きょうしつ!

純「ほら、セキセイインコっているじゃん。こんぐらいの鳥で、言葉しゃべるやつ」

梓「そっちじゃないよ! ……でもなんで私? っていうか純ってインコ飼ってたっけ」

純「鳥なんて飼ってるわけないじゃん。ほら……あずにゃん2号いるし」くすくす

梓「もうその名前のことはいいじゃん!」

純「ってか梓って意外と気に入ってるよね、あずにゃん」

梓「うっさいなあ……あずにゃんのことはいいでしょ」

純「名前を付けるぐらいだし、ほんとに唯先輩のペットみたいだね」にやにや

梓「もう、純なんて知らないから!」

純「あはは、ごめんってば」

梓「で、なんで純が鳥の世話なの?」

純「んー、従兄弟の家がちょっと出かけるらしいんだよね。その間、世話する人がいないんだって」

梓「はぁ……最初に断らなかったの?」

純「前にあずにゃん2号預かってもらった恩があるっていうか・・・・」

梓「純ってそういうの気にする人だったっけ」

純「気にするっつーの! ……お母さんが」

梓「やっぱ気にしないんじゃん」


純「いいじゃんその話は。ま、お母さんが断りきれなかったってだけなんだけどね…」

梓「うーん…いいけど、私が勝手に預かっちゃっていいの?」

純「あ、その話はもう親戚の人にしてあるから。大丈夫みたいだよ」

梓「私が引き取る前提で話進めるとか…」じとーっ

純「あはは。でも梓って意外と動物好きそうじゃん?」

梓「こないだはこないだだよ。・・・・正直、あのときも唯先輩に迷惑かけちゃったし」

純「いいじゃんいいじゃん。あれがきっかけでよくうち来るようになったんでしょ?」くすっ

梓「それとこれとは話がべつー!」

純「まあまあ。とにかくさ、今回だけは許してよ。おねがい!」

梓「なんなのその拝むポーズは…はずかしいからやめてよ」

純「あっそうだ。これあげるから」ずいっ

梓「『スカイタワー コスモスケープ 特別招待券』・・・?」

純「ほら、村元駅前にこないだオープンしたプラネタリウム。福引きでお母さんが当てたらしくって」

梓「あー。みんな話してたね、すっごい混んでたって。……で、なんで2枚なのさ」

純「それは、その……使い道があるんじゃん? いい感じの」にやにや

梓「……断っていいですか」

純「冗談だってば!」あせっ


ほうかご!

唯「へぇ~、あずにゃん家にインコがくるんだ!」きらきらっ

梓「なんで唯先輩がうれしそうなんですか…」

唯「だってインコだよ? 人間の言葉しゃべれるんでしょ?! ねぇみせてよお…!」

律「だよなだよな! せっかくだしなんか覚えさせてみよーって!」

澪「おまえら、人のペットだぞ…」

紬「ねぇねぇ梓ちゃん、明日みんなで見に行ってもいいかなあ・・・・?」きらきらっ

梓(う…ことわりづらいぐらい目を輝かしてる……)

唯「ねぇーえ、あずにゃあん!」ゆさゆさ

律「たのむよあずにゃーん」ゆさゆさ

紬「おねがいあずにゃーん」ゆさゆさ

梓「律先輩まで! ていうかムギ先輩も?!」

澪「……あ、あずにゃーん」ぼそっ

梓「澪先輩もですかー?!」

梓「はぁ……わかりました。明日なら空いてますから、うちに来ていただければ」

唯「やったあ!」

律「よーし、じゃあ今からなに教えるか考えとこうぜ!」

唯「りょうかいです、りっちゃん隊員!」

澪「おいおい・・・・でも梓、いいのか? 結構な人数になっちゃうけど…」

梓「あ、大丈夫です。今日明日はお父さんもお母さんも出かけてるので、私ひとりなんですよ」

律「……ははーん」にやっ

梓「なっなんですか」

律「さては梓、一人じゃさみしいから私たちを呼んだな?」

梓「そ、そんなんじゃありません! 私は来年もひとりでできるもん!」

紬「まぁまぁ、いまは一緒にいようよ」にこっ

梓「は、はい…」


そのひのよる!

梓(純おそいな…)

ぴんぽーん

梓「やっときたし……はーい、いまあけまーす」

ガチャ

純「ごめんごめん、ソファーの誘惑が…」

梓「いいからあがって。さむいよ」

純「あー、わるいねー」

梓「で、その子が…」

純「うん。オスのセキセイインコで、名前がピー太」

梓「えっ」

ピー太「チュ チュ チュ」

純「ん? なんか言った?」

梓「いや、なんかすごいデジャブが…」

純「・・・・・あー。ギー太ねえ。はいはい、ピー太にギー太ねえ」にやにや

梓「なにその言い方」

純「べつにー? 梓っていっつも唯先輩のことばっか考えてるなあって、改めて」

梓「う……純にはいわれたくない!」

純「あははっ。……っていうか、もう意地はるのやめたほうがいいんじゃない?」

梓「……分かったこといわないでよ」

純「……つんでれだよなー、ほんっと」

梓「だれがさっ」

梓「ん……と。えさやりってこんな感じでいいのかな」

純「いいんじゃーん? あと、てきとうに水とっかえといて」

梓「適当って……」

ピー太「アリガトウ アリガトウ!」ぱたぱた

梓「……」

純「喜んでるっぽいよ?」くすっ

梓「……ふふっ」

ピー太「ピータ アリガトウ!」

梓「えっ」

純「……じ、自画自賛?」

純「じゃあ私帰るねー。明日ジャズ研で練習あるし」

梓「へー、日曜も集まるんだ……うちとは大違いだ」

純「軽音部は軽音部でいいとこあるじゃん」

梓「なに? どこ?」

純「え、ええーっと……その、自由奔放なとこ!」あせっ

梓「……無理したでしょ」

純「そんなことないってばー。ほら、はたから見てると五人の演奏って――」


ピー太「オハヨウ!」

梓「今?!」

純「こんにゃろー! いいこと言おうとしたのに!」

ピー太「アリガトウ!アリガトウ!!」

純「ほめてませーん!」

梓(純が鳥に翻弄されてる…)

純「はぁ…なんかムダに体力つかっちゃうから帰るね……」

梓「あ、うん……お疲れさま」くすっ

純「なんで笑ってるのっ」

梓「だって、インコ相手にムキになってるのが……ぷふっ」

純「こいつ態度がわるいんだよお! むかつく!」

ピー太「ウルサイ!」

純「うるさいのはおまえだー!」

梓「あはは、わかったわかった。じゃあ、月曜に学校でね」

純「はぁ……じゃあ、ピー太のお世話よろしくね」

ガチャ

梓「ふぅ…やっかいなこと引き受けちゃったかもなー」

ピー太「アリガトウ!」

梓「あはは…」

梓「……しずかだなー」

ピー太「……」

梓「純がいなくなった反動かな……」

梓「………」

梓「やっぱ一人だと…うちって広いよね」

ピー太「……」

梓「……」

梓「――だめ! 来年も軽音部一人でもがんばっていくんだもん!」

梓「……はぁ」

ピー太「……」

梓「ギターでも弾こうかな…アンプつながなきゃいいよね」

ピー太「~♪」

梓「あれ、ピー太もうたうの?」くすっ

ピー太「~♪」

梓「ふふっ、なんか唯先輩みたいだね」にこっ

梓「……」

ピー太「……」

梓「じゃあ、ふでぺんぼーるぺん」

梓「…うぃず、ぴーた。なんちゃって」

ピー太「アリガトウ!」

梓「……えへへ」


梓「そろそろねよっか、ピー太」

ピー太「オヤスミ!」

梓「…………あ、ず、さ」

ピー太「……」

梓「わたしの名前はねー、あずさだよ。あ、ず、さ」

ピー太「……」

梓「……あはは、そんなにすぐ覚えないか」

梓「あした唯先輩来たらどうしよっかな…」

梓「……」

ピー太「オハヨウ! ユイセンパイ」

梓「気が早いよ?!」

梓「でも、あたまいいんだねピー太。すぐ覚えちゃったね」

ピー太「アリガトウ!」ぱたぱた

梓「えへ、どういたしまして。……唯先輩もこれぐらい音楽用語おぼえてくれたらなー」

梓「唯先輩、ちゃんとやればすごいんだからもっと努力しなきゃだめだよ…」

梓「……ふわぁ…」

ピー太「……」

梓「いっしょにねよっか、ピー太」

ピー太「~♪」ぱたぱた

梓「あはは、夜おそいからしずかにね」


あずさのへや!

梓「ふぅ……あ。メール来てた」

梓「憂からか…」

 憂〔お姉ちゃんが誘ってくれたんだけど、あした私も梓ちゃんち行っていいかな?〕

梓「ふふ、家でも唯先輩話してたんだ…」

梓「そーしんっと」

ピー太「アリガトウ!」

梓「ピー太もうれしいの?」

ピー太「オハヨウ!」

梓「……まちどおしいんだね」くすっ

梓「ふぅ……じゃあ、おやすみピー太」

ピー太「オヤスミ!」ぱたぱた


梓「……すぅ…」

ピー太「……」

梓「…すぅ……」すやすや

ピー太「……」

梓「…ぃせんぱぁい……」

ピー太「……」

梓「……ゆいせんぱ……すきぃ……」

ピー太「……」

梓「……はなれちゃ……やだよぉ…」

ピー太「……」

梓「……いすきぃ……すぅ…」

――――――
――――
――

ゆい「それじゃああずにゃん、けいおんぶのことはまかせたよっ」

あずさ「まってください、ゆいせんぱい! まだ…」


ゆい「あずにゃん、どうしたの・・・・?」

あずさ「……なんでも、ない、です」

ゆい「……へんなあずにゃん」くすっ


ゆい「それじゃあ私も時間だから。またね」

あずさ「そんな、そしたら私、ひとりに――」

ゆい「だいじょうぶ。ぎゅー」

あずさ「・・・・だきしめないでよぉ」

ゆい「…?」くすっ

あずさ「だきしめられたら、離れられなくなっちゃう……」

――
――――
――――――

梓「……うぅ」

ピー太「オハヨウ!オハヨウ!!」ぱたぱた

梓「あれ、もう朝………わ。もうこんな時間!」

ピー太「オハヨウ!」

梓「ありがと、起こしてくれたんだ…」くすっ


梓(……最近、あの夢ばっかり見る…)

梓(………)

梓「……だめだってば。先輩方も受験ちかいんだし、私もしっかりしなきゃ!」

梓「……メールしたし、もう少ししたら来るかな」

ピー太「……」

フワッフワッターイム♪

梓「あ……唯先輩、おくれてくるんだ……」しゅん

梓「……へぇ、憂がお菓子もってきてくれるんだ。楽しみだな」

ピー太「……」


梓「そろそろ憂がくるかな…」

梓「じゃあね、ピー太。先輩たちの前ではいい子にしてなきゃだめだよ?」



ピー太「・・・・・ユイセンパイ、ダイスキ!!」ぱたぱた

梓「なっ……えええっ///」


梓「なっなんて言葉おぼえてるのさ!//」

ピー太「ユイセンパイ、ダイスキ!」ぱたぱた

梓「あぁ…うああ……どうしよ、このままじゃ先輩がくるよぉ……」

ピー太「ユイセンパイ ハナレナイデ!」

梓「もっもうしずかにしてよお!!」うるっ


梓「と、とにかく落ちつかなきゃ…」

梓「そうだよ、言葉を忘れさせる方法を探さなきゃ!」

梓「でもお父さんの部屋のパソコンって……」


ピー太「ユイセンパイ ダイスキ!」

梓「いっいまは緊急事態だよね」あせっ



おとうさんのへや!

梓「……」かたかた

梓「……」かたかた

梓「……うー、ぜんぜんヒットしない…」

ピー太『オハヨウ!』

梓「こっちの部屋まで聞こえるし…」

梓「……先輩たちが来るまでになんとかしなくちゃ」


ぴんぽーん

梓「ええっ、もう?!」

梓「ど、どうしよう…あんまり待たせるのもよくないし……」そわそわ

梓「…でも……」


梓「…時間がないよぉ……」

ピー太『オハヨウ! オハヨウ!!』


ぴんぽーん


梓「……とにかく、行かなきゃ…」しゅん

ガチャ


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