澪「二対一だ、サーブは二年生チーム」

唯「りっちゃん! このまま一気に決めちゃおう!」

律「まっかせろー! いっくぜー!」

律「そらっ!」サーブッ


憂「梓ちゃん!」トスッ

梓「あっ……純っ!」パスッ

純「えぇええ無茶ぶり!?」ズザーッ

純「うあーっ……砂まみれ……」

紬「だいじょうぶ? 純ちゃん」

純「あ、はい、だいじょうぶです……」

梓「ごめん純、ちょっとぼーっとしてて……」

憂「ううん、わたしのトスが悪かったよ、さっきのサーブは気にしないで、がんばろ?」

純「絶対勝つよ!」

 三対一……、圧倒的不利な状況……。
 しかしここで大逆転しょーり! ……できたらかっこいいじゃん!

純「行きます!」

 力を抜いてー、いつもどーり。

純「それ!」サーブッ


唯「任せて! ムギちゃん!」トスッ

紬「えいっ!」ポーンッ


梓「憂っ!」トスッ

憂「はいっ」ポーンッ


律「おっ、いいねぇ!」トスッ

唯「そりゃーっ!」アタックッ

ザシュッ

純「しまったー!」


澪「四対一。サーブは二年生チーム」

律「ふっふっふ、圧倒的ですな唯隊員」

唯「そうですな、ムギちゃん隊員」

紬「ふ、ふっふっふ……!」

澪「意地が悪いぞお前ら……」

律「そんなこというなら澪がそっちチーム入ればいいじゃーん」

澪「なっ」

 澪先輩がこっちチームに!
 背高いし、運動神経よさそうだし……。

純「澪先輩! ぜひ! 助けてください!」

梓「澪先輩……!」

憂「澪さん……」

 澪先輩はやさしいから、わたしたち三人に頼まれたら断れないだろう。
 今度こそ、この試合、もらった!


――白い砂浜に、澪先輩の鼻血が舞った。


 五対一、ゲームセット。


 決まり手、ムギ先輩のサーブ。


 ちなみになぜか梓も顔を真っ赤にして鼻血を出していた。


 二年生対一年生のビーチバレー対決は、二年生の圧勝。
 唯先輩が「これが先輩の力だよ!」とかいって胸を張っていた。

 そして現在、負けたわたし達は罰ゲーム執行中である。

梓「罰ゲームがあるなら、最初から行って欲しかったです……」

純「まぁまぁ、先輩のために動くのは後輩として当たり前のことだよ」

憂「お姉ちゃんのために頑張るのも妹の仕事だよー」

澪「悪いな、みんな」

純「いえ、澪先輩こそ、すみません。いっしょに罰ゲーム受けてくれるなんて……」

澪「ジュース運びくらい、手伝うさ」

 ああ、さっきはちょっとかっこ悪かったけど、やっぱり澪先輩はかっこいい!


梓「あ」

憂「どうしたの?」

梓「ねえ、知ってる? フジツボの話……」

澪「ひぃっ!?」ビックゥ!

純「うわっ!」

 短い悲鳴を上げて、澪先輩がわたしに縋り付いてきた、えっ、なんかすごい怖がってる……。

梓「昔、フジツボで足を切った少年が……」

澪「おぁわ!? あ、あずさ! ややめろぉぉおおぉっ!!!」ぎゅうーっ

純「み、澪先輩、痛いですって!」

 あの、憧れの澪先輩が、梓の話を聞いて、こんなにもうろたえている……。
 澪先輩の知らなかった一面を見れて嬉しいような、悲しいような……。

梓「ご、ごめんなさい、こういう話苦手とは知らなくて!」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ……」ブツブツ

純「ちょ、耳元でささやかないでくださいよおっ、憂助けてー!」

憂「澪さん、だいじょうぶです、もう終わりましたよー」

澪「はっ」

澪「な、なーんてな! はは、後輩の怖い話くらい、こう、オーバーに怖がってやろうと思ってな!」

純「……クラゲの話なんですけど」

澪「ひぃっ!?」ブルブルガタガタ

 なんか……叩かれるとわかっていても律先輩が澪先輩をからかいたがる理由がわかってきた気がする……。
 やっぱり、澪先輩の知らなかった一面を見れて、嬉しい、と断言しよう。


~~~~~

律「おっそいぞー」

 すいませんでした。

唯「のど渇いたよー」

 今すぐに用意します。

紬「みんな、おつかれさまー」

 あなたは天使ですか。

 ぷしゅっ、と、ペットボトルのコーラをふたを開ける音が、連続する。
 わたしも開けよう。純ジュワー、なんちゃって。

ぷしゅっぶしゃああああじゅわああああっ!!

純「うわぁああっ!?」わぁああ!?」 ぁああ!?」 ああ!?」 あ!?」 ←エコー

唯「純ちゃーん!!」ちゃーん!!」 ゃーん!!」 ーん!!」 ん!!」 ←エコー

じゅわー……

純「……」ポタポタ…

 澪先輩をからかうのに夢中で、コーラが振らさっていたことに気づけなかった、わたしが悪い。

純「やらかした……」ベタベタ…

梓「純、だいじょうぶ?」

憂「ほら、タオル」フキフキ

純「ありがと、憂」

律「ひとしきり遊んで汗もかいたし、ちょうどいいから風呂はいるか?」

唯「おっ、いいですなぁりっちゃん!」

澪「そうだな、お風呂からあがったら練習だからな!」

紬「練習の前にご飯にしましょ? こっちきてからまだ何も食べてないし……」

澪「あ、ああ、そうだな」

唯「おっふろーおっふろー♪」


~~~~~

 さすがムギ先輩。
 浴室、いやこれは大浴場と呼ぶべき代物。立派だ……。

 けいおん部最高……!

 キャッキャッウフフなトークがなんとも女子高生らしい。

 おや、梓が湯船につかろうとしてる。すごいゆっくり。熱いの苦手なのかな。
 唯先輩が近づいて……。

 沈めたー!

梓「いったぁーい!!」

 あぁ、日焼けか……。大変そうだなー。

紬「澪ちゃんの髪きれいねー」

澪「そう? ムギの髪も、きれいな色だけど……」

紬「うふふ、これ自毛よー」

純「ちょ、えっ、自毛!? そのふわっふわな素晴らしい髪の毛が!?」

 聞き捨てならない。使ってるシャンプーとか、ぜひ聞きたい。

紬「椿油を使ってるの~」

 つ、椿……、あの、赤いシャンプーじゃなくて、椿油、高そう……。

純「なるほどなるほど……」

唯「純ちゃーん!」だきっ

純「うわっ!?」

唯「純ちゃんはこのモコモコがかわいいんだから、クセっ毛のままでいてねえ!」すりすり

純「わ、わかりました! わかりましたから!///」

 お願いですから裸で抱きつくのはやめてください。

~~~~~

律「飯、だぁー!」

憂「用意できましたよー♪」

唯「ばーべきゅー! ばーべきゅー!」

澪「憂ちゃん、ありがとな。こんなに手際よく準備してくれるなんて」

憂「いえ、部外者なのに、誘っていただいて、これぐらいじゃ足りないくらいです」

澪「憂ちゃん……」

唯「ういは自慢の妹だからね!」フフン

澪「お前も見習え!」


紬「純ちゃん、バーベキューってどんなふうにすればいいのかな?」

純「どんなふうって……、炭火で串に刺したお肉や野菜を焼いて、食べるだけです」

紬「串に刺して……、豪快ね!」

 まさかムギ先輩……。

紬「あのね、バーベキューって一度やってみたかったの! でも、よくわかんなくて……」

 ……このお嬢様はものをしらなすぎる。

紬「楽しいわねー」

純「そうですね」

 今度、鈴木純特製もんじゃ焼きを振舞ってあげよう。きっと知らないだろうから。


~~~~~

澪「ご飯も食べたことだし……、練習! 練習するぞ!」

唯「えー……」

律「もうちょっと遊ぼうぜ~?」

梓「ダメです! ちゃんと練習しなきゃ、なんのための合宿ですか!」

 さすがに、これ以上は遊びすぎな気がしたのか、唯先輩も律先輩もしぶしぶスタジオにはいっていった。

純「憂は?」

憂「わたしは……、どうしよっかな」

純「憂ってオルガンとか弾けたよね、合宿だし、ムギ先輩に教えてもらえば?」

憂「邪魔にならないかなぁ……」

純「ムギ先輩だよ? きっとこう、優しく教えてくれるよ、ほら、スタジオいこ」

憂「うん、そうだね!」

律「うおぉぉお!!」

唯「すっごーい!!」

梓「おお……!!」

純「うわぁああ……!!」

 なにこの設備。見たこともないような高級らしい機材だらけ……、すごい、やばい。

律「こっ、こんなことならもっと早く練習すればよかった!」

唯「ギー太! 腕が鳴るね!」

純「こ、こんなとこで練習していいの?!」

梓「すごい、すごいです!」

 この梓のはしゃぎ様。わたしもはしゃいでるけど。

澪「よし、一回あわせてみようか」

唯「今ならなんだって弾けそうだよ!」

律「わたしだってなんだって叩けるね!」

紬「喜んでくれてるみたいで、嬉しいわー」

律「よーしいくぞー! まずはふでペン! ワン・ツー……」

~~~~~
唯「ごめんよあずにゃあ~ん!」

梓「始めから間違えるなんて、見損ないました!」

純「澪先輩ごめんなさーい!」

澪「もっとちゃんと練習しなきゃダメだぞ」

 戦犯、唯先輩とわたし。
 本当に申し訳ない……。

唯「純ちゃん、がんばって練習しようね……!」

純「はい……」

澪「うーん……しばらく、パート練習でもしようか?」

 パート練習……澪先輩と、二人っきり……! 緊張する!


~ギターの二人~

ペーレーレーレレ~ペペー↑

唯「う~、あずにゃん……難しいよう……」

梓「いいですか唯先輩、上手く弾けないところはまず、ゆっくりやってみるんです」

唯「なるほど……こうかな?」

ぺーれーれーれれ~ぺぺーん♪

唯「おお、できたっ!」

梓「それをこんどは、だんだん早くできるように練習するんです」

唯「ふむふむ……、勉強になりますあずにゃん先輩……」

ペーレーレーレレ~ペペーン♪

唯「できた! できたよあずにゃん!」だきっ

梓「見直しました! すごいです! やればできるじゃないですか!」

唯「あずにゃんのおかげだよお、むちゅちゅー」

梓「ちょ、きゃあぁああ!?」

ぺっちーん!

唯「あずにゃんしどい……ともにこの喜びを分かち合おうと思ったのに……」

梓「もっと別の方法で分かち合いましょうよ、もう……」


~ベースの二人~

澪「純、さっきはリズムキープが上手くできてなかったな」

純「は、はい!」

澪「周りの音をもっと聞くんだ、純はベース上手なんだから」

純「周りの音……」

澪「特に、律のドラムはちょっと走り気味だからな……、あわせるのは大変かもしれないけど、わたし達が崩れないようにしないと」

純「はい! わかりました!」


律「おーい、そこの二人、何か聞こえたぞー」

澪「律の悪口をちょっと」

律「なにー? 純、それは聞き捨てならないなー?」

純「い、言ってませんってば!」

澪「ははは、純、緊張しないようにな、落ち着いて、楽しもう」

純「澪先輩……!」


~キーボードの二人~

憂「あの、紬さん、よかったらわたしにキーボード、教えてくれませんか?」

紬「あら、憂ちゃんも弾けるの?」

憂「子供の頃、少し……、皆さんの演奏を聞いてたら、わたしもやってみたくなって」

紬「いいわよ、こっちにおいで~」

憂「あ、はい!」

紬「ふわふわの練習してみよっか、憂ちゃん」

憂「わかりました、えっと……」

~~~~♪

憂「こ、こんな感じ、ですか?」

紬「上手じゃない! 憂ちゃんすごい!」

憂「紬さんほどじゃないですけど……ありがとうございます!」

紬「同じパートの後輩がいるって楽しいわねー♪」

憂「そうですね、お姉ちゃんも梓ちゃんがはいって、すごく嬉しそうにしてましたし」

紬「憂ちゃんもけいおん部、はいらない?」

憂「えーっと……考えておきますね!」



~ドラムの一人~

律「くそー、暇だー」

律「いいなー、みんな、教える後輩がいて」

律「なんかベースの二人に文句言われたし……」

ぴんぽーん

律「あれ? 誰か来た?」

律「ムギー、は、憂ちゃんと練習してるな……、わたしが出てこよう」

律「はいはーい今行きまーす!」


律「今あけますっと……」

ガチャ



さわ子「おいてくなんてひどいじゃないのよー!!!」グワーッ

律「ぎゃああああっ?!!?」

さわ子「知らない間に合宿行ってるんだもの、失礼しちゃうわ!」

律「し、しんぞうにわるいぜさわちゃん……」ドキドキ…

さわ子「なに? 他の皆は?」

律「今、パート練習中で……」

さわ子「へぇ、まじめに練習してるんじゃない」

律「そりゃあ、合宿ですから!」

さわ子「あら、りっちゃん肌焼けた?」

律「昼間にたっぷりと焼かせていただきました……」


さわ子「はーい、パート練習そこまでー!」

澪「さ、さわ子先生!?」

唯「どうしてここに!?」

さわ子「さっきムギちゃんに電話して教えてもらったのよ! 置いてけぼりなんてあんまりだわ!」

律「ムギ……教えておいてくれよな……」

紬「えーっと、みんな驚くかなー、って、えへへ」

梓「びっくりしましたけど……」

純「ほんとうに神出鬼没ですよね……」


さわ子「まぁまぁ、早くわたしに練習の成果を聞かせてちょうだい!」

 そして早く遊びましょう、なんて子供じみた本音が聞こえてくるようだ。
 ていうか、奥のほうに花火がいれてあると思しき袋がおいてある。
 見えるように置いているのだろうか。

律「よーし、じゃあふでペンやろう! ワン・ツー!」

 澪先輩に教わったこと、周りの音を聞く、リズムキープ……落ち着いて、いつもどおり。

~~~~♪
じゃーん……

律「おお! 今のよかったな!」

梓「そうですね! 唯先輩も、さっきとは大違いです!」

唯「えへへ……もっと褒めてあずにゃーん……」ぎゅーっ

澪「純、その調子だぞ」ナデナデ

純「えへへ……」

 澪先輩に褒められちゃった……。えへへ……。


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