『ぷにぷに』

憂「……」ドキドキ

唯『ぷにぷに~♪あずにゃん柔らか~い』

梓『も、もう……。やめて下さいよ唯先輩ぃ……』

憂「っ!」ドキッ

唯『よいではないか~よいではないか~♪』

梓『ひゃあっ!?』

憂(な、何やってるんだろう……?)

こんにちは、平沢憂です。
私は今、お姉ちゃんの部屋の前で立ち往生しちゃってます。
今日は梓ちゃんがお姉ちゃんと家でギターの練習をすることになっていて、私はお茶を持って行こうとしていたのですが……

唯『ぷに、ぷに♪』

梓『いつまで続けるんですかこれ……』

こんな声がさっきからずっと漏れ聞こえているのです。
は、入りづらいよぅ……
というかもしかして、これってまさか……え、えっちな……

憂「違う違う!」ブンブン

お姉ちゃんと梓ちゃんに限ってそんなことをするわけがありません!
これは私の勘違いで、中に入れば二人はきっとギターの練習をしているはずです。

憂「よ、よ~し。お姉ちゃん、入るよ~」

唯『澪ちゃんよりずっと小さいけど、あずにゃんのもぷにぷにで気持ちいいよ~。ずっと触ってたいなあ』

梓『何言ってるんですか……離して下さいよぉ』

憂「!!!」

意を決し、部屋のドアをノックしようとしたその瞬間。
二人のその会話が聞こえ、私はびくっとして硬直してしまいました。
お盆に載せていたお茶が零れそうになりましたが、それどころではありません。


憂「ぷ、ぷにぷにで気持ちいい……?」

お姉ちゃんがずっと触っていたい、梓ちゃんの体の一部。
澪さんよりずっと小さいけど、柔らかいところ。
梓ちゃんは小さいけど、澪さんは大きい部分。
そ、それってやっぱり……

憂「……///」カアアッ

ふ、二人が仲が良いのは知ってたけど、ここまで進んでるなんて……
どうしよう、何だか凄く恥ずかしいです。

憂「わ、私ここにいないほうがいいよね?」

二人の世界を邪魔するのは野暮というもの。
そうっとその場を離れようとして……

唯『私はあんまりぷにぷにじゃないんだよね~』

梓『そうでもないと思いますけど……』

離れようと、して……

唯『そうかなあ?でも澪ちゃんやあずにゃんに比べると……』

梓『唯先輩も大分ぷにぷにになってますよ、ほら』

は、離れないと……

唯『あずにゃん、もっと触って~♪』

梓『へ、変な言い方しないで下さいっ』

憂「……」ドキドキ

離れないといけないと頭では分かっているのに……
足が、動いてくれません……!

憂「お姉ちゃん、梓ちゃん……///」

二人のえ、えっちぃ会話をこのまま聞いていたいという好奇心が、私をその場に縛りつけているようです。
うう、私って……
思わずほっぺに手を当てると、手が火傷しちゃうんじゃないかと思うくらい熱くなっていました。

唯『……』

梓『……』

憂「あれ……?」

二人が声のトーンを落としたせいか、急に声が聞こえなくなってしまいました。
何かを話している、ということはかろうじて聞き取れるけど……

憂「……」

ここが引き時だとは思います。
思います、けど……

憂「も、もうちょっとだけ近づけば……」

また二人の会話が聞こえるかも……
ソロソロと、音を立てないようドアに近づいて。

憂「え、えっと……」キョロキョロ

誰もいないのは分かっているのに、周りを見渡します。
そして、ゆっくりとドアに耳を当てようとして……

ガチャッ

憂「ひゃあああああああっ!?」

梓「あれ、憂?」

唯「うい~?どうしたの、ドアの前で……」

ドアが開き、お姉ちゃん達とご対面。
二人の姿は私の想像していたものと違い、いたって普通に見えて……
……心臓が、飛び出るかと思いました。

……

唯「憂、顔真っ赤だよ。大丈夫?」

憂「う、うん……平気」

梓「でも何やってたの?あんな大声出して……」

憂「っ!」ドキッ

ど、どうしよう……
聞き耳を立てていた、とはさすがに言えません。
そ、それに梓ちゃん達だって、この部屋で何をやってたんでしょうかっ!

憂「お、お茶を持って来ようと思って!そ、そそそそれよりお姉ちゃん達は何やってたの!?」ズイッ

唯「うおうっ!?憂、落ち着いて落ち着いてっ」

憂「あ、ごめんなさい……」

梓「私たちは別に……ギターの練習してただけだし」

憂「でも、その……梓ちゃんが、ぷにぷに、だとか……///」

梓「えっ?ああ、聞いてたんだ」

憂「ふっ不可抗力だよ!?廊下にいたら偶然聞こえちゃって……!」アセアセ

梓「う、うん。分かったから、そんなに焦らなくても……」

憂「あ、焦ってなんかないよっ」

嘘です、焦りまくりです。
何とか落ち着こうと試みるものの、なかなか成功しません。
うう……変に意識すると顔がまた真っ赤になりそうだし……

梓「えっと、それでぷにぷにっていうのは……」

唯「ふっふっふ、待ったあずにゃん!こういうのは実際に憂にも触ってもらったほうが分かりやすいよっ!」

憂「え?」

梓「あっ、それもそうですね。じゃあ唯先輩が……」

唯「いやいや、あずにゃんの方がぷにぷにだから分かりやすいよ~」

梓「そうですか?じゃあ……」

憂「え、ええっ!?」

わ、私が梓ちゃんのを……?
興味がないと言えば嘘になるけど、でもいきなりそんなっ!

梓「じゃあ憂、手を出して?」

憂「う、うう……」スッ

心の葛藤をよそに、手を差し出す私。
今から、梓ちゃんのを……

憂「……///」

そう考えただけでまた顔が熱くなってしまい、思わずぎゅっと目を瞑ってしまいました。
そして、ゆっくりと何かが近づく気配がして……

ギュッ

梓「どう?」

憂「……ふえ?」

手を、繋がれました。

憂「え、え~と……」

唯「ほら憂、あずにゃんの指を触ってみて~。ぷにっぷにだよ~♪」

梓「ギターとか弾いてると、弦を押さえる指の皮が硬くなってくるんだ」

憂「ゆ、び……?」

確かに。
そう確かに梓ちゃんの指はぷにぷにしていて、触ってみると気持ちよくて……
…………。
あああああああああっ!?

憂「そ、そっか!うん、指だよね!ぷにぷにだね、梓ちゃん!」

梓「へっ?まあ小学生の頃から練習してるからね」

憂「そうだね、梓ちゃんの手は小さいもんね!」

唯「私も大分硬くなったけど、澪ちゃんやあずにゃんには及ばないんだよね~」

憂「お姉ちゃんはまだまだこれからだよ!大丈夫!」

そう、そうなのです。
全て繋がりました。
二人はずっとそのことを話していて、お互いの手を触り合っていたのです。

憂(よく考えたら……いやよく考えなくても、お……む、胸とかを触り合うわけないよね……///)

ちっちゃな梓ちゃんの手はもちろん、澪さんの手が大きいという話も、硬くなってぷにぷにしてるという話もお姉ちゃんに聞いたことがあります。
ああ、気付く機会はあったはずなのに!

梓「別に指が硬くなっても、そんなに喜ぶようなことでもないですけど」

唯「私もぷにぷにの指が欲しいんだよ~」

梓「何ですかその変な願望……とりあえず憂、分かった?」

憂「う、うん。ありがとう梓ちゃん」

梓ちゃんの手を離し、お礼を言います。
私に微笑みかけてくれるその表情は、すごく純粋で可愛くて……

憂(よ、よかった……私の考えてたことがバレなくて、本当によかった……。よしこのまま自然に部屋を出ないと)

梓「どういたしまして。……えっちなこと、してたわけじゃないからね?」ボソッ

憂「……えっ!?」ドキッ

あ、梓ちゃんにバレちゃった!?

梓「あっ、やっぱりそうだったんだ。あはは、憂ってば『何で分かったの!?』って顔してる」

憂「な、ななな何で……あっ!」

唯「……?」

慌ててチラッと横目で様子を窺うと、お姉ちゃんはこちらを見ながら小首を傾げていました。
どうやら私たちの小声会話を不思議に思っているだけのようです。
よ、よし、まだお姉ちゃんにはバレてない……!

梓「ふふ、唯先輩が気になるの?大丈夫だよ」

憂「うう……。あ、梓ちゃんはどうして私がその……変な勘違いしてたって分かったの?」

梓「憂が挙動不審なんて珍しいからね。何かあるのかな~と思って考えてたら……」

憂「か、考えてたら?」

梓「……」

一旦言葉を切る梓ちゃん。
少しだけ顔が赤くなってる……?

梓「こ、こほん。何というか、私と唯先輩の言動にやや不純に捉えられる部分があったというか、何というか」

憂「それって……」

梓「う……よく考えたら、私たちの会話って変というか、えっちっぽかったというか……///」

今度ははっきりと分かるほど顔を赤らめて、ボソボソと私に教えてくれる梓ちゃん。
やっぱりあの状況だとそんな風に思っちゃうのが普通……なのかな?
うん、きっとそうだよ!

憂(私は別に、特別え……な子じゃないんだねっ!)

憂「梓ちゃん!私ね、」

梓「でも、意外だったな~。まさか憂が……」

憂「え?」

晴れ晴れとした気分で梓ちゃんに同意を求めようとした私の言葉は、しかし梓ちゃんによって遮られ。
……あれ?
梓ちゃんの顔、さっきまで恥ずかしそうだったのに……何だか今は、妙に笑顔になってる……?

唯「もう~、二人ともさっきから何のお話してるの?」ヒョイッ

憂「お、お姉ちゃん!?」

いけない!
このままだとお姉ちゃんにもバレちゃう!
こ、こうなったら……

梓「ある意味で唯先輩より純粋なのかもとか思ってたけど、憂って実は……」

憂「お姉ちゃん、梓ちゃんって指以外にもぷにぷになとこがあるんだよっ!」

唯「えっ?どこどこ?」

梓「ちょ、何言ってんの憂!?」

憂「私が今から教えてあげるよ。見ててね……」ジリッ

梓「う……憂?」

よし、二人の注意は引きつけました!
後はこのまま一気に……
その前に梓ちゃん、胸をガードしようとするのはやめて……私はそんな子じゃないってば!

憂「梓ちゃんのぷにぷにしたとこ……それはここだよ!梓ちゃ~ん♪」ガバッ

梓「にゃああああっ!?」

憂「ほらほら、つんつん♪」

梓「ちょ、ちょっと憂ぃ……」

憂「えへへ、やっぱり柔らかいね……梓ちゃんのほっぺ」

梓「あ、あんまり触らないでよぅ……」

そう、私が触っているのは梓ちゃんのほっぺ。
以前触った時にも感じたのですが、やはり梓ちゃんのほっぺは柔らかさの中にも瑞々しい張りと弾力を持っていて、触るとすごく気持ちいいです。
さあお姉ちゃんの反応は?

唯「あずにゃんのほっぺ……!」キラキラ

梓「ひいっ!?」ビクッ

やりました、興味津々です!
成功を確信した私は梓ちゃんのほっぺの感触を楽しみつつ、とどめの一言をお姉ちゃんに伝えます。
「お姉ちゃんも一緒に梓ちゃんをぷにぷにしようよ」、と。

唯「あっずにゃ~ん♪」

憂「梓ちゃ~ん♪」

梓「や、やめ……ひうううっ!?」

……

唯「いや~、今日は楽しかったね!」

憂「そうだね、お姉ちゃん」

あれから数時間が経って、夜もすっかり更けた頃。
私とお姉ちゃんは何となく一緒に寝ることになり、今は枕を並べてお話しています。

唯「しかしあずにゃんのほっぺ柔らかかったなあ……。あのぷにぷに感、指では味わえないよ」

憂「あはは、そうだね~。二人でいっぱい触っちゃったね」

唯「終わった頃にはあずにゃんぐったりしてたもん。憂も私と同じでぷにぷに大好きなんだねっ!」

憂「えへへ……」

梓ちゃんを二人がかりでぷにぷにして疲れさせ、私のことは有耶無耶にしちゃおう作戦は大成功でした!
ちょっとやり過ぎちゃったかもしれませんが……
ごめんね、梓ちゃん。
後日改めてお詫びに行かせてもらうよ……


唯「ねえねえ憂」

憂「どうしたの?」

心の中で親友に謝っていると、お姉ちゃんが顔を覗き込むようにして話しかけてきました。
お姉ちゃんの綺麗な瞳に至近距離で見つめられると、何だかドキッとしてしまいます。
か、顔近いよお姉ちゃん……

唯「あずにゃんのほっぺは確かにすごく柔らかかったけど……みんなの中で、誰が一番柔らかいと思う?」

憂「誰が一番……?」

みんな、というのは軽音部の皆さんや和ちゃんのことでしょうか。
それなら……

憂「う~ん……」

唯「あは、分からないかな?」

憂「うん……みんな柔らかそうだし、ちょっと一番は分からないかも」

唯「ふふ、そうだね。りっちゃんも澪ちゃんもムギちゃんも和ちゃんも、間違いなくみんなぷにぷにだよ!」

憂「純ちゃんもかなあ」

唯「でもね、私には分かるよ。誰が一番柔らかいか」

憂「へえ……誰?」

お姉ちゃんがそこまで言う人……誰なのか気になっちゃいます。
……ちょっと嫉妬しちゃうけど。

唯「知りたい?」

憂「うん、教えて欲しいかな」

唯「そっか、じゃあ……それっ!」ギュウッ

憂「ひゃっ!?お、お姉ちゃん……?」

唯「えへへ、すりすり~♪やっぱり憂が一番柔らかいよ~」

憂「そんなことないよー」

唯「いやいや、少なくとも私にとっては憂が一番!ほれほれ~」スリスリ

憂「あ……えへへ」

私に抱きつき、ほっぺとほっぺをくっつけて来るお姉ちゃん。
あったかくて、柔らかくて、まるで全身がお姉ちゃんに包みこまれちゃったみたいで……

唯「ね、今日はもう寒いからこのまま寝ちゃおっか?私は憂のほっぺを堪能するけど、その代わり憂にはあったかさをあげるよ!」

憂「……ふふ」

唯「笑われたっ!?」ガーン

憂「ごめんねお姉ちゃん、やっぱり私は一番じゃないよ。だってほら……」

ほっぺをくっつけてると分かるよ。
お姉ちゃんの方が柔らかくて……ずっとくっついていたくなるんだ。
だから、ほっぺを堪能させてもらうのも私。

憂「えへへ……ぷにぷに♪」ギュッ

唯「おおう、手まで……何だか今日の憂は甘えんぼだね?」

憂「うん!お姉ちゃん、今日はクリスマスの時みたいに毛布を独り占めしないでね?」

唯「ぜ、善処します!」

ほっぺとほっぺをくっつけて。
手と手を繋いで。

憂「おやすみ、お姉ちゃん……」

唯「おやすみ、憂……」

今日は、いい夢が見れそうです。


……あ。
眠りに落ちる前の、最後の疑問。
私はお姉ちゃんが一番、お姉ちゃんは一番だって言ったけど、実際は誰が一番のぷにぷにほっぺの持ち主なのでしょうか。

…………。
今度、調べないといけませんね!
えっと、別に私がぷにぷにしたいだけってわけじゃないよ?

おわり



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