・・・

唯「皆落ち着いた?」

澪「うん・・・」

律「ごめんな、澪むぎ・・・」

紬「ううん、私が悪いの」

澪「いや、私こそごめん・・・」

澪「なあ、私ちょっと私梓の家いってくるよ」

唯「私も行くよ、ね?りっちゃんもむぎちゃんも行こう?りっちゃんもあずにゃんの事嫌いなわけじゃないんでしょ?」

律「ああ・・・」

紬「もちろん」

・・・

ピンポーン

梓「はい」

唯「あずにゃん!さっきはごめん、みんなで謝りにきたんだ、出てきてくれないかなあ?」

梓「・・・ごめんなさい唯先輩、今は話したくありません、帰ってください」

唯「え?そんな事言わないで、あずにゃん!」

ブチッ

澪「梓・・・」

唯「・・・・・・」

紬「・・・・・・」

律「はぁ・・・じっとしてても変わらない、帰ろう、梓もああ言ってるんだ」

澪「ちょ、こうなったのは私達のせいなんだぞ、梓に謝って何とか分かってもらわないと」

律「私もさっきのはふざけすぎたしいいすぎたと思ってる、でも今は謝まれる時じゃないと言ってるんだ、時間が必要な時もあ

るだろう?」

澪「・・・・・・」

唯「・・・・・・」

紬「・・・・・・」

唯「そうだね、そういう時もあるかもしれない、かえろっか」

紬「うん・・・」

澪「分かった・・・それが必要な事であるなら・・・」

・・・

唯「あ、横断歩道の信号変わっちゃう」

律「やば、急げ!」

プップー

澪「あ」

紬「信号変わっちゃったね」

唯「澪ちゃんとむぎちゃん渡れなかったみたいだねー」

律「しょうがないな、待ってよう、私と唯なら突っ走ってくるだろうけどあいつらはそれをしないだろうしな、危ないし」

澪「はぁ・・・」

さっきの私は、どうしたら良かったんだろう、むぎに聞いてみようかな、私じゃ判断がつかないよ

澪「なぁ、むg」



『お前がそれを言うのかよ、部長のくせにお前が頼りないからこうなったんじゃないか』



!!いやダメだ、弱い所は絶対に見せられない、部長は頼りになる強い存在でいなくちゃいけない、私一人で考えていか
なくちゃいけないんだ、そうでないと強くないとみんなに愛想つかされちゃうよ・・・

紬「どうしたの?澪ちゃん」

澪「あ、いや、じっとしてたら寒いから早く信号変わらないかなって」

紬「うん・・・そうね」


・・・澪宅・・・

澪「はぁ・・・難しいよな、見てる分には楽だけど実際の立場に立つとそうじゃないって身を持って思い知らされた、律が部長
の時は一体どうしていたんだろう、どんな気持ちだったんだろう」

澪「あいつはこんなに私みたいに気にしないのかな、私が気にしすぎなのかな」

澪「自惚れじゃないけどあいつに見えているものは私にも見えると思っていた、私に見えるものはあいつにも見えると思った、
でもそうじゃなかったんだ、今日それが分かった・・・」

澪「はあ・・・律私は部長としてどうすればいい?」

・・・翌日学校・・・

唯「おいっすー!」

律「おいっす!」

紬「おはよう」

澪「おはよう、みんな梓から何か連絡・・・え?」

梓の事を聞こうと皆を見渡す、だが一人だけいつもと違う言葉では説明できない違和感を纏った人物がそこにいた

その原因を必死に探す、なんだ?どこが違う?そいつと眼があう、そして気付いた、その正体は突き刺すような射抜くような眼
、違和感の正体は・・・律のその眼だった

澪「り、律お前アイプチか何かしてるのか?」

律「アイプチ?いや別にしてないけどなんでそんな事いうんだよ?」

澪「いやなんか律の眼がこわいっていうか、おかしいっていうか」

律「おかしいのは澪ちゃんでございますですよ?」

澪「なんだとぉ」

律「唯私の眼なんかおかしいかな?」

唯「ううん、いつもと一緒だよ、澪ちゃんの気のせいじゃないかな」

澪「そうかな・・・」


・・・部活時間・・・

律「梓来ないな」

澪「むぎもこないな、先生に呼び出しでも受けてるのか?」

唯「むぎちゃんなら帰ったよ、さっき帰る所みたもん」

律「え、まじで?」

唯「まじまじ大マジだよ、なんか急いで帰ってたよ、あれ誰か連絡受けてないの?」

澪「受けてないけど・・・」

律「ええ、はやく言えよ!!でも連絡なしなんてむぎにしては珍しいな」

むぎこんな状態の軽音部が嫌で帰ったのか?いやただの用事だよな、多分・・・そうだよな

唯「むむ、なんかいきなり寂しくなっちゃったね軽音部・・・」

澪「ぁ・・・ごめん」

唯「なんで澪ちゃんが謝るのさ、変なの」

そうだ頭では分かっている、でも心が悪い方へと物事を考えてしまう、律が部長の時に上手くいっていた軽音部が私が部
長になった途端、ぎこちない方へと進路を向けた

もしむぎが急な用事ではなくみんなに見つからないように足早に早く帰っ
たんじゃないかとか、梓はもう完全に愛想を尽かしてこのまま疎遠になるんじゃないかとか。

律「今日はやる事ないしもう帰ろうか」

唯「そうだね、ね?一緒に帰ろう」

澪「ごめん、私はもうちょっと部室に残っていくよ、やりたい事があるんだ」

唯「そっかぁ・・・、じゃあ帰ろうかりっちゃん」

律「ああ、ちょっと帰り寄りたい所あるんだけどさ」

バタン

澪「・・・・・・」

澪「・・・・・・けっこう堪えるよ、むぎ、梓・・・」

澪「・・・うぅ」


・・・翌日・・・

唯「でさー」

紬「ええ」

はぁ・・・私からはむぎに昨日部活になんでこなかったか聞きにくい、誰か聞いてくれないかな

唯「そうだ、むぎちゃーん何で昨日部活こなかったの?何か特別な用事?」

おお、ないすだ唯、利用したみたいで気がひけるけど便乗させてもらおう

紬「あ、昨日はごめんなさい、ええ、急な用事が入ってしまって行けなかったの」

良かった、やっぱり急な用事だったんだ!

澪「そっか、なら仕方ないよ、じゃあ今日は」

紬「今日も・・・ごめんなさい」

澪「あ、そっか・・・今日も用事か、用事で来れないのは仕方ないよな、はは、いいんだ・・・」

紬「ごめんね、それじゃあ、授業の用意するから、またね」

澪「あ、ちょ」

そんな逃げるように行かなくても・・・それに理由も話してくれないなんて、むぎはやっぱり・・・

澪「・・・ぐす」


・・・部室・・・

律「なんで澪以外だれもいないんだ?梓はともかくとして唯とむぎまでいないなんてな」

唯まで・・・

澪「私が部長だからだよ・・・」

律「ん?何か言った?」

澪「何でもないよバカ律」

律「何でもないのにバカって何だよ、意味わからないし、ちょっとひどいぞ?」

意味が分からない?どうして気づいてくれないんだ、きっと唯とむぎは愛想つかしてこないんだ、梓ももう・・・私が部長だから


律「こんだけいないと練習もへったくれもないな、帰ろう、澪」

澪「帰らない」

律「何かお前おかしいな・・・大丈夫か?」

澪「・・・・・・」

律「はぁ・・・言ってくれないと分からないよ、もう私は帰るよ・・・じゃあな」

バタン

澪「・・・・・・」

澪「・・・辛い・・・」

澪「うぅ・・・泣きそうだよ」

澪「ぐす・・・ひっく・・・ひっく・・・りつぅ・・・」




憂「それは泣いてるっていうんですよ」

憂「泣いてるじゃないですか」

澪「!!う、憂ひゃ、ん!?」

憂「お姉ちゃん今日お休みするって伝えにきたんですけど澪さんがこうなっている事は存外でした、泣く事で気持ちが晴れる
なら泣くべきだと思いますよ、その方が物事を冷静に見定めれる」

澪「え?ひっく、唯は私に愛想つかじてごないんじゃ・・・」

憂「何の話ですか?お姉ちゃんは今日あの人達が帰ってくるからお休みするだけですよ」

澪「あの人達?」

憂「お父さんとお母さんです」

ぁ・・・私の勘違い、思い違いだったんだ、そうだ、普通にしてたら部活を休む事くらいあるじゃないか、それを私は唯は部活
がこんな状態だから楽しめないから来ないと勘違いして・・・


憂「あと梓ちゃんですけど先輩達にひどい態度とっちゃって部活に行きにくいちゃんと話し合いたいって相談うけましたよ、澪
先輩から手差し伸べてあげては?」

梓も・・・部活来てくれようとしてるんだ・・・

憂「律先輩がなんかしてくれたからこういう気持ちになれたとかなんとか言ってましたけど」

澪「・・・・グス」

憂「聞いてない・・・」

澪「ぐすっ、よがっだ、ちょっとだげ胸かしてもらっでも・・・ひっく、いい”?」

憂「はぁ・・・どうぞ」

澪「うっうっうぇぇん、憂ぢゃぁあん、憂ぢゃぁぁぁん」

ダキッ

憂「あっ、んん・・・」

澪「ふぇぇぇん」

憂「す、すいません・・・もうちょっと顔を右に・・・」



・・・

憂「もういいですか?」

澪「うん・・・ごめんね、みっともない所見せて」

憂「構いませんよ、周りに人がいるだけで助かる事もあるっていいますから私がいることで澪さんの気が紛らうなら」

憂「さて話は変わりますけど原因は掴めましたよね?」

澪「原因?」

憂「そう、澪さんがこんな状態になっている原因、もうそんな状態だから気付いてると思って」

澪「え?」

憂「そんなやり取りは不毛です、部室を訪ねると泣いている澪さん、何もなかったなんて言わせない」

憂「ふむ・・・そうですね、ここ最近澪さんに起こった事、感じた事教えてくれますか?後この世界が改変する前の出来事も
お願いします」

澪「う、うん」

私は数日前からここ数日の出来事、思った事を全て憂ちゃんに話した

律が部長を辞めると宣言した事、部長だから感じる大変さ、孤独感、不安感全てを打ち明けた、本当に色々な事を話した、ほんのちょっとの期間だったけどそれ程私は
様々な事を感じ取っていたのだと思う


憂「そうか、だから律さんは世界を」

澪「律?律がどうしたんだ?どういう事?」

憂「澪さんが部長として感じた事体現した事、それは律さんが部長の時に日頃から感じ恐れていた想像恐怖不信感、それが澪
さんへと降って来ている」

憂「つまり・・・恐怖に耐えられなくなり自分の苦しみを澪さんに押し付けた、律さんは部長としての責任から重圧から逃げ
たんです」

澪「な、律はそんな事しない、それにあいつは私と違って弱くないし律にとってはそんなささいな事で」

憂「そんなささいな事・・・?律さんは澪さんがいうそんなささいな事を3年も感じていた、その辛さが澪さんに全て分かるんで
すか?それに何か、律さんは弱くないからって責任から重圧から逃げちゃいけない理由でもあるんですか?」

憂「人をまとめる立場にある人は精神力が頑丈でないと潰れてしまう、自分から人が離れていく恐怖感、自分
の判断ミスで物事が上手くいかなくなる不安感・・・他にもある、それは思い入れが深い程、自分の首を絞める結果に繋がる」

澪「・・・確かに律は辛かったかもしれない、でもあいつは部長で私達を引き入んでそんな簡単に逃げていいもんじゃないだ
ろう!」

憂「そう、律さんもそう思っていた、だからこそ逃げてはだめだと思った、でもそれが逆に律さんを苦しめ、皮肉にも逃げさせる
口実になった」

澪「ならなんでそんなになるまでなんで私達に相談しなかっ」

澪「あ・・・」

澪『!!いやダメだ、弱い所は絶対に見せられない、部長は頼りになる強い存在でいなくちゃいけない、私一人で考えていかなくちゃいけないんだ、そうでないと強くないとみんなに愛想つかされちゃうよ・・・』

憂「律さんは頼りたくても頼れなかった、自分は部長だから、強い存在でないとならないから、だけど気づいてほしかったとも
言える、唯一無二の親友だけには澪さんにだけには」

憂「それが澪さんがこの世界で部長になった理由、これは律さんの独りよがり、澪さんに自分の苦しみを気づいてほしくない
が故に気づいてほしかった」

憂「心では重圧から部長を辞めたいと願っていた、だけど今まで感じていた楽しさから軽音部自体は続けたいと思っていた


憂「しかしあの人はそういう所では律儀な人格者だったという事ですかね、そんな虫のいい事は自分の中では通らない、だ
からケジメをつける為にあの日部長を辞め軽音部にはもう来ないと言った、しかしそれは律さんにとっては耐えられるもので
はなかった」

憂「だから願った、この世界を」

澪「そんな・・・じゃあ」

憂「つまりこの世界を改変し創りだしたのは・・・」



--律だった。


澪「・・・・・・」

憂「それで澪さんに落ち度はあったとはいえ突然軽音部に亀裂が入った、即ち必然、澪さんに気付いてもらう為に・・・でも
だとしたら」

憂「この世界は澪さんに苦しみを気づいてほしいが故に律さんによって定義づけられ創られた世界、今回の軽音部の一件
も一例であってこれを回避したとしても又、何度でも律さんが感じてきた全ての想像恐怖不信感を感じさせる為に澪さ
んに同じような事が降りかかる」

澪「そんな・・・じゃあ又軽音部がばらばらになる・・・」

憂「そう見て間違いないと思います」

澪「・・・・・・」

憂「落ち込んでるんですか?それともこの世界に自分を巻き込んだ律さんを卑下しているんですか?」

澪「分からないよ・・・」

これは私の素直な感情、混乱しているのだろうか、ただ胸の中を色々な感情がぐるぐると渦巻いていた

憂「そうですか、私は別に律さんがひどい事をしたとは思えない、なぜなら人は皆弱く自己中心的な生き物だし、皆同じような事をしてきたから、でもそれ故に長い歴史を携え世界を創ってきた、私言いましたよね?」

憂「"世界は割と頻繁に改変してる"って」

澪「うん・・・」

憂「数多の願いが交錯し、世界は変わってきた、いや、人が変えてきた、世界はそれについていくだけ、いつだって人は世
界を変えてきた、それは自然な事、摂理、だから私はこんな世界に不満はないし律さんに罪もない」

澪「じゃあ私はどうすれば・・・」

憂「この世界で生きてくか元の状態へ戻るかの二択です」

澪「元の状態に戻れる・・・?」

憂「律さんの願いを打ち消すっていった方が正しいですが・・・原因がはっきりしましたからね、まだやる事はありますが道は見
えていると言ってもいい」

憂「どちらを選ぶかは澪さん次第、全ては澪さんが決める事、でも敢て言うなら」

澪「?」

憂「澪さん何で律さんは澪さんをこの世界に順応させなかったんだと思います?」

澪「え?」

憂「それは、何も気付けなかった澪さんへの罰」

澪「罰・・・?」

あ、またこの違和感・・・


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最終更新:2011年01月19日 03:19