きっさてん!

律「さわちゃんの誕生日が、一週間後にせまっているらしい」

唯「りっちゃん隊員、それは確かな筋からの情報なの?」

律「ああ、唯隊員、これは前に本人から聞いたから、確かな情報だ」

唯「……!」

律「今日諸君に集まっていただいたのは、さわちゃんお祝いサプライズどっきりの会議のためである!」

澪「普通に進めろ」

律「えー? だって面白いじゃーん」

澪「いつまでたっても話が進まないだろ」

唯「まぁまぁ、時間はたっぷりあるんだしー」

紬「お茶が来てからにしましょ」

律「あ、来た来た」


店員「ご注文の品はおそろいでしょうか?」

梓「はい、だいじょうぶです」

店員「では、ごゆっくり」ペコリ

和「……それで、サプライズって……いいと思うけど、具体的に何をするのよ?」

律「えーっ、と、それはだなー……さわちゃんに、日ごろの感謝の気持ちを込めて、だなー……」

澪「考えてなかったんだろ……」

律「あっ、澪しゃんが一日さわちゃんの着せ替え人形になる! とかどうよ?」

澪「ぜったいいやだ!」

紬「それはそれで楽しそうよね!」

梓「普通に、色紙とか贈るのはどうでしょうか? みなさんクラス一緒ですし……」

律「いーや、それは卒業式のときとかにとっておきたい!」

唯「うーん……」

和「別にサプライズじゃなくてもいいんじゃない?」

唯「ちっちっち……、和ちゃん、さわちゃん先生みたいな人はサプライズのほうが喜んでくれるよ!」

律「素直じゃないしなー、さわちゃん。HRに突然"誕生日おめでとう"なんて言われてもどんな顔したらいいかわかんなくなるんじゃね?」

唯「もう直接さわちゃん先生に聞けばいいんじゃないかな?」

梓「それだと意味がないじゃないですか……」

紬「あ、そうだ! 誕生日はお菓子、ケーキもって来るね!」

律「おっ、そういうアイデア待ってたんだよ! ムギナイス!」

和「……もうそれで十分じゃないかしら?」

律「いや、このままじゃ普通すぎる……、なぁ唯!」

唯「うんうん……! わたしたちはもっとあんやくしたいんだよ!」

和「暗躍……ねぇ」

律「ということで、地味なものから派手なものまで、いろんなサプライズを仕掛けたいと思う!」

唯「燃えるね! りっちゃん!」

律「おう! 唯!」

澪「それで、具体的になにするんだ?」

律「だからー、その、澪がさわちゃんのー……」

澪「りーつー……? ぶたれないとわからないのかー……?」

律「て、店内での暴力はおやめください澪しゃん!」

和「やれやれ……前途多難ね」

紬「当日までまだ時間があるんだし、いろいろ考えてみましょ」


とうじつ!

さわ子「みんな、おはよう」

律「おはようございます山中先生」

唯「おはようございます! さわ……山中先生!」

さわ子「何よあなたたち気持ち悪い……、早く席に座りなさい」

律唯「はい! 山中先生!」

和「(あんな変な態度取ったら勘ぐられるじゃないのよ……)」ヒソヒソ

唯「(今日はさわちゃん先生にけーいをしめそうって話だったじゃん)」ヒソヒソ

和「(あんなあからさまじゃなくていいのよ……)」

唯「(……和ちゃん、号令しなくていいの?)」

和「あ、き、起立!」

さわ子「……?」

さわ子「で、今日の連絡だけど……、田井中さん? 何となりとひそひそ話してるの?」

律「いや、今日の山中先生、一段とお美しいなあ、と」

さわ子「……何言ってるのよ」

律「いえ、本心ですし」

さわ子「……で、今日の連絡だけど……、最近制服の着方がだらしない生徒が目立っています。服ぐらいちゃんと着なさいね、田井中さん」

律「はい!」ビシッ

さわ子「……熱があるなら帰ってもいいのよ?」

律「いえいえそんなぁ」

さわ子「……以上、今日も一日頑張ってね、みんな」

「「「はーい」」」

澪「……律、今のはさすがにやりすぎだろ……」

律「だって今日はさわちゃんを敬う日だぜ?」

澪「だからってな……一応、プレゼントも用意してあるんだし」

律「悪かったって、放課後、な。だけどそれまでに実行すべき作戦がいくつかある」

唯「忙しいねりっちゃん!」

律「おう! 部室のほうもいろいろ準備しなきゃだしな!」

紬「喜んでくれるかな……」

和「……微妙すぎる作戦ばっかりよね……」

さわ子「はぁ、全くなんだったのかしら」ツカツカ

生徒A「あ、山中先生、誕生日おめでとうございます!」

さわ子「えっ、ああ、ありがとう……」

さわ子「……」

さわ子「……誕生日なんていつ教えたかしら……?」ツカツカ

生徒B「さわちゃん誕生日おめでとー!」

さわ子「あ、ありがと……」

さわ子「……」


しょくいんしつ!

さわ子「嬉しい、嬉しいけど……朝からすれ違う生徒全員からお祝いされる……」

同僚「あ、山中先生、誕生日おめでとうございます」

さわ子「あ、どうもありがとうございます」

さわ子「(職員室でまで……)」

さわ子「まぁ、気分がいいからいっか」

~~~~~

律「名づけて! さわちゃん全校から祝われる作戦!」

唯「ばばーん!」

澪「そのネーミングはもっと何とかならなかったのか……」

律「この一週間で学校中でさわちゃんの誕生日の日を教えて回ったかいがあったな!」

唯「まさにあんやく!」

紬「この作戦はきっと喜んでくれるわよね!」

律「ちょっと恥ずかしいかもしれないけどなー、にしし」


……


さわ子「……」

さわ子「(何かがおかしい……)」

さわ子「(授業のために教室にいけば号令の代わりに誕生日を祝われ)」

さわ子「(メイド服をきた校長が頬を染めながらプレゼントと手紙を渡してきたり)」

さわ子「……りっちゃんの仕業である可能性が高いわね……、あとで問いただすべきかしら」

さわ子「……昼休みにでも呼びつけてみましょう」

同僚「全校集会、始まりますよー」

さわ子「あ、はい。今行きます」


ぜんこうしゅうかい!

司会「では、各委員会からの報告です」

和「えー、今月は……」

和「……でした。最後に……」チラッ

律「(いえ! 和!)」

和「(やれやれ……)……山中さわ子先生、お誕生日おめでとうございます」

さわ子「!? ちょ……」

風紀「風紀委員会です、今月は~~でした。それと、山中先生、お誕生日おめでとうございます」

保健「(略)。山中先生誕生日(ry」

放送「(ry


司会「次に、校長先生のお話」

校長「さわ子先生……誕生日おめでとう……」パチパチ…

生徒C「おめでとう」パチパチ…

生徒D「おめでとう」パチパチ…

生徒E「おめでとさん」パチパチ…

生徒F「めでたいな」パチパチ…

校長「クエッ」

生徒G「おめでとう」

さわ子「なんなのよおおおおお!!」


ひるやすみ!

さわ子「ちょっとりっちゃん!?」

律「あ、さわちゃん、誕生日おめでとう!」

さわ子「それはもう散々いわれたわよ……、全校集会の件も、あなたが一枚かんでたんでしょ?」

律「違うって、あれは和が言い出したんじゃ? それに他の委員会長ものっただけじゃん?」

さわ子「本当なの? 変ないたずら考えてるんじゃないでしょうね……」

律「さわちゃんは人気者で羨ましいぜー」

さわ子「悪い気はしないけどね……、和ちゃんも粋なことしてくれるじゃない。ロックだわ」

さわ子「じゃあ私、ご飯食べてくるから……」

律「おっとまったさわちゃん、いつも購買のパンっていってたでしょ?」

さわ子「そうだけど……、なにかしら?」

唯「待ってましたりっちゃん!」

律「憂ちゃんがさわちゃんのお弁当作ってきてくれたんだってさ、一緒に食べようぜー」

さわ子「ほんとうなの?!」

唯「わたしもちょっと手伝いました!」ふんすっ

さわ子「……今日いちばん嬉しいわ……!」

さわ子「どれどれ……」

ぱかっ

さわ子「……ハートのでんぶ……! 憂ちゃん……!」うるっ

唯「ういは自慢の妹!」ドヤッ

さわ子「おいしい! おいしいわ!!」ヒョイパクヒョイパク

律「……さわちゃんもそろそろ、美味しい弁当作ってくれるお嫁さん探しなよ」

さわ子「ええ……りっちゃん……わたしがんば……」

さわ子「あん?」

律「あっ、いい間違えました! お嫁さんになりなよって言いたかったんです!」

さわ子「どっちでも相手が見つからないのよー!!!」キーッ


にねんきょうしつ!

梓「へえ、じゃあさわ子先生にお弁当作ってあげたんだ」

憂「うん、いつもお姉ちゃんがお世話になってるし」

純「ちなみにどんなお弁当作ったの?」

憂「おかずはお姉ちゃんと一緒だけど……、桜でんぶで"おめでとう"って書いたんだ」

純「おー、こってるねー」

梓「さわ子先生もきっと喜ぶよ」

憂「えへへー、ありがと、二人とも」

~~~~~

唯「よーし、じゃあわたしもお弁当食べよーっと……」

ぱかっ

唯「……!!?」(絶句)

唯「お、"おめでとう"……? うい、ういのハートのでんぶが、ない……?!」

さわ子「あら? 弁当箱間違えちゃったのかしら……、悪いことしちゃったわね……」

唯「ういの愛があ……毎朝お姉ちゃん大好きって歌いながら敷きつめてくれてるハートのでんぶがさわちゃんに食べられちゃったよぉお……!!」ビエエ

紬「唯ちゃんよーしよし……」

唯「びええむぎちゃあああん……!」

さわ子「何この罪悪感」

律「さわちゃん、気にすんな……」



ほうかご! ぶしつ!

唯「ぐす……ういに合わせる顔がないよぉ……」

律「まだ引きずってるのかよ……、憂ちゃんなら笑って許してくれるって」

唯「うぅ、でもぉ……」グスッ

紬「もう少しでさわ子先生も来るし、はやく準備しましょう!」

澪「……ほんとにこんな格好しなくちゃいけないのか……?」

梓「勘弁してください……」

律「おう、さわちゃんの作品がよく似合ってるぞふたりともー!」

唯「おぉお……! あずにゃんがぎゅってさせてくれたら泣きやみます!」

梓「もう泣き止んでるじゃないですか!」

ツカツカツカ…

律「お、さわちゃんのヒール……、みんな、準備はいいかー?」

唯「おっけーだよ!」

梓「はい、だいじょうぶです」


ガチャ


さわ子「はぁ、今日はつかれたわー……」

デケドン!

さわ子「!」

唯「さわちゃん!」

さわ子「何よあなたたちその格好……」

唯「さわちゃん、誕生日おめでとうございます!」


澪「きょ、今日はさわ子先生のために、演奏したいと思います」

唯「さわちゃん、聞いてください! せーの!」


「はっぴーばーすでーいとぅーさわちゃん!」


~~~~~

♪ジャジャーン…

唯「さわちゃん先生!誕生日おめでとー!」

律「おめでとうさわちゃん!」

紬「おめでとうございます♪」

澪「おめでとうございます」

トンちゃん「チャプチャプ」

梓「おめでとうございます」

さわ子「ありがとう」




けいおん部に、ありがとう 校長に、さようなら そして、全てのさわちゃんに おめでとう





                                                       Fin.