こんにちは鈴木純です

同中の憂に勧められて軽音部に入りました!

優しくて愉快な先輩たちと一緒に、毎日楽しくお茶してます!



 まずはその愉快な先輩たちを紹介したいと思います。

 二年生、キーボード担当の、琴吹紬先輩。

紬「今日のお菓子は純ちゃんの好きなドーナツよー」

 毎日軽音部においしいお菓子を持ってきてくれます。
 すっごく優しくて、綺麗で、なんかいい匂いがして……、

紬「ポンデリングはわたしのね!」

 ちょっと子供っぽいところもある、可愛い人です!


 次に、部長でドラム担当の田井中律先輩。

律「おー、じゃあわたしオールドファッションなー!」

 元気いっぱいで、いっしょにいると、楽しい人です。
 普段はお調子者で、よく唯先輩と漫才をしています。

律「あ、澪、これ澪の好きなヤツだろ? ほい」

 意外と細かいところにも気の利く、軽音部のムードメーカーです!


 そして、律先輩の幼馴染でベースの、秋山澪先輩。

澪「お、律、ありがとな」

 ベースが超うまくて、かっこよくて、憧れの先輩です。
 わたしの担当もベースなので、いろいろと勉強させてもらってます。

澪「あ、唯、遅いぞ」

 いつもお茶会で時間を割き気味な軽音部を引っ張ってくれる、頼もしい先輩です。


 少し遅れて部室にやってきたのが、ギター担当の平沢唯先輩。

唯「えへへ……ごめんごめん、和ちゃんに呼び止められちゃって……」

 憂のお姉ちゃんで、中学時代から少しだけ面識がありました。
 天然で、無邪気で、なんだかよくわからない人です。

唯「あずにゃん純にゃん、今日もかわいいねー」

 わたしを梓を随分と可愛がってくれます。あいさつ代わりに口説いてきます。
 自覚は無いのでしょうが。


 最後に、同級生でギター担当の、中野梓。
 ツインテールでちっちゃくて、まじめな子です。

梓「みなさん、これ食べ終わったら練習しましょうね!」

 ギターの腕前もなかなかのもので、楽器は違いますが、梓に刺激されてわたしもベースを頑張っています。

唯「えぇ~、今わたし部室来たばっかりだよお、もうちょっとのんびりしよう?」ぎゅっ

梓「あぅ……、し、しかたないですね、あと少しだけですよ……」

 唯先輩に"あずにゃん"という可愛らしいあだ名をつけられて、よくああやって抱きしめられています。


さわ子「ふうー、あっついあっつい……イヤになるわホント」

 あ、忘れてた……、なんていったら子供みたいに怒るでしょう。
 顧問の山中さわ子先生です。
 軽音部のOBだったらしく、ギターがすごい上手です。

 軽音部にある衣装も先生が作って持ってきているらしく……。
 入部当時はいろいろ着せられたりしました。メイド服とか、犬耳とか。

さわ子「軽音部はわたしのオアシスよぉ、ムギちゃんのお茶最高ー」

 いつもはかっこいい先生なのですが……軽音部に来ると素が出るみたいです。  

梓「先生まで……学校祭も夏休みがあけたらあっという間なんですから、ちゃんと練習しないと……」

律「まぁまぁ、梓。今日はそのことで話合いがあるんだよ。ほれ澪、発案者」

澪「ああ、一年生も二人増えたし、夏休み中に合宿にいかないか?」

純「がっしゅく! い、いいですね澪先輩!」

 合宿……、部活って感じで青春っぽい響き……こういうイベントを待ってたんだ!

純「行きます! 絶対行きます!」

唯「去年はムギちゃん家の別荘を使わせてもらったんだよー、海の近くで、たくさん遊んだよねー」

 別荘!? お金持ちだとは思ってたけど……。

紬「今年は人数も増えたし、もっと広いところ借りれるように頼んでみるね」

 もっと!? 複数別荘があるなんて……。

 けいおん部最高!


……

梓「純ー、遅いよー」

純「ごめんごめん、ちょっと寝坊しちゃってさ」

憂「まぁまぁ、時間はあるんだし、ゆっくり選ぼうよ」

 それから夏休みが始まって、今日は合宿のための買い物に来た。
 憂も合宿についていくことになって、ますます楽しみだ。
 二日後のこの時間には、もうムギ先輩の別荘に……、楽しみで夜も眠れ……る。

梓「うーん……なんでけいおん部の合宿に、水着が要るんだろうね? 純」

純「えっ? だって、海じゃん」

梓「いや、海だけど……、海だけどさ……、こう、もっと、けいおん部らしいことしないのかなって」

憂「まぁまぁ、去年もお姉ちゃん、すごく楽しかったって言ってたし、部内の親睦を深めるって、大事だと思うよ?」

純「そうそう! 憂はさすが、いいこというね」

梓「うーん、納得いかない……」

純「梓はさ、肩に力が入りすぎだよ、もうちょっと力抜かなきゃ」

梓「力抜くって……、だって、初めてのライブは、絶対成功させたいんだもん……」

純「それはそうだけど、部活は楽しくしなくちゃね」

憂「いいなー、部活。わたしも入ろうかな?」

純「いいねいいね、入っちゃいなよ、歓迎するよ憂」

梓「……」

 来る合宿に思いを馳せながら雑談をしていると、あっという間に水着売り場に到着。
 ……水着選ぶのなんて、何年ぶりだろ。中学はスクール水着だったし、海なんて行くの小学生のとき以来だし……。

純「水着……、迷うね……」

憂「……うん」

純「あれ、梓は?」

 あの子、胸ちっちゃいし……それはそれで可愛いんだけど、いっしょに買いに来たのは間違いだったかも……?

 あ、発見。

 ……見なかったことにしてあげよう。

純「憂、これなんかどう?」

憂「あ、いいかも。ちょっと試着してくるねー」

純「わたしも早く決めちゃおう……」

~~~~~~

憂「大体、用意するものは揃ったかな」

梓「けっこうお金使っちゃったね」

純「ほんとだよ……」

 憂、梓の買い物袋と比べ、わたしの買い物袋、妙に膨らんでいる気がするのは、きっと気のせい。

憂「純ちゃん、ちょっと買いすぎじゃない?」

純「衝動買いってやつだよ……あずさぁー、今度お金貸してえー……」

梓「……ちゃんと反省してるなら、いいよ」

純「さすが! 梓大明神! 最高!」

 ああ、梓の優しさが木枯らしの吹きすさぶわたしの懐を暖めてくれる……。
 お小遣い前借りしなくちゃ……ひもじい……。


純「心を入れ替えてこれからは節制を心がけます……」

梓「その大量に盛られたドーナツが説得力を半減させてるね」

純「……だってみんな美味しそうなんだもん」

 ミスドには魔物がすんでいる。
 わたしを惑わす、甘い香りと数多のドーナツたち。

憂「けっこう歩き回ったから、お腹空いちゃったしね」

純「そう! 甘いものは別腹だし!」

 そう、甘いものは別腹で、食費と嗜好費は別物なのだ。

 合宿に向けていろいろと準備していたら、あっという間に当日が来た。
 ビバ! 合宿である。

紬「本当はもう少し大きなところを借りたかったんだけど……都合が合わなくて」

 なにをおっしゃる。

一同「おぉおぉおーっ!!」

律「こりゃまた、一段とすげーなー!」

唯「すっ…………ごーい!!」

純「ムギ先輩……一生ついていきます……」

 想像以上でした。ムギ先輩すごい。ここまでとは……。

律「っしゃー! あっそぶぞー!! ついてこーい!!」

純「はい! 律先輩!」

唯「ひゃっほーう!」

澪「うぉおーい!!」

 はっ。

澪「遊ぶのは練習してからだ!」

純「すいませんでしたあっ!」

 ……危ない危ない。澪先輩の意見には逆らえない。
 律先輩につられて飛び出してしまったが、落ち着けわたし。

律「ちぇー」

唯「つまんなーい……」

澪「多数決! 多数決にしよう。先に練習したい人!」

梓「はい! わたし練習がいいです!」

純「わ、わたしも!」

律「ぐぬぬ……向こうは早くも半数を獲得したぞ唯隊員!」

唯「りっちゃん隊員! 澪ちゃんが後輩二人とも独り占めしてます!」

律「だいじょうぶ、我々にはムギ隊員が……ムギ隊員が……!」

紬「遊びたいでーす♪」

 ……ムギ先輩、ナイス。と、心の中で思ったのは秘密にしておこう。

律「さぁー、これで三対三だぞ澪ー。……お前だって遊びたいだろー?」

澪「そ、それは、そうだけど……今年は! ちゃんと練習するんだ!」

唯「さぁ、最後のひとりは憂だよ! 遊びたい? 練習……って、憂はすることないけど……」

憂「えと、あの、けいおん部の決め事だし、お姉ちゃんたちに任せるよー」

唯「むー、そうだね。あずにゃん、純ちゃん、せっかく海に着たんだから遊ぼうよー、ね?」

 唯先輩が今にもわたしたち二人を捕獲しようとしている。
 律先輩が澪先輩を止めている間に、わたしたちを引き入れようと……。素晴らしいコンビネーションだ。

 その様子を楽しそうに見守っているムギ先輩ポジションがちょっぴり羨ましい。

梓「わたしは、澪先輩の言うとおり、ちゃんと練習してから遊んだほうが……」

唯「ちぇー、あずにゃんのケチ。純ちゃんは? さっきいっしょに飛び出してたじゃん」

純「わ、わたしは……」

 決定権、わたし。
 遊びたい。
 でも澪先輩に可愛がられたい。
 二つのせめぎあいがわたしを悩ませる。

梓「純、今日は合宿に来たんだから、ちゃんと練習しよう?」

 真面目な同級生が練習を勧めてくる。
 なんとなく、梓のことが不安になる。こんなんでこの子は、ダメになってしまわないだろうか。
 前にも、けいおん部やめる、とかいいだしたし……。

純「梓、澪先輩、ごめんなさい。遊びたいです!」

澪「純!? くそう……、ムギの裏切りが予想外だった……」

唯「やったー! 純ちゃん大好き!」ぎゅっ

律「っしゃー! さっすが純! いっくぞー!」

純「ほら、梓も早く着替えてきなよ!」

梓「あっ、純! もう……」

紬「ごめんね澪ちゃん。でも今年は一年生二人はいったし、親睦を深めるのもいいかなって」

澪「まぁ……そうだな」


憂「ほら、梓ちゃん、みんな行っちゃったよ?」

梓「うん……」

憂「いっしょに着替えていこうよー」

梓「……そうだね、いこっか」



紬「浜辺にあるもの全部片付けて! お船もいらない!」



憂「紬さん……」

梓「あはは……」


~~~~~~

律「いっくぞー唯!」

唯「純ちゃん! 気をつけてね! りっちゃんのサーブはすごいよ!」

純「はい!」

律「スーパーウルトラデリシャス……えーとなんだっけ山嵐!!」サーブ!

唯「純ちゃん!」トスッ!

純「任せてください! とう!」アタック!

律「うおっ!?」

パチーンッ!

律「いってて……」

純「あっ……だいじょうぶですか律先輩!」

唯「純ちゃん強く打ちすぎだよー」

純「百八式より危険だと思うとつい力が入っちゃって……」

律「まぁビーチボールだし当たっても痛くないけどな! わはははー!」

唯「わはははー!」

唯「ビーチバレー楽しいよー! みんなでやろうよー!」

律「二対一はさすがにきついから誰か助けてくれ……」

純「ほら、梓もやろうよー、そんなすみっこにいないでさ」

梓「わたしは別に……」

憂「じゃあやろっかなー」

律「おっ、7人もいるし、チーム戦するか! 二年生チーム対一年生チームな!」

純「ほら梓! チーム戦だって! 梓がいなきゃ二対四だよ!」

憂「梓ちゃん、いっしょにがんばろ?」

律「梓……怖いのか?」

梓「なっ」

唯「りっちゃん、ダメだよ、あずにゃんはわたしたち二年生との実力差を認めたくないんだよ」

律「ふふ、そうだな唯。じゃあこの戦いは我々の不戦勝――」

梓「やってやるです!」

澪「じゃあわたしは審判やるよ」

律「とかいってー、ボールが怖いんだろー?」

澪「違う! 四対三じゃ梓たちがかわいそうだから、それだけだ!」

紬「澪ちゃんの分もがんばるね!」


純「憂、梓、先輩だからって遠慮は無しだよ……!」

梓「もちろん!」

 律先輩、いい感じに梓を炊きつけてくれたな……。
 負けず嫌いな子はこうして扱えばいいのか……勉強になる。

唯「うい……今は敵同士でも、この戦いが終わったら……!」

憂「うん、お姉ちゃん、わかってるよ……!」

唯「ういぃっ!」だきっ

憂「おねえちゃあん!」ぎゅっ


 平沢姉妹による、前座の小芝居が終わり、ついに学年対抗「ドキっ!? けいおん部だらけのビーチボール大会」が始まった。
 遊びたいとはいったけれど、一応確認しておこう。今日は合宿のために海に来ています。
 けいおん部の。

澪「じゃあ、サーブは一年生チームからな、当然」

憂「いきまーすっ」

 中学から同じクラスだったからわかる。
 憂は運動も出来る。体育の授業、彼女は常に輝いていた。

 この勝負、もらった!

憂「そー……れ!」サーブッ

 ぽーんと上がるビーチボール。ぽーんとゆれる……いえなんでも。

唯「ほいムギちゃん!」レシーブッ

紬「りっちゃん!」トスッ

律「そいきたーっ!」アタックー!

 ……。

澪「はい、二年生チーム一点」

 なんというコンビネーション。


純「ちょっ、みなさん、もうちょっと手を抜いてくださいよ!」

律「正々堂々、いざ尋常に……それがけいおん部のモットーだ!」

唯「社会の厳しさを教えてあげるよ!」ふんすっ

紬「うふふ~」

 いつもはおちゃらけて見えるのに、今はあまりにも大きくみえる……。

 これが、二年生の力……!

梓「そのやる気を練習で出してくださいよ!」

澪「全くだ。はい、サーブ権交代、二年生チーム」

 ちなみに、サーブは交互に打つことにしている。
 五点マッチ。ジュースは無し。あと四点しか失点できない。


唯「じゃあいくよー、平沢家に伝わる、一子相伝の必殺サーブ……!」

憂「一子相伝……? そんなサーブがあったなんて……!」

唯「唯ストサーブっ!?」パシーン!

純「ほいっ」レシーブッ

梓「憂!」トスッ

憂「それっ!」アタック!

唯「あぁん!」ズザッー

 ……唯ストサーブ、破ったり。
 ていうか変な姿勢で打ったせいで転んでるし……

唯「ごめんごめん……」

律「唯、ドンマイドンマイ!」

紬「唯ちゃん、まだ試合は始まったばかりよ!」

 青春だなぁ。無駄に。


澪「これで一対一だ。お互い張り切りすぎて怪我しないようにな」

梓「よし……!」

律「梓ー、緊張してんのかー?」

梓「ち、違います!」

純「梓、遊びなんだから、力抜いて」

梓「そ……れ!」パスッ

梓「あ……」

 言わんこっちゃない……。
 梓のサーブはいびつな放物線を描きながら……わたしたちのコートに落ちた……。

律「よっしゃー! 一点もうけー!」

唯「いぇーい!」


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