憂「律さんはSOS信号を出しながら部長として孤独と不安に押しつぶされそうになりながらも毎日を過ごしていた、しかし
一番気付いて欲しかった澪さんはそれに応えてくれなかった」

憂「それが許せなかった、だから律さんはこの世界で澪さんを順
応させず、これから何度も澪さんを苦悩させる事で罰を与えた、さっきまでの澪さんを見ればそれは分かるでしょう」

憂「だから律さんのその思いを受け責任を感じ罰を甘んじて受けるべきだと、私は・・・そう思います」

そう例えどんな理由でもどんな形でも罰は受けいらねばならないもの・・・そうだよねお姉ちゃん・・・・・・私はこの名が冠する通り憂苦していかなくちゃいけない



責任?そうだ私にも何も気付けなかった責任がある、だったら・・・


澪「それで律が満足するなら律の為を思うならそうする事が一番いい事・・・なんだよね?」

澪「そうだよな律・・・」



そうだ、それがいい
そう全てを決意した瞬間、突然無音と化した部室の扉が勢いよく開きよく通った声が部室に響いた、その声は私
のよくしっている声--・・・





「んなわけねーだろ」



澪憂「!!」

律「私は絶対に」

律「澪が私のせいで辛い思いをしていくなんて」

律「耐えられないしそんな事絶対に」

律「望んでいない」

憂「律さん!?」

澪「律何でここに?」

律「・・・・・・」

律「何でってそりゃあ」

律「澪が元気ないからさ、心配になって戻ってきてみたら話し声が聞こえてきてね、最初はあまりのとんでも話に何の冗談
かと思ったけど、口ぶりから察するにそうじゃないって思って全部聞かせてもらったよ」

律「自分がそんなくだらない事思ってたなんていますぐその自分を殴ってやりたいね」

憂「くだらないって、耐えられない程苦しかったから律さんはこの世界を願ったんでしょう!?」

律「そんな事いわれても、今の私にはそんなの分からないよ、たださ、自分が情けない奴だって、話を聞いてそう思ったよ」

律「まずそんな事を願ったってのが私の浅はかな所だよな、そんな願いに頼らなくても、私にはみんながいるのに、部長だか
ら相談できないだ?意地をはりやがって・・・情けない・・・」

律「少なくとも澪がそう思ってたなら私は相談してほしかったよ、澪だって私に相談してほしかっただろ?」

澪「あ、ああ」

憂「・・・・・・」

律「それにこの世にはさ、例え辛くても、そんな物に頼らず歯を食いしばって生きている人だっているっていうのに、そりゃあそ
の人達への冒涜だ」

憂「!!それはどうにでもなる人がいう戯言です、願いに頼らないとどうしようもない事だってある!律さんなら律さんだった
らそれが分かるはず」

律「なんでかな、ちょっとは分かるよ憂ちゃんの言っている事、頼らないとどうしようもない事だってある、人って弱いよね、だか
らこそ人は補い合って生きていく、それは幸せな事だよね、だからそんな幸せを分け与えて生きていけたら」

律「きっとそんな願いに頼らなくても、人が集い助け合えてどうにでもできる、自分の頭だけじゃなくみんなで考えて
一緒に強くなっていける」

律「それは人の可能性を広げるという事、可能性を広げたらどうしようもない事だってどうにでもできるかもしれない、それを
私はしなかったできなかった、だからこんな悲しい世界が生まれた、それは私の弱さだ」

律「だからさ澪がそんな弱い私をまだ部長として認めてくれるのなら前の状態に戻って諭し叱り前の私と共に歩んでやってく
れないか?澪がもし責任を感じてくれているのならその想いは罰とかそんなんじゃなく前の私を助ける事に使ってやってくれ
ないか?」

律「それになにより・・・この世界は誰も救われない・・・」


この世界の私達は救われない、軽音部が捻れていくこの世界は救われない、きっとそれは私達だって望んでないはずだ、
だから私が前の世界の律を助けれるのなら私もそうしたいし、そう思う

だけど・・・

澪「・・・一つだけお前の意見を聞かせてくれ、なぜお前は私を順応させなかったんだと思う?」

律「・・・・・・」

律「それは・・・多分私はこの世界を望みながらも心の奥底では本当はこんな世界を望んでいなかったんだと思う」

律「そもそも私の目的が、澪に部長としての辛さに気付き知って欲しいだけなら澪を順応させる事だけで事足りる、むしろ
その方が都合がいいはずだ、なぜなら澪が順応したならこの私田井中律自身が苦しんでたって事に澪は気付かなかった
し、元の世界に戻そうと思いつきもしなかった」

律「だけど私は澪を順応させなかった、それが意味するものは澪に何らかのアクションを期待した、だがこんな世界でできる
事なんて限られてくる、それこそ、世界を元の状態に戻す方法を探すくらいだ」

律「だから本当は心の奥底では私は部長としてみんなと一緒に過ごしていきたいんだと想う、その為に心の寄る辺として澪にそばにいてほしかった、"元の状態に戻って"助けてほしかった、それが私が澪を順応させなかったわけ・・・だと思う」

澪「りつ・・・」

そうだな・・・それに本当に私を苦しめる事が目的なら今の律はこうやって今世界を戻す事に一生懸命になってない、矛盾が生じる

憂「違う!」

憂「可能性を持つ事自体が可能性を殺している、受け売りですけど私もそう思う!だからそんな かもしれないなんて私
は要らない、願いに頼る事は悪くはない!」

憂「律さんのそんな自分勝手な解釈、どんな理由であれ自分が関係し発生した罰は受けなくてはならない!」

--私が私達のやった事を否定させはしない、今の私を否定させない!!

澪「憂ちゃん・・・?」

何だ?こんなにも感情を爆発させる憂ちゃんは初めてみた気がする・・・

憂「!」

憂「ぁ・・・」

憂「すいません・・・ごめんなさい・・・何でも・・・ないです」

律「憂ちゃん・・・」

憂「全ては澪さんが決める事、私が口を出す事ではありませんでした・・・少し傲慢でした・・・」

律「・・・・・・」

澪「・・・・・・」

憂「・・・澪さんどうするんですか?やはりお二人の運命は複雑に絡み合っているもの、答えを出さないといけません」

そう、自分の感性くらい自分できめなきゃな

澪「・・・・・・うん!」

今の律はああ言ってくれてる、私は前の律がまだ部長である事を少しでも望んでいるのなら助けてあげたい、私は私として律を部長として助けてあげたい、だから・・・

澪「私・・・私は戻りたい、律に孤独と不安を分けてほしい、律に逃げてほしくない、そして私も今度は間違えないように・・・踏み外さないように・・・律のそばにいたいし支えてあげたい」

律「澪・・・」

憂「そうですか、分かりまし」

澪「でも!」

律憂「?」

澪「今の部長から解放された律!お前は消えるんだぞ、部長を続けたいと思ってる反面、辞めたいと思ってるお前も少なからずいた、その果てがお前だ同じ律だ、どっちも同じ律、お前はそれでいいのか?お前が消えるなんて私は・・・」

律「はぁ、そんな事気にしなくていいのに、いや、だからお前はこの舞台に立ったのか」

律「澪、ありがとう、その気持ちだけでいい、その思いだけで十分だよ、その感謝の気持ちは元の私に受け継がれる、人は一度経験した事は忘れない、だから私は消えない、元の私だって今の私の中にいる、ならその逆も言えるさ、私の事は・・・気にするなよ」

澪「律・・・」

・・・やっぱりこいつは最高の部長で私の大事な親友だ

澪「・・・りつぅ・・・うぇぇ~ん」

律「よしよし」

澪「りつぅ~りつぅ~!!ごめんなしゃいありがとぉ~」

律「・・・昔から泣き虫だなあ」

澪「りつぅ~・・・」


・・・
・・・
・・・
・・・


憂「ごっほんごっほん!・・・もういいですか?」

律澪「あ、う、うん・・・」

憂「はい、なら方針は整った、なら次はそれを受け入れる結果を示しにいきましょう」

澪「ふぇ?」

憂「願いを打ち消して、皆が元の状態に戻る為の方策」

憂「ただまだ元の状態に戻る為の条件が整っていない、これから私がきく事がそれに関係しているのでよく聞いて答えて下さい」

澪「ぐす・・・う、うん」

憂「律さんの体に起こった変化は髪色だけですか?他に何か、何でもいい、教えてください」

律「え?髪色?それ澪も言ってたけど私どこか変わってるの!?」

憂「しー!話が複雑になります」

律「はい・・・」

澪「えっと、うーん」

澪「そういえば昨日律の眼に何か違和感を感じたというか怖かったっていうかおかしいっていうかなんか変な感じだった」

律「なんかそういう事いってたなあ、そんな変わってるかな」

憂「私から見るとそんな感じないですけど・・・普段あまり会ってないからかな、なるほど・・・黒髪に眼、他には?」

澪「それくらいだと思うけど」

憂「本当に?些細な事でもいいんです」

澪「やけに食いつくな」

憂「戦争になるかもしれないんです、慎重にもなりますよ」

律澪「せせ、戦争!?」

憂「ちょっと誇張してしまいました、冗談です、それより何かまだ私に話していない、不思議な・・・澪さんに起こった事でもいいんです」



澪「うーん」


私に起こった事?特に変化はなかったような・・・いや、待てよ・・・何か引っかかってるような

澪「・・・あっ!!」

澪「この世界になる前に律が部長を辞めるっていった後なんか体を縛られるような、変な感覚に陥ったような」

憂「縛られる・・・」

憂ちゃんは眼の前で眉間に皺をよせしばらく考える素振りを見せる。まるで推理をするような仕草だ、・・・そして何かを思いついたように左の掌をにぎった拳で叩いた

憂「そっか!」

澪「・・・?」

憂「うん、あれだ!」

澪「へ?」

一人で大きく頷いた後、憂ちゃんは時間を確認した後慌てたような様子で私にこう言う

憂「律さんを連れて今日の深夜2時に○×に来てください、いや余裕をもって1時40分、絶対に時間は厳守、2時半までには絶対に終わらせないといけない」

律「私も?!って当たり前か、ん、その時間って」

澪「え、何するんだ?その時間って・・・?怖いよ」

憂「怖いとかいってる場合ではないです、元の状態に戻って律さんを助けてあげたいんでしょう?それともさっきのは仮初の意志だったんですか?」

澪「違う!私は戻って律を助けたい!」

ん?何だろう違和感を感じる

憂「そうですか、ではお願いします、私は用意があるのでもう行きます」

澪「うん」

憂「あ!」

澪「ん?」

急いで部室から出て行った憂ちゃんはなぜかまた急いだ様子で引き返してきた、その様子に思わず苦笑してしまう

憂「・・・?目薬かしてもらえますか?眼が少し痛くて」


・・・

・・・

・・・

・・・丑三つ時・・・

澪「憂ちゃん」

憂「あれもう来たんですか?しかも一人で」

澪「う、一人で悪かったな、律は後からくるよ」

憂「恐怖を見限りましたか、畏怖は人の防衛本能の一種、見放しちゃいけない物なんですけど今回に限ってはそれもいい
と言えますね、邪魔にしかならない」

憂「頼んでおいた事はやってくれました?」

澪「うん、メールであった内容は全てしてきたし、持って来たよ、律にも言っといた、お風呂に入る、化粧をする」

澪「後水の入った水筒と勾玉、手鏡と指輪だよね、でもこれ何に使うんだ?」

憂「元の状態に戻す為に」

澪「言葉足らずだよ、ちゃんと説明してくれ」

憂「・・・・・・願いを願う者がいるなら願いを叶える者もいる」

澪「?」

憂「澪さん昔から人は心の平穏を保つ為に生き物を崇めてきました」

澪「ん?生き物?」

憂「そう、生き物、他の動物ではいる事すら認識し得ない人だけが持つ生き物、人はそれを・・・なんだろう・・・神様っていったほうがいいのかな、うん、厳密には違うけど多分それで合っている」

澪「・・・?」

憂「それらの生き物つまり神は人に崇えられ、恐れられ、好まれ、嫌われ、傷つけ、傷つけられ、助け、助けられ願われ、そ
して・・・]

憂「いつしか人に宿った」

澪「宿った・・・?」

憂「はい、つまり」

ここで憂ちゃんは一度会話を区切った、ジワリと汗が滲み自分の唾を飲む音が聞こえる・・・

憂「人の願いを叶えてきたのは人が創りだした自分自身に宿る神様」

--は?

澪「え・・・・・?ちょ、ちょっと待って話が突拍子すぎる、て事は律の願いを叶えたのは神様?!憂ちゃんはそう言ってるのか
?!」

憂「はい、その解釈で合ってると思います・・・人というものは常識に愛着を求める、想定外を信じろというほうが酷というものです、でも今は信じて
ください、それしか言えません・・・」

澪「ええ、うぅ・・・もしそうだとしたら・・・こ、こわい」

憂「・・・・・・」

憂「・・・ふう、これで落ち着いてください」

ギュッ

澪「え!?憂ちゃん何を//」

憂「お姉ちゃんがこうしてくれると私も落ち着きますから・・・だめでした?」

澪「あ、ううん、ありがとう・・・」

憂「・・・・・・」

憂「暖かい」

澪「え?」

憂「い、いえ」

憂「は、話を続けますよ?そ、そうして願われたのちその生き物はしがらみとして自分に似た特徴を人の体に跡としてつくる

憂「ほらよく言いませんか?この人は猫に似ているとか、あれは人が神に願ったのち付けられた痕跡、そういう人沢山いるで
しょう?」

憂「それは人が多岐に渡り世界を改変してきた証であり証拠、つまり人は誰でも律さんと同じような悩みを持ち自分に都
合のいい世界に変えてきた、この辺は話しましたね」

憂「でも、生き物、神様は滅多に姿を見せないし本当は人なんかの為にやたらと大きな力を使わないモノなんです」

憂「全ての願いなんて叶えていられませんしね、だから今回の律さんと澪さんみたいな特に力を使う大きな願いの実現は滅多にないと言っ
ていい、叶えているのは本当ははもっと小さな小さな願い達」

憂「しかし」

憂「律さんの願いは叶えられてしまった」

憂「だから律さんの願いを打ち破るには律さんに宿る神をどうにかせねばならない」

澪「な、も、もしかして神様をを退治するとか?」

憂「退治?なるほど面白い、でも違いますよ、しかりとしたシキタリと手順を踏み原因を説明した後
お願いすれば戻してくれますよ、礼節を弁える者には彼らもしかるべき対応をとってくれる、一応神様と言った所ですね」

憂「だから原因と神の正体を見極める必要があった、そして」

憂「その手順に必要なのが、その水の入った水筒と手鏡と勾玉、鏡は『知』 勾玉は『仁』、そしてこれ・・・『勇』の象徴・・・

そう言って憂ちゃんは地面に置き草臥れている細長い箱からある物を取り出す

澪「なななな?なにそれ剣!?」


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