──音楽室

律「いやー。これで相手は3回気絶か」

和「そうね…唯にムギに、梓ちゃん…」

純「唯先輩のレベル2は…やっぱり『触れたものを壊す』っていう感じでしょうか」

澪「まぁ、私達のレベルの上がり具合からみたら、そうだろうな…」

和「レベルが1つあがるだけで大きく変わるものね…」

律「ムギのレベル2は…なんだろう」

純「テレパシーのボリュームを自由に変えれるとか」

律「あー…確かにうるさそうだなぁ。澪とかだと気絶しそう」

澪「す、するわけないだろ!」

和「でも、私達のレベルの上がり具合からして、そんな小さな変化じゃないでしょ」

律「そうだな…もっと恐ろしいものを考えておかないと…」

純「レベル2は恐ろしいですからね…」

律「私もレベル2になりたいな…」

澪「駄目だ」

律「澪のけちー」

和「梓ちゃんのも…中々想像がつかないわね」

純「千里眼…確かに、なかなか分かりませんね…」

律「よし…作戦会議だ…」

和「結局、憂の能力は『夢を見させる』か『記憶操作』でよさそうね」

律「ああ。少なくとも私は、能力が完全に封じられて、あんなことやこんなことされて、
  和が殺されるっていう場面を見た…」ブルブル

澪「うぅ…」

純「記憶操作なら、私が能力を忘れていた理由も分かりますね。
  発動条件は…触れるですか?」

律「いや、触れるだけなら、最初私が唯に扮装した憂にのしかかっていた時、能力をかけれたはずだ。
  だから…うーん…」

純「記憶操作されてるから、よく覚えていませんね…。
  とりあえず、近づきすぎには気をつけましょう」

澪「はぁ…誰にも近づきたくないよ」

律「いや、明らかにお前に一番近づきたくないぞ。みんな」

澪「律!」


──1年1組

梓「ご迷惑おかしましたです…」

憂「ううん、梓ちゃんのおかげで、私達はなんとか生き延びたよ!」

紬「梓ちゃんさすがだわぁ」

唯「あずにゃんのおかげだよ~」スリスリ

梓「や、やめてください!///」

憂「さて…全員そろった事だし、作戦会議しましょうか…」

梓「…そうだね。私もレベル2になったことだし…」

紬「私はレベル3よ~」

憂「……」

───……・・・
──・・・
・・・

憂「…と、こんな感じでどうかな…?」

梓「うん…今の段階では、それが一番いいかな」

唯「憂は天才だね!」

紬「天才だわぁ~」

憂「それじゃ…きっと、これが最後の作戦です…」

唯「うん…!」

梓「絶対に勝ってやるです!」

紬「それじゃみんな~」

唯梓憂紬「いくぞー!」


──音楽室手前、階段

唯『到着したであります!』

憂『お疲れ様、お姉ちゃん。これからはこっちの指示をしっかり聞いてね』

梓『今はまだ…全員中にいます。全員が奥の方で固まっています』

紬『会議通話便利ね~』

唯『それじゃ、ゆっくり、階段を上るよ』

憂『うん、出来るだけバレないようにね』

唯『任せて!』

唯『音楽室前到着!』

梓『全員中で作戦会議なようなことをしています…』

憂『お姉ちゃん、ちゃんと作戦は覚えてる?』

唯『覚えてるよ!』

紬『最初の一発が肝心よ~』

唯『うん…』

憂『それじゃあ、突入まで…5、4』

憂『3…』

憂『2…』

憂『1…』

唯「突入ッッ!!」

唯「使徒襲来!ヒラサワユイです!」

唯は扉を開け、叫ぶ。
中にいた四人は唯の奇襲に驚くが、すぐさま攻撃の体勢に入ろうとした。

憂『梓ちゃん!タイミングしっかりね!』

梓『うん…!』

律「相手は唯一人か!?」

梓『唯先輩!3秒前です!』

澪「知るかっ!」

梓『2!』

純「澪先輩!手を前に突き出しておいてください!」

梓『1!』

梓『0!!』

梓のカウントが0になるのと同時、唯は地面に向けて手を突き出した。
瞬間、純が思い切り念を込める。
そのタイミングは、まるで、先読みをしたかのように、同時であった。

──……・・・
─…・・・
・・・

───唯チーム、作戦会議時

唯「私のレベル2は、手に触れたものを破壊する!だよ」

唯「範囲や威力はある程度いじれるみたい。
  とにかく触れさえすれば気絶は確実だね」

梓「私のレベル2は、『対象の未来の視点を読む』です。
  今までの千里眼に加えて、望めば、その相手の数秒後の未来まで見ることが出来ます」

憂「……純ちゃんの能力は、時間を止める。っていう仮説だけどね…」

憂「きっとあれは、連発出来る物じゃない。
  連発出来るなら、私達が理科室から出る前に時間を止めるはず」

憂「それと、時間が止まっている間は、敵味方関係なく、他の全員は動けないはず。
  澪さんが時間が動き出してから能力を使ったから…」

憂「時間が止まった中で、動けるのは純ちゃんだけ…。それなら…」


・・・
─…・・・
──……・・・

ビキビキビキッ!

唯の手が地面にふれた瞬間。
音楽室の床は、瞬く間に粉々に砕け散った。

床はなくなる。
行き場を失った足は、そのまま重力に従った地面に落ちるのみである。

唯「」

しかし、唯達の体が、その場を動くことはない。
純によって止められた時間。
唯や律、澪、和に、止められた時間を動くことは許されない。

純「くそっっっっ!!!」

ただ一人、重力に従って落ちていく少女。
止められた時を移動することが出来る、純。

彼女だけが、止められた時間、無くなった床の下へと落ち進んでいく。

音楽室の下、ただ一人、先に到着した純。


純(私が止めれる時間の限界は…5秒!)


そして、その時が、来る。



純の上から、床、床の破片が落ちてくる。
その大小は様々。
音楽室の奥に位置していた彼女に、もう、逃げ場はない。

純「う、うわあああああああああああああ!!!」

唯「やっほーーーーーーーーい!」

唯は落下していた。
自分が壊した床と一緒に、一つ下の階へと勢いよく落下する。

澪「う、うわぁぁぁぁ!」

律「…くそっ!」

和「これにはさすがにびっくりね」

全員が下の階へと落下し、なんとか体勢を整える。
破片の下で気絶している純を見た律は、その状況を遅れて理解した。

唯「あっとひっとりー!」

これで、律チームの気絶数は4。
残された気絶は、もうない。

律「くそ…っ!」

唯「分かってると思うけど、私の能力は触れただけで壊せちゃうからね!」

和(触れただけって…厄介にも程があるわよ!)

唯がジリジリと近寄ってくる。
足場の悪いそこでは、走ることはできないようだ。

和「……律、澪!逃げて!」

律「いや、ここは三人で撃退するべきじゃ──」

和「向こうはまだ3回しか気絶してないのよ?
  こっちは触れられただけでゲームオーバー!
  私が遠距離で時間稼ぐから、早く逃げて!!」

律「──ッ!気絶すんなよ!和!」

和「馬鹿にしないで頂戴!」

律「澪、逃げるぞ!」

澪の手を引き、なんとか走りだす律。

唯「いかせないよ!」

それを止めようとする唯に向って、軽い衝撃波。

和「今のは溜める時間が無かったけど…
  次は大きいの当てるわよ、唯!」

唯「えへへ……面白いね、和ちゃん!」

本当は、両チームとももう後がない。
それを理解している唯は、攻撃より先に、防御のことを考える。
作戦が成功するためには、自分が生き残ることが大切だ。

和「これはどう!」

和は両手を合わせ、それから左手を唯の方向より少し下に向ける。
衝撃波が飛び、その反動で、唯の方向へと床の破片が飛び散った。

唯「効かないよー!」

唯は顔の近くに来た破片を、両手で触れていく。
次の瞬間には、手のひらサイズまであった破片は、
一瞬にして砂のごとく粉々になった。

和「……」

いつの間にか、律と澪は消えていた。
この部屋から逃げ出すことに成功したようである。

和「それじゃ…大きいの行くしかないみたいね…」

そう言って、和は自分の胸の前で手を合わせた。
衝撃の増幅。
憂に聞かされたそれを見た唯は、少し身ぶるいをする。

唯「……でもね、和ちゃん」

唯「私たちは、負けないよっ!」

そう言って、駆け出す唯。
目指すは和。
相手が衝撃を出す前に、自分の右手を出せば勝ちだ。

和(残念だけど…唯!)

和(私の衝撃は、ほぼ無間隔で増幅できるの)

和(だから…あなたがコッチに届く前に…)

和(私の衝撃が溜まる方が……早いッッッ!!!)


和「私は最近ねぇ、律ちゃん×澪ちゃんがいいと思ってるのよぉ。
  王道だって思うかもしれないけど、やっぱりそれが一番よぉ。
  恥ずかしがる澪ちゃんに、りっちゃんがどんどんアタックしたりするの!
  それで赤面する澪ちゃんに、りっちゃんはもう歯止めが利かないって感じね!
  でも、しばらくしたら澪ちゃんが反撃を始めるの!そこでりっちゃんは焦るんだけど、
  反撃を始めた澪ちゃんの前にはりっちゃんは無力!
  一気に形勢が逆転して、今度はりっちゃんが赤面!羞恥!興奮!
  あぁ~堪らないわぁ~!妄想が止まらないわぁ~!
  あ!でも今日思ったんだけど、唯ちゃん×憂ちゃんも堪らないわねぇ~!
  だらしないお姉ちゃん…でもそんなお姉ちゃんが大好きな妹!
  このシチュエーションだけで何杯もご飯が食べられるわぁ~!
  憂ちゃんはいつも狙ってるんだけど、中々手が出せないのよね!ね!
  でも、ある日我慢できなくなって…お姉ちゃんを襲っちゃうの!
  最初は訳が分からず攻められる唯ちゃんなんだけど、憂ちゃんの調教の甲斐あって、
  すっごくえっちな女の子になっちゃうのよね!ね!
  それで、今度は憂ちゃんが攻められて…恥ずかしくてたまんなくて、泣きながら
  お姉ちゃんに抱きつくのよね~。でも、唯ちゃんは本当はSの気があって、
  そんな泣き顔の憂ちゃんに発情しちゃうの!あぁ~~、堪らないわぁ~!!」


和(え、え、え、え???)


息が苦しくなる。
発言が止まらない、止められない。
息が苦しい。

意識がぼーっとしてくる。
酸素が、明らかに足りなくなる。

和(い、意識だけは保たなきゃ…!)

消えかけそうな意識の中、和はそれだけを考える。
気絶しちゃだめだ、気絶しちゃだめだ、気絶しちゃだめだ。

唯「和ちゃん~…そんな事、思っても口にしちゃダメだよ!」

自分の目の前に、唯。
あぁ、そういえば、唯がいたっけ──。


──……・・・
─…・・・
・・・

紬「私のレベル3は……テレパシーの強制音読!」

梓「うっわ。相変わらずしょぼそうな能力ですね…」

紬「むすー!これは私がテレパシーしたことを、その人に無理やり音読させる能力よ!」

憂「……いや、梓ちゃん…」

憂「これ、やっぱり、レベル3は最強だよ……」


・・・
─…・・・
──……・・・

唯「これでゲームセットだよ、和ちゃん!」

和の口は、いまだに止まることはない。
和の両手の衝撃は、右手に吸収されたまま、だらりとぶらさがっている。

梓『やっちゃってください!』

憂『お姉ちゃん!』

紬『でもねぇ、やっぱり王道で唯梓もいいわねぇ!
  あぁ、妄想が止まらないわぁ!止まらないわぁ!』

唯の右手が、和の顔に触れる。




唯「壊れろっ!」



──……・・・
─…・・・
・・・

唯「あれ?」

澪「……なんで私達、音楽室にいるんだ?」

律「まだ8時だし…なんでこんな早くにここに来てるんだろ」

和「何か用事でもあったかしら…?」

紬「なんだかすっきりしたわぁ…」

梓「…用事ないなら、授業に行きます?」

純「なんで私まで音楽室にいるんだーー!」

唯「はーあ、それじゃ教室にいこっかー」

律「そーだなー」

澪「今日はちゃんと宿題やってきたのか?律」

律「きーこーえーまーせーんー」

澪「律っ!」

紬「あらあらうふふ」

・・・
─…・・・
──……・・・


おわり