昨日は、すごいもの見ちゃったなぁ。
梓が部活終わる頃だったら一緒に帰りたいと思って軽音部に行ったら、
唯先輩と紬先輩・・・キスしてるんだもん。

純「・・・羨ましいなぁ」

憂「純ちゃん、どうしたの?何が羨ましいの?」

純「いやー、何でもないよー」

いけないいけない。思わず声に出ちゃってたか。

いくら私でも流石に、

「女の子同士でキスしてるなんて、良いよね。羨ましい!」

なんて、流石に堂々と友人に相談できません。
更に言えば、

「私だって、梓とキスしたいのに!」

なんて、本人を目の前にして相談しようがないよ。

梓「まぁ、気が向いたら純がそのうち自分から話すでしょ」

相変わらずそっけないなぁ、梓は。
しかし、そういうとこも含めて本当に猫みたいなやつだね。

まぁ、そういうとこも結構好きなんだけどさ。

純「ところでさー、梓」

梓「何?」

純「今日、部活終わったら一緒に帰らない?」

梓「いいよ」

純「え!?いいの!?梓がそんなにあっさりオッケーするなんて・・・!」

梓「純は私のこと何だと思ってるのよ・・・」

純「細かいことは気にしない!とにかく約束ね!」ガシッ

梓「はいはい・・・わかったから、手を握ったままそんなに飛び跳ねないでよ」

憂「二人共、仲いいね」ニコニコ

純「まぁね!」

梓「そうかな?」

純「何言ってるのよ!私と梓の仲でしょ!?」

梓「あーはいはい、わかったわかった」

憂(純ちゃん、良かったね)


純「それじゃ、お先に失礼しまーす!」ダッ

よっしゃー!部活終わり!
さっさと梓のとこに行って、今日こそ一緒に帰るぞー!

そうと決まれば全速力・・・!

和「廊下は走っちゃ駄目よー」

純「あ、す、すいません・・・」

憂「あれ?純ちゃん?」

純「あ、憂」

和「そういえば・・・鈴木さん、だったかしら?」

純「は、はい、鈴木純と言います。真鍋先輩」

和「真鍋和よ。いつも憂がお世話になってるわ」

純「い、いえ。私なんて全然、むしろお世話してもらってるというか・・・」

和「そんなことないわ。憂も、鈴木さんのこと頼りになるって言ってたし」クスッ

純「そ、そうですか?へへへ・・・///」

憂「ちょ、ちょっと和ちゃん!そういうこと本人に言っちゃ駄目!」プンプン

和「あら、勝手に言っちゃってごめんね。許してちょうだい?」ナデナデ

憂「・・・/// 和ちゃんはずるいよね、そうやったら私は怒れないの知っててさ・・・」

純「憂ってば、顔真っ赤だねー」ニヤニヤ

憂「なっ!?今日梓ちゃんと一緒に帰れるからって、あんなにニコニコしてた純ちゃんには言われたくないもん!///」

純「な、何言ってるの!?/// ってそうだ!梓のとこ行かないと!」

憂「あ、引き止めちゃってごめんね」

純「気にしないでいいよ!それじゃ憂と真鍋先輩、失礼します!」ダッ

和「あーあ、結局走っちゃうのね・・・」

憂「まぁまぁ、もう声かけても気付かないし、私に免じて見逃してあげて?」

和「やれやれ。・・・私って軽音部といい、何だかんだで身内に甘いのよね」


真鍋先輩と憂も、いつも仲睦まじくて羨ましい限りだね。

やっぱり、あの二人もそういう仲良し、だよね。
ってことはあの二人も、キスとかしてるのかな・・・?

あー・・・、何かあれ以来こういう考えばっかり頭を巡って仕方ないなぁ。

なんて思ってるうちに、もう軽音部の前だよ。
この間みたいに唯先輩と紬先輩がキスしてたら酷いし、そーっと中の様子を伺って・・・。



澪「んむっ・・・、あぇー・・・」トロー

律「んっ、んっく・・・」ゴクッ

澪「えっと、律、ど、どう・・・?///」

律「・・・んっ、澪の涎、美味しいよ・・・?澪の、味がする・・・」

澪「ば、馬鹿・・・っ、何言ってるんだよ・・・///」

純「」

え、えっ、えええええぇぇぇぇぇっ!?
ななななな、何やってるのあの人達は!?
き、キスとかそういうレベルを超えてるよ・・・!///

律「でも、やっぱりさ・・・」グイッ

澪「あ・・・」ドサッ

律「唇の感触と、一緒に味わわないとな?」チュッ

澪「んぅっ・・・もう、律ったら・・・///」

律「澪の唇は、何度味わっても柔らかいね」

澪「は、恥ずかしいこと言わないでよ・・・///」

まだ続けてるし!?
ていうかここ、学校ですよ!?
ゆ、唯先輩と紬先輩と言い・・・軽音部は皆こんなことを・・・

ん・・・?皆、してるのか・・・?

カタッ

律澪純「!?」

やばっ!?物音たてちゃった・・・!?

律「誰だー?」

純「す、すいません・・・!覗き見するつもりは・・・!」

澪「そ、そんな・・・鈴木さんにまで見られちゃった・・・!///」プシュー

澪「///」パタッ

純「あ、あれ?澪先輩?」

律「あー、気にしなくていいよ。こいつ恥ずかしがりやだから、大体いつもこんな感じだから」

純「そ、そうですか・・・」

律「あーっと・・・このこと、黙っててもらっても・・・」

純「ひ、人に言ったりなんてしません!」

律「そっか、それは助かるよ。うちの部ときたら(梓以外)皆こんな感じだし、言われたら困るからさ」

純「えっ!?や、やっぱり・・・(梓も含めて)皆こういうことしてるんですか!?」

律「んー、まぁ鈴木さんなら言っちゃってもいいか。私達以外(唯とムギ)も、しょっちゅうこんな感じでキスしたりしてる」

純「そ、そんなぁ・・・っ!」

梓も・・・、梓もこういうことしてるの!?
私、私・・・ずっと梓のこと好きだったのに・・・!

純「そんなのって・・・!」ダッ

律「まぁ梓以外は・・・。って、走って行っちゃったよ・・・」


『・・・さっきから何回も、電話かけてるんだけどなぁ。
練習終わったら(いつものことだけど)リズム隊二人がいちゃつきだしたからさっさと立ち去って、
純が二人に鉢合わせするのも不味いかと思ってこうやって自分の教室で待ってるのに。』

『何度も連絡してるのに何も返って来ないってことは、気付いてないのかな。
だとしたら、今頃あの二人と鉢合わせ中かな。
まぁ律先輩は大して気にしないだろうし、
澪先輩も律先輩に一言言われればどうでもよくなるだろうから別にいいけど。』

タッタッタッ

『ん?誰かの走る音?
ひょっとして、純かな?
ようやく連絡に気付いて、こっち来たのかな。』

『廊下を見てみると、私の予想通り純が走っていた。』

梓「おーい、純。やっぱり連絡に気付いてなかった?何回も電話、かけてたんだけど」

純「!! あ、梓・・・!」ウルウル

『え!?
思いがけない純の表情に、私は驚いてしまった。
私が声をかけてみると、顔を上げた純の目には、涙がたまっていたからだ。』

『純は、普段自分の弱いところを見せようとしないやつだ。
辛いことがあっても、心配をかけまいと皆の前では笑ってみせる。
そういうやつだ。
そんな純が、今私の前で涙を零しそうになっている。』

梓「ちょっと!?どうしたの、じゅ・・・んっ!?」

『驚いた私が声をかけたその時、私の口は純の唇で塞がれていた。』

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気付いたら、私は逃げるように軽音部を立ち去っていた。

あの二人は元々そういう仲だと思ってたから、いいけど・・・!
梓まで、梓まで平気でそんなことしてたなんて・・・!

気持ちを伝えずにいた私がこんなことを思うなんて、
勝手かもしれないけど・・・。
でも、でもそんなの嫌だよ・・・!

梓「おーい、純。やっぱり連絡に気付いてなかった?何回も電話、かけてたんだけど」

そんなことを考えていたら、当の本人の呑気な声が聞こえてきた。


相変わらず可愛らしい、私の大切な友達。

兼、私の好きな人。

純「!! あ、梓・・・!」ウルウル

彼女の顔を見た瞬間。
余計に私の中の嫌な感情が、悲しい気持ちが、
どうしようもなく膨れ上がってしまった。

梓「ちょっと!?どうしたの、じゅ・・・んっ!?」

気付いたら私は、高ぶった感情のまま彼女の口を自分の唇で塞いでいた。

梓「ちょ、ちょっと純!?いきなり何するのよ!?///」

梓がすごく驚いた様子で、私の目をきっちりと見据える。
いきなりこんなことをした自分に非があるのも忘れて、私は思わず感情のままに叫んでいた。

純「ひ、酷いのは梓だよ!!」

梓「はぁ!?何が!?」

純「私、ずっと梓のこと大好きだったのに!」

梓「な・・・何言ってんの!?///」

純「なのに、梓は軽音部の先輩と平気でこういうことして・・・!」

梓「ええぇ!?」

純「気持ちを伝えずにいた私が、こんなこと言うのは勝手かもしれないけど!そんなの嫌だよ!」

純「自分の好きな人が、平気で他の人とキスしてるなんて・・・!私どうしても、どうしても嫌だよぉ・・・!」ポロポロ

梓「ちょ、ちょっと・・・純・・・///」

純「うわあぁぁぁん!梓の馬鹿ぁぁぁ!」

私は好きなことを言うだけ言って、梓に抱きつきながら声をあげて泣いた。


梓「えーっと・・・落ち着いた?」ナデナデ

純「うん・・・」

何でよ・・・。
普段はそっけないのに、何で今は、こんな私に・・・。
言いたいこと勝手に言って、無理やりキスまでした私に、
どうしてこんなに優しくしてくれるのよ・・・。

梓も別に好きな人が居るなら、諦めようって思ったのに。
尚更あんたのこと、好きになっちゃうじゃん。

梓「あー、まず誤解を解いておきたいんだけど。私は、軽音部の先輩達とキスしたりなんてしてないよ」

純「嘘!?だって、律先輩言ってたもん!」

純「私が皆こういうことしてるんですかって聞いたら、自分達以外もしょっちゅうキスしたり、してるって!」

梓「いや、それは間違ってないけどさ」

梓「唯先輩とムギ先輩も、あの二人程四六時中いちゃついてはいないけど。偶にキスしたりしてるし」

純「・・・え?」

梓「あー、これ言って良かったのかな」

梓「律先輩と澪先輩程所構わずいちゃついてる訳でもないから、そんなに知られてないだろうし・・・」

純「いや、それは偶然見かけたことあるから知ってたけど・・・。あれ?」

梓「認識が食い違ってたんじゃないの?純は私も含めて皆だと思って、律先輩は私を含めないで皆ってことでさ」

純「・・・じゃ、じゃあ梓は本当にそういうことしてないの?」

梓「そう言ってるじゃん、そんなに信用できない?」

純「じゃあ、さっき私がしたのは・・・」

梓「・・・さっきのっていうのは、さ」

梓「一緒に帰る約束してた友達を見つけたと思ったら、無理矢理ファーストキス奪われたこと?」

私の勘違いだったって、こと?
それはそれで良い・・・訳ないじゃん!

勘違いでいきなり、梓のファーストキス奪っちゃって・・・!
私、最低じゃん!

純「ご、ごめん・・・梓・・・。勘違いして、いきなりあんなことしちゃって・・・!」

純「私が悪いのはわかってるけど、謝って許されることじゃないのもわかってるけど・・・!」ウルウル

梓「ちょっと純、落ち着きなって」

純「私のこと、嫌わないで・・・!私、梓に嫌われたくな・・・んむっ!?」

え!?
何、今梓にキスされた!?

梓「人の話は最後まで聞け、ばか///」

純「え?え?うえぇ?な、何?今・・・え、えぇ!?///」

梓「確かに無理矢理とか棘のある言い方しちゃったけど、別に嫌だったなんて言ってないでしょ」

純「へ?・・・え!?ど、どういうこと!?///」

梓「・・・わからないの?」

純「い、いや・・・えっと・・・///」

あ、梓も・・・私のこと・・・?

梓「純、特別だよ。私がお膳立てしてあげる。純がはっきりしたら、私もちゃんと言うから」

梓「・・・私にさっき言ったこと、もう一回言って?純は私のこと、どう思ってるの?」

梓の、言う通りだ。
元々私の勘違いでこんなことになっちゃって、
その上ここまで梓にしてもらって、逃げるのなんて卑怯だ。

これではっきり言えなかったら、私はどうしようもない!


純「わ、私は・・・梓のこと、大好き!今すぐにでも、抱きしめてキスしたい!///」ダキッ

梓「うん、私も純のこと好きだよ。私だって・・・純と、もう一度キスしたい」スッ

お互いの気持ちを確認し合いながら、
私達は自然にお互いの顔を、唇を近づけていた。

ちゅっ

純「へ、へへ・・・。こ、これからは恋人として!よろしくお願いします!///」

梓「こちらこそ、よろしくね。純」


純「と、いう訳で!今二人はラブラブなのよ!」

梓「純ったら・・・勝手なことばっか言わないでよ」

純「もう、梓ったら素直じゃないんだから!」ダキッ

梓「はいはい」ギュー

憂「あはは、梓ちゃんも純ちゃんも・・・本当に良かったね!」

-fin-





憂「でも二人共、本当に羨ましいなぁ・・・」