~一ヶ月後

律「ところでだ」

澪「どうしたんだ、練習しないのか?」

律「澪、梓 お前ら付き合ってるんだよな?」

澪「ああ///」

梓「そうですが」

律「これまでは聞かないでいたんだが」

紬「あなた達ぶっちゃけどこまで進んだの?」

澪「す、進んだって・・・///」

紬「A?B?それともC?」

梓「いやいやいやいやいや」

紬「何が違うのよ!」

紬「愛し合ってる二人ならそれが自然よ!」

チクリ
『愛し合ってる』に少し胸が痛んだ。

澪「アイシアッテル///」

梓「その・・・」

梓「手を繋ぐまでいきました」

唯「えっ?」

律「えっ?」

紬「えっ?」

澪「それに私たちは映画館デートもしたんだぞ///」

梓「そうですよ」

紬「内容を詳しく話して」

澪「えっと、まずは昼食をとって」

梓「その後に映画を見に行きましたね」

澪「見終わった後は洋服の買い物に行ったよな」

梓「ええ、そうでしたね」

紬「それでその先は?」

澪「その先って・・・それで終わりだぞ」

梓「夕ごはんまでには帰らなければいけなかったですしね」

紬「・・・ハァ」

紬「それじゃあ何の映画を見たの?」

梓「それはあれです」

澪&梓「ハリー・ポッター」

そう答えた後、ムギ先輩から恐ろしい波動が出た、気がした。


紬「それは友達って言うのよ! と・も・だ・ち!!」

紬「あなた達付き合ってもう一ヶ月もたつのよ!」

紬「それなのにまだ手を繋いだだけってどういうことよ!」

唯「ムギちゃん怖い・・・」

紬「これじゃありっちゃんや唯ちゃんととってたスキンシップのほうが遥かに激しかったじゃない!」

梓「!」

なんでなんだろう。
唯先輩に抱きつかれていた自分を思い出して、私は・・・。

澪「私たちには私たちのペースがあるんだ」

澪「今のままでも十分お互いの気持ちがつながってるよな梓?」

梓「・・・」

澪「梓?」

梓「! はっ、はい! なんでしょう?」

澪「どうしたんだ?」

梓「すみません・・・少しぼーっとしていました」

私のこころの中ではひとつの疑問が渦巻くようになっていた。
決して周りには言えない疑問。
私は本当に澪先輩のことを恋愛対象として好きなのかと。



そんなある日、唯先輩が放課後こなかった。
音楽室に行って聞いてみると学校自体を休んでいるみたいだった。
前も風邪で休んでいたことがあったので今回も風邪引いたのかなと思った。

紬「唯ちゃんったら今日のテスト休んじゃってだいじょうぶだったのかしら」

律「むしろ唯のやつそれで休んだんじゃないのか」

澪「いくらなんでもテストくらいで学校を休まないだろう」

紬「それにそんなことで休もうとしたら憂ちゃんにおこられちゃうわ」

澪「そういえば梓、憂ちゃんはなにか言ってなかったのか?」

梓「熱っぽかったから休ませたそうですよ」

澪「そうか」

律「まあたまには欠席することくらいあるさ」

律「そのおかげで今日のお菓子は量が増えたし♪」

必要以上に特には誰も気にしていないようだし、私も特には気にしていなかった。
風邪が流行っているのか教室でもちらほらと空席が見えていた。



~一週間後

ガチャッ
梓「こんにちはー」

律「おー」

紬「いらっしゃい」

梓「今日も唯先輩はきてないんですか?」

澪「ああ・・・もう一週間になるな」

律「流石に心配になってきたな 今日辺りお見舞いにでも行くか」

紬「私友達の家にお見舞いに行くの夢だったの」

澪「どんな夢だよ・・・」

律「そういや憂ちゃんは何か言ってたか?」

梓「唯先輩の風邪が長引いてるとしか」

澪「あーやっぱり風邪か」

紬「最近流行っているわよね」

律「私たちも気をつけないとな~」

澪「そうそう他人事じゃないぞ 気をつけろよ梓」

梓「はい」

その日もいつも通りに練習をした。
ただやはり唯先輩がいない軽音部には活気がなく、活動を早々と切り上げてお見舞いに行くことにした。

ピンポーン
憂「はーい」ガチャッ

梓「唯先輩のお見舞いに来ました」

律「唯のやつは大丈夫なのか?」

憂「お姉ちゃんは風邪ひいて寝込んでいます・・・」

澪「やっぱりそうか・・・」

澪「今唯が寝てるようならまた後日来ることにするけど今大丈夫そうか?」

憂「ちょっと待っててくださいね」

憂「今起きていますのでみなさんお姉ちゃんに会ってあげてください」

律「ほいよ」

紬「お邪魔します」

憂「っとその前に」

梓「?」

憂「みなさんに風邪をうつしちゃいけないのでマスクとビニール手袋をどうぞ」

みんな「で、できた子だ」

コンコン
憂「お姉ちゃん入るよー」ガチャッ

みんな「おじゃましまーす」

唯「おーみんなよく来たねぇ」ゴホゴホ

憂「それじゃあ私は下で家事続けてるね」

そこにはベッドに寝込んで入る唯先輩がいた。
机の上にはあまり箸が進んでいないお粥と封を来られた飲み薬の袋があった。
ふと私は力なく病床についている唯先輩を見て言いようの無い不安感に襲われた。


律「ん? どうした梓、真っ青だぞ」

唯「ひょっとしてあずにゃんも風邪ひいてるの?」

そこで私は我に帰った。
いけないいけないとカブリを振って唯先輩を見つめた。

梓「いえ・・・なんでもありません」

律「それにしても唯が元気ないとどうも調子狂っちゃうよな~」

こんなのはとっさに出た言葉に過ぎない。
言いようの無い、得体の知れない不安感はまだまだ継続中だった。


紬「唯ちゃんお見舞い品よ~」

律「うわー」

澪「これは」

梓「すごいですねぇ」

ムギ先輩がずっと袋に入れていたそれを取り出すと皆顔の色が変わった。
中から出てきたのはメロンだった。
まるまると大きく、完璧に熟しきっているであろうメロン。
きっと私たちが値段を聞けば死に目にすら送るのをためらうほどの超高級品なんだろう。

唯「おー」

唯先輩は目をキラキラさせて言葉を失っているほど感動している。
私たちですらあのメロンには心を奪われるほどなのだから甘いもの好きの唯先輩にはまるでお菓子の家のように魅力的すぎるのだろう。

唯「ムギちゃんありがとう!」

紬「いえいえ~」

唯「私今すぐ食べたいよっ」

唯「みんなで食べようよ!」

澪「だがこれは切る必要があるぞ」

律「それに私たちが帰ってからなら取り分が多くなるぞー」

唯「ううん、私はみんなといっしょに食べたいよ」

梓「それじゃあ私は憂に切ってもらうように言ってきます」

紬「お願いしますね」

私はそのずっしりとして身がつまっていることを全体で主張しているメロンをもって憂のところに行った。


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