂「まさか…」ビクッ

コン…コン…コン…コン…コン…コン…

シーン…

トントン

憂「ひっ…」

「ういー?」

憂「お、お姉ちゃん?」

「大丈夫?」

憂「う、うん」

「びっくりしたー、急に飛び出して階段下って行くんだもん」

憂「ごめんね…」

「もうっ、おどかさないでよぅ」

「…開けていい?」

憂「えっ…」

「あれ?憂、鍵かけてるの?」ガチャガチャ

憂「そ…」

「うーいー」ガチャガチャガチャガチャ

憂「お、お姉ちゃんやめて」

「開けてよ~うい~!」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

憂(あっ……)

床にヘアピンが一つ落ちていた

「開けてよ~うい~!」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

「開けでよーうい…」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

「あ゛げでよ゛…う゛い゛……」ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

ガチャッ!!!!!

憂「うっ」

唯「も゛れ゛る゛~…」

憂「あっ、ごめんね…」

唯「ふ~」スワリ

憂「…」

唯「ひゃぁ~…」プリプリ

憂「ほっ」

唯「どうしたの?憂」

憂「ううん、どうしもしないよ」

唯「あっ!あったー!私のヘアピン!」

憂「え?」

唯「探してたんだよね~」

憂「……」ガックリ

唯「どうしたの?」

憂「ううん、何でもない!」

唯「?」

プーン

憂「う…」

唯「う、憂酷いっ!」

憂「えっ」

唯「臭い嗅いだなー!?」

憂「ち、違うってば、お姉ちゃん」

唯「…むむ」←力んでる

憂「…じゃ、私は出てるね」


父「お?トイレの電気付けっぱなしで開けっ放しだな」

バタン、カチッ

憂「わぁ!」


唯「憂と一緒に閉じ込められた!!」


父「おうごめんな…ってなんで二人で入ってんだ!?」

ピョンコ

憂「えへへ~…」

父「おいおい…」

憂「…」

憂は窓から空を見上げる

オリオン座が明るく輝いていた

もうすぐバレンタインデーだ

憂「変な夢だった…」

そう呟きながら、憂は自分の部屋に戻っていった


おわり



最終更新:2011年02月11日 22:13