『泣き顔』


ガララッ

憂「あ、純ちゃんおはよー」

純「」チラッ

憂「?」

純「……」

憂「あ、あれ……純ちゃん?」

純「」プイッ

憂「ど、どうしたの? ……なんか怒ってる?」

純「」スタスタ

憂「ね、ねえ……待って!」ガッ

純「」パシッ

憂「っ?!」

純「気安く触らないでよ」

憂「え……」

純「ふんっ」プイッ

憂「……」

純「……」チラッ

憂「う……」ジワッ

純「なーんちゃっ……」

憂「うぅ……ぅわあああああはあああ!!」

純「っ!!」ビクッ

憂「ぐすっ、う……ぁああああああん!!!!」

純「ちょ……う、憂……」

憂「ふえええええええええんんん!!!」

純「ね、ねえ……泣きすぎだって」

憂「ひくっ、ひく、ぅ、ぅわはああああんん!!!」

純「えーとえーと」

ガララッ

純「あ……梓ぁ」オロオロ

梓「おはよー……ってど、どうしたの?!」

――――――――
―――――

純「かくかくしかじか」

梓「ふんふん」

 「つまり、純のくだらないイタズラが原因って事ね」

憂「……ぐすっ」

純「わ、悪気はなかったの! ちょっと憂を困らせてみたかっただけで……」

梓「……一応聞くけど、どうして?」

純「ほ、ほら、困り顔の女の子ってなんか可愛くない?」

梓「そんな理由で泣かせる事ないでしょ!」

純「ひゃうっ!」

憂「ぐす……あ、梓ちゃん……もう許してあげて」

純「う、憂?」

憂「ただのイタズラだったんだし……それにこれくらいで泣いちゃう私も悪かったから」

純「う、憂……」

梓「はあ……わかった、けど憂は一ミリも悪くないからね!」

純「返す言葉もございません……憂、ごめんね?」

憂「ううん……もう気にしてないよ」

純「でも、困った顔もいいかと思ってたけどさ」

 「泣き顔も結構そそられるもんだね」

梓「純!!」

純「じょ、冗談だってば……あはは」

――――――――
―――――

純「って事で遊びに行こうよ!」

憂「……?」

純「行こうよ!」

憂「って事ってどういう事……?」

純「いやさ、なんていうか……お詫び?」

憂「今朝の?」

純「う、うん……迷惑ならやめとくけど……」

憂「め、迷惑なんかじゃないよ!」

純「そ? なら行こうよ! 放課後デート!」

憂「で、デートって……」

純「ほら、早く早く」グイッ

憂「わわっ」

純「」テクテク

憂「ねえ、純ちゃん」

純「ん?なに?」

憂「遊びに行くって、どこに行くの?」

純「あー、そうだね。映画でも行こっか」

憂「なんか面白いのやってる?」

純「ん……わかんないけど」

憂「純ちゃんって奔放だよね」

純「そう? ありがと」

憂「ふふっ、別にほめてないよ」

純「あ、あれ?」


純「とーちゃく!」

憂「どれ見よっか~」

純「これとかは?」

憂「動物映画か~。うん、これにしよっか」

純「時間もちょうど良さそうだしねー」

憂「そういえば、梓ちゃんとも二人でこの映画館来たな~」

純「え、何それ? 私、その話知らないんだけど!」

憂「あれは、ほら……確か純ちゃんが田舎に行ってた時だよ」

純「そうだっけー?」

憂「う、うん」

純「でもなんかさー、憂と梓のツーショットって良く見るけど

 私とーってあんまり無いよね。ハブ?」

憂「え? そんな事ないと思うけど……ごめんね……?」

純「冗談にマジで返されると凹むんだけど……ま、いいや。券買いに行こ?」

憂「え? あ、うんっ」

――――――――
―――――

純「ん~……っはあー……」

 「まあまあ面白かったねー」

憂「ぐすっ……う、うん……」

純「い、いつまで泣いてんのさ……てか、泣き所あった?」

憂「ずずっ……ん……っはあー」チーン

純(あ、でもやっぱ可愛い)

憂「はー……ぐすっ……あ、純ちゃん」

純「ん?」

憂「チケット代、払わせちゃってごめんね?」

純「いいって。お詫びだって言ったじゃん?」

憂「うん……ありがとう」

純「さ、次はどうしよっか? じょしこーせーらしくプリクラでも撮りに行く?」

憂「あ、うん……行こっか!」

純「よーし、じゃあゲーセンへレッツゴー!」

――――――――
―――――

ガーッ

純「ふー……うわ、真っ暗!」

憂「ちょっと遊びすぎちゃったねー」

純「んー、でもたまにはゲーセンも良いよねー」

憂「うん! 楽しかった!」

純「ふー……」

憂「はぁー……」

純「外、スッゴい寒いね……」

憂「冬だからね……」

純「うーん」

憂「もう3年生になるんだね……」

純「うーん」

憂「……はぁ」

純「……」

憂「…………」

純「……ねえ、憂」

憂「え?! な、なに……?」

純「3年生になってもよろしくね」

憂「……へ?」

純「ほら、部活とか遊びとか、さ」

 「今までみたいに一緒にいようよ」

憂「……う、うん」

純「私や……梓がいるんだし」

憂「……あ……」ジワッ

純「もう……また泣くの?」

憂「ご、ごめん……でも、嬉し泣きだから、いいんだもん……ぐすっ」

純「ほらっ、私の胸ならいつでも貸してあげるよ?」バッ

憂「えっ……う、うーん」

純「そこ悩むとこ?!軽くショックなんだけど!」

憂「ふ、ふふっ……ぐす」

純「憂、泣いてるのに笑うから変な顔だよ」

憂「ええ?!変な顔って、ひどい……」

純「あはは、さ、帰ろ?」

憂「えへへ……うん!」


おわり



『憂「ワガママ嫉妬甘えん坊」』



唯「ただいまぁ……」

憂「おかえりなさい!」

唯「ふぃ……疲れたぁ」

憂「お疲れさま!ほら、お荷物持つよ!」

唯「うん、ありがとー憂」

憂「いえいえ。んしょっ」

唯「んー!でも修学旅行、楽しかったぁ!」

憂「……そっかぁ」

唯「うんっ!」

憂「ご飯、すぐにできるからね。ちゃんと手洗ってきてね」

唯「わぁい!久しぶりに憂のご飯が食べれる!たっのしみぃ!」

憂「頑張って作ったからね」

唯「ほんと?嬉しいなぁ」

憂「本当に……頑張って作ったんだよ」

唯「んー?、わかってるよぉ」

憂「そう、だよね」

唯「……?」

唯「わぁ、すごいね」

憂「うん、見て!このお味噌汁ね、ちゃんと煮干しからダシを取ったんだよ!」

唯「煮干し?へぇー」

憂「頭もちゃんと取ったよ!」

唯「そうなんだ。ありがとー」

憂「それにこの肉じゃがもね」

唯「うーいー、はやく食べようよー

憂「……ちゃんと、ホクホクに作れたんだよ」

唯「憂?」

憂「……」

唯「……ういー?」

憂「ねぇ、お姉ちゃん。修学旅行は楽しかった?」

唯「え?すごく楽しかったよ」

憂「だよ、ね。うん」

唯「憂も来年行くんだよ。楽しみでしょー」

憂「……お姉ちゃん、ごめんなさい」

憂「私今から、すごいワガママになるね」

唯「へ?ワガママ?」

憂「うん、わがまま。もしかしたらお姉ちゃんに嫌われちゃうかもしれないけど
、いい?」

唯「……うん、いいよ。全部言って?」

憂「……私ね、お姉ちゃんが修学旅行に行く事があんまり好きじゃないんだ……ううん、嫌い」

唯「え、修学旅行?」

憂「お姉ちゃんが荷物を持って楽しそうに家を出るのを見ると、嫉妬しちゃうの」

唯「嫉妬って、誰に?」

憂「お姉ちゃんと一緒に過ごす人や、お姉ちゃんを楽しませてくれるイベントに……かな」

唯「ほぁ……」

憂「……おかしいのは、わかってるよ」

憂「でもね、駄目なんだ。お姉ちゃんが私の知らない所で他の人と笑って、知らない人とご飯食べて、知らない人とお風呂入って、知らない人と寝る事が」

憂「その全部に嫉妬しちゃうの。全部だよ」

唯「でも、今回の修学旅行で同じ班になった人は軽音部の皆だよ?憂の知ってる人だよ」

憂「そうだけど……やだ」

唯「むぅ」

憂「だって、ずるいよ。お姉ちゃんは楽しいのに私は寂しくて……」

唯「ういぃ……でも、あずにゃん達がお泊りに来たんでしょ?楽しそうな写真だって送ってくれたし」

憂「それは、楽しかったよ……。じゅんちゃんと梓ちゃんと三人で一緒に笑って、一緒に遊んで、一緒にご飯食べて、一緒に寝たもん」

憂「二人とも、私の料理すごく褒めてくれたりもしたし」

唯「……それなら、いいじゃん」

憂「よくないっ」

憂「よくないっ」

憂「私は、お姉ちゃんに料理を褒めて欲しいの」

憂「修学旅行で食べた料理に負けたくなくて、お姉ちゃんにやっぱり憂のご飯の
ほうが美味しいねっていってもらいたくて朝から頑張ったんだよ」

憂「それに、やっぱり憂と家にいるのが一番だなって言って欲しいよ」

憂「憂とお喋りするのが楽しいって言って、欲しいよ」

憂「憂が……一番好きって……言って欲しいよ」

憂「……ずるい、ずるいよもう……私ばっかこんな思いして……」

憂「私、私がっ、お姉ちゃんの一番になりたいよぉぉ……」

唯「……」

憂「ごめんなさい、こんな嫉妬深い妹で……こんなわがままなな妹で……」

憂「でもっ私はお姉ちゃんがいい……お姉ちゃんじゃなきゃやだぁ……うぅう」

唯「わわ、泣かないでよ憂ぃ」

憂「だって、もういろいろ溢れちゃうんだもん……」

唯「私だって、憂にいろいろもういっぱいいっぱいだよぉ」

憂「ごめんなさい……」

唯「もう、憂ったら謝ってばっか。もっと素直に私に甘えてよっ!」

憂「甘える……え?」

唯「おいでっ!」

憂「……うっ、うぅ」

憂「うえぇぇぇん!お姉ちゃぁぁん!」

唯「いーこいーこ。あらら、こんなに涙こぼしちゃって」

憂「うぅ……お姉ちゃん、怒ってないの?」

唯「ぜーんぜん。だって憂の言ったことは別にわがままだなんて思わなかったも
ん」

憂「そうなの……?」

唯「うん、憂は甘えん坊なだけだよ。私は好きだよ、甘えん坊な憂」

唯「……まぁ、ここまで言われるとお姉ちゃんちょっと恥ずかしいかも……えへ
へ」

憂「あ、う……」

唯「それに、私だって憂が送ってくれた写真みてちょっとムッとしちゃったし…
…」

憂「え?なに?」

唯「な、なんでもなぁい!ほら、お姉ちゃんの胸で思いきり甘えなさい!」

憂「わぷっ!おねえひゃんくるひいよぉ」

唯「よしよし、かわいいなぁもー」

憂「むぐぅ……」

ぐぅぅぅ

唯「あっ……」

憂「……そろそろご飯食べよっか」

唯「へへ、そだね」

憂「いただきます」

唯「いた!だき!ます!」

唯「もぐり!……む」

憂「ちょっと、冷めちゃったね……」

唯「うーん、でもおいしいよー」

憂「本当に?無理してない?」

唯「うん。それに憂からいっぱい熱いものもらったからいいやぁ」

憂「も、もうお姉ちゃんやめてよぉ!」

唯「えっへっへ。私達ラブラブだねぇ」

憂「は、恥ずかしいからぁ」

唯「さっきいっぱい私に愛の告白したくせにー」

憂「愛の告白って……もぉぉ!」

唯「わぁ!これじゃ甘えん坊じゃなくて暴れん坊だよぉ!」

唯「あ、いまのちょっとおもしろいかも」

憂「おもしろくなぁい!」

おわり



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最終更新:2011年01月30日 00:39