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それからの私たちは授業も、練習もお茶もなんだって全力で楽しんでやった。

本当に毎日が楽しすぎて、何日経ったのかはよくわからない。

けど確実にみんなでライブをしたい、最高のライブをしたいっていう気持ちは演奏をするたび強くなっている気がする。

唯「…はぁはぁ…今の…」

練習なのに胸がすごくドキドキしている…

今の演奏なら……

澪「…あぁ…今まで一番…すごかった…」

梓「はい……」

律「そろそろ…ライブ…するか!」

紬「そうね…これなら」

澪「…いやっ…でも、まだ律のドラムは走りぎみだしっ唯はっ…」

律「…澪っ!…わかってるだろ?」

澪「う……」

唯「…澪ちゃん」

澪ちゃんを抱きしめると私と同じように澪ちゃんも胸がドキドキしていた。

澪「あ…唯……」

唯「私も澪ちゃんと一緒でドキドキしてるよ?…だって…すごく楽しい演奏だったんだもん」

澪「…うん…私も…楽しかった」

唯「練習でコレならライブなんてすごいよ!きっときっと、すっごく楽しいよ!」

紬「私もっ…ドキドキしてるわ…」

後ろから抱きついてきたムギちゃんの胸もドキドキしている。

梓「わ、私もですっ」

あずにゃんの胸もドキドキ。

律「私も混ぜろーっ!」

りっちゃんも加わって、私を中心にみんなで抱き合っている形になった。

みんなのドキドキが伝わってなんだか不思議な気分だ。

唯「えへへ…ライブがんばろっ!!」

律「おぉー!!」

紬「おぉー!」

梓「お、おぉー」

澪「おー…」

唯「ぷっ…どんどん弱くなってるよ~」

律「あはは!私たちらしくていいだろ!」

紬「うふふ…そうね」

澪「…ふふっ…そうか…?」

梓「そうですよ!」

唯「うん!!」

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律「明日のライブに備えて今日は麻婆豆腐パーティーだ!!」

唯「いぇ~い!!」

紬「どんどんぱふぱふー!!」

澪「おかしいだろ!明日に影響するよ!」

梓「麻婆豆腐…?なにかあるんですか?」

唯「あ、あずにゃん……」

やっぱり覚えてないんだ……

律「この世界だから大丈夫だ!!」

紬「どんな状態になっても明日には完治してるわよ~」

澪「そ…そうだけど……はぁ~…ホント、最後まで…」

律「み~おっ!最後じゃなくて、これからだって何回でもできるだろっ?…でも~…この世界ならでは、のこともしておかないとな~!」

澪「…ぷっ…あぁ…そうだな…よし!今日はやるぞ!!」

律「澪ちゅわんやるきぃ~!」

紬「は~い、麻婆豆腐、特盛五人前で~す♪」

梓「…?普通ですね。これがどうしたんですか?…すごく美味しいとか?」

律「ぶっ…そ、そうなんだよ!めちゃくちゃ上手いんだよ!その麻婆豆腐!まずは梓から食っていいよ」

唯「り、りっちゃん!!」

ひどい!

梓「いえ、そんな…先輩方から…」

うん、そうだよね!あずにゃん!

澪「ふふっ…梓、先に食べていいよ」

紬「お皿にとってあげるね…はい、どうぞ♪」

唯「澪ちゃん!?ムギちゃん!?」

二人まで……

唯「……先に食べていいよ」

ごめんね…あずにゃん……

梓「ありがとうございます…では、お先に……あむっ」

唯「ああぁぁあぁ……」

がっつり食べちゃったよぉ……

梓「うん、なかなかおい…し……い……」

咀嚼しながら紅潮してゆくあずにゃんの顔。

梓「あ…あが…が……」

最高に真っ赤っかになった後、急に青ざめました。

梓「あ゛……」

唯「あずっ……」

梓「んに゛ゃああああぁぁぁあ゛ぁあああ!!!!!!!」

唯「にゃぁぁぁぁぁん!!!」

椅子から転げ落ち、のたうち回るあずにゃん。

律「だははははははっ!!」

澪「ふっ…あははははは!!」

紬「りっちゃん、澪ちゃんもそれっ!」

唯「あああああ!!」

ムギちゃんが大笑いしているりっちゃんと澪ちゃんの口に麻婆豆腐を放り込んだ。

律「おぶっ」

澪「うぐっ…」

唯「はわわわわわ……」

紬「はい、唯ちゃん♪」

唯「え…?」

紬「唯ちゃんの分♪」

唯「……ゴクリ」

そういえばまだ食べたことないんだよね……

律「う、う…うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

澪「うぐっ……ぅええええええ!!!」

唯「……」

床をのたうち回るあずにゃんに苦しそうに喉をかきむしるりっちゃん。

澪ちゃんはどこかに駆けていってしまった。

紬「いただきまーす♪…うん、おいしい♪」

唯「……」

この地獄のような光景のなかでニコニコと麻婆豆腐を食べるムギちゃんはとても神々しい。

唯「…い、いただきます……」

そのあと麻婆豆腐はちゃんと食べきった…気がする。


…みんなと一日中騒いで楽しかったな。


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律「なんか体が軽い」

梓「確かに何だかすっきりした感じです…」

ライブ当日、昨日食べた麻婆豆腐のおかげなのか、体が軽くとても調子が良い。

まさにベストコンディションだ。

澪「……」

紬「澪ちゃん…大丈夫?」

澪「…うん、大丈夫」

紬「今日のライブ、頑張りましょ?」

澪「あぁ……そうだな」

律「んじゃ、ライブの前にティータイムといくか!」

梓「えぇ!?練習しましょうよ!」

唯「おやつ♪おやつ♪」

紬「はいは~い♪」

梓「もう~……」

澪「梓…私達らしくていいじゃないか…な?」

梓「…ふふっ…そうですね」

ムギちゃんの用意してくれたお茶やお菓子は特別だったり豪華だったりするものなんかじゃなく
いつもと変わらない普段通りのものだった。

唯「えへへ…おいしいよ~ムギちゃん!」

紬「うふふ…よかった」

律「…じゃあ…そろそろ行くか!」

梓「はい!!」

紬「うん!」

唯「…このライブが終わったら……」

澪「……大丈夫…またみんなで…できるさ」

唯「澪ちゃん……うん…そうだね」

律「みんなで約束だ!ここにいないさわちゃんの分もな」

紬「私、ライブも、みんなとのこれからもすごく楽しみ♪」

梓「そうです!それに唯先輩にはまだまだ練習してもらわないと…」

唯「あ、あずにゃ~ん……」

澪「頑張ろう!…ほら」

手を差し出す澪ちゃん。

そこに重ねるように手を差し出すみんな。

律「唯」

紬「唯ちゃん」

梓「唯先輩」

澪「…唯」


唯「…うん……よーっし!!やるぞ!!おーーーーっ!!!!!」


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ライブが始まった。

この世界でたくさんの時間を過ごす中で、私達が作った全ての曲を今、全力で演奏している。

りっちゃんのドラムはいつも以上に走りぎみだし、
あずにゃんもいつもの堅実な演奏とは打って変わり、聞いたことのないような激しい演奏をしている。

けどそんなりっちゃんのドラムに合わせて演奏する澪ちゃんはすごく楽しそうだし、
あずにゃんだって好き放題に弾いてるわけじゃなく私の演奏に完璧に合わせてくれる。

ムギちゃんはみんなの演奏を繋ぎ合わせて綺麗にまとめてくれている。

唯「…次っ!私の恋はホッチキス!!」

さわちゃんが綺麗な声で最後に歌った曲。

さわちゃんがなんで消えてしまったのかはわからなかったけど、今この曲を歌っている私と同じ気持ちだったのかな?

続きを歌う澪ちゃんに目配せすると楽しそうに笑ってくれた。

唯「…次は…ふわふわ時間!!」

私が軽音部に入る前からあった曲。
…最初はパンク調だったけど。

私のギターソロから曲が始まる。
さわちゃんやあずにゃんみたいに上手じゃないけどずっと練習してきた演奏。

こんな世界でも成長してるんだな。

唯「…みんなー!ありがとう!ラスト!『You&I』!!」

私とみんなで作った曲。

作ったきっかけは一人一人曲を作ってくるっていう遊びみたいな理由だったけど
気付けばみんなで一緒になって一生懸命作った曲だ。


すべての演奏を最高の気持ちで終わらせることができた。でも……


唯「まだ…消えてない……」

律「当たり前だろ…だってさ……」

客席からは今までしてきたどのライブよりも大きなアンコールが起こっていた。

澪「…行こう」

紬「澪ちゃん…」

梓「やってやるです!!」

律「よし…やるか!!」

唯「うん!!」


ホントにホントの最後の曲。


唯「最後の曲!!『Cagayake!GIRLS』!!」


私のギター、ムギちゃんのキーボード、あずにゃんのギター、澪ちゃんのベース、りっちゃんのドラム。
一人一人が加わって曲が始まる。

この曲は私達の最後の別れの言葉の代わりに作った曲だ。

曲はすすんでいく。

そしてそれぞれのソロ。

もうお別れだね。


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