さむいひ!

Bパート


唯「ふぇえ~。遅れたぁ。さわちゃん先生、いつに無く厳しいんだもんな~」

唯「…でも、ムギちゃんの紅茶飲んだら元気になるかなぁ~!」

唯「?」

唯「なんだろ、皆でお話してる…ちょっと聞き耳を…」

唯「…凄い真面目な話してるなぁ。律っちゃんのキャラじゃないよ…」

唯「私が部活入る前の話かぁ…なんだか部室に入りづらいなぁ」

梓「…唯先輩?何してるんですか?」

唯「あ、あずにゃん!しー!!!!」

梓「?なんです?そんな小声で…」

唯「なんか今日は、三人限定な雰囲気なんだよ~…」

梓「?…」

唯「ね?」

梓「ですねぇ。三人で思い出話に花が咲いちゃってます…」
でも唯先輩!練習しないと、演奏会あるんだし」

唯「ん~、でもさぁ~。な~んかこういう時って、話の流れを断ち切るの嫌じゃない?」

梓「もう、何言ってんですか…」

唯「ん~…おお!そうだ!あずにゃん!いい事考えたよ!」

梓「?」

唯「今日は、分かれて部活しよう!で、私達、ゆいあずだけで練習しよう!」

梓「ちょ…駄目ですよそんな勝手に!」

唯「まぁまぁ!私、今の曲でどうしても上手く弾けないフレーズあるし~。
あずにゃんに教えて欲しかったし!」

梓「でも、明日怒られますよ?」

唯「大丈夫だよ~私がちゃんと言っておくから」


梓「う~…」

唯「あずにゃんは私と練習したくないの…?」

梓「!!…いえ、そんな事…ないですけど…」

唯「じゃ決まり!邪魔にならない所に行こう!」

梓「あ、ちょっと!手を引っ張らないで下さいよ!唯先輩~!!!」

梓「で、結局此処ですか…」

唯「意外と無いんだね~フリーな場所って」

梓「少し寒いですけど、屋上なら音出ても大丈夫でしょうし」

唯「でももうすぐ本格的に冬だね~寒いな~」

梓「唯先輩、風邪引かないようにしてくださいね。じゃ、リフの所から弾きますから、
ついてきて下さいね」

唯「はーい」

しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!

唯「ん~こんな感じかな」

梓「アンプから音出せないのであれですけど…そんな感じです。
もう少しスピード上げますよ」

唯「ん~。あ、ちょっと待って」

梓「?」

唯「此処に座って弾くー」

梓「ちょっと唯先輩!そんなに引っ付いたらネックが邪魔で
ぶつかっちゃいますよ!」

唯「じゃ背中合わせならいいよね。背中が暖かいし」

梓「ん…ま、まぁいいですけど…。じ、じゃ弾きますから続いてくださいね」

唯「はーい!」

しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!

梓「そうそう!ばっちりですよ唯先輩。それを4回連続で弾けばいいんです」

唯「そうか~。前の所からの繋ぎがいつも上手く出来なかったんだ。コツ掴めば出来そうだね!」

梓「じゃ、通しますよ。さんはいっ」

しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!

唯「おお~弾けたぁ!」

梓「やりましたね、先輩!」

唯「やっぱりゆいあずは最高だねぇ、あずにゃん!」

梓「うわわ…もう、そんなに引っ付かないで下さいよ!」

唯「でも暖かいよ~」

梓「ん…ま、まぁいいですけど…」

唯「ねぇあずにゃん。一つ聞いてもいいかな?」

梓「はい?なんですか?」

唯「あずにゃんは、将来何になりたいの?」

梓「え?将来ですか?うう~ん…まだちゃんと考えてないです。取り敢えずは
大学目指そうかなって思ってはいますけど」

唯「そっか~。あずにゃんは勉強できるもんね」

梓「唯先輩は?進路決まってるんですか?」

唯「それがさぁ~、さわちゃん先生に怒られまくりなんだよ。私、
これと言ってやりたい事もないし。大学も自信ないし…」

梓「駄目ですよ、唯先輩。唯先輩も目標作って頑張らなくちゃ」

唯「うん…そうだよね。今のままじゃ駄目だって言うのは分かってるんだ。私なんか、
どじでおっちょこちょいで。何か始めると何かを忘れるし。こんなんじゃ世の中に出ても
生きていけないよ」

梓「…」

唯「毎日が楽しくて。皆と同じクラスで、お喋りして、放課後はお茶とお菓子を食べて、
ギター弾いて。あずにゃんにも毎日会えて」

梓「え?あ、いやまぁ…そうなんですか?」

唯「そうだよ~あずにゃんと演奏できて。それで帰ったら少し宿題とか勉強して、
ギター練習したらもう一日がお終い」

梓「…」

唯「毎日楽しすぎて。気がついたら先の事なんか全然考えもしなかった。何をどう頑張ればいいんだろう?
何に成れるんだろう?ねぇあずにゃん。私、どうすればいいんだろう」

梓「唯先輩…」

唯「毎日とっても楽しくて。まるで楽しい夢見てるみたいで。でも、卒業式が終わった途端、全部と
さよならしなくちゃいけないんだよね…」

梓「大丈夫ですよ、唯先輩。卒業しても会えるじゃないですか。元気出してくださいよ!」

唯「あずにゃん…」

梓「ほ、ほら!来年も演芸会あるんじゃないですか?また出ましょうよ!」

唯「…」

梓「ゆ、唯先輩さえよかったら、また…ゆ、ゆいあずで…出ましょうよ。ね?」

唯「あずにゃん、嬉しいな。有難う。でも、そう言う事じゃないんだよね。
自分の将来。もう考えなきゃいけないんだよ。分かってはいるんだけど」

梓「…」

唯「もう一度、時が戻ればいいのにな。まだ卒業したくないや。このまま留年しちゃおうかな~」

梓「駄目ですよ。唯先輩。それ逃げてるだけです。留年したって
今、この時はもう戻らないじゃないですか!戻らないから、戻れないから!
毎日一生懸命頑張るんじゃないですか!」

唯「あ、あずにゃん…」

梓「私だって先の事なんか判りません。いつも不安で一杯です。出来れば今がずっと
続けばいい、そう思います。でも、楽しい夢のような毎日だって、いつか終わるんです」

唯「…」

梓「唯先輩も私も、一人で、歩き出す時が必ず来ます」

唯「…」

梓「その時が…夢の終わりです」

唯「夢の…終わりか…」

梓「…御免なさい、唯先輩。豪そうな事言ってしまって…」

唯「うううん、そんな事ないよ。あずにゃん、ありがとう。私、
今は目標ないけど、もっと考えるよ。頑張って卒業して、胸を張って
あずにゃんに会えるように頑張る!」

梓「唯先輩…それでこそ、唯先輩ですよ!」

唯「わーい、あずにゃんに褒められた~」

梓「ちょ…唯先輩、そんなに強く抱きつかないで下さい、苦しいですよう…」

唯「あ、ごめんごめん。うん、取り敢えず!」

梓「?」

しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!しゃんしゃかしゃん!

唯「今、私が頑張るのはこれだね!ギー太でこのフレーズを完璧に弾くこと!」

梓「ぷっ・・・あははは。そうですね!それです。唯先輩!」

唯「そして卒業したら、ゆいあずでデビューしよう!みゆーじしゃん!!ね!あずにゃん!」

梓「うぇ…あ、それも…可能性としては…あるのかなぁ…??」

梓「あ、唯先輩、もうこんな時間ですよ。校舎、閉まりますよ」

唯「そうだね~。じゃ、今日の部活はお終い!…なんか今日、楽しかったね」

梓「はい!でも結局サボっちゃいましたね」

唯「まぁ、明日は律っちゃんに言っておくよ。また二人でお話し、しようね」

梓「あ…はい、唯先輩がよければ」

唯「あずにゃん」

梓「はい?」

唯「私、今日の事忘れない。きっと、ずっと忘れないよ!」

梓「…私もです。唯先輩!」

唯「じゃ、帰ろうか?」

梓「待ってください。唯先輩。折角だから、一曲歌って終わりにしましょう」

唯「ん~、ここで?」

梓「はい!この夕日の下で!」

唯「…うん!じゃ、ゆいあずのあの曲を!」

梓「はい!」


唯「ふでペ~ン FU FU~」

梓「ふるえ~る FU FU~」

唯梓「はじめてキミへ~の GREETING CARD~」

梓「ときめ~き PASSION~」

唯「あふれ~て ACTION~」

唯梓「はみだしちゃうかも~ね~」


梓「キミの笑顔想像して~」

唯「いいとこ見せたくなる~よ~」

唯梓「情熱を~にぎりしめ~振り向かせなきゃ~!」


・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・


翌日

律「あ、唯!」

唯「あ~、おはよう律っちゃん!澪ちゃん!ムギちゃん!」

律「おはよう~って、あのな、唯!昨日なんで部活来ないんだよ!」

唯「えー、昨日はあずにゃんと自主練習してました!」キリッ

澪「そ、そうだったのか?」

紬「二人きりで…二人きり…」

唯「?うん。職員室に呼ばれて遅れちゃって。あずにゃんも遅れてきたんだけど、
皆と合わせる前にどうしても弾けない所があったから、あずにゃんに無理言って
教えてもらってたら、行きそびれちゃったんだ。御免なさい。」

澪「まぁ…梓も一緒に練習してたんだから、いいか」

紬「ええ。私達も…自主練してたようなものだし」

律「ん~。ま、今回だけな!心配するんだから、遅くなってもちゃんと顔出しに来いよ!」

唯「はーい。あ、あずにゃんは怒らないで上げてね。私が無理言ったんだから」

律「分かった分かった」

唯「あずにゃんと二人で練習も楽しいけど…」

澪「?」

唯「やっぱり放課後はみんな揃った方が楽しいよね~!」

紬「!」


律「あたりまえじゃん。それにな、まだ放課後ティータイムは5人揃ってやっと一人前なんだぞ」

澪「ま、半人前なのは、律だけだけどな」

律「なにおー!」

紬「今日も沢山おやつ用意してあるの。唯ちゃん、昨日の分も沢山食べてね」

唯「うわーい!ムギちゃん、ありがとう!楽しみだな~!!おやつおやつ~」

澪「全く…本当に唯は甘いの大好きだな」

唯「ん~、でも昨日はちょっとだけピリ辛だったよ」

澪「?」


おわり