澪「」カタカタカタカタ

唯「ねーねー澪ちゃーん、そろそろ寝ようよー」

澪「このレポート仕上げなくちゃいけないから」

唯「そんなの明日やればいいじゃーん」

澪「明日提出なの」

唯「何でもっと早くやらなかったのさ」

澪「金曜日に出されたんだもん。土日はずっと唯と遊んでただろ。
  ほら、邪魔しない」

唯「ぶー」

唯「だってもう眠いよー」

澪「先に寝てていいよ」

唯「台風であちこちガタガタいって一人じゃ怖いんだもん」

澪「何を唯らしくない」

唯「もー、澪ちゃんと一緒に寝たいのー」ギュー

澪「っ/// ……はいはい。分かったから終わるまで大人しく待ってなさい」

唯「ちぇっー」

唯「いいもん。じゃあポン太と一緒に遊んでる」

澪「ポン太?」

唯「今日ゲームセンターで一緒にぬいぐるみ取ったでしょ?」

澪「名前つけたのか……」

唯「うん! 可愛いでしょ!」

澪「そうだな。じゃあ、そのポン太と一緒に遊んでなさい」

唯「むぅ~何か投げやりだなぁ」

唯「いいもん! ポン太と楽しく遊んじゃうもんねー!」

唯「なーにーにしよっかなー。あ、人生ゲーム! これにしよーっと」

澪(ぬいぐるみと人生ゲームって……)

唯「まずは職業決定ね~。あ、ポン太はお医者さんだってー。凄い!」

澪(ま、楽しそうだしいいか)

唯「そして私は~……み、未亡人?」

澪「」ガタッ

唯「ど、どうしたの澪ちゃん!?」

澪「い、いや、何でもないよ」

唯「よーしそれじゃあゲーム始めるよ! 先ずはポン太の番ね。ルーレット回して」

ポン太「」

唯「えいっ」

クルクルクルクル

唯「お、5だって~。えーっと5のマスは……」

唯「『宝くじに当選。1等3億円を貰う』」

唯「ゲームバランス……」

澪(あんなゲームだったっけかなぁ)

唯「もーやだー! やっぱり一人じゃつまんないよ~!」

澪「ポン太と一緒だろ」

唯「む~。まだレポート終わんないの?」

澪「もうちょっとだから。ほら、ここにトランプあるからそれで遊んでなさい」

唯「1人でトランプ使って何しろっていうのさ」

澪「トランプータワーでも作ればいいじゃないか。最近はまってるだろ?」

唯「あー私3段がまだできないんだよね。早く澪ちゃんのレベルまで行きたいよ」

澪「私なら3段は目をつぶっててもできるよ」

唯「それは嘘だよー」

澪「どうかな」

唯「ねー何かコツとかあるの?」

澪「集中すること」

唯「苦手分野だー」

澪「ははは。じゃあ、何か自分の中で決まりごとを作ってやってみたらどうだ?
  これが出来たらアイスを食べる、できなかったら今日一日アイス禁止、みたいにしてさ。
  1回1回に真剣になることが大切なんだよ」

唯「おおーなるほど。それなら真剣になれるかも!」

澪「はい。じゃあほら、トランプ」

唯「うん。えっと~決まりごとは何にしようかな。今アイス冷蔵庫にないし。……あ、そうだ! 澪ちゃん!」

澪「ん?」

唯「これができたら、私と結婚しよう!」

澪「えっ///」

唯「失敗したら別れる!」

澪「えっ」ジワッ

唯「あああ冗談だよ澪ちゃん」アセアセ

澪「な、何言ってるんだよ。け、結婚なんて///」

唯「だってこれが一番真剣になれそうなんだもん! 見ててね澪ちゃん、絶対1回で完成させるよ。
  結婚だよ、婚約だよ、未亡人だよ!」

澪「最後のは違うだろ」クスッ

唯「へへへ。それじゃあ平沢唯、運命の挑戦をして参ります! 澪ちゃんは応援してて」

澪「うん。が、頑張れ///」

唯(はぅ!)ズキューン

唯「やる気百倍だよ! よーしやるぞー」

唯「よーし、集中集中集中……」サッサッサッ

澪(凄い、あっさり2弾目までできちゃった)

唯「おおお。ここまでこんなにスムーズだったのは初めてだよ。恐るべき集中」

澪(恐るべき集中力)

唯「よし、集中、集中」スッ

唯「おおおー澪ちゃん! 3段目の土台が置けた! 初めてだよ!」

澪「ああ。でも、最後まで気を抜くなよ」

唯「うん。よーし、集中集中しゅうちゅ……」

パッ

澪「えっ」

唯「あっ、て、停電!?」

澪「えっ! な、何っ!? ゆ、ゆいー!!」

唯「お、落ち着いて澪ちゃん、私はここだよ」ギュー

澪「あっ」ホッ

唯「よーしよし」ナデナデ

澪「///」

唯「大丈夫? 台風の所為かなぁ」

澪「うん。電気つくまで、大人しくしてよう」

唯「そうだね。あーあー、トランプタワー後少しなのに」

澪「ごたごたで倒れなかった?」

唯「うん。大丈夫だよ。見えないけど、倒れた音しなかったし」

澪「そっか」ホッ

唯「懐中電灯どこに置いたっけ?」

澪「どうしたっけな。まぁいいじゃないか。暗いのも、雰囲気があって」

唯「さっきまであんなに怖がってたのに~」

澪「う/// しょ、しょうがないだろ。いきなりでびっくりしたんだから」

唯「へへへ、甘えてくる澪ちゃん可愛かったなぁ」ナデナデ

澪「もう/// ……あ!!」

唯「ど、どうしたの!?」

澪「レポートが……」

唯「あ!!」

澪「保存してなかったから全部消えちゃった……徹夜だな、はは」

唯「じゃ、じゃあ私も徹夜するよ! 横で応援してる!」アセアセ

澪「……うん。ありがと、唯」

唯「中々復旧しないね」

澪「そうだな」

唯「何にも見えないね。澪ちゃんの顔も見えない」

澪「それはそれでいいじゃないか」

唯「顔が見えないのに?」

澪「そうじゃなきゃ、こんな風にくっついていられないよ」

唯「っ……もう///」

唯「暇だねー」

澪「そうでもないよ。唯といるとドキドキしすぎて、いっつも心が忙しい」

唯「さっきからー///」

澪「ふふふ。……外の風、強いな」

唯「うん。大丈夫かなぁ」

澪「何が?」

唯「トランプタワー。振動で、倒れちゃわないかな?」

澪「ああ。だいじょ……」

ヒュゥウウウウウウウガン!

パタタタッ

唯「あっ」

唯「……倒れちゃったね、トランプタワー」

澪(……)

澪「分かんないだろ。見えないもん」

唯「今、倒れる音したじゃん」

澪「全然関係ない音かもしれない」

唯「そんな都合の良い話はないよ」

澪「じゃあ、確かめてみるか。懐中電灯の場所思い出したよ」

唯「えっ」

澪「玄関の下駄箱の上。取ってきて」

唯「え、う、うん……」

澪(……)

澪「」セッセッ

……

唯「持って来たよ、懐中電灯」

澪「じゃあ、照らしてみなよ」

唯「うん」

パッ

唯「あっ」

澪「ね、倒れてなかっただろ?」

唯「……」ジー

澪「な、何?」ドキッ

唯「……うん、良かった!」ニコッ

澪「あ、ああ。良かったな」ホッ

唯「じゃあ澪ちゃん、懐中電灯持ってて。本当に倒れるかもしれないし、完成させちゃおう」

澪「うん。慎重にな」

唯「大丈夫だよ。……集中集中集中」

サッ

唯「できたー! 記念すべき、初3段だよ!」

澪「ふふふ。良かったな」

唯「……」

澪「ど、どうしたの?」

唯「ねぇ澪ちゃん」

澪「ん?」

唯「これからも、ずっと一緒にいようね」

澪「……ああ、ずっと一緒だよ」


おしまい



最終更新:2011年01月25日 01:59