結局梓はやってきた

どうやらお勉強会ムードだったから自ら断ったらしい

私はお土産にドーナッツを持ってきたが、相変わらず憂は料理をたくさん用意してくれた

梓「もう食べられない……」

純「ドーナッツもったいない……」

梓「あんたが持ってきたんだからちゃんと食べなよ」

純「いや、持って帰る」

梓「あ、そう」

憂「ふふ、二人ともグッタリしてるとお姉ちゃんが二人いるみたい♪」

純「なんじゃそりゃ」

気がつけば夜中になっていた

ゲームにお話、本、テレビ、ゴロゴロ

時間っていうのは結構簡単に過ぎてしまうものだ

純「そろそろ眠くなってきた~」

憂「じゃあそろそろ寝よっか」

梓「うん」

純「Zzz……」

梓「はやっ!」


私は厭な夢を見た

学校の音楽室、軽音部の部室……

いるのは私と唯先輩だけ

唯先輩は後ろを向いている

私が声をかけると唯先輩は振り返った

放課後の逆光で表情は読み取れなかったが、口元は微笑んでいた様な気がする

唯先輩の唇がもぞもぞと動き、何かを私に伝える

私がうなずくと、その瞬間……

唯先輩は爆発した


~~

純「……」

憂「あれ?純ちゃんおはよう」

純「おはよー」

憂「今日は起きるの早いね」

純「んー、嫌な夢見ちゃってさー」

憂「また?」

純「うん、今度は……唯先輩が爆発した」

憂「!?」

純「これが予知夢じゃないことを祈るよ」

憂「……」

純「お姉ちゃんも不死者だったりはしないの?」

憂「ううん、お姉ちゃんは普通の人間だよ」

純「……」

梓「うーん……」

純憂「!」

梓「唯先輩……だめです……そこは……」ムニャムニャ

憂「と、とりあえず今までは回避できなかったんだよね?」

純「うん、憂の時も憂の忘れ物からお土産までコンボが繋がったし」

憂「夢でもジャーキー食べてた?」

純「……食べてなかったと思う」

憂「細かいところは違うんだね」

純「多分、特定のきっかけがあるんじゃないかな」

憂「じゃあ放課後、音楽室で、純ちゃんとお姉ちゃんが二人きりの状態さえつくらなければいいのかな?」

純「多分」

梓「……む、むったん」ムニャ

憂「頑張ろうね、未来が見える能力ってきっと未来を変えるための能力なんだよ」

純「うん、そうだね!」

梓「……なにが?」

純「梓には関係ないよー」

梓「……ひどっ」

……

純「お邪魔しましたー」

梓「朝ごはんごちそうさま」

憂「気を付けてねー」

純「うん、気を付けるー」

梓「何に?」

純「梓に、かなー」

梓「何でよ?」

純「梓も気を付けなよー、憂の前で唯先輩との変態的な寝言言っちゃってたんだからー」

梓「はぁ!?なにそれ!」

純「つっても今日土曜日だし今日夢の状況になるとは思えんなー」

純「でもいつもその日中に起こるんだよなー」

唯「あ、純ちゃん!」

純「げ、唯先輩!」

唯「?」

純「今帰りですか……はは」

唯「んーとー……これから学校で練習するからギー太取りに行こうと思って!」

純「ああ、家に置いてありましたもんね……」

唯「まさか私も愛するギー太を置いていってしまうとは!」

純「勉強会だったんですよね?」

唯「ねぇ純ちゃん、練習見に来ない?」

純「う……やっぱりそう来たか……」

唯「ダメ?」

純「いえ、いいですけど……軽音部の人とはあんまり話さないから憂がいると心強いなー……なんて」

唯「分かった、憂も呼んでおくね」

純「あ、私も一緒に行きます、忘れ物とかしてるかもしれないですし」

唯「そういえば純ちゃんウチに泊まってったんだってねー」

純「梓にもちゃんと謝っておいてあげてくださいよ」

唯「え!?なんか私悪いことした!?」

純「アイツ寂しがりですから」


……

唯「憂ー、ただいまー」

憂「おかえりお姉ちゃ……純ちゃん!?」

純「わけあって出戻ってきました」

唯「純ちゃんも練習見に来てもらおうと思ってー」

憂「……純ちゃん、これって」

純「……うん」

唯「?」

憂「な、何でもないよー、あははー」

憂「でもお姉ちゃん、こんな時期に練習とかして大丈夫なの?」

唯「うん、昨日は勉強が捗ったからね!」フンス

純(この人が今日中に爆発するとは思いたくないなぁ……)

唯「純ちゃん?私の顔になんかついてる?」

純「あ、口元にアイスついてます……」

唯「へ?」

憂「お姉ちゃん、帰ってきてすぐアイス食べたのー?」

唯「ついつい……」

憂「もう、お姉ちゃんったら……」


……

律「おっす唯!……と憂ちゃんと鈴なんとかさん!」

純「鈴木です」

紬「どうして二人が?」

唯「たまたま純ちゃんに会ってね、連れてきちゃったー」

澪「ごめんな、用事とかあったんじゃ……」

純「いえ、大丈夫ですよ、憧れの先輩の演奏が見られるなら!」

憂「私も昨日お姉ちゃんがいなかったんで……」

純「そういえば梓は?」

澪「実はこの練習、梓には秘密なんだよ」

憂「え、どうしてですか?」

律「実は梓のために曲を作ってて、その練習なんだ、なぁムギ」

紬「そうよ、梓ちゃん来年一人になっちゃうから……寂しくないようにって!」

澪「……」ジー

唯「りっちゃん、澪ちゃんが嫉妬してるよ」ボソッ

律「ったく、このぐらい別にいいだろ」ボソッ

純「と、とりあえず私も聞いてみたいです!」


澪「じゃあこの中から選んでくれ」

唯「候補曲リストだよ!」

純「えーっと……「ちっちゃい君へ」、「さくら(合唱)」、「会いたいけれどもう会えない」、「3月」」

憂「……「卒業牧場」、「桜の飴」、「私の卒業」、「天使にふれたよ!」」

紬「ふふ、良いタイトルぞろいでしょ♪」

純「……「天使にふれたよ!」でお願いします」

律「天使にふれたよ!入りまーす!」

唯「おっしゃー!ばっちこーい!」

紬「どんとこいです!」

純「何だこのノリ……」


律「1、2、3、4!」

~♪

唯「どうだった!?」

純「すごいです!これなら梓も感動して泣いちゃいますね!」

憂「……うっうっ……ひっくっ」ウルウル

澪「憂ちゃんはもう泣いてる……」

紬「じゃあもう一曲行きましょうか♪」

純(他のはなんかせっかくの良い雰囲気が壊れそうなんだけど……)


律「はぁー、久々にドラムやって体動かしたし疲れた―!」

澪「本当に久しぶりだよな」

律「聞いてってくれてありがとうな、二人とも!」

澪「……」ムッ

純「いえ、曲は絶対天使にふれたよ!にすべきです!それ以外を選ぶと後悔します!」

紬「ありがとう♪」

憂「おねえぢゃああああああん!」

唯「よしよーし」


律「よし、じゃあ帰るかー」

澪「大分遅くなっちゃったしな」

唯「いつもはこれから放課後!って感じなんだけどねー」

純(よし、この調子で帰れればミッション終了だ!)

唯「あ、純ちゃんちょっといいかな?みんなは先に帰ってて」

純「え、ええ、いいですとも!」ビクビク

唯「?」

純「何ですか、唯先輩……」

厭な風が体を包む

唯「純ちゃん、これで多分大丈夫だよ」

学校の音楽室、軽音部の部室……

いるのは私と唯先輩だけ

唯先輩は後ろを向いている

純「……何が大丈夫なんですか?」

私が声をかけると唯先輩は振り返った

放課後の逆光で表情は読み取れなかったが、口元は微笑んでいた様な気がする

唯「世界を騙すんだよ」

純「世界を……騙す?」

唯「私は、誰かな?」

私は理解した

私がうなずくと、その瞬間……

その人は爆発した


純「まさか成功するとは思わなんだ!」

憂「うん、そうだね」

唯「二人とも何の話ー?」

純「秘密です♪」
憂「秘密(♪」


おわり




おまけ


こんこん

和「唯いる?」ガチャ

和「……誰もいない」

和「全く、楽器とかあるんだから鍵ぐらい掛けておきなさいよ」

和「なんか床焦げてるし……」

和「……」フキフキ

和「軽音部って危ないことやってるのかしら?」

和「あら?これは歌詞?」

和「なになに……」




「ちっちゃい君へ」
作詞:R.T.

君はちっちゃいなー すごくちっちゃいなー

私なんかよりずっとちっちゃい

背丈も胸も心もちっちゃい

でもそんな君も次は部長

私を目指して頑張れ 私を目指して




和「……」

和「ノーコメントでいいかしら」

和「他のはどうかしら?」

和「これとか普通そう」




「さくら(合唱)」
作詞:MUGI KOTOBUKI

前奏

間奏

後奏

やっぱり私歌詞書けないわ♪ごめんなさい(汗





和「斬新ね」

和「合唱曲なのに合唱するタイミングがないとか……」

和「かの有名な4分44秒を彷彿とさせるわね」

和「なんだかだんだん楽しくなってきたわ」

和「次はどんなかしら」




「会いたいけれどもう会えない」
作詞:平沢ユイ

会いたくて 会いたくて

卒業したら君を遠くに感じてしまう

もう一度会いたいよ

でも会えない

また二人抱きあいたい




和「……」

和「卒業するときに聞かされたら悪い意味で泣きそうね」

和「唯がこんな媚びたような歌詞を書くのも意外だけど……」

和「他には何かないかしら」




「桜の飴」
歌詞:MIO AKIYAMA

君との思い出という飴は甘すぎて

もう少し欲しくなってしまったけど

私達はもう卒業

音楽室の窓からふわり音符の桜

君に届いて花束になればいいな

君は一人じゃない

好きで好きでどうしようもない
それとこれとは関係ない




和「ギリギリアウトなラインを攻めてないかしら」

和「あと名前ローマ字表記は流行ってるのかしら?」

ガチャ

唯「あ、和ちゃん!」

和「遅いわよ、唯」

唯「何か用でもあったの?」

和「そういえば……なんだったかしら?」

唯「もー、和ちゃんったらー」

和「ふふ、唯には言われたくないわね」

唯「えー?」

和「じゃあ私行くね」


おわり