たどたどしく、憂が言います。

 私は憂のうなじをすりすり撫でてあげます。

憂「私、お姉ちゃんのおねしょした後、ずっとその掃除……してきたよね」

唯「そうだね。いつも感謝してるよ」

憂「その掃除ってね、いつも……シーツを外して、敷ぶとんをぎゅって押して……」

憂「それから……しみ出たお姉ちゃんのおしっこを、ちゅうーって吸って、始めるの……」

唯「へ?」

 憂を撫でていた私の手が、動かなくなりました。

憂「お姉ちゃんがシャワー浴びてる間にちゃんと歯磨きしてたから、キスはばっちくなかったよ」

唯「あ……そ」

 私は、憂の告白を、もういちど頭の中で再生します。

唯「そ……それってさぁ」

憂「うん。……おいしいの」

唯「どうして、おいしいの?」

 声が震えます。

憂「……おねえちゃんのこと、好きだから。……おいしいんだと思うよ」

 ごくん、と喉が鳴りました。

 おしっこの味はずいぶん薄まったように感じます。

 でも、いちおう訊いておきましょう。

唯「うい。……キスしていい?」

憂「……ん。いいかな」

 ちょっとだけ迷ったみたいですが、憂は小さく頷いてくれました。

憂「おしっこの味がするちゅーっていうのも……今までと違ってるから、いいかもしれないね」

 今までというのは、憂がおしっこするために重ねてきた、

 恋人じゃない私たちのキスのことでしょう。

唯「いやだったら、離れていいからね?」

憂「気持ちの問題だから。味はもう慣れてるし、大丈夫だよ」

唯「……うい」

 私は体をちょっと後ろにもっていって、

 憂と見つめ合います。

憂「……ん」

 憂が目を閉じました。

 私もしずかに、目をつむります。

 口の中は、おしっこの匂い。

 憂の愛液が垂れた便器からは、かすかな刺激臭がのぼっています。

 そっと顔を近づけます。

唯「んむ」 

 わたし達の恋人としてのファーストキスは、トイレの中でやさしく触れ合いました。

憂「ん……ちゅっ」

 かすかな水音といっしょに、くちびるが余韻を残して離れます。

唯「……ふふ」

憂「えへへっ」

 なんだか照れくさくて笑ってしまいました。

唯「ありがとね、憂」

唯「……だーいすき。ぜったい離してあげないからね」

憂「ぜったい離れないもんっ」

 楽しげに憂はほっぺたをふくらまします。

憂「それに……離れられないもん。おしっこができなくなっちゃう」

 そう言われて思い出しました。

 憂のおしっこの問題が、とんでもなく悪化したことを。

 そして、ふと疑問が湧きます。

唯「……そういえば、憂はどうしておしっこの問題を治そうって言ったの?」

憂「ん……お姉ちゃんが、私のおしっこの世話大変だって言うし……」

 どうやら、私のほんのごまかしの言葉が原因だったみたいです。

 でも、おかげでこうして憂と恋人になれたのですから、

 私の嘘もたまには良い方向に転がるみたいです。

 嘘も小便、ですかね。

唯「ごめん……てれくさくて言えなかったんだ」

唯「ほんとは憂のおしっこのお世話、大好きだよ。憂にお世話してもらうのも」

憂「へへ……私も大好きなんだ。お姉ちゃんのおしっこ」

唯「もうー憂ってば……」

憂「ごめんごめん。お姉ちゃんが大好きだよ」

 むくれると、憂がやさしくちゅーをしてくれました。

 怒った顔を続けようかなと思ったけれど、やっぱり笑顔になってしまいます。

唯「えへへぇ……」

 もっとちゅーをしたいけれど、先に問題を片づけた方がよさそうです。

 後回しにすると、忘れっぽい私は放置しかねません。

唯「……それで、憂のおしっこのことなんだけど」

唯「なんていうか、その、余計大変な状況になってない?」

憂「う……やっぱり、大変?」

 憂がばつ悪そうな顔をします。

 言葉を選ぶべきかとも思いましたが、実際大変なのは変わりありません。

唯「さすがに毎朝と夕方エッチしてたら、憂が疲れちゃわない?」

憂「ん、うーん……確かにそれはそうかも」

 ああ、憂が1日2回以上オナニーをしてたりしなくてよかったです。

唯「なんとかしよ、憂」

憂「……そだね」

 憂はちょっとだけ不服そうにも見えましたが、こくりと頷きました。


――――

憂「お姉ちゃん、いい?」

 夕食を食べ終えた後、水分を多めにとっていた憂が軽くもよおしてきたようでした。

 私の服の袖を引っぱって、胸にすり寄って甘えてきます。

唯「おしっこしたいの?」

憂「うん。……あ、でも」

唯「なに?」

憂「どうしよっか、あの……おしっこの出し方」

 憂は恥ずかしそうに顔を赤くしています。

唯「そうだね……休みのうちだからいいけど、平日は厳しいよね」

 私はいっこうにかまいませんが、憂が大変です。

 それに朝は家で済ますことができますが、

 夕方のおしっこは私が部活を始めて以来、学校のトイレでしています。

 学校でエッチなことをするのは少々危険が伴うと思いました。

唯「おしっこが出せる時に、いろいろ試した方がいいね」

憂「……だよね」

 憂の声が沈みます。

唯「それともエッチがいい?」

 その様子に勘付くものがあって、私は憂の首筋をそっと撫でてみました。

憂「ちがうもーん……」

 ぴくん、と背中を反応させつつも憂は口をとがらせます。

 あくまで普段は、えっちな子だとは認めてくれないみたいです。

唯「じゃあ、トイレでちょっと考えてみようよ」

憂「うん。いこっか」

 肩をぽんぽんと叩き、一緒に立ちあがりました。

 手をつないで、歩幅を合わせて、二人でトイレに入ります。

 別に家に誰がいるわけでもありませんが、しっかりと鍵をかけます。

唯「よいしょ」

 便座に深く腰掛けて、すこし脚を開きます。

 ももの上に憂が座ってきます。両腕でお腹をぎゅっと抱きしめました。

唯「んー……さてと」

憂「重くない?」

唯「重い? ううん、ぜんぜん」

 そんなことより、憂のおしっこの出し方について考えなければなりません。

 いちおう明日も休日ですが、早くやるに越したことはありません。

 憂のおしっこを飲むだけでなく、いろいろやってみたいこともあることですし。

唯「さっきって、どんな感じだったっけ」

憂「さっき……夕方?」

唯「うん。憂はどんなふうにおしっこしたかなって」

憂「さっきのは……お姉ちゃんがしーしーって言ったらおしっこしたくなったけど」

唯「舐めてる時?」

 最初にちゅーをしながらしーしーを言った時は、憂のおしっこは出なかったはずです。

憂「うん、あそこ……お姉ちゃんがなめてたときに、しーしーって言ったら急に」

唯「ふむ……」

 カギはどうも「しーしー」にあるようです。

 本当は重要なのはキスよりも、あの促しだったのではないかと一瞬思いましたが、

 その前にしーしー言ってキスをしていました。

 結果として、それでも憂はおしっこを出せなかったのです。

 しーしー言うだけが、憂のおしっこのスイッチになっているわけではなさそうです。

唯「そういえば、お昼前のときは……しーしーって言わなかったよね」

憂「お昼の時は……うん、なんか急に我慢できなくって……」

 憂が口ごもります。抱きしめている憂の体が熱くなります。

 私もなんとなく、吐息が熱くなったような気がしました。

唯「……憂を気持ちよくしてあげたら、おしっこできるのかな?」

憂「んと……」

憂「そ、それじゃ大変なのは変わらなくない?」

唯「あっ、そっか……」

 遠回しにえっちの誘いをかけてみたのですが、断られてしまいました。

 いま大事なのはそれじゃないのだし、仕方ありません。

唯「でも、憂が気持ちよくなるのが関わってるってのはありえそう……」

憂「そうかなぁ」

唯「そうだよ。だって、二回目はしーしーって言って舐めたらおしっこが出たんだし」

 言いながら、私は考えがまとまっていくのを感じました。

唯「……一回、おしっこを出させることができれば」

唯「二回目からは、それプラスしーしーでおしっこが出せるんじゃないかな……」

 これまでのことから推測すると、ありえない説ではなさそうです。

 憂のおしっこのスイッチは、ある行動に加えて「しーしー」とささやくこと。

 最初はキスだったそれが、原因は分からないけれど

 おしっこの穴をなめてあそこに指を入れることに上書きされてしまったんだと思います。

憂「……でも、どうやって一回目のおしっこを出したらいいのかな」

唯「んー、問題はそこだよね」

 それを簡単なこと……たとえば「うい」と呼んであげる、などに上書きできれば、

 私が付き添わなくても電話をすれば憂はおしっこをできるようになるでしょう。

 しかし、どうすれば上書きを行えるのでしょうか。

唯「お昼のときさあ、憂がおしっこしたくなったとき、どんな気持ちだった?」

憂「どんなって……」

 恥ずかしそうに、憂は腰をくねらせました。

憂「ん、うーんと……すごく、気持ちよくって……」

唯「よくって?」

憂「私のあそこ、一生懸命ペロペロしてるお姉ちゃんが、かわいいなぁって……思ってたかな」

唯「……えへぇ」

 憂をぎゅっと抱いて、首筋にキスをぶつけます。

 かわいいなんて言われたら、うれしくなってしまいます。

憂「もっ、おねえちゃ……ふぁっ」

 すこし腕を回した位置を上にずらします。

 柔らかい感触の向こうで、とくとく心臓が鳴っているのが分かります。

 愛しいリズムです。

憂「……もう」

唯「うい、だいすき……」

憂「……うん、ありがとう」

 そう答えてから、憂はすこし考えこむようにうつむきます。

憂「……そう、かわいいんだ」

唯「うい?」

 のぞきこむと、憂はなにかはっと気付いたような目をしていました。

憂「お姉ちゃん、わかった。……気がする。おしっこの出し方」

唯「ほんとに!?」

 憂はこくりと頷きました。


憂「あの日……のことなんだけど」

唯「5年前のお正月の?」

憂「うん。あの日、お姉ちゃんとキスしたときも同じだった」

 憂は両手の指を胸の前で重ねています。

憂「ちゅーした時……お姉ちゃんがすっごく可愛くって」

憂「こんな可愛いお姉ちゃん、ずっと見ていたいって思ったの」

唯「んー……ぁはは」

 遠慮のない褒め言葉に、思わず赤面します。

唯「えと、それで?」

憂「ボトルに詰めたおしっこを飲んだって時も……ごめんね」

憂「苦しそうにしてるお姉ちゃんが、かわいいなって思ってた」

唯「……」

憂「それで思ったんだけど……わたし、可愛いお姉ちゃんが見たいんだと思う」

唯「どゆこと?」

 私は首をひねりました。

憂「あの日、私がおしっこしたことで……まあ、全部そのせいとは言えないけど」

憂「おしっこのおかげで、可愛いお姉ちゃんが2回も見れた」

憂「だから私はたぶん……そういうお姉ちゃんが見れないと、おしっこしたくなかったんだと思う」

唯「ちゅーの後とか、あそこを舐めたりとか?」

憂「……そういう感じかな」

唯「……」

 憂のうなじに顔をうずめます。

 息を吸い込むと、髪のやわらかい匂いが鼻を埋め尽くします。

 おしっこの臭いも好きですが、こういう憂の匂いも嗅いでいると落ち着きます。

唯「そっか……なんとなくわかったよ」

唯「つまり、かーわいいお姉ちゃんが見れれば、憂はおしっこできるってことだね?」

憂「ん、たぶん……」


 その説が正しいとしたら、これほど簡単なことはありません。

 私は首にキスしてから、憂の赤い耳をくちびるで撫でます。

唯「いいよ、うい。可愛いわたしなら、いつでも見せてあげる」

唯「……憂がおしっこしてくれたら、私は幸せになれるからさ」

 ちろりと舌を出して、耳の輪郭をなぞります。

憂「ふあ……」

 耳のくぼみにくちびるを押しつけて、私は小さくささやきました。

唯「うい……私のために、おしっこして」

憂「……んん」

 ぷるっと憂が体を震わせました。

憂「あ……おねえちゃん、出ちゃう……」

唯「おしっこ? いいよ、しーしーしちゃって」

憂「ま、まだ服穿いたまんまだから……待って」

 憂のほっぺたを両手で挟んで、こちらを向かせます。

唯「うーい……んっ」

 あわててズボンを下ろそうとしている憂にキスします。

 一生懸命に股のところで手を動かしていますが、うまくホックが外せないみたいです。

憂「ん、んみゅ……ぷぇっ」

 舌を入れてみますが、息で吐き出されてしまいました。

 私の膝の上でおもらししてほしいとちょっと思っていたのですが、

 その間にするっとズボンとパンツを脱いでしまったようです。

唯「んー」

 くちびるを突き出してキスをせがみますが、憂はさみしそうに私を見るだけです。

憂「お姉ちゃん、だめだよ……ちゅーしながらじゃ、ひとりでできたことにならないから」

唯「あ……そっか」

 すっかり忘れていました。

 ひとりでおしっこするための訓練ですから、ここでちゅーしてはいけません。

唯「そしたら、私がここにいるのもまずいんじゃない?」

憂「そうだけど……」


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