梓「あ、いえ……なんでもないです」

唯「アルバイト? ソープはダメだよ?」

梓「わ、わかってますよ! あんなとこもうごめんです!」

唯「思い出の場所だけどね」

梓「もうっ!!」

唯「ごみんごみん」

梓「それで、いろいろ求人広告みたりしてたんですけど」

唯「うーん……あずにゃんがバイトかー」

梓「……だ、だめですか? だめならもういいですけど」

唯「そうだよねー……外でないとねー」

梓「はい。外ではたらいて、お金入れて、今以上にもっと唯先輩のお役にたてれば」

唯「いや、そうじゃなくてさ。ほら、あずにゃんもここにきて一ヶ月」

唯「だいぶ落ち着いたし、そろそろ色々なことしたほうがいいかなって思ってたんだ」

梓「いろいろですか」

唯「うん。あずにゃんが楽しい生活を送れるようにってね」

唯「そりゃあ、このおうちで私だけの家政婦さんしてくれるのも嬉しいけどね」

唯「でも私はもっとあずにゃんに広い世界をしってほしいなって思ってさ」

梓「唯先輩……」

唯「だからあずにゃんがアルバイトしたいって言うなら止めないよ」

唯「習い事とか旅行とかほかにしたいことがあったらお金もだしてあげる」

唯「若いうちにいろんな経験してたくさん思い出つくって、二人で立派な大人になろうよ」

梓「唯先輩はとっくに大人です……私なんかとは比べ物にならないくらい」

唯「私はかなり特殊な世界だからね。まわりもみんな大人だよ。私自身はとても胸張って立派とは言えないけど」

梓「それでも……唯先輩は大人です……すごく大きくて、遠く感じるときがあります」

唯「そっかなー」

梓「大人に……私もなれますか?」

唯「うん! アダルティーなあずにゃんを期待してるよ」

梓「そ、そういう意味じゃないでしょ!!」

唯「でも背はおっきくならないでね! 私いまのあずにゃんが抱き心地最高だとおもってるから」

梓「牛乳いっぱい飲んでやります」

唯「それで、バイトの目星はつけた?」

梓「はい、どうせなら接客をやろうかなと」

唯「度胸あるね。さすがソープにむぐががあいひゃいいひゃい」

梓「最低です」

唯「で、でで、どんな職種?」

梓「まだわかりません。この広告以外にも街中にでてたりするのでそっちも見てみようかと」

唯「働くようになったら通うよ」

梓「だめです。噂されちゃいます」

唯「あ、でも晩ご飯はちゃんとつくって待っててね?」

梓「はい。だからせめて夕方にはあがれるバイトにしようかと。ちょっと都合良すぎですかね」

唯「いやいや、バイトさがしがんばれー」

梓「あ、唯先輩。もうそろそろ行く時間っていってませんでした? マネージャーさんと駅で待ち合わせしてますよね?」

唯「おぉ! しまった。ついあずにゃんに夢中になってた。ごちそうさま!」

梓「いってらっしゃい唯先輩」

唯「ねー。いってきますのチュー」

梓「もうっ……チュ。これでいいですか」

唯「おっ、今日はしてくれた! 機嫌いいんだ」

梓「……むぅ」

唯「私がちゃんと帰ってきたから嬉しいんだよねー?」ナデナデナデナデ

梓「もぉ! 遅れますよ!」

唯「まぁこわぁい……ふふふ、いってきまーす!」 

梓「ふふっ、お仕事がんばってくださいね」


ドタドタ ガチャン バタン


梓「……いっちゃった」

梓「今日は打ち合わせだけって言ってたから夜には帰って来るかな」

梓「あ、晩ご飯のリクエスト聞くの忘れてた」

梓「こういうときやっぱ携帯電話ほしいなーって思う」

梓「あ、バイトするなら買わないとだめかも」

梓「唯先輩買ってくれるかな? でも高いよね……」

梓「なんか唯先輩にはいろいろもらってばっかりだなー」

梓「結局服とか靴も買ってもらっちゃったし……」

梓「私、唯先輩に何かしてあげれてるのかな」

梓「料理は自身あるけど、それでもやっぱレストランのほうがおいしいし……」

梓「唯先輩って外でいいものたくさん食べてそう」

梓「だって話題沸騰中の歌手だよ。国民的スターだよ」

梓「私ってなんてちっぽけ……あぁ」

梓「……だめだめっ、がんばるって決めたもん」

梓「お買い物にいくついでに求人さがそう」

梓「あと、唯先輩のニューシングルも買わなきゃ」

梓「……そういえばなんで私にお小遣いくれるんだろう」

梓「月に一万円ももらっても使い道ないよ」

梓「……もらってばっかりの生活早くやめたい」


……


スーパー


梓「んー、こっちも安い……でもこれも食べたい……」

梓「……」キョロキョロ

梓「平日の昼間から買い物してる若い子なんて私くらいだよね」

梓「あーあ、何だと思われてるんだろう」

梓「まさか世紀のスターユイの家政婦とは思うまい」

梓「ふふふっ……あ、私いま気持ち悪い」

梓「んー、よし。お豆腐安いし今晩はマーボー豆腐にしよ」

梓「お昼は昨日の残りがあるから大丈夫」

梓「唯先輩はお肉多めがいいのかな」

梓「……そういえばスーパーのバイトってどうなんだろう」

梓「ここ、求人貼ってないかな……あっ、あった!」

梓「えっと……18歳以上。10時~18時まで!」

梓「……無理か」

梓「どうせなら楽しそうな仕事がいいな」


……

梓「あ、求人張り紙……」



【田井中うどん】

接客、宅配従業員募集中
時給710円~

学歴不問
年齢16歳以上 女性可 高校生不可
個人経営の働きやすくて楽しい職場です
交通費、まかない有り 制服貸与



梓「うどん屋……うどん屋かぁ……」

梓「私に似合うかなぁ……」

梓「ここにしよっかな」

梓「……よしここにしよ!」

梓「駅前かー。帰りにのぞいてみよう」

梓「早く働いて唯先輩に楽させなきゃ!!」


……


梓「ここだ……な、なんか怖そう」

梓「やってるのかな……」

梓「ええいっ」

梓「ごめんくださーぃ……」

梓「……?」

梓「ごめんくださ」

「はいはいはい、いらっしゃいいらっしゃい!」

梓「うわっ!」

「お一人様で? 奥の席あいてますよー」

梓「いや、その……私、求人をみて……きました」

「あ、アルバイト希望の人? おーやった! じゃああがってあがって」

梓「は、はい」

「そこ座って。荷物ここ。あ、買い物帰り? 水飲む?」

「はじめまして私はここの店長やってる田井中律。よろしくねん」

梓「あ、中野梓と申します……」

律「かたくならなくていいってー!」

梓「はぁ……」

梓(苦手なタイプかも……)

律「で、お嬢ちゃんおいくつ?」

梓「あの、一応17歳です……」

律「17!? まじ? 中学生かと思った」

梓「……」

律「うそうそ冗談! てか中学生雇えねーし! あははっ」

梓「それで……」

律「17ってことは高校生? うち高校生は」

梓「いえ、高校には……いってません」

律「じゃあいまフリーター?」

梓「あの……家政婦です……家政婦!」

律「ふーん、なかなか変わってるね。うちでほんとにやってける?」

梓「接客したりするんですよね?」

律「そうそう。慣れれば簡単だよー」

梓「はい……大丈夫です」

律「うーん、ちょっと表情がかたいかな。うちは元気が売りだから」

梓「頑張ります」

律「よし、採用!」

梓「はやっ」

律「がんばるっていったじゃん! ならそれでよし!」

梓「あの、ほんとにいいんですか? こんなどこの馬の骨ともしらない……」

律「いいんじゃない? 悪い人には見えないし」

梓「あ、ありがとうございます。嬉しいです」

律「人間いろいろあるって! はっは!」バシバシ

梓「いた……いたた」

律「じゃあ明日から早速いいかな? 人手たりなくて困ってたんだー」


梓「はい! よろしくおねがいします!」

律「うむ、良い返事だ梓」

梓「あ、梓……」

律「いい名前じゃん、梓。あ、私のことは律店長って呼んでくれ!」

梓「あ、わ、わかりました律店長!」

律「おっけい! じゃあ私まだ仕事あるから、また明日な!」

梓「はい!」



平沢家

梓「…………なんかあっというまに決まった」

梓「……やった。やったぁ……!」

梓「唯先輩、私アルバイト決まりましたっ!」

梓「うれしいなぁ……ちょっとガラ悪いけどいい人そうだったし」

梓「よーし、がんばるぞー!」

梓「晩ご飯つくろっ!!」


……


梓「~~♪」ジュウジュウ

梓「~♪~♪」ジュージュー

梓「早く帰ってこないかなー早く帰ってこないかなー」

梓「んー、もう七時」

梓「~♪ ~~♪」


ガチャリ


梓「あっ!! 帰ってきた!」

「あずにゃ~んただいまああ~!!」

梓「はぁーい! おかえりなさーい!!」

「ちょっときてー」

梓「はいはい、行きますよっ」トコトコ


梓「はい、なんですか♪」

唯「えへ~、あずにゃんただいまー!」

梓「聞こえてましたよ。おかえりなさい!」

唯「あのねー」

梓「あ、おかえりのチューですか? だめですよっ!

唯「ほえ? してくれるの?」

梓「い、いえ……でなんですか?」

唯「あのねー」

梓「はい」

唯「あずにゃんに紹介したい人がいるんだー、でへへ」

梓「えっ……? 紹介……え?」

唯「いま外でまってるー」

梓「あの……いまなんて……」

唯「紹介したい人がいるんだー」

梓「……」フラッ

唯「あずにゃん? どったの?」

梓「……わ、わたしもう寝ます……」フラフラ

唯「えぇ!? なんで!」

梓「わ、わかんないんですか……ヒッグ」

唯「え? え? 泣いてるの? あずにゃん!」

梓「どうせ私なんて……私なんてただの家政婦……グス」

唯「ちょ、ちょっとまってよー。わけわかんない」

梓「私、馬鹿みたい……一人で舞い上がって……」

唯「なんかよくわからないけど……よしよし」ナデナデ

梓「やめてください! そういうのはっ!!」バッ

唯「あっ……」

梓「その紹介したいっていう大事な人にすればいいじゃないですか!!」

唯「あ、あずにゃん……っ」

梓「もうしらない!! 唯先輩のことなんかしらない!! あとはご勝手に!!」

唯「え? や、やだよー」

「ちょっと唯、なんかその子盛大に勘違いしてない?」

唯「あ、和ちゃん。ごめんね? はいってはいって」

梓「ふぇ……?」

和「はじめまして梓ちゃん。私唯のマネージャーやってる真鍋和です」

梓「ま、まね……?」

唯「だから紹介したいって言ったじゃん。あれ? マネージャーとは言わなかったか。てへっ」

梓「あっ……あっ……あああっ!! にゃあああっ!!」ボンッ

唯「おやおや。あずにゃんどうしたー真っ赤になって」

和「唯、なんとかしなさい」

梓「うわああっ!! すいませんすいません!! うわあああっ!! 恥ずかしっ!!」

唯「あぁー、嫉妬してくれたんだ。それで泣きそうだったのねーういヤツういヤツ」

梓「ち、ちがっ!!」

唯「そうなんでしょ……? 嬉しいなーあずにゃん」

梓「うぅ……」

唯「あ、和ちゃん! この子があずにゃん。中野梓ちゃん。私のお嫁さ」

梓「家政婦ですっ!!」

和「唯から耳にたこができるほど話は聞いてるわ。よろしくね梓ちゃん」

梓「は、はい! どうも先ほどはお見苦しいトコをおみせしました。すいません」

唯「かわいーかわいー」

梓「もうっ、からかわないでください!!」

和「ふふっ、ほんとに仲がいいのね。……ありがとう」

梓「え? お礼なんて、どうして」

和「これでも唯はね、梓ちゃんにであってからすっごく明るくなったのよ」

唯「そ、そうかなぁ……えへへ」

和「毎日毎日幸せそう。それはあなたのおかげ」

梓「そんな……私なんて……」

和「いいえ、長い付き合いだからわかるの」

梓「そうなんですか」

和「そう、とっても長いのよ……それでも私にはあの時の唯を笑顔にすることはできなかった」

唯「和ちゃん……」

和「すごいのね。梓ちゃん。ただそれを言いにきたの。邪魔したわね」

梓「いえっ、そんな……あ、せっかくですから晩ご飯一緒にいかがですか」

唯「あーそうだよー食べていきなってー」

和「うーん、遠慮しとくわ。私新婚さんに割って入るほど図太くないもの」

梓「し、新婚さん……?」

和「あら? 唯からはそう聞いてるけど」

唯「え? えへへー……えへへ和ちゃんなんで言っちゃうかなぁ」

和「?」

梓「ゆーいせんぱぁい?」

唯「こ、言葉のあやでして……許してぇ……」

和「でも一緒にお風呂はいったり寝たりもするんでしょ? なら実態は変わらないわ」

梓「ちょっと!! なんでそんなことまで!!!」

唯「の、和ちゃん……」

梓「唯先輩!」

和「もう帰るわね。それじゃあ」

唯「和ちゃんひどいよ~あずにゃんに嫌われちゃう~~」

和「唯は底なしらしいけど、その時はがんばってね」

梓「にゃ、なにを!!?」

唯「……むふ」

和「あと、唯。先週の放課後ソープ天国は経費じゃ落ちないから。それだけ伝えとくわ」

唯「ちょっと和ちゃん!!!?」

梓「…………は? 放課後何?」

梓「ソープ……? ……は?」


5