梓「あの本、ですね。私の妄想が、具体化しただけなんですよ。いっつも妄想してましたよ。唯先輩に犯されるの」

唯「あ、あずにゃん…」

梓「私、変態なんです。唯先輩にいじめられる妄想してオナニーする変態なんですよ」

唯「…あずにゃん」

梓「私、気持ち悪いですよね?もう、一緒に居たくないですよね?だから、もう放っておいてもらえませんか?」

唯「あずにゃん。私はね?」

梓「…なんですか?まだ、何か?」

唯「私、ね。受け入れられるよ。あずにゃんのこと。その、私の事、妄想で使ってるのも、全部。受け入れられる」

梓「…だから、何だって言うんですか?」

唯「お願い、捨て鉢にならないで聞いて?私は、あずにゃんの事が、大事なの。大切なの。りっちゃんだって、そう思ってるよ?ムギちゃんだって、澪ちゃんだって。もちろん、憂だってそうだよ。」

梓「…」

唯「りっちゃん、鞄の中見たの、すっごい後悔してた。あずにゃんにも、その…秘密とかあって当たり前なのに。無神経に鞄、開けて、秘密を暴いちゃったって。ほんとだよ?りっちゃん、泣いてた。あずにゃんの事、傷つけちゃったって。ムギちゃんも泣いてた」

梓「…」

唯「わかるよね?みんな、あずにゃんの事、絶対に嫌いになんてならない。絶対だよ?わかるよね?」

梓「…」

唯「あずにゃん…」

梓「…唯先輩、無理です。…ごめんなさい…信じられません」

唯「あずにゃん…どうして?…あずにゃん…私の事、私たちの事、嫌いになっちゃった?」

梓「…そんな訳、ないじゃないですか…」

唯「…じゃあ、なんで?どうして信じてくれないの?」

梓「…私は、唯先輩の事、好きです。けいおん部の皆さんも、憂も好きです。でも、皆さんは、私の事、気持ち悪いって思ってて、私の事、嫌いなんです」

唯「…あずにゃん…意味が分からないよ…あずにゃん…あずにゃんは、一体どうしたいの?私、どうしたらいいの?どうしたら信じてくれるの?」

梓「…」

唯「あずにゃん…」

梓「…証拠…」

唯「え?」

梓「証拠…見せてください」

唯「…あずにゃん…?…証拠って…」

唯先輩は、私の切り返しに、狼狽していました。でも、すぐに笑顔になって…

唯「…いいよ。それであずにゃんが信じてくれるなら、なんでもするよ?」

私は、私の事を受け入れてくれるという唯先輩の言葉を、信じたくて、受け入れたくて…つい、そんな事を言い出してしましました。

私は、本当に不安で、でも受け入れてもらえるんじゃないかという期待もあって…そして、その傍ら、心の奥底では、唯先輩の善意を利用して、自分の欲望を満たそうともしていたのです…

…本当に、どうしようもない、変態でした。


唯「…あずにゃん、これでいいの?」

梓「…はい…このまましばらく、抱きしめてください…私が良いって言うまで」

私は、ソファーに座った唯先輩の膝に、正面から向かい合うように、またがって座り、抱きつきました。

(制服がしわになるといけないので、お母さんのスウェットに着替えてもらいました。)

梓「…もっと、ぎゅーってしてください」

唯「…うん。ぎゅー…」

…ああ…

久しぶりの、唯先輩の感触。唯先輩の体温。唯先輩の匂い。

たまらなく心地よく、思わずぶるっと身体が震えました。

身体をもぞもぞと動かし、唯先輩の胸に顔を埋め、すりすりと感触を求めました。唯先輩は、よしよし、と言いながら、私の身体を撫でたり、頭を撫でたりしてくれました。

呼吸をする度に、唯先輩の匂いが鼻腔をくすぐり、もっとその匂いが欲しくなり、酸欠になりそうな程、唯先輩の匂いを求めました。

唯「…あずにゃん…良い子だね。あずにゃん…よしよし。いいこいいこ…」

梓「…ゆいせんぱい…」

母親に甘える子猫のように、私は貪欲に、唯先輩の身体を堪能しました。

ただ、そうして甘えながらも、心のどこかで、最後の最後、どこか不安が残っていたのです。

今、唯先輩の顔を見たら…きっと、眉根を寄せて、侮蔑と軽蔑と、嫌悪と恐怖の入り交じった、拒絶の表情を浮かべているのではないか…

だから、こうして甘えながらも、私は怖くて、一度も唯先輩の顔をみられませんでした。

でも…唯先輩なら。きっと。

顔を上げて、ちらりと唯先輩の顔を見ました。

唯先輩は…まるで母親のように、母性愛たっぷりの表情を浮かべていました。

私と目が合うと、「ん?」と、首を傾げてきました。

唯「あずにゃん、なあに?」

微かに上気し、目を細めた唯先輩が、どことなく艶っぽい、色っぽい笑みを浮かべながら、私を促します。

唯「ん?」

…全くの、杞憂でした。もう、疑う余地もなく、証拠云々言うまでもなく…

梓「…ゆいせんぱい…ゆいせんぱあい…」

私はまた、唯先輩の胸に顔を埋めて、すりすり、すりすり、と、唯先輩の身体を求め続けました。

唯「あずにゃん、いいこいいこ。…よしよし。可愛いね、あずにゃん…」

…唯先輩は、とんでもなく、甘えられ上手でした。この安心感、多幸感を味わったのは、いつ振りでしょうか。もっと小さい頃、お母さんに甘えている時の様な、そんな感覚。…もう、二度と得られないと思っていた、幸福感。

このまま、いつまでもこうしていたい。そんな気持ちを、唯先輩は汲んでくれて、根気強く私をあやし続けてくれました。

今の私は、幼児の精神状態そのものでした。身も心も、すっかり唯先輩に委ねて、ただひたすらに唯先輩の愛情を求め続けていました。

唯「あずにゃん。おふとん、行こっか」

梓「…はい…///」

そして、私の成長した身体は、醜く歪んだ肉欲を満たす為に、更なる快楽を求めて、「それ」を唯先輩に差し出しました。


梓「…ゆ、ゆいせんぱい…これ、なんだか分かりますか?」

布団の中で、さっきのように甘えながら、私はそれを唯先輩に差し出しました。

唯「…うん、…これ、…いけないオモチャだよね?」

梓「そ、そうです。いけないオモチャです///」

それは、コードの付いた丸形のスイッチでした。そのコードは、私の下半身に伸び、ズボンからひょろっと顔を出していました。

梓「…少しずつ、強くしてください」

唯「うん…いいよ」

唯先輩は、私からスイッチを受け取ると、…スイッチを操作して、一番弱い刺激を与え始めました。

梓「…ああっ…///」フルフル

…気持ちいい…。

ヤバいです。


少しずつ、少しずつ、唯先輩は刺激を強めて行きます。まるで、私の身体の感じ方を熟知しているかのように、常に私が一番気持ちいい刺激を作り出し、同時に背中や頭の愛撫を続けてくれます。

梓「あっ…あっ…唯先輩…唯先輩…///」

唯「あずにゃん…いいこ、いいこ…」

唯先輩と密着し、背中や頭をなで回されながら、かつて無い快感を味わって…ゆるゆると、ねちっこく、じわじわと、私の性感が高められていきます。

身体の面積の殆どを唯先輩に密着させながら、それでも更に唯先輩の事を求めて、身体を擦り付けます。体中に唯先輩の匂いを擦り込みながら、今まで感じた事の無い、幸福感に包まれながら、頭が真っ白になりそうな程の快感が体中を駆け上ってきます。

梓「ゆいせんぱい…ゆいせんぱい…///…もう、いっちゃいます…///」

唯「いいよ。あずにゃん、いっちゃうところ、見ててあげるね」

梓「ああ…っ…///ゆいせんぱあい…///」

唯先輩にしがみつきながら、唯先輩に抱きしめられながら…私は、かつて味わった事の無い、絶頂を味わいました。

梓「…はあ、はあ…///」

唯先輩は、徐々に刺激を弱めながら愛撫を続けて、ゆるゆると、たっぷりと、私に絶頂の余韻を味わわせてくれました。

放心したように、私はしばらく、何も考えられず、無意識に唯先輩に身体を擦り付けていました。唯先輩は、そんな私を、ずっとあやし続けてくれました。

ようやく、意識がまとまりを帯び始め、私は唯先輩の顔を見上げました。

唯「あずにゃん。気持ちよかった?」

梓「…///」コクリ

さっきと同じ、母性愛たっぷりの微笑みで私を見つめながら、唯先輩はまた私をぎゅーっと抱きしめてくれました。

梓「…唯先輩。疑ってすいませんでした」

唯「ん?」

なにが?と、髪を優しく梳きながら、唯先輩が促してくれます。

梓「…証拠、見せろとか、失礼な事言って、すいませんでした」

唯「くす。信じてくれた?私が、あずにゃんの事、大好きだって」

梓「…はい。信じました」

唯「あずにゃん、ありがとう。あずにゃん、だいすき」

唯先輩はそういいながら、愛撫を続けてくれました。余りの心地の良さに、もう死んでも良いと、本気で思ってしまいました。

梓「…あ、あの。だ、だけど…私、こんな性格ですから。多分、また、不安になっちゃう事、あると思うんです。だから、その…」

唯「…ん?あずにゃん、言ってごらん?」

梓「その…また、不安になったら、またこうして、私の事、甘えさせてください。…いいですか?」

唯「…くす。もちろん。あずにゃんが不安になったり、さびしくなったら、いつでも呼んで。すぐ駆けつけるよ」

梓「…唯先輩…ぐずっ…嬉しいです。唯先輩、大好きです」

唯「あずにゃん、私もあずにゃんの事、大好き」

梓「うええ、唯先輩。嬉しいです。唯先輩、唯先輩!」

唯「あずにゃん…よしよし」

私は、子供のように泣きながら、ずっと唯先輩にしがみついて、身体を摺り合わせて…

唯先輩は、そんな私をずっとあやし続けてくれました。私が泣きつかれて、眠ってしまった後も、ずっと私を抱きしめながら、身体を撫でてくれていました。

唯先輩。大好きです。

唯先輩と私は、きっと違う。だから、今日だけ。今日だけは、私だけの唯先輩でいてください。

唯先輩…大好きです…

唯先輩…


よくじつ!

梓「…あの、皆さん…すいませんでした」

翌日。部室に入るなり、私は、ぺこりと、勢い良く頭を下げました。

律「い、いやいや!別に気にしなくていいって。っていうか、ごめん!勝手に鞄の中見ちゃって!」

紬「こっちこそ、本当にごめんなさい。勝手に、あんなこと、ほんとに…」

今日、私は、唯先輩につれられて、2日ぶりに部活に出ました。学校は休んで、部活だけ…とんだ不良です。

先輩方は皆、私を取り囲んで、優しい言葉をかけてくれて…安堵感と嬉しさで、不覚にも泣いてしまいました。

唯「ね?全然、心配なんていらなかったでしょ?」

梓「はい…ぐす…嬉しいです」

先輩方全員に、ひとしきりなで回されました。

澪「いやー、私は見てなかったんだけど…そんなに凄いのか?その本」

律「いやー、凄いっていうか…なんていうか…『こんな概念があったのかー』みたいな…ハハ」

紬「そうね、すごかったわね//」ボタボタ

律「おーい、ムギー。鼻血出てるぞー」

無理なく、自然に、私を受け入れてくれようとしています。本当に、嬉しくて、涙が止まりませんでした。

唯「まあ、あれだよね!あずにゃんは、あずにゃんじゃなくて、エロにゃんだったという事で」

律「あが!唯、アホか!」ゴチン

その掛け合いに、思わず、ぶは、と、吹き出してしまいました。

梓「くっくっくっ、はい、すいません。エロにゃんでした…すいません。くっくっくっ。あははは」

澪「あははは、なんだよそれ!あはは!」

澪先輩は、つぼに入ったようで、珍しくケラケラと笑い始めました。

つられて、ムギ先輩も笑い出しました。

律先輩は苦笑しながら、それでも、優しい顔を浮かべて。

そして、唯先輩。唯先輩は、いつものほにゃっとした笑顔を浮かべて、律先輩に小突かれたところをさすっていました。

もう、多分、大丈夫。あの趣味は、現時点をもって封印します。本も捨てます。結局、一度も顔を合わせる事もありませんでしたが、例の交流も終わりにします。

私の抱える問題は、実はもう少し複雑というか、難しくて、今回の件で解決するものではありません。これは、一生向かい合って行かなければならない事です。

世間の風は、もしかすると想像よりずっときついのかもしれません。

それでも…私は。この想いは、本当だと。多少、いや、多分に不純ではありましたが、私の本当の気持ちは、そんなに変なものじゃあないと、胸を張って、自己主張して行きたいと、思いました。


唯「…ねえ、あずにゃん?」

梓「はい、唯先輩?」

久しぶりの演奏。

皆が楽器の準備で背を向ける中、唯先輩が私に耳打ちしてきました。

唯「私とあずにゃんね、凄く…相性、いいと思うよ?えへへっ」

梓「え…っと?//え?//それってどういう…//」

唯「『ゆいあず』って、意味、分かるよね?」

梓「…//ゆい、せんぱい…?//」

唯先輩は、誰も見ていない事を確認すると…素早く、私のほっぺたにキスをして、定位置に小走りに駆けて行きました。

唯「おーい、あずにゃん!はやく!ひっさしぶりの演奏~♪」

さっきの、どこか色気を含んだ、落ち着いた声色から、一転していつもの底抜けに明るい唯先輩に戻って。

唯先輩が、私を呼んでいます。

澪「おい、梓、大丈夫か?熱、あるのか?」

気がつくと、顔がものすごい熱くなっていました。多分、耳まで真っ赤だったんだと思います。

梓「い、いえ!すいません、すぐ行きます!」

ストラップを肩に掛け、定位置に…唯先輩の、隣に駆けつけます。

律「よし、それじゃあいくぞ!1、2、3!」

軽快なイントロ。しばらく、ギターをろくに触ってなかったので、指が若干もどかしいけど…やっぱりこれが、一番、楽しい!

私の抱える問題は、実はもう少し複雑で、難しくて…でも多分、この人がいれば。

ちらりと、隣を見やると。目が、合いました。

微笑む唯先輩。つられて、私も、思わずふにゃっと笑顔になり、気恥ずかしくてふいっと視線をそらしました。

…世間の風は、想像以上に、冷たいのでしょうか?私は蔑まれ、気味悪がられながら、これからの人生を歩んで行く事になるのでしょうか?

それでも。

この人がいれば。この人たちがいれば、私はもう。

終わり