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梓「えへへ……」

梓「これで唯に少しだけ恩返しできる」

梓「そうだ、何か買っていってあげようかな」

梓「でも欲しがってるもの無さそうだし……うーん」


 『あずにゃんがいてくれたらそれでいいよ~』


梓「……」フルフル

梓「……えへへ」

梓「だめだ、にやけちゃう」

梓「あ、ドラマのポスターみっけ!」

梓「わぁ、唯可愛いなぁ……」

梓「こんな可愛い人が旦那様……」

「おーい、あーずさっ」

梓「えへへ……唯……唯先輩」


「きいてんのー?」

梓「……えへへへ」

「にやけてるぞー」

梓「はっ! あっ、純!!」

純「あんたそんなにこの俳優すきだっけ?」

梓「な、なんでいるのっ」

純「ん? あ、今バイトの帰り?」

梓「うん……そうだけど」

純「明日教室くる?」

梓「いくよ!」

純「始めたばっかなのにギターうまいよねー腹立つわー」

梓「そ、そうかな……」

梓(家に大先生がいるからね……)

純「でさでさ、梓この俳優好きなの?」

梓「えっ、いや……俳優のほうじゃなくて……こっち」

純「ユイ……?」

梓「う、うん……」

純「あー、なんか印象ちがうよねー。いつもはクールな感じなのに」

梓「そうかな……」

純「事務所のプッシュ必死だなーって感じ」

梓「そういうのはわかんないけど……」

純「ユイは歌ってるだけでいいんだって。わかってないなー」

梓「……むぅ」

純「そういえばユイって前から噂がたえないよね」

梓「噂……?」

純「うん、交際関係。まぁさぞやもてるんだだろうね、あんだけルックスいいんだし」

梓「えっ……」

純「取っ換え引っ換え、二又三又は余裕らしいよ! すごっ!」

梓「えっ、えっ……」

純「あとユイのファンなら絶対ネットで検索はしないほうがいいよ」

梓「どうして?」

純「んー、まぁ人気のある人にはそれなりにアンチがいるってことさ」

梓「……」

純「でも浮気癖はさすがになー。まだ18でしょ? それも女相手だっけ? あははっ、どこのおっさんだ!」

梓「……嘘だもん」

純「いかがわしいお店からでてくるところを目撃した人もいるんだって!」

梓「……う、うそ……だもん……」

梓(そんな……唯先輩……あんなに言ったのに……)

純「あ、ごめん。結構ショックだったり? てか知らなかったの? 裏世界では有名だよ?」

梓「そんなことないもん!」

純「スターに憧れたところで私ら庶民には縁のない話しさ」

梓「……問い詰めないと」

純「は?」

梓「純。もしかしたら今晩の成り行きしだいでは明日のギター教室いけないかも」

純「ほえ? さわ子先生つたえとく?」

梓「うん。お願い」

純「……な、なんか顔こわいよ? 変なこといってごめん」

梓「いやいや、情報感謝してるよ……」

純「あんたさぁ……なんかあった?」

梓「ふぅー……いや、そろそろ首輪でも買わないとだめなのかなーって。このお給料で」

純「犬?」

梓「盛りが付いちゃって大変なの……」

純「そりゃあ苦労するね。まぁ興味ないけど頑張れ」

梓「ありがと。じゃあね」


……


梓「…………遅い」

梓「…………遅い」

梓「……」イライラ

梓「……まだなの」


ガチャ

梓「!」

バタン ドタドタドタドタ

唯「あっずにゃ~んただいま~。出迎えてよ~」

梓「唯先輩」

唯「!!」

唯(あ、あれ~……唯先ぱぁい♪じゃなくて、唯先輩って呼ぶ時は……)

唯(あわわわ、な、なんか悪いことしたっけ……あ、ただいまのチュー忘れてたのか!)

唯「あずにゃ~ん、むちゅちゅー」

梓「そこ座ってください」

唯「!!!」

唯(どどど、どうしよう、怒ってる……冷たい目してるよー……)

梓「ふぅー……水でも飲みます?」

唯「は、はい……いただきます」ゴクゴク

梓「……で、なにか言う事あるでしょう?」


唯「……ないです」

梓「……そうですか」

唯「……うぅ」

梓「ま、それならいいんですけどね……ふ」

唯「あ、あのあの……あずにゃんさん」

梓「なんですか? ご飯たべますか?」

唯「……悪いニュースと良いニュースがあります」

梓「……ふーん」

唯「ど、どっちから聞きたいかな……」

梓「じゃあ空気が重くなるのもあれなんで、先に悪いほう消化しちゃいましょうか」

唯「……すでに超重いっす……」

梓「で、話してくださいよ」

唯「あのですね……絶対怒ると思うんだけど……あぁああ怖いっ!!!」

梓「おこりませんってば!」

唯「もう怒ってるもん!! やだよー話したくない!!」

梓「話してください……話しなさい」

唯「……はい」

梓「…………」

唯「ドラマ、無しになっちゃった。……てへっ」

梓「…………は?」

唯「降ろされちゃった……」

梓「な、どうして!」

唯「チューするのいやになって……」

梓「え? チュー?」

唯「あずにゃん以外の人とチューするの嫌になって……」

梓「あっ……あぁ、ラストシーンの?」

唯「監督さんにそういったら……同じ事務所から他の人が演じることに……」

梓「そ、そんなことできるんですか!! てか仕事でしょ!?」

唯「勝手して申し訳ありません……」

梓「それはほかのキャストやスタッフにいってください!!」 

唯「だよね……和ちゃんがいろいろ頑張ってくれてね」

唯「あ、あとあと、ムギちゃ……琴吹家がスポンサーだったからなんとかなった……」

梓「なんとかなったじゃないですよ……せっかくのドラマなのに」

唯「私には向いてないんだよ……演技下手だし。その、ほらこれ見て。インターネットの評判だけど」

梓「ん?」


 ユイ(笑) 大根役者 

 抜擢に問題があるかと思います これでは原作のイメージぶち壊しです

 ユイの枕っぷり半端ねぇな さすが浮気女

 ユイはほんと頭ふわふわ時間だからな メンヘラ臭やばすぎ


梓「な、なにこれ……ひどい」

唯「こんなもんだよ。所詮私はただの歌手ってこと」   

梓「た、タフですね……」

唯「まぁね。そりゃ最初にネットみたときは寝込んだけどね」

梓「も、もうとじてください。私みたくないです!」


唯「ほい。っとこれが悪いニュース……です」

梓「……」

唯「怒らないの?」

梓「つくづく……私ってヤな子ですよね」

唯「え?」

梓「最低だ……唯のお仕事がなくなったのに……なぜかホッとしてる」

唯「あずにゃん……」

梓「大事な大事な舞台を蹴るほど唯は私のことかんがえてくれてたのに……」

梓「私は唯のことを信じきれてなかった……うっく、ごめんなさ……」

唯「……あずにゃん」

梓「ごめ……また、泣いちゃいそう……もう、寝る」

梓「あしたまた……続き聞きますんで……すいません」

唯「……あずにゃんぎゅー」ギュウ

梓「あっ……ふぁ」

唯「ごめんね? 私がこんなだからたくさん心配かけたね?」


唯「ホントはあずにゃんの側にずっといたいんだけどね」

梓「……しかたないですよ……唯はこんなお仕事だし」

唯「ううん、私が悪いの。だってこんな可愛い人を泣かせちゃったんだから」

梓「……唯」

唯「そりゃあ過去にはいろいろあったけどさ……私は絶対あずにゃん一筋」

唯「それはこれからも変わらないよ」

梓「……私も唯一筋です……」

唯「うん、知ってる。だってあずにゃんは私のために泣いてくれたんだもん」

唯「ね?」

梓「でも、こんなに苦しくて寂しいなら……好きにならなければよかったって思ったこともあります」

唯「……うん、それでも好きでいてくれたんだよね? 私はそれだけでいいんだー」

梓「はい……嫌いになれるはずありません」

唯「うれしいよ……とっても」

梓「……そんな顔……ずるいです」

唯「あはは、なんだかしんみりしちゃったね? テレビでもつけて、ごはんたべよっか?」


梓「……はい!」

唯「あ、それと良いニュースがまだだったね」

梓「きかせてください」

唯「今度ね、私パーティにいくんだけどさ」

梓「あ、それ聞きました」

唯「え? 言ったっけ?」

梓「いえ、バイト先の店長に。そうそうそのこと聞きたかったんですよ」

唯「え? バイト先のって……りっちゃん? まさかりっちゃんのトコでバイトしてたの!?」

梓「りっちゃん? 田井中うどんです」

唯「そ、そうなんだ……知らなかったなぁ……りっちゃんも言ってくれればいいのに」

梓「いえ、私がここで家政婦してることはしりませんし」

唯「そっか」

梓「お友達なんですよね? MIOさんとも」

唯「うん! 大事な友だちだよ! あとムギちゃんも!」

梓「ムギちゃん?」


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最終更新:2011年02月10日 02:26