……………

カイナシティ


トウキ「ほら着いたぞ、ここはカイナシティだ」

憂「ここがホウエン地方……」

トウキ「ここはホウエンでは結構大きい町だ。 船もよく出てるから色んな地方から観光客が来るんだ……あっ!」

憂「どうかしましたか?」

トウキ「久しぶりに博物館の館長に挨拶しとこうかなと思ってさ」

憂「博物館……というと?」

トウキ「すぐそこにある建物が海の科学博物館さ。 海に関するものが展示されてるんだ。 行ってみるかい?」

憂「よろしければ……」

トウキ「よし、じゃあ行くか」


……………


海の科学博物館


憂「入場料が50円って安すぎませんか?」

トウキ「そうか? 昔から50円だったからよくわからないけど……」

憂(経営難に陥ってたりしてないのかな……?)

トウキ「それにしても珍しく人が多いな、何かあったのか?」

憂「さぁ……」

トウキ「まぁいいや、確か館長は2階にいることが多かったはずだから2階に行ってみるか」

憂「はい」


……………


海の科学博物館 2F


トウキ「館長は……いた! 館長!!」

館長「ん? トウキ君じゃないか! どうしたんだいこんなところまで!?」

トウキ「久しぶりに会おうかなと思いまして」

館長「そうか、ありがとう。 それでこちらは?」

憂「初めまして平沢憂です」ペコリ

館長「憂ちゃんか、よろしく」

トウキ「もし忙しいなら俺達はここで帰りますけど……」

館長「大丈夫だ、今はさほど忙しくない。 もうアレの完成まで間近だからな」

トウキ「へぇー! そうなんですか!?」

憂「あのー……」

トウキ「ん?」

憂「アレっていうのは……」

トウキ「あぁそうか、知らないか。 クスノキ館長は深海まで潜ることが出来る潜水艦を作った凄い人なんだぞ!」

館長「おいおい、そんな大げさな……」

憂「すごーい!!」

館長「まぁ潜水艦だけじゃ意味がないんだけどね」

憂「意味がないって……?」

館長「デボンコーポレーションに特別な部品を注文したんだ。 今はその部品が来るまで作業は中断さ」

トウキ「じゃあ今は暇ってことですね」

館長「そんな訳無いだろう。 今は深海にどんなポケモンが生息してるか調べてるんだ」

憂「どんなポケモンがいるんですか?」

館長「1Fに深海に生息しているポケモンのことについて展示しているものがある。 よければ案内しよう」


……………


海の科学博物館 1F


職員「か、館長! 大変です!!」ドタバタ

館長「どうしたんだ? そんなに慌てて?」

職員「博物館の展示物を盗まれたんです!!」

憂「えぇ!?」

館長「なんだと!?」

トウキ「逃げられたか!?」

職員「見学者は全員外に出しましたが、盗んだ奴らはまだこの館内にいて……」

館長「よし! それなら奴らを逃がさないように扉や窓を封鎖しよう!」

トウキ「じゃあ俺は泥棒を捕まえてきます!!」ダッ

館長「頼むぞ!!」

トウキ「任せてください!!」


……………


海の科学博物館 1F 入口付近


アクア団1「どうなってんだ!? 入口にシャッターが……」

アクア団2「だからボスに言われたものだけ盗って逃げようって言ったじゃねーか!!」

アクア団1「う、うっせーな!! 俺はボスが喜ぶと思ってだな!!」

アクア団2「ていうかこのまま喧嘩してたら俺達捕まるぞ! どうする!?」

アクア団1「こうなったら……」

トウキ「見つけたぞ泥棒!!」

アクア団1「げっ!?」

トウキ「観念して捕まれ!!」

アクア団2「こうなったら!!」ボン

ズバット「シャー!」バサバサ

トウキ「おっ!? 俺とバトルってか!? 受けて立つぜ!!」ボン

マクノシタ「マク!」フンッ!

アクア団1「俺も加勢するぞ!!」ボン

ズバット「シャー!」バサバサ

トウキ「1VS2か……」

アクア団1「いけーズバット!!」

ズバット「シャー!!」バッ

トウキ(参ったな……流石に相性が悪いぞこれ……)

「加勢します!!」

トウキ「え?」

「"タマゴばくだん"!!」ヒュン

ズバット「シャー!!」ボカン!

アクア団1「なに!?」

憂「さぁ頑張ってねラキちゃん!!」

ラキちゃん「ラッキー!!」

トウキ「憂ちゃん!? 何でここに!?」

憂「えっと……どうしたらいいのかわからなくてついてきました……」

トウキ「……まぁいいや、1VS2で不利だったんだ。 サポート頼むぞ!!」

憂「はい!!」

アクア団1「ズバット! "きゅうけつ"だ!!」

ズバット「シャー!!」グワッ

トウキ「"ねこだまし"!!」

マクノシタ「」バチーン!

ズバット「!?」ビクッ

アクア団2「"ちょうおんぱ"だ!!」

ズバット「」キィィィィン

憂「うわ!?」

ラキちゃん「」フラフラ

トウキ「マズいな……ラッキーが混乱したぞ」

アクア団2「先にラッキーをやっちまおうぜ」

アクア団1「そうだな! ズバット!! "つばさでうつ"!!」

ズバット「シャー!!」バサッ

憂「あっ! 危ない!!」

ズバット「シャー!!」バチン!

ラキちゃん「ラッキー……」ピクピク

アクア団1「よし! これで後は……」

マクノシタ「」フンフン!

アクア団2「? こんな時に筋トレか?」

アクア団1「構わねぇ! このままやっちまえ!!」

トウキ「ごめんな憂ちゃん、囮になってもらって」

憂「えっ?」

トウキ「あいつらがラッキーを集中攻撃している間にマクノシタに"ビルドアップ"をやってもらった」

憂「"ビルドアップ"?」

トウキ「その場で軽く鍛えて攻撃と防御を上げる技さ。 これであいつらに対抗できる」

アクア団1「いけーズバット! とどめだ!!」

トウキ「いけマクノシタ! "つっぱり"!!」

マクノシタ「」グッ

ズバット「!?」

マクノシタ「マクー!!」パパパパパン!

ズバット「シャア!?」

マクノシタ「マクー!!」パパパパパン!

ズバット「シャ、シャア……」バタッ

アクア団1「な!?」

トウキ「マクノシタ! "はたきおとす"!!」

マクノシタ「マク!!」バシッ!

ズバット「シャ!?」ビタン!

トウキ「"あてみなげ"!!」

マクノシタ「」ブン!

ズバット「シャ!?」

マクノシタ「マク!!」ドゴン!

ズバット「」ピクピク

アクア団2「え!?」

憂「す、凄い……」

トウキ「俺の勝ちだな」

アクア団1「く、くそ……」

トウキ「さて、それじゃあ……」

アクア団2「"くろいきり"!!」

ズバット「」ブワー

憂トウキ「!?」

トウキ「くそっ!? まだやるか!?」

憂「な、何も見えない……」

トウキ「こんなもの! マクノシタ!! "ふきとばし"だ!!」

マクノシタ「」ビュウゥゥ

憂「あっ穴が!?」

トウキ「"あなをほる"か……やられたな……」

憂「どうやって……」

トウキ「ズバット以外にもポケモンを持ってたってとこか……お?」

憂「あっ!」

トウキ「確かこれこの博物館に置いてあったものだよな?」

憂「これも……?」

トウキ「へへっ! 馬鹿な奴ら助かったな!」

館長「おーい! どうなった!?」


……………


館長「そうか、逃げられたか……」

トウキ「盗んだもの全部置いていっていきましたけど」

館長「ほ、本当か!?」

憂「はい、これですよね?」

館長「おぉ! よかった……済まないね君達にはどうお礼すればいいか……」

トウキ「俺は困った人を助けただけです。 じゃあそろそろ俺は帰りますね」

憂「じゃあ私も……」

館長「そうか……まぁ無理に止めないが……」

トウキ「それじゃ!」


……………


トウキ「さて、君はこれからどこへ行くんだ?」

憂「えっと私ですか?」

トウキ「流石に君についていく訳には行かないからな」

憂「えっと……トウキさんはどっちへ?」

トウキ「俺はあっちの海方面に行く」

憂「じゃあ私はあっちへ……」

トウキ「キンセツ方面か……もしそこのジムリーダーに会ったら俺のことよろしく言っておいてくれ」

憂「わかりました」

トウキ「それじゃあな、いい旅しろよ!」

憂「はい!」


……………


110番道路


憂「えーと……この分かれ道どっちに行けばいいんだろう……」

ラキちゃん「ラッキー」クイクイ

憂「どうしたの?」

ラキちゃん「ラッキー」ツンツン

憂「あの家の人に聞いてみようって?」

ラキちゃん「ラッキー」

憂「うーん……そうだね。 聞いてみようか」

ラキちゃん「ラッキー!」


憂「すいませーん! 誰かいませんかー!!」


シーン・・・


憂「……留守ならしょうがないかな」カチャ


ガチャ


憂「あれ? 開いてる? 留守じゃないのかな?」

ラキちゃん「ラッキー?」

憂「すいませーん!」


シーン


憂「……やっぱりいないのかな?」


憂「ん?」


キラッ


憂「今何か光ったような……?」

ラキちゃん「?」

憂「あの机の下に……」

???「ふふふ……」

憂「え!?」

???「我輩が机の下に隠れているのがバレたということはこのカラクリ屋敷に挑戦しにきた……そうだろう!」

憂「え? え?」

カラクリ大王「このカラクリ大王のカラクリ屋敷に挑戦しにくる若者が来るのは何年振りか……」

憂「あの……私は……」

カラクリ大王「おっと! 何も言わなくてもわかるぞ! ポケモンを出している時点で勝負する気は満々だというのが思いっきり伝わるぞ!!」

憂「あの……違……」

カラクリ大王「さぁ! 掛け軸の裏にある入口に入ってクリアしてみるがいい!!」ボン!

憂「き、消えた……」

ラキちゃん「???」

憂「あそこまで言われちゃったらカラクリ屋敷っていうのに挑戦した方がいいのかな……」

ラキちゃん「」コクン

憂「うん、行ってみよっか!」

ラキちゃん「ラッキー!」

憂「えーと……掛け軸の裏に入口が……」


……………


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最終更新:2012年09月27日 00:28