休日!

憂「♪~」とんとん

ぴんぽんぴんぽん

憂「はーい」

憂「こんな早くに誰だろ?」がちゃ

澪「おはよう、憂ちゃん」

憂「あれ、澪さん!?ずいぶん早いですね」

澪「ああ、今日は唯と約束があるからな」にこにこ

憂「は、はぁ……」

憂(約束の時間まで、まだ三時間はあるのに……)

憂「澪さん、朝ご飯はどうしたんですか?」

澪「持ってきたよ、ほら」

憂「……菓子パンひとつ……」

憂(澪さん、絶対デパートとか電気屋の入り口に寝袋敷くタイプの人だ……)

澪「ん?どうしたんだ憂ちゃん」

憂「あの、朝ご飯ご一緒にどうですか!?」

澪「そういえば、唯は?」

憂「お姉ちゃんならまだ寝てますけど?」

澪「よし、寝顔撮っちゃおう」によによ

憂「だ、ダメですよ!お姉ちゃんがかわいそう!」あせあせ

澪「思い出思い出」ぱたぱた

憂「だめぇー!お姉ちゃん起きちゃう!」ぎゅー

澪「離してくれ憂ちゃん!服伸びちゃう!」わたわた

唯「んあー?」のそっ

澪「あ……」

憂「起こしちゃった……」

唯「あれ?澪ちゃん早いねぇ」

澪憂「……」ずーん

唯「なんで二人とも暗いの?」のびー


そんなわけで三時間後!

澪「憂ちゃんのご飯はおいしいな」

憂「あ、ありがとうございます!また食べに来てくださいね」にぱっ

唯「んああぁーあ、また眠くなっちゃった」のびのび

憂「お姉ちゃん、出発の時間だよ」

澪「食べてすぐに寝ると、牛になっちゃうぞ」

唯「……」ぺたぺた

澪「?」

唯「じゃあ澪ちゃんは、食べた後にたくさん寝たんだね!」きらら

唯「行ってきまーす」

澪「きまーす」

憂「車に気をつけてくださいねー」ぱたぱた

憂「さて、と……?」

憂「……これ、澪さんのデジカメだ」


電車内!

唯「……あれ、どこに行くんだっけ?」

澪「海のそばの遊園地だよ。忘れるなよー」

唯「ごめんごめん」

澪「他になにか忘れてないか?切符とかお昼とか」

唯「あれ?あそこ飲食物持ち込み禁止じゃなかったっけ?」

澪「えっ」

唯「えっ」

澪「……」

唯「……澪ちゃん」

澪「持ってきちゃいました」ひょい

唯「あちゃー」

澪「……どうしよ」

唯「……食べちゃう?」

澪「……食べちゃうか」


がたごと

澪「電車がボックスシートで良かったな」もひもひ

唯「ロングシートで食べたら顰蹙ものだよね」もくもく

澪「唯、こっちのベーコンサンドもおいしいよ」

唯「ありがとー」もくもく

澪「あと、トイレつきの電車ってすごくありがたいよな」

唯「澪ちゃん知らないの?電車のトイレってすっごい汚いんだよ。たまに水が流れないし」

澪「えー、最悪」

唯「ていうか、お食事中にする話じゃないね」ずず

澪「そうだな」ずず


澪唯「ごちそうさまでした」

唯「さて、寝ようっと」

澪「食べてすぐに寝たら」

唯「牛になるの!澪ちゃんみたいな牛になる!」ころっ

澪「私は牛じゃないぞ!もー!もー!」

唯「んくー」すやすや

唯「くー」ころころ

澪「つまんないー。起きろー」ゆさゆさ

唯「んあー」すかすか

澪「ちぇー。にしても唯、寝相悪いなぁ」

唯「んむぅ……」ころっ

澪「!?」

澪(こ、こっここここれはまさに……)

澪(ひじゃ、ひざまくら!)ばーん

唯「くー」

澪(き、記念写真!ゆいのひざまくら記念!カメラ、私のデジカメ……あ)

澪「カメラ、ない……」

唯「くー」

澪(仕方ない、かくなる上はケータイカメラで……)

唯「すぴー」

澪(カシオのケータイカメラは世界一!)ごごごごご

車掌「えー、間もなく終着駅です、お忘れものないよう……」

唯「ん?」ぱちっ

澪「あ……」

唯「……あ!」


数分後!

唯「もー!どうして起こしてくれなかったのさー!」ぷんぷん

澪「だって唯、あんまり気持ちよさそうに寝てたから……」しょげー

唯「初めての澪ちゃんひざまくらが……こんなかたちで……」ずーん

澪「え?」

唯「なんでもないよーだ!」つんっ

澪「そんなことよりほら、ついたぞ」

唯「~~~~~!!」ぱああぁぁ

澪(唯の機嫌、直るかな?)

唯「澪ちゃん澪ちゃん、何乗ろっか!」ぴこぴこ

澪「観覧車!」

唯「え」

澪「観覧車乗ろう!唯と二人っきりで観覧車!」わくわく

唯「……澪ちゃん、それは最後の締めにしない?」

澪「いいじゃんいいじゃん。何回でも乗ろうよ」きらきらきらら

唯「観覧車って、そういう類の乗り物じゃないよー」

澪「観覧車。明けても暮れても観覧車。唯といっしょの観覧車、唯と二人っきりの観覧車」らんらん

唯「わかったよー。やれやれ」

スタッフ「一回千円になりまーす」

澪「……」

唯「……」

澪「……やっぱり最後にするか」

唯「……そうだね」

澪「ごめんな、ワガママ言って」

唯「澪ちゃんなら構わないよ」

唯「あのジェットコースター乗ってみる?」

澪「え?あ、私ああいうのは……」

唯「あ、そっか。澪ちゃん怖いのダメだったよね」

澪「……ん。ごめんね。今にも投げ出されそうな、あの感じが苦手なんだ」カアァ

唯「いいのいいの。気にしないで」なでこなでこ

紬「わああああああああああ」すぽーん

唯「澪ちゃん澪ちゃん、あそこのソフトクリームおいしそうだよ!」ぴょこぴょこ

澪「お、ほんとだ!」

唯「……あ、でも私、今小銭ないや」

澪「支払いは私に任せて!」バリバリ

唯「やめて!」


なんだかんだで夕方!

唯「……さて、そろそろ帰らないと」

澪「……そうだな。でもその前に」によによ

唯「……うん、いよいよだね」わくわく

澪「観覧車だー!」がおう

唯(やっと高いところに行く乗り物に乗れる……)

スタッフ「行ってらっさーい」

唯「わああ、なんか今からワクワクするよ!」ぱたぱた

澪「こらこら、暴れるなよ」にこにこ

唯「えへへ」

澪(この笑顔見てると、暖かな気持ちになれるな……でも)

澪(唯は私のこと、どう思ってるのかな)

唯「すごいすごい!向こうに住宅展示場が見える!」きゃっきゃ

澪「なあ唯」

唯「んー?」

澪「正直に答えてくれ。今日、楽しかった?」

唯「え?楽しかったに決まってるじゃん。どうして?」

澪「いや、私絶叫系に乗れないし、何より私なんかと来て楽しかったかなー、って」

唯「……くすっ」

澪「なんだよぅ」がうー

唯「澪ちゃん、変なことで悩むなー、って」くすくす

澪「わ、悪かったな!」ぷいっ

唯「大丈夫だよー、私どんな澪ちゃんも大好きだから」

澪「えっ……えぇっ!?」

唯「怖がりな澪ちゃんも、ちょっとおマヌケな澪ちゃんも、優しい澪ちゃんも大好き」

澪「……」

唯「だからね、今日誘ってもらえて嬉しかった。すっごく嬉しかった!大好きな澪ちゃんと、二人っきりになれたから!」

澪「ゆ……ゅぃ……」しゅー

唯「ほえ?」

澪「いま、わたしのこと、すきって……」

唯「え?……あ!わー!」

澪「唯、私も、私も唯が大好きだ!」ぎゅっ

唯「わー!わー!離して!」べしべしべし

澪「やだ!もう絶対に離さないから!ずっと永遠にいっしょだから!」はぐはぐはぐ

唯「うそ!今の全部うそ!」あせあせ

澪「嘘?……唯、本当は私が嫌いか?」

唯「ちっ、ちが……そんなんじゃ……もう下ろしてえええぇぇ!」

……


その夜!

唯「わざわざ送ってくれてありがとうね」

澪「ううん、パートナーを最後まで送るのはデートのマナーだから」

唯「デート、わ……デート……」しゅー

ぴんぽんぴんぽん

がちゃ

憂「はーい。……あら、澪さんとお姉ちゃん」

澪「こんばんはー」

唯「ういー、ただいまー」

憂「澪さん、ちょっとお話があります」

澪「私に?」

すっ

澪「……あ、私のデジカメ……」

憂「ま、奥までどうぞ」

澪「……はひ」

澪「……中、見たんだ……」がくがく

憂「えぇ、バッチリと」にこにこ

唯「二人ともなんの話?」

憂「お姉ちゃんは聞いちゃダメ」

唯「ちぇー」


数分後!

唯「……まだかな?」

がちゃ

憂「本当にすみませんね。あんな素敵な画像をタダでいただいちゃって」

澪「いやいや、安いもんだよ。こちらこそ、ありがとう」

憂「お姉ちゃんを幸せにしてあげてくださいね。あと、たまに幸せの“おすそ分け”をお願いしますよ」

澪「任せて。素敵な“おみやげ”持ってくるから」

憂「ふぇっふぇっふぇ」ぷるぷる

澪「ふくくくく……」ぷるぷる

唯「?」


後日!

澪「お昼を部室で食べるって、いいアイデアだな」

唯「でしょ?あそこ昼休みは空いてるし、二人きりになるにはもってこいだね!」

澪「さすがだなー唯は。えらいえらい」わしゃわしゃ

唯「えへへー」にこにこ

澪「さて、今日の唯のお昼は?」

唯「せーの!」

澪「オープン!」ぱかっ

唯「……わあ、澪ちゃんのおかず、クリームコロッケだ!」

澪「唯の唐揚げ、おいしそうだな。交換しようよ」

唯「いいの?やったあ!」

唯「んー、おいひい~」

澪「唯、ほっぺにクリームついてるぞ」

唯「え、どこどこ?」

澪「とったげるね」ぺろっ

唯「わっ……もぉ、澪ちゃんたら!」

澪「えへへ」

唯「♪」

澪「♪」



おしまい