第三幕

わーるどかっぷ!!

唯「暑~い~」

澪「なんだ、唯。だらしないぞ」

澪「あ、澪ちゃんおはよー」

律「ま、確かに暑いな。今日はまだ雨じゃないからいいけど」

紬「今年は、じめじめする期間が長いみたいよ」

澪「うわ…エリザ…いや、ベースに悪いな」

律「えりざ?」

澪「な、何でもない!」

唯「? ギー太にも辛い季節が来るんだね~」

紬「それより今晩ね!」

澪「?」

律「おう!今晩…て言うか、朝方か?」

唯「?なぁに、ムギちゃん、律っちゃん」

律「何だ、唯!知らないのかよ、サッカーだよ、サッカー!ワールドカップだぜ!
日本対デンマーク戦だ!」

紬「そうなの!わくわくしちゃう!」

澪「そんな夜中に起きてられるのか?」

律「お?澪も見るのか??」

澪「み、見るわけないだろ!大体、夜更かしは美容に悪いし、明日も学校だぞ!
皆、普段はサッカーなんか見もしないくせに、ミーハーだな!」

紬「う~ん、それ言われると確かにそうなんだけど…でも4年に一度の大会なのよ!」

律「そうだぜ!日本は4回連続出場してんだけど、なかなか勝ち進んでない。特に!今日のこの一戦は
決勝に残れるか否かが掛かってる大事な試合なんだ!夜中だろうが明日も学校だろうが応援せずにいられるかよ!!」

澪「まぁ負けたら一次リーグ敗退だしな。でも中村も調子が今ひとつだし、
なんと言っても相手の国際ランキングは…」

唯「?澪ちゃん、見てないんだよね?でも詳しいんだね~」

澪「!!あ…に、ニュースでな、うん…見ただけなんだが」

律「ん~、怪しいな~み~お~。実はサッカー大好きなのか??」

澪「!ま、まさか。私はミーハーじゃないし、サッカーも良くしらん!」

紬「あ、でもこの前、いつもの楽器屋でね、「ブブゼラは在庫ないんですか?」って
聞いて来た人がいたんだって!しかも、この桜高校の生徒で!」

律「うわ、すげー!でもさ、あれ買ったって、家で吹いたら近所迷惑だろ?
どんだけミーハーなんだよ、そいつ!」

澪「う…あ…」

唯「澪ちゃん、なんか汗かいてるよ?」

澪「な、なんでもない、なんでもないんだ…」

律「?」


放課後

梓「こんにちわ~」

唯「あ~ずにゃ~ん…」

梓「うわ、唯先輩、どうしたんです?ぐったりして」

唯「麗しのあずにゃんが来ても、抱きつく事も出来ましぇん…」

梓「クーラー付ければいいじゃないですかって唯先輩は苦手なんでしだっけ」

律「ま、慣れだ慣れ。ところで梓、今日の夜は徹夜か?」

梓「いえ!今日は帰ったら早めに寝て、3時には起きようと思って!!」

紬「あら~!梓ちゃんも応援するの?」

梓「はい!やっぱり4年に一度ですし!もう侍ジャパンのレプリカTシャツ、買っちゃいました!
あと、帽子と、メガホンと…」

律「梓、また通販だろ。メガホンって、そんなに気合いれたって、夜中だぞ?
大声出せる訳ないだろ…」

梓「にゃ…」

澪「当然、メイク道具も買ったんだよな、梓?日の丸書く奴」

梓「へ?メイク?」

澪「うわ…な、何でもない!」

紬「…」

梓「澪先輩も、観戦するんですか?」

澪「わ、私はしないよ。別に興味ないし!」

唯「でも結構詳しいけどね~」

律「澪!今からでも遅くないぞ?話に混ざってもいいんだぜ!実は好きなんだろ、サッカー?見るんだろ?
今晩!ん?」

澪「見ないったら見ない!私はちゃんと寝る!」

紬「でも、明日、学校で眠くなりそうね~」

律「コーヒーがぶ飲みしてくるぜ!」

梓「私は目が覚めるおまじないグッズと、ミント系のハーブエキスと、
眠眠打破も買っちゃいました!完璧です!」

律「おまじないはいらんだろ?また余計なものを…」

梓「に…にゃ…」

澪「と、兎に角!新曲まだ完璧に演奏出来てないんだし!サッカーなんか見て
夜更かしして、明日練習できないなんて駄目だぞ!皆!」

梓「は、はい!」

律「別にいいじゃん、まだ日にちあるしさ~」

澪「律!おまえがこういう事を率先して言わなきゃ駄目だろ!部長なんだぞ!バンドのリーダー!」

律「へいへい。分かってるよ。ま、各自観戦は自由だが、明日の授業とか部活に支障ないように!」

紬「はーい!!!」

律「じゃ、今日は解散ー!」

唯「おー!」

澪「こらー!!一曲も演奏してないじゃないか!何で解散なんだよ!!」

紬「だって少しでも寝ないと…」

梓「いろいろ準備ありますし…」

律「お菓子も要るだろ?買出ししなきゃ!でも夜食は太るから、300円までだな!」

唯「おやつか~。憂も誘って見てみようかなぁ」

澪「おーまーえらー!!!!!!!」

ばたん!

さわ子「こらー!五月蝿いわよ、あなたたち!何騒いでんの?」

唯「あ、さわちゃん」

紬「麦茶でいいですか~?」

さわ子「あ、あと羊羹でいいわ、私」

律「すっかり喫茶店だな」

梓「先生は、今晩、サッカー見るんですか?」

さわ子「見るわよ。でもあなた達は明日も授業でしょ!ちゃんと起きれるの?」

律「おう!気合で起きるぜ!」

さわ子「全く…顧問の立場から言えば、あんまり夜更かしは薦めないわ。
録画するとか、翌日の特番で見るとか」

律「何言ってんだよ、さわちゃん。ナマで見るのが最高だろ?選手と同じ時間を
共有するんだ!」

紬「その方が、盛り上がります!」

さわ子「気持ちは判るわ、でも、夜中の3時からよ?終わる頃には日が昇るわ。
それから3時間もしたら登校よ?」

律「それは気合で乗り切るさ!…って、さわちゃんも見るんだろ?」

さわ子「そりゃ、見るけど。私は明日、吹奏楽部のコンクールの引率頼まれたから朝は遅くて良いのよ」

紬「えええー!そうなんですか?」

さわ子「ま、役得って所ね」

律「ちぇ、ちぇー!!ずりーよ、さわちゃん!」

さわ子「なんとでも言いなさい。これもお仕事なんですからね。丁度日が重なっただけよ。
引率だっていろいろ大変なんだから」

紬「はい、水羊羹です、それと麦茶。冷え冷えですよ!」

さわ子「ありがと。一服したら、また、吹奏学部に戻らなきゃいけないわ」

唯「さわちゃん先生も忙しいね」

さわ子「兎に角、明日に支障のないように、ほどほどにするのよ!」

唯澪律紬梓「はーい!」

律「じゃ、顧問からのお言葉もいただいたところで!」

紬「解散~!」

梓「はい!」

澪「こーらー!!!」


その夜

唯宅

唯「ねー、憂ー」

憂「なぁに、お姉ちゃん。アイス?」

唯「うーうん。憂はサッカー好き?」

憂「んー。嫌いではないけど。まさか、お姉ちゃん、今日のサッカーの試合、見るとか言うんじゃ
ないよね?真夜中だよ?」

唯「うーん、迷ってる」

憂「どうしたの?急に。お姉ちゃん普段はサッカーなんか見ないじゃない」

唯「軽音部の皆が見るんだーって、楽しみにしてるんだ。私は話題に入れなくて」

憂「あらあら。でも、今日の試合見たら、お姉ちゃんは起きれないよ?明日学校あるでしょ?」

唯「だよねー。話に混ざれないから淋しいけど、見ても良くわかんないし」

憂「そうだね。無理しちゃ駄目よ、お姉ちゃん」

唯「うん。じゃそろそろ寝るね~」

憂「お休み、お姉ちゃん」

唯「憂はまだ寝ないの?」

憂「あ…うん。片付けあるから」

唯「手伝おうか?」

憂「い、いいよ、大丈夫だから」

唯「ん~。じゃ、お休み~」

憂「はいはい」

ぱたん

憂「さて…早速このユニフォームに着替えなくっちゃ」


紬宅

紬「では斉藤。私は仮眠しますので、2時45分頃に起こしてください」

斉藤「承知いたしました、紬お嬢様。寝覚めのコーヒーと、着替え、観戦グッズはそろえております。
防音ですので、私、斉藤めが下手ながらではありますが、ブブゼラをお吹き致します。観戦は、
地下の3D 152型プラズマの部屋でよろしいのですね?」

紬「ええ。サラウンドで。これで臨場感ばっちりよ。では宜しくね」

斉藤「お休みなさいませお嬢様」

紬「あ、あと斉藤。ブブゼラは要らないわ」

斉藤「なん…だと…」


律宅

律「聡ー。取り敢えず仮眠する?それともオールでいくか?」

聡「はぁ?姉ちゃん、マジに見る気かよ。俺、見ないよ」

律「いやいやいや、おいおいおい。おまえな、侍ジャパンの試合見ないって、
どうなんだ?仮にもお前、男だろうが!!」

聡「なんで姉ちゃんがそんなハイテンションなんだよ。徹夜あけで学校なんか行きたくねーよ。
どうせ総集編とか、やるだろ。」

律「いやいやいやいや、何言っちゃってんの?南アフリカで戦う
我らが日本の戦士を、同じ時間に応援しなきゃ!!私達の熱い魂の叫びが伝わらないだろ!」

聡「いや、家で幾ら応援しても、南アフリカまで届かないよ。厳しい試合だし。
結果だけ分かればいいよ」

律「聡。私はお前の何なんだ?」

聡「…姉です」

律「その私が観戦すると言っている。お前はどうするんだ?」

聡「…でも無理だって~。明日小テストもあるんだよ。居眠りできないし」

律「…」

聡「…お供します…」

律「よ~し!そうと決まれば、おやつを買いに行くぞ!ん?」

聡「お、お~…」


梓宅

梓「ようし、目覚まし2個セットしたし!Tシャツも用意したし!
そのまま起きてて登校すればいいかな…」

梓「一応、おまじないグッズも用意しとこう…」


さわ子宅

さわ子「ビールも買ったし。つまみもOK。くくく…今日は派手に応援してやるぜ!
眼鏡はいらねぇやな!」

ぽい

さわ子「いやいや、眼鏡は無いと見えないわ。眼鏡をしててもデスデビルモードで応援だぁぁ!」


澪宅

澪「流石に、ブブゼラは調子に乗りすぎだったな。さて、ほっぺに日の丸メイクだ。
帽子もかぶって!にっぽん!」

ちゃちゃちゃ

澪「にっぽん!」

澪「あ…まだ開始まで6時間もあるんだった。自重しないと…」


ワールドカップ 日本対デンマーク戦
間も無く開始…

唯宅

憂「うふふ、お姉ちゃんぐっすり寝てるな~。涎垂らしちゃって。かわいい」

憂「じゃあね、明日。おやすみ、お姉ちゃん」

ぱたん

憂「よーし!ニッポンガンバレー!!」


紬宅

紬「おはよう、斉藤。準備は出来てるの?」

佐藤「これはこれはお嬢様、おはようございます。今、起こしに行く所でした」

紬「ご苦労様。この眼鏡をかけるのね。うわっ!」

斉藤「どうでしょうか、お嬢様。特別に作らせている3D放送でございます」

紬「す、凄いわ、斉藤!まるでピッチに居る様よ!素敵だわ~!」

斉藤「お嬢様のお喜びになるお姿…斉藤、感動の極み!!」

斉藤「コーヒーをお持ちしました。胃に優しいよう、多少ミルクを入れてあります」

紬「有難う!今日、勝てるかしら?」

斉藤「うーむ。厳しい試合になるでしょうな。デンマークは勝たねばならず、我らが日本は
引き分けでもOKですし」

紬「張り切って応援するわよ!斉藤も付き合いなさい」

斉藤「元より斉藤、そのつもりにございます。では、音声を入れますぞ!」

ごうぅん…

ぶううううううううーぶううううううー

紬「凄い音ね、臨場感があっていいわ!」

斉藤「そうでしょう、5.1チャンネルデジタルサラウンドでございます」

紬「斉藤、そこのブブゼラは外に置いてください」

斉藤「え?吹いちゃ駄目っすか??」


律宅

律「ふごー…」

聡「姉ちゃん!寝るなって!選手入場だぞ!」

律「んん!!いかん、寝る所だった」

聡「テンション高すぎて、今頃ガス欠かよ。これから始まるよ」

律「おお!勝てるかな…」

聡「勝ってほしいよね」

律「だな!」


梓宅

梓「んんん…わ、もう3時。着替えなきゃ…」

梓「眠いな~。でも起きなきゃ!眠眠打破の出番ね!」


さわ子宅

さわ子「ようし!おらー、負けんじゃねーぞ!大和魂を見せるんだ、デンマークが何ぼのモンだ!

勝て!勝ちあがれーーー!」

さわ子「うう、眼鏡があるとちょっと無理があるわ…」



澪宅



澪「う~…ブブゼラを…吹きたい!がんばれー!!にっぽぉおおおおおおん!!」


そして、熱い試合が始まった!!!!!


・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

翌早朝、日本は、歓喜の渦に巻き込まれた!!!!!!!!

我らが日本は勝利した!!!!!お疲れ様、岡田ジャパン!


翌日

唯「おはよ~」

律「…」

紬「…」

唯「日本、勝ったんだって?」

律「おお」

紬「素晴らしい試合でした!」

唯「二人とも起きてる?」

律「おお」

紬「素晴らしい試合でした!」

唯「駄目だこりゃ」

澪「おはよ~。なんだ、律!ムギ!しゃんとしろ、しゃんと!」

唯「おはよう、澪ちゃん。応援お疲れ様~」

澪「わ、私は応援なんかしてないよ。ちゃんと寝たし」

唯「日の丸は消さなかったんだね。先生来る前に落としたほうがいいよ。はい、鏡」

澪「うわわわわ!!!」


……

さわ子「いけない…朝は起きれたけど、応援に力が入って飲みすぎた…」

吹奏楽部生徒「さわ子先生、顔色青いですよ?」

さわ子「侍ブルーなのよ。おほほほほ」

吹奏楽部生徒「?」



梓「おまじないって結構効き目あるのね!」

憂「そうなの?」

梓「次も勝てるといいね、日本」

憂「そうだね!」

梓「勝利のおまじないグッズ、買っちゃった…」

憂「…」

おわり



6 ※第四幕