それから数日!

唯「はあー……」

律「で、それ以来梓から避けられてると」

唯「そうなんだよ……」

澪「梓、部活にはちゃんと来てるけどな」

律「たしかにお前らギクシャクしてるもんなー」

紬「はい、お茶にしましょ」

唯「ありがとー」グイグイ

ガチャ

唯律澪紬「!!」

さわ子「やっほー」

律「ってなんださわちゃんか」

さわ子「何よ、その言い方。ところで唯ちゃん」

唯「?」

さわ子「唯ちゃんがメタルに目覚めたと聞いたんだけど、本当かしら?」

唯「別にそんなことないです」

さわ子「なんだ……そろそろデスボイス特訓でも始めるのかと思って準備してたのに」

律「放課後ティータイムはいつからメタルに?」

さわ子「りっちゃんのリズム練習のためにBPM800のメトロノームも用意してきたのに」

律「そんな曲あるの?」

さわ子「……てへ☆」

澪「今日は梓来ないな」

紬「たしか委員があるとか言ってたような気が……」

梓(どうしよう……部活、行きづらい)

梓(こないだはあんなこともあったし……)

梓(なんで叩いちゃったんだろう、私)

あのとき

唯「あーずにゃん!」ギュッ

喜びと不安と

唯「今日もあずにゃんはかわいいよお」スリスリ

混ぜこぜで、自分でも何が何だかわからなくて。

梓(それで……唯先輩を、叩いた。全力で)






憂「梓ちゃーん?」


梓「え、な、何?」

憂「もうだいたい仕事終わったし、先に部活行ったらどうかな? って」

梓「そんな、悪いよ」

憂「いいのいいの、それにお姉ちゃん最近お家で梓ちゃんのことばっか話してるんだよ?」

梓「え」ドキ

憂「最近相手してくれないんだって、愚痴ってた」クスッ

梓「そ、そうなんだ」

憂「あんなお姉ちゃんだけど、梓ちゃんのことちゃんと考えてくれてるはずだから」

梓「……うん、わかった。それじゃあ部活に行ってくるね」

憂「うん、行ってらっしゃい」


ガチャ

唯律澪紬「!!」

唯「あ……あずにゃん」

梓「……すみません、委員会で遅れました」

律「いーのいーの、気にすんなって」

澪「私達もお茶してただけだしな」

紬「梓ちゃんもお茶にしましょ?」

さわ子「」ゴクゴク

梓「その、それよりも先輩」

唯「え、あい?」

梓「この間の件なんですけど」

唯「それは私が悪かったよー、だからあずにゃん許してー」ダキッ

梓「だ、だから抱きつかないでください!!」

唯「や、やっぱだめなの……?」

梓「べ、別に悪いわけじゃ……」

梓「あります! もっと唯先輩はちゃんとするべきだと思います!」

唯「う、うん……ごめん」ウルウル

梓「」ハッ

梓(なんで唯先輩が謝ってる状況に!?)

梓「もういいです、早く練習しましょう」

唯「そうだ、あずにゃんここのギター教えてー」

梓「先輩ちゃんと楽譜読めるようになってください!」

唯「ご、ごめんなさい……」オロオロ

梓(うっ……)「みなさんも早く練習しましょう!!」

律「ほほーう」ニヤリ

梓「な、なんですか」

律「若いね、梓」ニヤニヤ

梓「早く練習やるです!!」カァッ


放課後!

梓(こんなはずじゃないのに……)

唯「今日の演奏はちょっと失敗だったねー」

梓「せ、先輩のギターは完璧でした!」

唯「えへへ、そうかなー」テレテレ


律「…………」コソコソ

澪「なあ、律」コソコソ

律「しっ、バレるだろ」

紬「」ボー

律「梓だけど、これはもしかすると……」

澪「何を言ってるんだ?」

紬「」ボー

律「梓に何か起きてるのはわかるよな?」

澪「そりゃ、まあ」

律「たぶん唯がらみのことだと私はニラんだね」

澪「そうなのか?」

律「だからこうして跡をつけてれば真相がわかる! かも」

澪「……ストーカーじゃないか」

紬「」ボー


唯「そうだ、家の近くのアイス屋さんに寄らない?」

梓「あ、あいすですか?」

唯(あずにゃんと仲直り大作戦その1、甘いもので親睦を深める!)

唯「うん、どんとおごったげる!」

梓「はい、それじゃあお言葉に甘えて」


律「おい、聞こえたか」

澪「アイス食べにいくみたいだな」

律「アイスデートか……」

澪「……私もアイス食べたい」

律「じゃあ私達もばれないようにアイス食うか」

澪「うん」

紬「」ボー


唯「それじゃあ、何でも好きなもの頼んじゃって」

梓「じゃあ、これとこれとこれで」

唯「じゃあ私はこれとこれとこれで」

唯「席に座って食べよっか」

梓「はい!」


律「と、トリプルだと……気前いいな、唯」

澪「私も食べたい……」

律「太るぞ?」ボソッ

澪「ミントアイスのミニカップください!」グスッ

律「ぷっ、じゃあ私はこれで」

紬「……私もりっちゃんと同じで」ポー


唯「アイスおいしいねえ」ガブ

梓「はい、甘くておいしいです」ペロ

唯(あずにゃんのアイスおいしそう…)

唯「ねえあずにゃん」

梓「はい?」ペロ

唯「あー、あんなところにメイド姿の澪ちゃんが!」ビシィ

梓「え!?」

律澪紬「!?」ドキ

唯「ふっふっふ、すきありっ」ガブッ

梓「あ! チョコが!」

唯「あずにゃんのチョコは頂きました!」

唯(仲直り大作戦その2! 大胆に慣れ慣れしくで親密度アップ!……ついでにチョコアイスも!)

梓「大事に舐めてたのに……」グス

唯(あれ、もしかして逆効果だった?)

唯「じょ、冗談だよあずにゃん」

梓「……」プイ

唯「あああああずにゃん! こっちのチョコチップもおいしいよ! ほら!」

梓「……」ガブ

梓「……おいしい」パァァ

唯(よかったー……)

唯「ごめんねあずにゃん勝手に食べちゃったりして」

梓「いえ、いいです。先輩のチョコチップもおいしかったです」

唯「じゃあ食べ比べしよっか」

梓「え、あ……はい」カァ

唯「はいあーん」

梓「あーん」


律「び、びっくりした……」

紬「澪ちゃん白くなってる……」

澪「ワタシハメイドジャナイワタシハメイドジャナイ」


梓「その、唯先輩」

唯「どしたのあずにゃん?」

梓「最近、先輩ってギターの特訓とかしてたんですか? 急にギターが上手になった気が……」

唯「いやー、最近ギー太弾いてるとギー太と一つになったみたいな感じになるんだよ」

梓「そ、そうなんですか」(一つになる……)

唯「ほら、ピックもこんなにすり減っちゃった」

梓「何ヶ月ですか? このピック」

唯「えーと、だいたい一週間しないくらいかな」

梓(一週間で……どれだけ弾いたんだろう)

唯「そうそう! こないだ楽器屋さんいったらこんなの見つけたんだよ!」

梓「ピック、ですね」

唯「あずにゃんピックだよ! ほら、ここに猫がある」

梓「あ、黒い猫だ」

唯「はい、プレゼント! あずにゃんにあげる」

梓「え、そんな悪いですよ。私もピック持ってますし」

唯「実は予備にもう1つ買ってあるから、全然大丈夫だよ」

梓(つまり先輩とお揃いのピック……)

梓「じゃあ、もらっておきます」


律「お、何か渡してる」

律「おーい澪ー」

澪「ワタシハメイドジャナイ…ブツブツ」

律「あー、だめだこりゃ。トラウマが」

律「おーいムギー」

紬「」ボー

律「……はあ、二人ともなあ」

律「でもあの梓の様子見てると……」

律「いよいよクロ、かな……」



帰宅!

唯「えへ、なんとかあずにゃんと仲直りできたかな」

唯「さてギー太ギー太っと……」

唯「はー、相変わらずいい香り」クンクン

唯「……今日も抱いて寝よっかな」

唯「あ、その前に一曲作っておこっと」

………………………………………

梓「先輩のピック……えへ」

梓「って違う、違う」

梓「でも……弾きたくないな」

梓「そうだ、携帯のストラップにしよう」

梓「……こんなもんかな」

梓「……えへ」prrr


梓「あれ、電話」

梓「はいもしもし」

律「こーんばーんわー!! わたしは!! いったい!! だれでっしょう!!??」

梓「うるさいです、切りますよ?」

律「ごめん、切らないで!」

梓「どうしたんですか? こんな夜に」

律「ちょっと軽音楽部部長として、話がしたくてね。時間、空いてる?」

梓「別にいいですけど……珍しいですね」

律「へ? どーいうこと?」

梓「律先輩が真面目なの」

律「私はいつだって真面目だい! それじゃあ公園で待ってるぞ!」ガチャ

梓「……なんだろう」



ガチャ

憂「お姉ちゃーん……」

唯「」zZ

憂「くす、もう寝てる」

憂「最近寝るの早いなあ、お姉ちゃん」

憂「あ、またギー太抱いて寝てる」

憂「ギー太大丈夫かなあ……」


……

律「おーい、こっちこっちー。座りなよ」

梓「何の用ですか?」

律「いや、唯のことについてなんだけど」

梓「そ、それで私にどうして?」ドキ

律「ほら、誰よりも唯のこと一番わかってそうじゃん、梓ってさ」

梓「……そんなことないです」テレッ

律「それで相談なんだけど」

律「私、唯のことが気になってるんだよね」

梓「そうなんですか」

律「うーん……なんていうか、その」

律「唯のこと、好きになっちゃったみたいなんだよなあ、私」

梓「そうなんですか……って、えっ」

梓「えええええええええええ!?」

律「おい、あんま大きい声で騒ぐなよ!」アセアセ

梓「で、でも……唯先輩は女の子ですよ?」

律「そうなんだよなあ。それで梓はどう思う?」













律「女の子が女の子好きになるって、おかしいことかな?」


梓「わ、私は……」

何だか重なりを感じるのは気のせいでもなくて。

それはまさに自分が抱いていた、不安。
普通じゃないんじゃないか。自分は変じゃないのか。
普通とは違う、その恐怖におびえていた。

でも、律先輩を見ていて思った。


らしくない


そうやって悲しい顔して塞ぎ込むより、気にせずに前を向いて笑っている方がずっと律先輩らしい。
そしてそれは自分にも言えることだ。

今日、いや先日から唯先輩に抱いていた気持ち。
それに対して正面から向き合えなかった。

自分でもその感情の正体はわからない。
でも唯先輩に打ち明けることで何かが変わるのかもしれない。
いや、きっと変わるのだろう。

そしてたぶん、そうする私が最も「私らしい」


梓「律先輩……」

梓「別に、おかしいことじゃないと思います」

律「そ、そうかな?」

梓「そんなのよくあることです!」

律「……そこまでいうかい」

梓「でも私だって……」

梓「唯先輩のこと好きかもしれないし、譲りません」

律「」ニヤ

律「……ということだそうだ」

梓「え」


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