澪とのキスは何度も、何度もしてるのに…
いつもより、こんなに気持ちが高ぶるなんて…




この状況も場所もそうだけど、今、目の前で顔を伏せてる澪のせいだ。
耳まで真っ赤にしてるくせに、いつもと全然…、


そうだよ、いつもより積極的で、こんなに普段見せないことばかっりされたら
夢中になるしかないじゃないか。


この熱を澪にぶつけたい。



こんな気持ちを抑えるの家に着くまで保つわけな……



「りっちゃん」


予想外の声にビクっと肩が跳ねた。

思考が全部そっちにいってたものだから、心臓が止まるかと思った…


「むっ、ムギ…っ」

おもいきり忘れてたけど、まだみんな部室にいるんだったっ。

恐る恐る振り返ると

そこには…


唯と梓を小脇に抱え、
3人分の鞄を肩に背負うムギが立っていた…。





「…まじで?」


何に対してのまじなのか、
自分でもよく分からないが、この一言で十分な気がした。


…平静は装えただろうか。


「うん、唯ちゃんも梓ちゃんも寝ちゃったから…」

そういつもと変わらない声色で言い、送って行かなくちゃ、と続けた。


「そっか…」


一人で大丈夫か? 

と、訊こうか迷っているうちにもムギは階段を降りていく。

訊いたとしても、どんな返事に関わらず澪を置いてなんか行けないんだけど。



途中、澪の方に視線を送り、澪もムギの方を見やった。

目が合っていたと思う。



そこに何が籠められたかは分からないけど、二人は無言のままだった。











澪の手を引き部室に入り、自分のブレザーのボタンに手を掛けた。

「あ、あついなぁ」
ははは、と取ってつけたように照れ隠しに笑いながら、
脱いだブレザーと澪のブレザーを受け取り
長椅子の肘起きに掛けた。


暑いって言うか、熱いんだけどな…体が

多分…て言うか、絶対耳まで赤いし。


澪のやつ、
あんなに普段と態度が違うのに、いつもより言葉数、少なくて

(なんだか調子狂うよなー・・)


私は何か澪に悪いことしたのかな…


曖昧な答えしか浮かばない疑問に思いを巡らせてた時、
背中で音がした。


ペサッ


(ペサ……?)


「あれ、澪、なんかおとした?」


そう問い掛けて


振り返った途端、視界が揺れた。


「っ!」

その視界の端に、床に落ちてる澪の制服のスカートが映る


あ、あの音って、まさかっ


いや、でも、あの澪が…じ、自分から脱…っ?


混乱する頭とは裏腹に
体は反射的に、抱き着く澪の背中に腕を回して受け留めていた。


「み、澪っ?」


(ちょっ…ちょっと待ってっっ…)


そ、その格好はヤバいよ澪しゃんっっ。


「…っ律」



(……っうわぁ)



なんで、


そんな声で名前呼ぶんだよ…、


思考が止まりかけているとそのまま長椅子に着席させられた…



な、なにこれっ



こんな澪のペースで動揺を隠せない私をよそに

向こうから口付けてきた。



「っ…んっ」


「…っ」


さっきの、舌を絡ませるようなキスじゃなくて、

唇の柔らかさを確かめ合うような、そんなキスだった。



(や…柔らかいー…)


いつも感じてるはずの唇なのに、

いつもよりずっと柔らかくて。



どんどん澪のペースにハマっていっちゃいそうだな…


現にこんなに心臓バクバク言って…
顔なんか目も当てられないほど赤いんだろうし、今の私。


なにより、気持ちいい。


もっとこのキスに浸っていたい、


けど、それじゃあ田井中律の名がすたる、ような気がする。


プライドなのか、ただ単に負けたくないのか…



よしっ、形勢逆転といくぜっ


…変に高ぶった感情のせいもあるのか、とにかくハイな気がする
まあ、この際なんでもいい。



澪の胸の先端に親指を押し当てて、ゆっくり沈ませた。

途端に口の端で澪の声が漏れる。


そのまま親指で擦る様に撫でた。


それだけでも結構な刺激なようで、澪がどれだけ敏感になってるか分かった。


「んっ…ふっ…っ」


隙間から零れる声を塞ぐように
深い口付けに変える。


さっき、階段でしたようなキス。




互いの舌の熱で溶けるんじゃないかってくらいに感じる。



急いた手付きでブラウスのボタンを外し、ブラの上から弄る様に揉んでみた。


(す、スゴク… デカイッ…)


そんなの今に始まったことではないが改めて思う…


イイ胸してるなぁ…





ひとしきり胸の感触を楽しみながら、舌を絡ませ続けた。


こんなに長くキスしたのなんて初めてかもしれない。

口内に響く澪の啼く声に酔わされる。
澪とのキスはいつも気持ちが良いけど、今日は一段と感覚が鋭いような気がする。

お互いそうなのかなと思うと、
どうしようもなく胸が締め付けられてむずむずする。


階段でのキスがこんなに尾を引くなんて思ってもみなかった…。



どちらのものかも分からなくなった唾液を互いに嚥下して。



…結局、澪のペースのままなのかな、

脳が痺れてるような、そんな感覚に囚われっぱなしで。











「はぁ…っはぁ、律…っ」


上気して潤んだ目で見詰められると、くらくらする…
ようやく離した唇から、もの欲しげな声で呼ばれた。

途端に劣情が沸き上がる。



長椅子に向かい合うように座ってる。



膝を付けて恥ずかしそうにしているけど、
嫌がる様子はない。


澪もして欲しいんだなって思ったら、一気に心拍数が上がった。


無遠慮に閉じている膝に腕を差し込む。

自分に余裕がないのもバレバレかも知れないけど、澪だって相当だよな。



下着の上からでも十分過ぎるくらい濡れているそこに触れ、
上下になぞる様に、弱過ぎない様に撫でて往復させる。



そんなに焦らすつもりがなくても、いちいち澪の反応がかわいいから
余裕なんてないくせに、ついいじめたくなる。


学校だから早く済ませなきゃいけないはずなのに。

こんな時に正しい判断なんて出来ない。


澪が私をおかしくするのが悪い。





「んっ…っ……ぁっ」


「澪…、欲しい?」

いやらしい手付きに変え、強弱をつけながら指を押し当て、

耳元で呟いた。


澪の腰が揺れるのが分かる。




もう一度なぞり、澪の一番敏感なところを刺激しながら問い掛けた



「…欲しい?」



「あっ…ぁっん…っ」


両手で私にしがみ付きながら、与えられる快楽に耐える澪は、
照される夕日と相まって、より扇情的で…、

情欲がかき立てられて堪らない。



「はぁっ…、律が……ほしぃ…っ」


「っ…」


見惚れていたせいで不意打ちなその科白に
心臓が跳ねた。


「ま、任せなさいっ」


自分で追い詰めといて、この期に及んだら間抜けなことで…

こんな返事しか出来なかったのは
澪の破壊力はスゴイからだと。

訳の分からないことしか考えられなくなった頭は最早
行為に夢中になるしかなかった。


そのままの体勢で指をゆっくり差し込む。


部室とは不釣り合いな水音が響いて、聴覚からも煽られていく。

なるべく緩慢な動きで入り口近くで指を往復させれば、
握っている手に力を込めながら澪が震えた。


(と言うか、今気付いたけど…)

余裕がなさ過ぎて、そこまで気が回らなかった…

ふと目線を落とした私は、案の定な光景に目眩がした。



椅子の上で向き合ってるから、繋がってるとこが見えてる…、


(こ、これは、視覚的にとんでもない…っ!)


ただでさえ余裕なんて残り僅かだったのに…

こんなの、理性が焼き切れそうになるっ。



けど、そんな興奮する自分をよそに、どこかでこうも思っていた。



…澪はこーゆうの、意識したことがあるかな。



こーゆうのも、ひとつになるってことなのかな。




って、意識した途端、どうしようもなく恥ずかしいような、
照れくさいような感情に襲われた。


自分だけ意識してるような気がして癪だっから、

「み、澪のくせに生意気だぞっ!」

別に悪いこと何もしてない澪に
そう言って一気に指を3本に増やして埋め込んだ。


そこは容易に私を受け入れたけど
あまりに急な刺激に澪は体を強張らせ、啼くように喘いだ。


澪を膝の上に乗せて、落ちないようにしっかりと抱きつかせてから、
めちゃくちゃに揺すった。


指の動きに合わせて揺れる腰は、澪自身の動きも含まれていて。

それがいつも、どうしようもなく嬉しく感じるから、
また激しく揺らしてしまう。


そう、揺すられる度に零れる声さえも愛しくて、

全部自分のものにしたくて、また口付けた。


「はっ…んっ……っ…」


「ッ…ふっ…」


そのまま澪の一番奥まで指を沈めて、
澪の弱いところを攻め立ててどんどん追い込んでいく。

往復する指の動きと、腰を揺すられるその刺激にのみ込まれるように達し、

震えるその身体を澪の声ごと受け止めた。




「はぁ…あっ…、り、りつ…っ」

苦しげに呼吸を繰り返す澪の瞳が濡れてて、

それがどうしようもなく煽ってくるものだから仕方ない。

過敏になってる体には厳しいかもしれないけど、あたしのムラムラが収まらない。


澪を床に下ろし、
のみ込まれてる指を再び動かし始めた。


「もうちょっと乱れて魅せてよ、澪っ…」


「あっ…、ば、バカッ…んっ……っ」


そう言うものの、すぐにあたしの肩に顔を埋めて声を耐える。

必死にしがみ付くとこが…
なんとも意地らしくて敵わない。




親指で一番敏感なそこを撫でながら擦り、
中で指を何度も何度も往復させる。


指を離したくないと言ってるような気さえする、
澪の締め付けの強さがまた嬉しくて、どんどん指の速度を上げた。


その強い刺激に耐えられなかったのか、更に強くしがみ付き
震えながらまたイッてしまった。







達したばかりで気だるいだろうと抱き留めて、
呼吸が整うのを待っていたのにっ。


澪に首筋を吸われていた。


「ちょっと、ま、まった澪っ…っ」


「んッ…っ…」

はぁっ、と息をつき満足気に見詰められた。

「オイッ…、きょ今日の澪は、なんか変だぞっ?」

…声裏返った。

て言うか

私ですら、こんなとこにこんなのつけないのに…



「だって、…律は私のだし」



…っ

ボフンと顔が赤くなった気がす…、いや、なった、なったよ。


「なっ、なななに、なに言ってんだよぉ!」


普段なら言えないようなこと、なんでこんな時だけさらっと言うんだ…っ

若干の脱力感と悔しさがこみ上げる中、

家に着いたらこの仕返しをしよう、絶対しよう、


ギャフンと言わせてやるんだと心に決めた放課後だった。



終わり



最終更新:2011年02月10日 22:24