第四幕

さむいひ!

Aパート



がちゃ

律「お・・一番乗りか?」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
どんどんどどどん!

律「そろそろ練習して、ツインバスかなぁ」


がちゃ

澪「お…早いな、律」

律「澪~。ツインバスさ、迷ってるんだけど」

澪「まだ早いだろ。走り癖直せないのにツインじゃリズム取れなくなるよ」

律「ぶぅ~」

がちゃ

紬「遅くなっちゃった・・・あら?」

律「お疲れ、ムギ」

紬「私だけ遅くなったのかと思って走ってきちゃった」

澪「唯はさわちゃんに呼ばれてたな。梓は分からないけど」

律「揃うまで休憩だな!」

澪「またそうやってさぼる!部長らしくちゃんとしろよ」

紬「まぁまぁ。この組み合わせも最近じゃ珍しいし。いいんじゃない?」

律「だよな、ムギ」

紬「はい、どうぞ」

澪「あ・・ありがと。いつも悪いな、ムギにお茶入れてもらってばかりで」

律「澪が入れたら、高い紅茶が台無しになるかもな~」

澪「なんだとー!!」

律「ありがと、ムギ」

紬「早いものね、もうすぐ冬休みね」

澪「そうだな。そして卒業・・・律は卒業出来るように頑張らないとな」

律「馬鹿にして!ちゃんと点数とってるもんね!」

紬「…」

律「どうした、ムギ」

紬「早いものね、もうすぐ冬休みね」

澪「そうだな。そして卒業・・・律は卒業出来るように頑張らないとな」

律「馬鹿にして!ちゃんと点数とってるもんね!」

紬「…」

律「どうした、ムギ」

紬「卒業して、大学とか…私達どうなるんだろうなって」

澪「…」

律「そ、そりゃ、たまには会ってさ、演奏したりしてさ、な、澪」

澪「そ、そうだよ、私達、ずっと一緒さ!!」

紬「そうね、ごめんね変な事言って」

澪「この三人からのスタートだったよな、軽音部」

律「だね」

紬「唯ちゃんもいるじゃない?」

澪「そうだけど。あの最初の日、ムギが来てくれたなかったら始まらなかったよ」

律「活動どころか、廃部の危機だったもんな~。ムギが来てなかったら、諦めてたかも」

紬「うふふ、私、部屋に入ったら、たった二人しか居なくて。あらあらって」

澪「まずい所に来たなって感じ?」

紬「んー…二人の邪魔しちゃったかなって」

律「ば…なんだよそれー」

澪「な…なんか律、顔赤いぞ?気持ち悪いなぁ」

律「べ…別に赤くなってねーって!」

紬「…でも、ホント、あの日から始まったのよね、軽音部」

澪「今じゃ、後輩も入ったし、亀まで居るし」

律「だよな!亀だぜ!!亀まで増えたんだもんな!」

紬「…」

澪「…」

律「…」

律「なぁムギ。ムギは将来なんになりたいの?」

紬「まず大学進学で…順調に大学を受かったら…まだその先は考えていないなぁ」

律「澪は?」

澪「うん…私も今はまだ。取り敢えず大学って感じかな」

律「ん~。要するに時間稼ぎだな」

澪「時間稼ぎって…」

律「私は無理っぽいもん、大学。時間も稼げないよ」

紬「律っちゃんも今から頑張れば…」

律「まぁな。でもなんか違う気がするんだよ。取り敢えずって、そういうのは」

澪「じゃ、どうするんだよ?」

律「わかんない」

澪「話しにならないぞ、律」

紬「…」

律「毎日がひょっとして、夢なのかなって思う時があるんだ。優しい先生。
放課後の楽しい時間。おやつと紅茶。可愛い後輩。ライブ。凄い充実してるよな」

澪「ああ。そうかもな」

律「でも、卒業式が終わった途端、何の余韻も無く、唐突にこの全てが終わるんだぜ」

紬「…」

律「はい、充実生活終了ー!って。そして世の中に押し出されていくんだ。きっと物凄い
速さで時が流れていく」

澪「律…」

律「怖いし悲しい。軽音部はあまりにも居心地が良くてさ。此処を出て、新しい事へ向かうワクワク感
が考えられないし、想像しても感じられないんだ」

紬「…」

律「最近溜息ばっかりでてるよ、家ではさ」

澪「…律もか」

律「?澪も?」

澪「うん。たまにぼーっとする。このまま卒業しないで、日にちが1年分、元に戻らないかなって思う
時があるよ」

紬「…」

律「三年間、軽音部やって。自分の将来の事なんて考えもせず。毎日の楽しさに身を委ねて。
今も具体的な目標も無くて。私、駄目駄目だよ」

澪「でも、いつかは卒業しなきゃだろ?怖いけど、踏み出していかなきゃ」

紬「それが…」

律「?」

紬「それが、「大人になる」って事だと思う。楽しくて、嬉しくて緩やかな日々が唐突に終わって。
見渡しても、自分だけしか居ない。振り返ることも出来ず、ただただ進んでいく、そんな世界に出て行く事が」

律「…」

紬「そうして、いつか、この桜高軽音部の毎日をしみじみと思い返すときが来ると思うの
振り返るのではなくて、思い返すの」

澪「…」

紬「…その時が…夢の終りよ」

律「夢の、終わりか…」

律「うん。そうだな。覚めない夢は無いんだし。だから、私は今を!後悔しないように毎日頑張る!
そして、今、私が頑張る事が出来るのは!」

タタタッ

澪「おい、律!狭いのに走るなよ!」

どんどんどんっどどん!じゃーん!だだん!

律「精一杯ドラムを叩く事だけだな!」

紬「律っちゃん…」

澪「勉強もだろ?」

律「あ…やっぱし…それもだよね?」

紬「うふふふふ」

律「へへへ」

澪「あははは…決まらないな、律は。でも、なんか律らしいよ」

律「律っちゃんのキャラじゃないよ~てか?」

紬「唯ちゃんの真似!!似てるー!」

澪「だな!」

律「…ずっと、ずっとさ、これから生きていく中で沢山、いろんな事があると思うけど、
でも、軽音部の事忘れないよ。」

澪「私も。桜高校での毎日、軽音部での事、ずっと忘れない。私の宝物だもん」

紬「私も。夏の日の事も!ライブの事も!きっと、きっと忘れない!」

律「ムギに逢えて良かったよ。合宿とか沢山助けてくれたしさ、
紅茶とお菓子と。きっと学校卒業してもさ、こういう場所探すと思うんだけど、
きっともう出会えないな、こういう場所に」

澪「うん。だろうな。律の家に行くのとか、ムギの家に行くのとも違うんだ。
この場所とか空気とか。だからいいんだろうな。居心地が良いのは、ムギの
お陰が大きいと思うよ」

紬「うふふ、なんか褒められて嬉しいな。私も沢山、皆にいろいろなことを教えてもらえた。
この毎日はかけがえの無いものよ。お金では買えないもの、尊いものよ」

律「んー…唯来ないなぁ」

紬「あら、ほんと、もうこんな時間なのにね」

澪「…でも、なんかさ、三人でいろいろ話して新鮮だったな」

律「そうだな!こういうのもたまにはいいよな!」

紬「うん。そうね!!」

律「なんか愚痴っちゃって悪かったなー!」

澪「律が暗いと、調子が出ないよ」

紬「そうね、「律っちゃんのキャラじゃないよ」」

澪「…」

紬「…あれ?外した?」

律「50点位だな」

紬「うふふ」

澪「それにしても、唯もそうだけど、梓まで来ないって言うのは…」

律「だなぁ。ま、間も無く下校時刻だし。今日は終わりだな。明日ちゃんと言わなきゃ。
無断欠席は重罪だーって」

澪「まぁ、来てもお茶飲む時間の方が長いんだけどな」

紬「じゃあ、澪ちゃんは明日はおやつ要らないのね?」

澪「…欲しいです…」

律「ハハハ、なんだよ澪!澪も決まらないな!」

澪「う。五月蝿いな!」

律「じゃさ、最後にさ、あの曲で締めようよ!」

澪「?」

紬「…あ!あれね!」

澪「えーと…」

~♪~~~~♪

澪「あ…そうか!」

紬「今 私の願い事が 叶うならば」

澪「翼が欲しい」

律「この背中に 鳥のように」

紬「白い翼 つけてください」

澪「この大空に 翼を広げ」

律「飛んで行きたいよ」

紬「悲しみの 無い」

澪「自由な 空へ」

律「翼はためかせ」

澪律紬「行きたい~」


・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・


7