澪「唯はお行儀が悪いなぁ。ほら、なめてあげる」ぺろっ

唯「やだぁ!澪ちゃんワンちゃんみたいだよ?」ぱたぱた

澪「私が食べさせてあげるから。ほら、あーんして」

唯「あー。はむっ」

澪「ふふ、甘えん坊」にこにこ

唯「澪ちゃん私のこと子供扱いしてるでしょ?」

澪「え?そ、そんなことないよ?」あせあせ

唯「私のポッケにハンカチ入れたの、澪ちゃんでしょ?」

澪「ぎくり」

唯「ほらー」ぷー

澪「ごめんごめん」

唯「私はもう大人のレディなんだよ?せくしぃなお姉さんなんだよ?」ぷんぷん

澪「大人のレディはほっぺにクリームつけないし、ハンカチを持ち歩くものだぞ」

唯「私だって熟女になれるんだから!」

澪「それはダメ!」うがー

唯「!?」

澪「熟女な唯なんて唯じゃない!唯に似た別の何かだ!」ばたばた

唯「み、澪ちゃん落ち着いて」あわあわ

澪「例えるならクリカンのルパンだ!米版ゴジラだ!ヨッシーストーリーだ!」じだんだ

唯「よく意味がわからない」

澪「ぜー、ぜー」

唯「澪ちゃん、落ち着いた?」

澪「うん、なんとか」

唯「汗びっしょりだよ?」ふきふき

澪「……時の流れって残酷だよな」ぽつり

唯「どうして?」

澪「あんなに小さくてかわいかった唯が、こんなに大きくなっちゃって」

唯「あれ?澪ちゃん、昔の私知らないでしょ?」

澪「何言ってんだ、平沢家のアルバムの内容くらい全部把握してるよ」

唯「ヲイコラ」

澪「そうだなぁ、遠足のお芋掘りがかわいかったな」によによ

唯「聞いてないよ!勝手に人の過去をのぞかないでよ!」

唯「あとは発表会のカスタネット演奏がツボだったな」

唯「そんな写真なかったはずですが」

澪「またまたぎくり」

唯「……澪ちゃん、もしかして私の家のビデ」

澪「さて、練習するぞ」すたこら

唯「ごまかさないで!」がうー

澪「律もムギも休みだから、今日はじっくり唯の指導をするぞ」にこにこ

唯「澪ちゃん、お茶淹れるのうまかったね」

澪「ありがとう。嘘のメールで追い返した甲斐があるよ」

唯「待てやコラ」

澪「許してつかぁさい」めそめそ

唯「めっ!」

澪「だって唯と二人きりがよかったんだもん」しくしく

唯「……もう、言ってくれれば二人きりの時間なんていくらでも作るのに……」ぼそっ

澪「え?今なんて」

唯「な、なんもないよ」

澪「言ったよね?言ったよね?」きらきら

唯「なんもなーいー!」あせあせ

唯「……おほん。もう嘘なんてついちゃダメだからね」

澪「はーい」

唯「嘘ついたら、ゲーム中に掃除機かけたお母さんがコンセント抜くよ」

澪「なんだその懐かしい歌詞。エンマ大王が舌を抜く、だろ」

唯「澪ちゃん痛い話がダメだもん」ぷいっ

澪「あ、ありがと」

澪「唯のギターはどんどんうまくなるな」

唯「ありがとう」

澪「毎日ペロペロしてる甲斐があるよ」

唯「どっからツッコもうか」

澪「唯の指先、だいぶかたくなってきたな」ぷにぷに

唯「わ、……ありがと」どきどき

澪「ん?」

唯「……澪ちゃん、手離して」

澪「だーめ。唯だって私のぷにぷにしただろ」ぷにぷに

唯「~~~~~!」びくっびくっ

唯「ぁぅぅ……」ぷしゅー

澪「……でも」

唯「?」

澪「やっぱり唯の指先はやらかい方がいいな」

唯「えー」

澪「唯、やっぱり指先もとにもどせ」どーん

澪「お風呂入ると指先ふやけるじゃん」

唯「あるね」

澪「あの現象は人間の口内でも再現できると思うんだ」

澪「というわけでやってみようか」ぐぐぐ

唯「手を引っ張らないで!あーんしないで!」ぐぐぐ

唯「もー!もー!」ぷんすか

澪「ごめんごめん」

唯「私たち、まだそういう関係じゃないんだから……」

澪「もうしないよ……ん?」

澪(まだ?)

唯「そろそろ帰ろっか」

澪「私トイレ行ってくる」ぽてぽて

唯「待って、私も行く」とてとて

澪「……」

唯「……?」

澪「……」ぽて

唯「……?」とて

澪「……」じわー

唯「澪ちゃん?」

澪「唯、どうすりゃいくら食べても太らないの?」うるうる


トイレ!

唯「ねえ澪ちゃん」

澪「なに?」

唯「この状況、とってもおかしいよね」

澪「え?どこが?」

唯「どうして個室に二人で入るのかな?」

澪「まあまあ、私が拭いてあげるから」

唯「余計なお世話だよ!お願いだから今すぐ出て!漏れちゃう!」

澪「だって私、唯と二人っきりがいいんだもん!文句あるか!」がおう

唯「逆ギレ!?」

唯「わかった!お休みの日に二人っきりでお出かけしよう!だから、だから今すぐ出て!」

澪「約束だぞ?」うるうる

唯「うん、約束!」もじもじ

澪「指切りゲーンマン」

唯「やってる暇がないよおぉ!」ぴょんぴょん


唯「ふいぃ……助かった」ガチャ

澪「唯、待ってたよ!」ぎゅう

唯「み、澪ちゃん澪ちゃん!手離して!」

澪「ゆい……私のこと嫌い?」うるっ

唯「そうじゃなくて、まだ手洗ってない!」

澪「あ」

じゃー

唯「二人とも手を洗うハメになっちゃったね」

澪「気にするな。これは誰のせいでもない悲劇だよ」

唯「誰がどう考えても澪ちゃんのせいだからね?」

澪「唯、ほら見て、シャボン玉」ふわー

唯「おお、きれいだね」

澪「このシャボン玉が天井まで飛んだら、唯に結婚申し込むんだ」

唯「あ、割れた」


ぴゅーぴゅー

澪「世間を吹く風は私たちに寒い」がくがく

唯「もう冬だからね」ふるふる

澪「唯、腕組んでいい?」

唯「鞄とギターで手ふさがってるから難しいよ」

澪「じゃあ、手つなごう?」

唯「難易度上がってるし」

唯「澪ちゃん、ベース置いてきたんだね」

澪「今日は予報じゃ雪だったからな」

唯「えっ?雪ふるの!?」きらきら

澪「知らなかったのか」

唯「わーいわーい」にこにこ

澪「雪のどこがそんなにいいんだ、あれ神様のウンチなのに」

唯「!!」

澪「おばあちゃんが言ってたんだ。雪は神様の……うっ!?」

唯「~~~~~!!」ぽこぽこぽこ

澪「ごめんごめん」ひりひり

唯「ぜっっったいに許さない」つんっ

澪「文句はおばあちゃんに言ってくれよ」

唯「私、小さい頃に雪食べまくってたんだよ?」ぷりぷり

澪「え、それってスカト」

唯「カッ!!」げしっ

澪「うぶっ」


唯「あ、猫だ」

猫「にゃあぁあ」ごろごろすりすり

唯「おーよしよし、かわいいなぁ」べたべたすりすり

澪「……」

猫「!?」びくっ

澪「……」ごごごごご

猫「ふにゃあうぅ」ぴゅー

唯「あ、逃げちゃった」

澪「……」にこにこ

唯「来年は私たちも先輩だね」

澪「そうだな」

唯「かわいい後輩入ってくるといいね」

澪「唯よりかわいい女の子なんかいるわけないだろ」

唯「澪ちゃんのがかわいいよ~。髪きれいだしスタイルいいし」

澪「いや、唯の方が絶対にかわいい。トロい口調もドジなところも胸が丘陵なところも全部かわいい」

唯「ほめられてるのか貶されてるのか」

澪「……でももし」

唯「?」

澪「かわいい後輩が入ってきて、その子に唯がなついたりしたら」

唯「したら?」

澪「そいつを殺して私も死ぬ」ごごごごご

唯「人はどうやったらここまで恐ろしい笑顔になれるのか」がくがく

唯「そうこうしてるうちに、もうバイバイの時間だね」

澪「いないいなーい」

唯「バイバーイ」

唯澪「いえー!」ぱちん

澪「唯も覚えてたのか、あの番組」

唯「学校お休みした日はよく見たよ~。童心にかえるよね!」

澪「私はゲストの幼女目当てに今でも見てるよ」

唯「わあ、危ない人だ」

澪「みんなかわいいけど、みんな欠点があったな」

唯「なあに?」

澪「唯じゃないことさ」きりっ


唯「~~~~~!!!」ぱたぱた

澪「ゆいー、落ちついた?」

唯「もう澪ちゃんなんか知らない」つーん

澪「そう怒るなよ。私も猛烈な羞恥心にさいなまされてるんだから」

唯「自分で言ったくせに」ぷい

澪「じ、じゃあ週末の約束忘れるなよ!バイバイ!」すたこらぴゅー

唯「あ……」

唯(私……まださよなら言ってないのに……)


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最終更新:2011年02月03日 03:20