唯「今年もやってまいりました、バレンタインデー!」
梓・澪・律・紬「「「「!!!」」」」
唯「去年は後輩の子に三つとー、先輩から二つとー、憂と和ちゃんから貰いました!」ふんす
律「へ、へぇ~!唯って意外とモテるんだな!」
梓「そ、そうですねぇ!」
澪「で、でもそんなに貰って食べ切れたのか?」
唯「もちろん!特に憂が作ってくれたアイスケーキは絶品だったよぉ」ホワホワ
紬「そ、そうなの……」
律澪紬梓(今年こそは唯(先輩)にチョコを渡してみせる!)
唯「? みんなどうかしたの?」
律「! いやいや、なんでもないよ!
それより、悪いけど私今日は用事があるんだ。だから今日の部活はパスで!」
梓「そ……それなら仕方ありませんね!今日は部活中止にしましょう!」
澪「ああ、それがいいな!」
紬「私も賛成よ!」
唯「えぇ~、今日はティータイムなしかぁ~」ショボン
梓(しょんぼりしてる唯先輩可愛い///)
~律の場合~
去年、私は唯にチョコを渡せなかった。
それは女同士で気が引けたのもあるし、単純に手作りする技量が無かったのもある。
だが今年は違う。去年の冬頃からずっとチョコのレシピを研究し、試作しては失敗し、工夫を重ねて、遂に完璧なチョコのレシピを作り上げたんだ!
ふふふ、完璧だ。お陰で体重は悲惨な事になったが、ダイエットして少し元に戻ったし、今年こそは!
「待ってろ唯!このあたしが憂ちゃんのチョコより美味しい、愛情篭った素晴らしいチョコを届けてやるからなぁ!
あーっはっはっはっはぁ!!!」
「ねーちゃんうるせーぞ!!」
~澪の場合~
学校からの帰り道、私は近くのデパートに立ち寄っていた。
無論、唯に渡すチョコを買いに来たのだが……
棚一面にずらりと並ぶチョコ、チョコ、チョコ。
今まで好きな人にチョコなんてあげた事がないし、こんな高いのは自分で買ったりもしないから、どれがいいのかさっぱりだ。
本当は手作りがいいんだろうが、生憎私は手作りチョコなんて作った事がないので、手作り並に愛の篭ったチョコを……って!愛、なんて///恥ずかしい////
……おっと、取り乱してしまったな。
早く選ばなきゃ……
~梓の場合~
今私は手作りのチョコ――と言っても、溶かしたチョコをハートの型に流し込んで固めただけだが――を包装し終えて、唯先輩の事を考えていた所だ。
私は唯先輩より一つ下の学年なので、来年も高校生をやらなければならない。
私も先輩達が行く大学に行くつもりだけど、仮に入学できてもそこには一年のブランクがある。
その間に先輩に恋人が出来てしまったら、私はこの想いを諦めなきゃならなくなる。
だから今、伝えておきたいんだ。ありがとうと。それから――
「唯先輩……」
~紬の場合~
「斎藤、頼んでた例の物は届いてる?
……そう、ありがとう。
え?好きな男?うふ、違うのよ。唯ちゃんにあげるの。軽音部の」
コトコトと鍋の中で煮立つチョコレート。
私の想いも溶け込んで、甘く甘くなってくれれば……なんて、なんだか澪ちゃんが書いた歌詞みたいね。
チョコレートのダマが無くなって完全に溶け切るのを待ちながら、頬杖を付いて考えるのは唯ちゃんの事。
空想の世界に想いを馳せると、まるで彼女の甘い香りに包まれているような気分に――
「お嬢様、お嬢様!鍋をかきまぜないと焦げ付いてしまいますよ!」
※
湯煎でした 焦げるとかは脳内補完して頂きたいです申し訳ない
~唯の場合~
何だか今日は、みんな様子がおかしかったなぁ。
あずにゃんなんて、いつもなら「律先輩がいなくても個人の練習くらいはできます!さあさあ、部室に行きましょう!」くらいは言うのに、今日はずいぶん素直に帰っちゃったし……
ま、いいか。どうせ考えても仕方ないよね。それより今年はチョコ、いくつ貰えるかな~?
100個くらい貰えちゃえばいいのにぃ~♪
あ、でもそしたらホワイトデーが大変かぁ、むむ、これは大問題だ!
~憂の場合~
さっきお姉ちゃんの部屋を訪ねたら、うんうん唸って何か悩んでいました。
何を悩んでるのかなぁ?と思ったら、バレンタインにチョコをいっぱい貰いたいけど、貰ったら返さなきゃいけないからどうしたらいいのか考えてたんだそうです。
相変わらず私のお姉ちゃんは可愛いです。世界一、いや宇宙一可愛くて、独り占めしたいくらい。
本当は私以外の人からチョコを貰って来て欲しくないけど、お姉ちゃんの魅力が分かる人が多い事は喜ばしい事なので見逃します。
まあ、結局私のチョコが一番美味しければ何の問題も無い訳ですし。
「去年はアイスケーキにしてみたら好反応だったけど、今年のも気に入ってくれるかなぁ……
お姉ちゃん、喜んでくれるよね……?」
バレンタインとうじつ!
唯「りっちゃんおはよう!」テクテク
律「お、おっす唯!(うわっ!通学路からターゲットと接触かよ、昨日はあんまり寝れなかったのに……肌荒れとかしてないかな?)」フラフラ
唯「今日は待ちに待ったバレンタインデーだよぉ!そういえば、りっちゃんは誰かにチョコあげないの?」トコトコ
律「!」ピタッ
唯「どうしたのりっちゃん?」
律「あ、あのな、唯!」
唯「?」
律「あのさ、こ、これ……」ガサゴソ
澪「唯、おはよ!」スタスタ
律「!?」ビクッ
澪「り、律もいたのか(朝のうちに勢いで渡しちゃおうと思ってたのに……律の前じゃ流石に無理だな……)」
律「」
唯「おはよう澪ちゃん!
あ、そういえば、澪ちゃんは誰かにチョコあげるの?」
澪「あ、わ、私は……その、ゆ」
生徒A「あの、秋山先輩!」
生徒B「これ受け取って下さい!」
唯「流石澪ちゃん!あげるんじゃなくて貰うんだねえ」
生徒A・B「////」
澪「……ありがとう」
生徒A・B「キャー/////」タタタ
唯「私もチョコ欲しいなあ」
律「」
澪「」
律(くそ、澪さえ来なけりゃ……)
澪(ちっ、律がいなかったら……)
唯「わぁ、靴箱にチョコが入ってたよお!」wktk
律「!(靴箱!そういうのもあるのか……)」
澪「で……でも靴箱に入ってたチョコなんて不衛生だよなあ~!」
唯「そんな事ないよ澪ちゃん、チョコはチョコだよお」フワフワ
澪「うっ……そうだな……」
律(唯……こりゃあ手強いぞ)
和「あら、唯じゃない」
律・澪「!」
唯「あ、和ちゃんおはよお~」ニヘラ
和「はい、これあげるわ」
唯「わぁい!やったーチョコだあー!」ガバッ
和「はいはい、お礼は?」
唯「ありがと、和ちゃん!」チュッ
律・澪「!!!?」
和「それでよし。じゃ、お先に失礼するわね」スタスタ
律(い、今……)ポカーン
澪(ほっぺに、ちちち、チュッて……)ポカーン
唯「どったの?早く行こ?」キョトン
律・澪「」
律「待て待て、唯!」
唯「ん、なあに?」
律「今、和のほっぺに……そのう……」
唯「え?」
律「だから!き、キス……」
唯「あ! えっとね、昔、和ちゃんにバレンタインデーにチョコ貰った時、『お礼にチューしてくれたらホワイトデーにお返しくれなくてもいいわ』って言われてね、それからずっとチョコのお礼にチューしてるの」エヘヘ
律・澪「」
唯「ほら二人とも!早く~」
きょうしつ!
唯「おはようムギちゃ~ん」
紬「唯ちゃん、おはよう」ニッコリ
律(くそ、和が強敵だ……しかもまだ憂ちゃんもいるってのに……)
澪「」
唯「わあ、机にもチョコが入ってるよお!やったあ!やりましたよりっちゃん隊長!」フンス
律「……ああ、良かったな平沢隊員……」
唯「エヘヘ」
澪「」
澪(このままじゃ駄目だ……こうなったら!)
澪「ゆ、唯!ちょっと来てくれ!」ガシッ
唯「へ?あ、あ~れ~」
律「おい!? ……澪の奴、まさか、な……」
おくじょう!
唯「澪ちゃん?」
澪(後戻りは、もうできない……)
唯「澪ちゃ……」
澪「唯!これ、受け取ってくれ!」
唯「チョコ! 澪ちゃん、ありがと」ニコッ
澪「え、あ……」(渡しちゃった////)
唯「ほら、ボーッとしないで教室帰ろ?」ギュッ
澪「あ、手……」
唯「?」
澪「……うん(握り返しちゃおう)」ギュウッ
ろうか!
唯「澪ちゃん」
澪「な、何だ?」
唯「大事に食べるからね」ニッコリ
澪「あ、ああ///」
憂「」
ひるやすみ!
澪「///」ホワホワ
律(やっぱり何かあったのか……それにしても)
いちご「唯」
唯「なあに?」
苺「はい、これ」
唯「わあ、ありがとういちごちゃん!」
いちご「……義理、だから」
律「……」
姫子「ゆーい!」
唯「なーあに!」
姫子「ほーら、チョコレートだぞー?」
唯「わーい!ちょうだいちょうだい!」
姫子「ふふふ、チョコが欲しければ跪きなさい?」
唯「ははー」カシコ
姫子「ほら、どうぞ?」
唯「ありがたき幸せ」ニヘ-
姫子「よしよし、大事に食べなさいよ?」ナデリ
唯「うんっ!」
律「……(モテすぎだろ……)」
律「なあ唯」
唯「んー?なーにー?」
律「これ……」
澪「!(り、律!?)」
唯「わ、りっちゃんもチョコくれるの!?」キラキラ
律「お、おう……」
唯「ありがとりっちゃああん!」ガバッ
律「うわっちょ///唯!////」テレテレ
紬(りっちゃんが唯ちゃんに……私も……)
姫子「あっれー?唯、私に貰った時より喜んでなーい?」
唯「そ、そんな事ないよう!」
姫子「じゃあ私にも抱き着いてよー」
唯「う、うん!」ダキッ
姫子「うむ、許す」ナデリ
いちご「唯、私も……ギュッて、して?」
唯「は、はい!」ガバッ
いちご「……」ギュッ
澪「唯! わ、私も!」
律・紬「!?」
唯「お、おっけー!」ギュッ
澪「///////」
紬「……(今行くのはやめておこう)」
律「……(澪も……そんな)」
最終更新:2011年02月06日 22:28