唯「憂~早く乾杯しようよ~!」

憂「うん!」

梓「先輩たちもそんなところに立ってないで座ってください」

律「お、おう……」

紬「そうね……」

澪「…………」


律「なぁムギ、もういっそ開き直って今を楽しんだ方がいいと思わないか?」ヒソヒソ

紬「そうね、今憂ちゃんと梓ちゃんが真実を知ったら間違いなくこの場は凍りつくわ」ヒソヒソ

律「それだけは避けたいな」ヒソヒソ

紬「えぇ。これだけのご馳走を用意してくれた2人にも申し訳ないわ」ヒソヒソ


澪「…………」


憂「律さんも紬さんもどうぞ。もちろんジュースですけど」

律「おぅ…悪いな」

紬「ありがとう憂ちゃん」


梓「澪先輩もどうぞ」

澪「…………うん、ありがと」

梓(澪先輩?)


律(あ~頼むから何事もなくさっさと終わってくれ)

紬(澪ちゃんも黙ってるってことはやっぱり私たちも黙ってた方がいいのよね)



唯「それじゃ憂、乾杯の音頭お願い」

憂「え、私? うん、わかった。え~と……それじゃあ」


憂「みなさんの合格を祝って――」

唯「え、ちょっとちょっと! 何言ってるの?」

憂「え?」


律(ちょ、おま――さっきはスルーしたくせに今さら突っ込むのかよ!!)

紬(最悪のタイミングだわ!)


憂「え? 何? どうしたのお姉ちゃん?」

唯「だからぁ、みなさんじゃなくて澪ちゃんは――」

澪「」ピクッ

律「カ、カンパーイ!!!」

紬「カンパーイ!」


シーン


唯「もう、りっちゃんったらあわてんぼうさん♪」

律(このやろぉ……)


梓「まったく律先輩は慌てすぎです」

憂「まぁまぁ気を取り直してもう1回やろう」

律(くそっ……事情を知らない2人を責めることはできねぇ)




唯「もうっ! しょうがないから私がやるよ。え~と……」

律「ちょ――」

唯「私とりっちゃんとムギちゃんの合格を祝って、カンパーイ!!」


シーン


律(終わった……)


唯「あれ? みんなどうしたの?」



梓「ちょっと唯先輩、なんの冗談ですか?」

唯「何が?」

梓「何がって、澪先輩を忘れてるじゃないですか」

澪「」ピクッ

唯「へ? 別に忘れてなんかないよ」

憂「も~お姉ちゃん笑えないよ」


唯「いやいや、合格したのは私とりっちゃんとムギちゃんで、澪ちゃんは不合格だったんだよぉ」


シーン


憂「え……?」



梓「ちょ…律先輩、冗談ですよね?」

律「あ…いやぁ……」


澪「……本当だよ」

梓「え?」

澪「私…不合格だったんだ」


律(澪……)

紬(澪ちゃん……)


梓「いや…でもそんなのおかしいじゃないですか、澪先輩が不合格なのに唯先輩が合格なんて」

澪「それは……」

唯「いや~それは私も絶対落ちてると思ってたんだけどね~♪」

澪「…………」

唯「なんてゆ~か神が舞い降りたっていうかさ~♪」



律(唯…頼むから黙ってくれ……)

紬(…………)


唯「でも私絶対ギリギリだった――」

憂「お姉ちゃんちょっときて」ガシッ

唯「え、ちょ――憂? どこいくの?」

憂「いいから!」


ガチャ バタン


律「…………」

紬「…………」

梓「…………」

澪「…………」



別室

憂「ちょっとお姉ちゃん、澪さんが落ちたってどういうこと?」

唯「だからそういうことだけど」

憂「じゃどうしてパーティしようなんて言ったの?」

唯「パーティしようって言ったのは憂だよぉ」

憂「うっ……でもどうしてそんな大事なこと言ってくれなかったの!」

唯「言わなきゃまずかったぁ?」

憂「当たり前だよ!!」

唯「う、憂…なんか恐いよぉ……」


憂(どうしよう……私とんでもないことしちゃった……)




一方 リビング


律「…………」

紬「…………」

梓「…………」

澪「…………」


律(どうしてこうなった……)


ガチャ

憂「…………」

唯「おまたせ~」


律(帰ってきたか……)

紬(どうなるのかしら……)

梓(早く食べたいんだけどなぁ……)


憂「そ、その……本当にすいません!」

律「なっ――別に憂ちゃんが謝ることないって」

紬「そうよ、憂ちゃんは何も悪くないわ」

憂「私…知らなくて……それでこんなことしちゃって……なんて謝ったらいいか…」

梓「憂……」

澪「…………」

憂「ごめんなさい、お料理すぐに片付けますから――」

律「な、何言ってるんだよ! 食べるに決まってるだろ、ほらみんな食べようぜ!」

紬「そうね、いただきましょう!」

憂(律さん……)


唯「いただきまーす♪」

律「」プチン


紬「りっちゃん、おさえておさえて」ヒソヒソ

律「でもよぉ……」



律「…………」モグモグ

紬「…………」モグモグ

憂「…………」モグモグ

梓「…………」モグモグ


律(気まずい……)

紬(憂ちゃんと梓ちゃんまで静かになっちゃったわ……)

梓(とりあえず食べられるだけ食べとこっと)


澪「…………」モグモグ


ピンポーン



唯「あれ? 誰か来たよ」

憂「誰だろ?」

唯「私でてくるよ」


ガチャ

唯「は~い! あっ、和ちゃん」

和「唯、合格おめでとう!」

唯「えへへ、ありがと~♪」


憂(しまった……和さん呼んだの忘れてた)

紬(嫌な予感がするわ)

律(嫌な予感しかしない)

梓「…………」モグモグ



和「遅れてゴメンなさい。みんなそろってるわね」

憂「和さんいらっしゃい…」

律「おう…よく来てくれたな…」

梓「…………」モグモグ

和「唯にはさっき言ったんだけど、4人とも合格おめでとう!」


澪「…………」

梓(はいキター。見事な先制パンチです和先輩)


和「正直言って唯のことはかなり心配してたのよ。この子のことだから1人だけ落ちたりしちゃうんじゃないかって」

唯「和ちゃんそれはひどいよぉ♪」

和「ホントのことよ。秋になっても全然やる気見せなかったくせに」

唯「えへへ♪」

和「でもそうならなくてよかったわね。もし1人だけ落ちたりしてたら悲惨で目も当てられないわ」

澪「…………」

梓(あ~あ、言っちゃったよ)



和「第二志望の大学は偏差値的にちょっと考えられないわよね。そこに行った先輩知ってるけどあまりに周りがDQN過ぎて再受験したらしいし」

澪「…………」

梓(うわぁ…)

和「まして女の子で浪人ってのもありえないしね。きいた話だけどやっぱり1つ年違うと壁を感じるらしいわ」

澪「…………」

梓(容赦ないな~)

和「そもそも浪人生活っていうのが地獄みたいよ。その時期に自堕落になって廃人になる人も多いと聞くわ」

澪「…………」

梓(こういう時に限ってよく喋りなさる)



和「唯がそんな悲惨なことにならなかったのも、澪がしっかり指導してくれたからよ」

澪「…………」

梓「…………」モグモグ

和「唯の友達として私からもお礼を言うわ。唯もちゃんと感謝しなさいよ」

唯「あ、うん! ありがとう澪ちゃん! 澪ちゃんのおかげで無事合格できたよぉ♪」

澪「…………」

梓(知~らないっと)


憂「の、和さん。あの…ちょっと言わなきゃいけないことが――」

澪「いいよ憂ちゃん…自分で言うから」

和「何? どうかしたの澪?」

澪「私…落ちたんだ」

和「え?」

澪「私1人だけ…落ちたんだよ」



和「え?」

梓「…………」モグモグ


和「え、どういうこと憂ちゃん電話では――」

憂「ごめんなさい。それはちょっと誤解があって……」

和「誤解って…そもそもなんでパーティなんか……」

憂「それもちょっと誤解があって……」


澪「…………」

梓「…………」モグモグ


和「そう…そういうことだったの……」

和(どうしよう…私なんてことを……)


シーン


和(ていうかこの空気…耐えられないわ……)

和「それじゃ私はこの辺で……」

唯「え? 和ちゃん帰っちゃうの?」

和「ええ……」

唯「え~なんで~? 一緒に食べようよ~」

和「でも……」

澪「食べていけよ……」

和「い、いただこうかな……」


梓「…………」モグモグ



唯「和ちゃん、そんなとこに立ってないで早く座りなよぉ」

和「そうね…えっと……」

唯「ねぇなんでそっち行くの? 澪ちゃんのとなり空いてるよ?」

和「あ…あら、ホントね…見えなかったわ……私目が悪いから」


梓(うわぁ…苦しい……)


和「えっと…澪、さっき言ったことだけど……」

澪「いいよ…全然気にしてないから……」

和「そう……」


和(澪の顔…とても見る勇気はないわ……)



唯「…………」モグモグ

憂「…………」モグモグ

律「…………」モグモグ

紬「…………」モグモグ

梓「…………」モグモグ

和「…………」モグモグ

澪「…………」モグモグ


和(これからが本当の地獄だ……)


唯「…………」モグモグ

憂「…………」モグモグ

律「…………」モグモグ

紬「…………」モグモグ

梓「…………」モグモグ

和「…………」モグモグ

澪「…………」モグモグ




30分後


律「……ごちそうさま」

紬「ごちそうさま…2人ともおいしかったわ」

憂「はい…ありがとうございます」



澪「…………」


律(……やっと終わった)

紬(……異様だったわ)

和(……耐え…た)

梓(物足りない)フッ


和「それじゃ片付けは私と唯でやっておくから……」


3