その日、私は律に勉強を教えてほしいと頼まれていた。律が宿題のプリントをやらずに溜め込んでいることには私も以前から何となく気付いていたが、試験期間が近くなってきて、律もようやくそれらに手を付ける気になったらしい。そんなわけでその日の部活の後、私は律の家に寄っていくことになった。
二年生の頃、律はよくムギに宿題を見せてもらっていたようだった。同じクラスのムギを頼るのは当然のことと分かっていても、私は物足りなさを感じずにはいられなかった。だって律に勉強を教えるのは、ずっと前から私の役目だったんだから。
だから三年になって私も同じクラスになって、またこうして律に勉強を教えてほしいと頼まれるのは、世話が焼ける反面、やっぱりちょっぴり嬉しかったりするのだ。
律の家には、子どものころからもう何度も来ている。勝手知ったる律の部屋に入ると、私は背負っていたベースを下ろして壁に立てかけ、そして律と一緒にテーブルに向かって座った。律がカバンから若干折れ曲がったプリントを取り出して、テーブルの上に広げる。私は一問ずつ説明していく。
「いいか、この式を展開すると・・・、こうなる。次に共通項で括って・・・」
左手に持ったシャープペンで、途中式を書き出していく。
「で、最後はこうなる。分かった?」
最終的に因数分解した形に式を変形させ、顔を上げて律を見ると、律は数式を書き出した私の手元ではなく、私の顔をじっと見ていた。
「・・・何?」
「なー、澪。ちゅーしようぜ」
「は?」
「だから、ちゅー。いいだろ?」
「ダメだ!」
「何で?」
「勉強中だろ」
「じゃあ、勉強が終わってからならいい?」
「どうしてそういう話になるんだ?」
「だって、数学って全然面白くないんだもん。でもご褒美があると思えば頑張れるからさ。このプリントが終わったら、やらせてくれよ」
「・・・全く、仕方ないな。分かったから今は集中しろ。ほら、この方程式だけど、さっきの説明ちゃんと聞いてた?」
「ううん、聞いてなかった。澪に見とれてた」
私は溜息をつき、さっきの説明をもう一度繰り返したのだった。
「やったー!終わった!」
「律もやればできるじゃないか。それなのに、こんなに宿題溜めて」
「いいじゃないか、期限までにちゃんと提出するんだから」
律が口を尖らせて言う。
「それより、約束」
「あ、うん・・・」
律が膝立ちになって手を伸ばし、私の顎に触れた。軽く上向かされ、律のキスを受け止める。
柔らかい唇と、熱い舌の感触。すぐに私も夢中になって舌を絡めた。
律は長い間私の舌を放さなかった。そしてキスをしたまま、手では制服の上から胸に触れてくる。
なんだかくすぐったい。私は律の手を押さえた。
だけど律はやめてくれない。乳房を下から持ち上げるようにして撫で上げられる。
むず痒いような甘い感触がそこに生まれる。
「ちょっと、律っ。どこ触ってるの」
私はやっとのことで律のキスから逃れ、抗議の声を上げた。
「どこって、胸だけど」
平然と答える律。
「キスだけの約束だろ?」
「そんな約束してないよ。私は「やらせてくれ」って頼んだんだ。「やる」っていったら、普通セックスのことだろ?」
「なっ・・・」
はめられた。そう思ったけど、もう抵抗する気にはなれなかった。それくらい、律の愛撫は気持ち良い。
私の耳元で、律が囁く。
「じゃ、約束だから。ベッド行こうな」
ゾクゾクするほど甘い声で。
キスと胸への軽い愛撫だけで、澪はすでにトロンとした表情になっていた。
そんな澪は、ゾクゾクするほど可愛い。このまま押し倒してしまいたい衝動を我慢して、ベッドに移動する。
そしてもう一度軽くキスをしてから、澪の制服のリボンをほどき、シャツの前をはだけさせた。
ベッドに仰向けになった澪は、恥ずかしいのか視線を反らしている。そんな仕草が、また可愛い。
耳元や首筋に舌を這わせながら、片手を澪の身体の下に滑り込ませ、背中のホックを外す。
そして緩くなったブラの中に手を滑り込ませ、直接胸に触れる。大きくて柔らかい、澪のおっぱい。
手のひら全体を使って撫でるような愛撫を繰り返していると、だんだん乳首が硬くなってくるのが分かる。
「ん・・・、はぁん・・・、んっ・・・」
鼻に抜けるような澪の声が耳に心地良い。
邪魔なブラを鎖骨の辺りまで押し上げてすっかり胸を露出させてしまい、胸への愛撫を徐々に強めていく。
片方の胸は手で揉みしだきながら、もう一方の胸には舌を這わせる。
けれどまだ頂点の部分には触れず、周囲を舐めながら近づいていく。
澪が漏らす声も、だんだんと艶を帯びてくる。
一旦胸から顔を上げて、澪の顔を見上げる。頬はすっかり上気し、目も少し潤んでいる。
うん、そろそろいいかな。私はそう判断して、次の段階に移ることにした。
何の予告もなくいきなり乳首に吸い付き、同時にもう片方は親指と人差し指で軽く摘む。
「ひっ」
今までほとんど触れられていなかった乳首を左右同時にいきなり刺激され、澪の身体がビクンと震える。
「ねえ、澪。こうすると気持ち良い?」
硬くしこった乳首を舌で転がしながら、上目遣いに尋ねる。
「そんなこと聞くなっ」
「なんで?」
「ばか律」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいに決まってるだろ」
人一倍恥ずかしがり屋の澪のことだ。恥ずかしがるのは分かりきってる。
だけど、そんな澪が可愛いくてたまらない。
私はひとしきり胸を堪能し、それから片手を下に移動させた。
スカートの中に手を侵入させ、太ももを撫でる。すると澪は恥ずかしいのか、足をぴったりと閉じてしまう。
けれど太ももの外側を何度も撫で続けていると、自然に足から力が抜けていく。
私はその隙を逃さず、澪の足の間に自分の片膝を付いて閉じられないようにした。
徐々に足の付け根のほうへと手を移動させていく。そしてついにその部分にたどり着くと、指先で割れ目を軽くなぞった。
「あっ」
澪の身体が震える。
「すごいね、ここもうこんなになってる」
そこはすでに、下着の上からでも分かるほど熱く湿っていた。
「そういうことを言うなっ」
「いいじゃん、本当のことなんだから」
言葉でいじめながら、指をゆっくりと行ったり来たりさせる。すると指の動きに合わせて、澪の身体もぴくぴくと反応する。
「ほら、気持ち良いんだろ?」
「良くないっ」
意地っ張りな澪は、喘ぎ声が出るのを必死に我慢しながら否定してくる。そういうことされると、もっと意地悪したくなっちゃうなー。
「嘘つけ、気持ちいいくせにー」
指先で、下着の上からクリトリスの部分を軽く押さえこむ。
「ひゃうっ」
やっぱりここが一番いいみたいだ。そのままクリトリスの上で円を描くように指を動かしてやる。
「ああっ、ちょっと律っ、それ嫌だったら。ひゃっ、そこはダメっ」
口では嫌だなんて言ってても、やっぱり澪のここは敏感だ。このまま続けたら呆気なくイっちゃいそうだな。
でもすぐにイカせてしまっても面白くないし、その前にパンツを脱がすことにしよう。
急に指の動きを止めると、いいところでやめられた澪は泣きそうな顔になる。
そういう顔が劣情を煽るってことを、澪は自覚したほうがいい。でないと、狼りっちゃんに食べられちゃうぞ。食べちゃうぞー。
今すぐにでもめちゃくちゃに犯したいくらいの気持ちを抑えながら、下着に手を掛ける。
「澪、もうこれ脱がすよ」
「・・・うん」
澪は自分から腰を浮かせて、脱がしやすいようにしてくれた。
邪魔なパンツを取り除いた後、澪の足の間に入り、両膝の裏に手を差し込んで足を持ち上げ、ぐいっと大きく開脚させる。
するとさすがにこれは恥ずかしいらしく、澪は抗議の声を上げて足を閉じようとする。
「こんな格好は嫌だ。やめろっ」
「ええー、いいじゃん。こうすると澪のここが良く見えるよ」
「見るな、変態っ」
「変態で結構ですよー」
私はそう言うと、澪のそこに顔を埋めた。澪が私の髪を掴んでくるのがちょっと痛いけど我慢して、澪の内股を塗らす愛液を舐め取っていく。
むせ返りそうなほどに濃く立ち込める澪の良い匂いをいっぱいに吸って、頭がくらくらしてくる。私は夢中になって舌を動かした。
澪はいやだいやだと言いながら抵抗を続けていたけど、もうほとんど力も入らないみたいだった。
いつもは私が調子に乗るとすぐに殴ってくる澪が、今はなす術もなく、私の舌の動きの一つ一つに翻弄されている。
その事実が、私の嗜虐心を酷く煽った。
クリトリスはすっかり赤く膨らんでいる。だけど最も敏感なその部分にだけは触れてやらない。
焦らしながら、十分に時間をかけて丁寧に愛液を舐め取った。
そして最後に膣口をペロリとひと舐めしてから、ようやく澪の秘所から顔を離した。
「どうだ澪、そろそろ・・・」
イカせてほしいだろ?そう尋ねようとして顔を上げたとき、澪が急に足を閉じた。
ゴツン、という鈍い音が自分の頭の中から聞こえた気がした。痛みとともに、一瞬視界が霞んだ。
一瞬何が起こったのか分からなかったが、どうやら澪の膝が私のこめかみにクリーンヒットしたらしい。
顔を密着させて舐めているときはいくら足を閉じられても柔らかい太ももに挟まれるだけだが、顔を上げたせいで膝が当たったのだ。
さっき聞こえた鈍い音は、多分、澪の膝の骨と私の頭蓋骨がごっつんこした音。
「いってー・・・」
こめかみをさすりながら身体を起こした。
澪は最初何が起こったのか分からなかったようで驚いた様子だったが、数秒経ってからようやく事態を理解したようだ。
「ご、ごめん!大丈夫・・・?」
大丈夫じゃない。ちょっと涙出た。
「そんなに嫌だった?」
涙を手で拭いながら、若干恨みがましい目で澪を見る。
「え、嫌ってわけじゃ・・・。今のだってわざとじゃないし・・・」
澪は戸惑ったような表情で私を見上げていたが、同時に顔を赤らめて足をもじもじさせていた。
もう少しでイクってところで中断されたせいで、澪も結構辛いのかもしれない。
でも私だって、今のは痛かったんだぞ。
「でも澪、いつも嫌だって言うじゃん。気持ちいいかって訊いても答えてくれないし」
「だって恥ずかしいから・・・」
「でも言ってくれないと澪がちゃんと気持ちよくなってるのか分かんないし。私の自己満足でセックスしてるんじゃないかって、不安になる」
澪は泣きそうな顔をして、足をもじもじさせている。なんだかんだで今日はまだ一度もイカせてやってないからな。
すぐ楽にしてやりたい気もするけど、でももうちょっと焦らせば、普段は恥ずかしがって口にしてくれない言葉を、言わせることができるかもしれない。
その期待感が顔に出ないように、私はなるべく真面目な表情を作って、澪をじっと見下ろしていた。
すると、澪は私から目を反らしてぼそりと言った。
「・・・いいよ」
「え?」
「律とセックスするのは、すごく気持ちいいよ。だから・・・」
「・・・だから?」
「・・・してよ、続き」
それだけ言うと澪は、両手で顔を覆って泣き出してしまった。
「ごめん!意地悪しすぎたな。すぐ最高に気持ちよくしてやるからっ・・・」
澪が気持ちいいって言ってくれた。続きしてほしいって言ってくれた。
その嬉しさで胸がいっぱいで、私は夢中で澪の顔中にキスをし、涙を舐め取った。
「澪、大好きだ!」
「私も、律が好きぃ・・・」
そう言った澪はまだ泣きそうな顔をしていて、私は少し笑ってしまった。
「続き、するよ?」
「うん。して」
私はもう一度澪の額にキスを落としてから、行為を再開した。
いきなり触って驚かせないように、おへそやわき腹を撫でて、くすぐったがる澪の反応を楽しみながら、だんだんと手を下に持っていく。
ようやくそこに辿り着いて入り口の周りを指先でなぞると、さっき舐め取ったばかりだというのに、またすっかり濡れていた。
これならすぐに指を入れても大丈夫そうだ。
「入れるよ?」
入り口に指をあてがいそう確認すると、澪は従順に頷いた。
そして早く欲しいと言わんばかりに、私がやりやすいよう自分から足を開いてくれた。
人差し指と中指をそろえて、一気に二本挿入する。すると澪のそこは、私の指を根元まで簡単に呑み込んだ。
指をゆっくりと出し入れしてやると、澪もそれに合わせて自分で腰を動かし始めた。
すっかり焦らされていたせいで、もう我慢なんてほとんどきかなくなっているのかもしれない。
「んっ、うんっ、んっ・・・」
一定の速さで出し入れを繰り返してやると、澪はそれに合わせてリズミカルに、鼻にかかった悩ましい声を漏らす。
だんだんと指の動きを速めていけば、澪の声のピッチも腰を動かすスピードも、同時に上がっていく。
うわ、なんかこれ、すげーエロい。澪しゃん、自分で腰振りすぎだよ。
私は澪に覆いかぶさっていた体勢から身体を起こした。
そして澪の片足をまたぐ形で、澪の太ももの上に自分のお尻を乗せて座った。
体重をかけられ、自分で腰を揺らすことができなくなった澪は、もどかしそうに私を見上げてくる。
そんなエロい顔すんなって。すぐもっと良くしてやるんだから。
そう心の中で呟くと、単調な抜き差しだけの愛撫はやめにして、次は澪の中で二本の指をばらばらに、不規則に動かした。
中で指を鉤状に曲げ、その指先で内壁を擦りあげたり。わざとぐちゅぐちゅと音を立ててかき混ぜたり。
さまざまなバリエーションの動きを織り交ぜながら、激しく。
さっきまでの単調な動きとは違って、次に来る刺激が予測できないせいだろう、指の動きを変えるたびに、澪はあられもない声を上げて鳴いた。刺激が強すぎるのか、腰を捻って逃げようとするが、私が太ももの上に座っているから逃れられない。
中の指はそのまま動かしながら、外に出ている親指で、さっきはおあずけにしていたクリトリスをひと撫でした。
すると私のお尻の下で、澪の腰が跳ね上がる。
こりゃ、もうイクな。そう思って、その敏感な部分をもう一度親指の腹で押さえ込んだ。
そしてそのまま、ぐりぐりとこねるように刺激してやれば。
「ああーっ!律、私もうっ・・・!」
律、と私の名前を呼びながら身体を強張らせた後、澪は急にぐったりと動かなくなった。
指を抜くと、大量の愛液が流れ出てシーツを汚した。
慌ててベッドの下に手を伸ばし、そこに置いてあったティッシュの箱から2、3枚引き抜いて拭った。
でもすでに手遅れのような気がする。
「あーあ、こりゃ洗濯しなきゃダメだな。相変わらずよく濡れるんだから澪は」
からかうようにそう言った。
すぐに怒鳴られるか、殴られるかすると思った。しかし澪は無反応だった。
「澪?」
顔をのぞきこむと、澪は眠っていた。行為が激しすぎて疲れたのかもしれない。
ちょっとやりすぎたかなあと反省する。でも、澪が可愛すぎるから悪いんだ。
「汚れるし、拭くよ?」
意識はないようだが一応声をかけてから、澪の内股を濡らしている愛液をティッシュで拭いてやった。
それでも澪は目を覚まさない。よっぽど疲れてるのかな。
それから私は、着替えのない澪に自分のジャージを着せてやった。
でもさすがにパンツまで貸すのは恥ずかしいし、ブラはサイズが合わないから、ノーブラ・ノーパンのままで。
きっと私はこの先、体育の授業のたびに、このことを思い出しては恥ずかしい気持ちになるんだろうなあ。
最終更新:2011年02月01日 07:30