唯『あわわわわわ……!』

林檎「あっ!」

唯『……っ!』ダッ

林檎「!」ジワ

唯『そう言えば、入学式の日もこの道を走った』

林檎「……ヤバい、何か泣けてきた」

亀田「俺も初めて見たときは号泣したよ」

浮雲「俺も」

伊澤「まぁ泣くわな」

刃田「唯ちゃんが、成長したなぁって考えると感慨深いよね」

林檎「うん……」グス


唯『ねぇ、私 あの頃の私』

唯『心配しなくて良いよ すぐ、見つかるから』

林檎「……」

唯『私にも出来る事が……夢中になれる事が!』

林檎「……」ボロボロ

唯『大切な大切な大切な……大切な場所が!』

林檎「これは卑怯だろー……」グスグス

刃田「バックのふでペンがまた良いよね」

林檎「何て言うかさ……思い出した、バンドに出会う前の自分を」

林檎「手術の影響のせいでその時の夢、諦めないといけなくて」

林檎「バンド始めるまでは本当に、空っぽだったからなぁ」

亀田「椎名と初めて出会った時」

亀田「エラい子任されたと思ったよ」

亀田「才能は凄まじいけど、何て言うか、すっごい尖っててね」

林檎「故郷捨ててきたからねーw」

刃田「俺も最初、すっげぇ怖かった」

浮雲「俺も」

伊澤「俺今でも怖い」

林檎「皆かよ!」

唯『いつもいつも……ご迷惑をお掛けして……』
唯『こんなっ……大事な時に……っ!!』

澪『……タイくらいちゃんと結べ?』

律『皆唯が大好きだよ!』

刃田「同じだよ、林檎さん」
刃田「みんなそれでも林檎さんが大好きで、一緒にやってるんだよ」

唯『うぅぅぅ~』
『頑張ってー!』
『唯ー!!』

林檎「もう、何でこのタイミングでそんなこと言うかなあ……」ボロボロ

亀田「ほい、クリネックス」

浮雲「ネピアもあるでよ」

林檎「どっちでも良いよw……ありがと」チーン


唯『……脇目も振らずに練習してきたなんてとても言えないけど』

唯『でもここが!今いるこの講堂が!』

唯『私達の武道館です!!』

林檎「唯ちゃんのMCは最強だなw」

刃田「今度林檎さんも言ってみたら?w」

林檎「恥ずかしいから良いよww」


唯『最後まで思いっきり歌います!』

林檎「おう!」

亀田「皆楽器持ってこーい」

浮雲「ふわふわ時間事変アレンジかー」

刃田「うるさくならないように、音控えめで!」

伊澤「よっしゃ」

唯『ふわふわ時間っ!!』

テテテ ジャージャカジャ

浮雲「ここ椎名さん!」

林檎「あ、そっか!」

林檎「♪キミを見てると……」

浮雲「ここカントリーっぽくする?」

刃田「いいねそれ!」

亀田「うふっ、萌え……燃えてきた!」ドゥルルルルル

伊澤「亀田さんの指が見えない!」

唯『ゆーめのなかーなーら♪』

林檎「ふーたりのきょーりー♪」


スタッフ「……ん」テクテク

~♪♪

スタッフ「楽器の音が聞こえる……!」

スタッフ「きっと立ち直ったんだ!」

ガチャ

スタッフ「失礼しま」


林檎「ふわふわターァイム♪」

浮雲&伊澤「「ふわふわターァイム♪」」

亀田 ドドドドドドド

刃田「亀田さんパねぇww」

スタッフ「……」

スタッフ「……した」

パタン

スタッフ「……」スタスタ

スタッフB「おぉどうした、世界の終わりみたいな顔して」

スタッフ「俺、東京事変が何なのか分からなくなりました」

スタッフB「どうしたおい」


ジャジャ ジャジャ ジャーン♪

林檎「……はぁ」

林檎「へへ」

刃田「まだ終わらないよ」ニヤ

林檎「え?」

テーテーテーテー

林檎「ムギちゃん!」

伊澤「こんな感じでどうでしょ?」ピロリロ

林檎「……っ!!」

林檎「凄い!わっち天才!」

伊澤「゚*。+(∵*)+。*゚」


唯『もういっかぁーい!!』

林檎(……最初は、馬鹿にしてた)

林檎(アニメだし、如何にもな感じだし)

林檎(軽音部なのに全然練習風景無いし)

林檎(専門的な事は全くといって良いほど触れないし)

林檎(……でも、)

林檎(こんな大事なことに、気付かせてくれた!!)

林檎(大切な作品……唯ちゃん、澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、あずにゃん……)

林檎(皆ありがとう!)

ジャジャ ジャジャ ジャーン♪

唯『けいおん、大好きー!!』

林檎「事変、大好きー!!」



おしまい



エピローグ


東京事変が、新アルバム「スポーツ」発売後 間髪入れず今度はシングルを発表
3月26日の川口総合文化会館を皮切りに、全国行脚のツアーにも引っ提げて行くという
その真意とは?レコーディングを終えたばかりの彼らを直撃した

――まずは、ニューアルバム「スポーツ」、いよいよ発売されたということで

椎名『はい、出来るだけ多くの方々に手に取って頂けたら光栄です』

――早速完成品を聞かせて頂きましたが、いやもう、素晴らしい

椎名『ありがとうございます(笑)』
椎名『といっても、曲はまたほとんど……ね、皆さんにお任せしたので』(メンバーを見つつ)

浮雲『いえいえ』

伊澤『とても楽しかったです』

――何というかこう、多分多くのインタビューで言われたと思うんですけど、新しい何かを感じましたね

椎名『そうですか』

浮雲『皆言いますねそれ(笑)』

――やっぱり(笑)


――では、本題の方に移らせて頂きます

亀田『きた(笑)』

――(笑)色々とお聞きしたいんですけど、一番はまず、何故このタイミングで?

椎名『えっと……ちょっとレコーディング中思う所がありまして』
椎名『もうスポーツは広告とか宣伝も出ちゃってて、加えられなかったし』
椎名『それにちょっと伝えたいことが違ってきちゃうから』

――まずはタイトル未定のA面、(仮)とでも呼ばせて頂きます

刃田(笑)

――凄く、率直に申し上げますと

椎名『はい』

――本当に良かったです、何というか、暖かさで溢れた、今までにない曲でした

椎名『あー……いやいや、ありがとうございます』
椎名『凄い、嬉しいです。……率直に(笑)』

――ええと、作詞も作曲もこれは椎名さんということで

椎名『はい』

亀田『こういった曲調は割と僕が担当する事が多いんですけど』
亀田『今回は……どうしても書きたいと、女史が(笑)』

椎名『うん、だってすぐ形にしたかったからね』

――大体この暖かさというか、優しさのベクトルは察しが付くんですけども

浮雲(笑)

椎名『……』

――えー、皆さん何故か物凄い笑顔なんですが(笑)

椎名『そうですね、まぁ……気恥ずかしいですけど、言ってしまえば』
椎名『メンバーに向けて作った曲です』

伊澤『よっ!』

――やっぱり。先程の“思う所”というのは、そのことでしょうか

椎名『そうですね』
椎名『元々言葉にしにくい思いを歌にするっていう人間ですので』
椎名『ちょっと恥ずかしいのであんまり多くは語りませんが(笑)』
椎名『こういう、如何にもな内輪向けの……内輪へ向けての曲を、人様の前に出すのは』
椎名『それこそシングルでだなんて大変恐縮なんですけど』
椎名『でもキラーチューンみたいに、物凄く外側に向けた曲はあるけど内側へって中々無かったから』
椎名『聞いて下さった皆さんにも、何て言うかな、こう……周りに居る人への思いを、また考えて直して頂けたらな、と』

――ソロ時代からインタビューさせて頂いてますが、何というか、変わられましたねぇ

亀田『全く毒が無くなったでしょ?(笑)』

伊澤『僕に対しては相変わらず物凄い毒を吐いてきますけどね(笑)』

――(笑) それで、こちらはタイトル発表済みの、B面ですが

刃田『ある意味今日一番の本題きた(笑)』

――いやもう、私も驚きました。というか全国の皆さんが驚かれたと思うんですけど

浮雲『俺も驚いてます』

椎名(笑)

――まさかまさかの、アニソンカヴァー それも去年大人気を博した「けいおん!」の“ふわふわ時間”を!

亀田『ファンの皆引いたかな~(笑)』

――本当にもう、発表した時デスクが騒然となりましたからね(笑)

椎名『そりゃそうですよね(笑)』

――何かの間違いだろうって、でも何回確かめてもそうだったから

伊澤『あの、一番怖いのがね』
伊澤『何かウケ狙ってんのか、とか、普段あんまり聞かない人たちをファンにしようという魂胆が、とか思われたら嫌なんですけど』

浮雲『そういうんじゃないからね』

伊澤『そういうんじゃないですよ もう真剣に、真剣にやってますから』

亀田『何かそうマジっぽく言えば言うほど胡散臭く聞こえてくるね(笑)』

刃田『確かに(笑)』

――これは、どういった経緯で、カヴァーしようということになったんですか?

椎名『いや、純粋に……』

浮雲『全員好きだったので』

――「けいおん!」が?

浮雲『はい、あ、椎名さんは全員で洗脳したんですけど(笑)』

――意外です(笑)

椎名『もう、私も最初、見たときはびっくりしましたよ』
椎名『だって“けいおん!”って名前なのに全然楽器演奏しないし(笑)』

浮雲『椎名さん一回キレたからね、武道館がどうのこうので』

――全員でご覧になったんですか?

椎名『浮ちゃんにDVD借りたんですけど、借りた晩に全部見なかったら凄い怒られて(笑)』
椎名『レコーディングの休憩中に全部、全員で見たんですよ』

――相当時間掛ったんじゃないですか?

亀田『そう全然スタッフさんが呼びに来なかったから、後で聞いたら「皆忙しいからついに病んじゃったのかと思った」って言われて』

伊澤『何回か来てたらしいけど、全然気付かない(笑)』

――(笑)余程夢中だったんですね

椎名『何かね、この人たち台詞全部覚えてるんですよ』

刃田『俺一晩で覚えたからね(笑)』

椎名『あのシーンがどうとかあだ名がどうとか……まだ見てないから!ネタばれだから!って(笑)』

――あの、何だかメンバーの皆さん、以前よりもっと親密になられましたね

椎名『そうですか?』

亀田『うふっ』

――いや、前々から中の良いバンドだな、とは感じてましたけど

浮雲『それもこれもけいおん!のお陰です』

伊澤&刃田(笑)

――全国のファンの皆さんの反応が楽しみですね(笑)

椎名『怖いところです(笑)』

――でも、アレンジはさすが東京事変っていう

亀田『最終話、最後の演奏シーンでもう、感極まっちゃって』
亀田『思わず「全員楽器もってこーい」って、言っちゃって(笑)』

浮雲『ミュージシャンだもんね』

亀田『そう、さっきの椎名じゃないけど、言葉に出来なかったら音楽に委ねるっていうね』

椎名『その勢いのままです』

伊澤『あんまりいじってないよね』

刃田『わっちのあのフレーズもね』

伊澤『(∵*)』

――伊澤さんが言語化不可能な発言をされましたけど(笑)

椎名『あ、ほっといて良いですよ(笑)』

伊澤『』

――(笑) それでは、最後にファンの皆さんに向けて一言ずつお願いします

亀田『引かないでね~(笑)』

刃田『けいおん!知らない人は見てくれたら、嬉しいです』

浮雲『あずにゃんは俺の嫁』

伊澤『』

椎名『えっと……何て言うかな、原点に戻るって、凄く大事なことだと感じました』

椎名『聞いて下さった皆さんにとって、このシングルがそのきっかけになって下さったらとても』

椎名『とても、光栄だと思います』

――ありがとうございました

椎名『こちらこそ、ありがとうございました』

インタビューを終えたメンバーは、そのまま全員で打ち上げに向かったそうだ
最後に椎名が呟いた、「事変、大好きー」という言葉と、柔らかな笑顔が未だに胸に焼き付いている
東京事変は、進化を続ける 今までも そしてこれからも



スタッフ「……」ペラ

スタッフ「どうしてこうなった」


本当におしまい