唯「…やだよ。こんなの、駄目だよ…!」タッタッタッ

憂「お姉ちゃん!?」


唯「ムギちゃん!!」

紬「唯ちゃ」

唯「」ぎゅっ

純「わあ~ぉ」

紬「どうしたの?」

唯「家の問題だから巻き込みたくないなんて…言わないで」

紬「えっ」

唯「一人で大丈夫みたいな顔しないでよ……グスッ」

紬「唯ちゃん……」

唯「ムギちゃんが……ずっと一人で寂しく寝てるなんて考えたら私……わたしぃ……」

紬の胸に顔を押し付けて泣く唯。紬はそれを優しく撫でることしか出来なかった。

唯「だからね……私の家に泊まって?」

紬「唯ちゃん…それは…」

唯「ううん…。4日だけじゃなくて…ずっと……ずっと一緒に暮らそう」

紬「……」

唯「もし本当に追い出されちゃっても……私と憂と…たまに帰って来るお父さんとお母さんと暮らすの」ニコッ

紬「ゆ…いちゃん…」

唯が、本当にそうなったとしても。
紬を家族として受け入れる覚悟で言っている。そして、それほど紬を後4日も一人で公園に寝泊まりさせたくないことがわかった瞬間。

紬「うぅ…うぁ…ゆいちゃ…ん……ゆいちゃん……」ぎゅっ

紬は泣きながら唯を抱き締めた。

律「唯だけにいい格好させないからな!」

澪「そうだぞ、唯。私達だって同じぐらいの気持ちなんだから」

紬「りっちゃん…澪ちゃん…」

梓「私もです。ムギ先輩」

憂「ムギお姉ちゃん♪」

紬「梓ちゃん…憂ちゃん…」

純「えっ、えと! あずにゃん二号を…」

梓「それさっきも言ったじゃない。というか本当にあずにゃん二号ってつけたの?」

純「梓がつけたんでしょーが!」

梓「そうだけどさ…」

紬「うふふ…ありがとう純ちゃん」

唯「だから今日は私の家にお泊まりだよ! ムギちゃん!」

紬「本当にいいの?」

唯「いいよぉ~ねっ憂!」

憂「うん、お姉ちゃん♪」

紬「……じゃあお願いして」

唯「おっと待ったぁ!」

紬「?」

唯「これはね、ムギちゃん。私からの『お願い』だから。ね?」

紬「……ふふ。お願いなら仕方ないわよね」

律「お願いなら仕方ない!」
澪「うんうん」



斎藤「……」

斎藤「もしもし、俺だ。あぁ……琴吹様に伝言を頼む」

















斎藤「お嬢様はいいご友学を持たれた、とな」


唯「じゃあ早速スーパーで今日の献立を決めないとね!」

憂「紬さん何か食べたいものとかありますか?」

紬「憂ちゃんに任せるわ。今私お願い出来ないし」

律「楽しそうでいいな~! いいな~!」

唯「じゃありっちゃんも来なよぉ」

律「いいの!? じゃあ今日はみんなで唯の家でお泊まりだな!」

澪「そんな大勢で押し掛けたら憂ちゃんに迷惑かかるだろ?」

憂「大丈夫ですよ。家事はなれてますし寝るところもお父さん達の部屋使えば」

梓「私も手伝うね、憂」

憂「ありがとう梓ちゃん」

澪「明日は私の家に泊まってね、ムギ」

紬「ありがとう澪ちゃん」

梓「じゃあ明後日は私の家に」

律「最後は私の家か~!? 聡も喜ぶよきっと!」


紬「みんなありがとう…ほんとに…ありがとう!」


それから日が立つのは早かった。

唯ちゃん家に泊まって、みんなで図書館に行って勉強したり。その時和ちゃんにも会って泊まりの話をしたら今度は呼んでねって言ってたから近いうちにまたお泊まり会かしら。
その次の日は澪ちゃん家に泊まって朝までベースや好きな歌手の話なんかをしたり、一緒にお風呂入ったり、りっちゃんの話したり。

その次の日は梓ちゃん家。純ちゃんが約束通りあずにゃん二号ちゃんを連れて来てくれて三人で和んだりしたの。

最後はりっちゃん家。弟の聡君は最初は気まずそうにしてたけど、三人でゲームする内に仲良くなれて良かった。
りっちゃんの胸がおっきくなってるのを再確認出来たり、笑い話で凄く盛り上がったり、昔の澪ちゃんの話とか出来て楽しかったわ。
やっぱり澪ちゃんとりっちゃんは仲良しさんね。

そして……一週間が経ちました。


紬父「久しぶりだな紬よ。(斎藤から聞いてはいたが無事で良かったあああああああパパ心配したんだぞっ!)」

紬「はい。お久しぶりですお父様」

紬父「それで? 琴吹家の試練、お前にはどう映った?(こんなことどうでもいいんだよぉぉぉぉぉぉぉ)」

紬「はい……。この一週間、色々なことがありました。自分の知識の無さを痛感し、苦しんだこともありました。また普通の人々に触れ合うことでわかることもありました。自分がどれだけ裕福で、恵まれているか……痛感しました。」

紬父「うむ。して、己のなすべき道が見つかったか?」

紬「それはまだ…わかりません。まだまだ未熟な私がお父様の事業を継いでいけるのかと不安になります。けど……」

紬父「けど?」

紬「大切なものは、見つかりました」

紬父「……大切なもの?」

紬「はい」

紬父「それは途中でお前が頼った友のことか?」

紬「お父様には…そう映ったのかもしれません」

紬父「たわけが。琴吹が他人に頼るなどあってはならん。」

紬「お父様はそうかもしれません。でも私は違います。」

紬父「この父に歯向かうのか? 紬(反抗期だめぇぇぇぇ)」

紬「そんなつもりはありません、ただ…頼ると言うことは、頼られることでもあるんです。私はそれを知りました」

紬父「ほう」

紬「友達というものは支えあってるんです! 貸したり、返したり、心配したり…されたり…頼ったり、頼られたり」

紬父「もうよい。試練の内容がどうであれお前を勘当する気などない。頼ったという事実をもっと深く受け止め、琴吹家の人間として…」

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!」

紬父「!?」


律「ムギの友達1号見参っ!」

唯「同じく1号見参!」

澪「同じく1号…」

梓「同じく1号見参ですっ!」

斎藤「(みんな1号譲りたくなかったんですね…)」

紬父「斎藤、どういうつもりだ?」

斎藤「報告書は出したと思うのですが? それでもまだ琴吹様が納得しないようなので」

紬父「余計な真似を…」

律「バカ親父! あんたらが考えた変な試練やらなんやらでムギがどれだけ辛かったかわかってるのか!」

唯「そうだー!」

澪「頼ることがそんなにいけないことなんでしょうか…? 友達として悩んでいるなら頼ってほしいって思うこっちの気持ちは無視するのが琴吹家の考えなんですか?」

唯「そうだー!」

梓「ムギ先輩にはたくさん色々なものをもらいました。大切な合宿の思い出、美味しいお菓子…だからいっぱいいっぱいお返ししないと駄目なんです! それを頼れないからってなし崩しなんかにさせませんっ!」

唯「そうだー!」

梓「唯先輩も言ってやってくださいっ」

唯「う、うんっ」

唯「ムギちゃんが悲しいと、私も悲しい。ムギちゃんが嬉しいと、私も嬉しいんです。だからもっとムギちゃんには私達を頼って欲しい。もっともっと甘えていいんだよ、ムギちゃん。自分だけはそんなことしちゃいけないなんて思わないで!」

紬「唯ちゃん……」

唯「そうやってみんなで手を取り合えるのが友達だと思います!ムギちゃんパパ!」

紬父「……」

斎藤「答えは…もう出ているんじゃないんですか?」

紬父「……」

紬「お父様、これが私の……」

紬「私の友達」

紬「そして私が出した試練の答えでもあります。認めてくださいませんか…?」

紬父「……紬よ」

紬「はい…」





紬父「良い…友を持ったな」


紬「はいっ…! ありがとう…お父さん…!」

唯「やったねぇ!! ムギちゃん!!」

律「やったな! ムギ」

澪「良かったな、ムギ」

梓「やりましたね! ムギ先輩!」

紬「うんっ!」



斎藤「だから言ったでしょう? いいご友学だと」

紬父「ふんっ。あれでは毎日お菓子を持って行くわけだ。並の返しじゃ足りんよ…あんないい友達には」

斎藤「そんな物々的に考える必要なんてなかったんですよ。あの5人はそんなことしなくても…友達なんですから。お菓子はただ持って行くとみんなが喜ぶから、それだけに過ぎないんです」

紬父「ふん…。まあ…紬がいいならそれでいい」

斎藤「親バカですね」

紬父「うるさいわっ」


難しく考える必要なんてない。

友達が友達でいるのに、理由も物もいらない。

ただ友達が喜ぶ為に…何かをしたい

それだけでいいの


唯「ムギちゃん! 美味しいな匂いがするよ!」

紬「多分パティシエの人がお菓子を作ってるんだと思うわぁ。ちょっとわけてもらいに行きましょう」

律「イエッスパティシエール!」

澪「律~あんまりがっつくなよ~?」

梓「そうですよ、はしたない」

律「なんだとぉっ」


紬「こっちよ~」


そしてこれが、

大切な大切な

私の友達



お し ま い