楽器店

うぃーん

店員「いらっしゃいませー。」

澪「あ、あの・・・。」

店員「あ、これは紬お嬢様のお友達の!。先日はどうも。」

澪「あ・・どうも・・。」

店員「レフティフェア、近々、またやりますから是非ご来店なさってくださいね!。」

澪「あ・・いや、あの~・・。」

店員「え?今からですか?。」

澪「ええ、一曲だけで良いんですが・・・。」

店員「それでこの前、お見えになってたんですか・・・。ううーん、弦を逆に張り替えるとかして弾いている方もいますが・・・・

レフティの方がむしろかっこいいですし・・・・無理に右にする事も・・・。」

澪「一曲だけでも、右で演奏してみたいんです!。」

店員「確かに、レフティであれだけ弾けている訳ですから、練習次第ではいけると

思いますが、負担も大きいですよ。演奏会はいつなんですか?。」

澪「一週間後なんですけど。」

店員「うう~ん、かなり厳しいですね。あまりお勧めできないですけど・・・。」

澪「・・・・。」


店員「えーと、で、ベースの費用は・・どの位をお考えですか?。」

澪「!!!!!。」


うぃーん

澪「(ああ・・・馬鹿だ私。何やってるんだろう・・・・。)」トボトボ

澪「(私もネックバンキングして見たいな。三人揃って。・・でも無理か・・。)」

澪「(思い付きで部活休んで、楽器店なんか来て。今更右のベースなんて買えるわけもないし。

こんなんじゃ、部室で練習してた方がましだったじゃないか・・・私の馬鹿馬鹿馬鹿!!。)」シュン

律「みーお~。」

澪「ひっ!!。」

律「用事って、な~に~?。」

澪「あっと・・・え~っと・・てか、律!何でこんなトコにいるんだよ!練習どうしたんだ!。」

律「・・・・澪がいないから一曲やって、切り上げた。」

澪「な!なんでだよ!演奏会もうすぐなのに!。」

律「澪がいないと・・・気合・・入んないよ・・・。」

澪「・・・律・・・。」

律「・・・・澪、どうせ用事ないんだろ?たまには二人きりでお茶していかない?。」

澪「・・・・・・・・・・うん・・・・・・。」



いい感じの喫茶店


律「此処のケーキセット、美味いんだぜ~。」

澪「へぇ・・・・あ、本当だ。おいし・・・。」

律「へへ~、軽音部の皆にも内緒の、私だけの穴場なんだ。」

澪「そうなのか?。」

律「澪は特別。」

澪「・・・あ、ありがと・・。」

律「澪も唯達とあわせたいんだ。」

澪「!!」

律「左でも合わなくないけど、向きが違うからなぁ。今から右にするのは厳しいと思うぜ。」

澪「・・・どうして、それを・・。」

律「なんだ、あたりか。」

澪「・・あ!。」

律「澪、あっさり引っかかりすぎだよ。」

澪「なんか・・・ほら、左利きって、いろいろ大変だろ?私だって

皆と楽器店でわいわい言いながら見てみたいよ。でも、私の使える楽器なんて無いもん。」

律「・・・。」

澪「いつも思ってた。右で弾けたらなって。それで・・・唯と梓見てたら・・・そしてムギまで

        • で、いつもの思いがこう・・募って・・・・で、居ても立ってもいられなくって・・・・・・。」

律「澪らしいかな、そういうの。でも、私はどうするのさ?。」

澪「・・・・。」

律「ドラマーって、絶対フロントには出て行けないんだぜ。皆が可愛く演奏したり、歌ったりするのを

後ろから眺めるだけ。」

澪「・・・。」

律「でも、私はドラムが好きさ。皆を後ろから見守るのも好き。私は、私が出来ることを、出来る場所で頑張る。

まぁ、それしか出来ないしね。」

澪「・・・。」

律「澪には可能性があるから、右にするならそれもいいさ。でもね・・。」

澪「・・・・。」

律「私、澪が右弾きになったら困るな。」

澪「?なんでだよ。」

律「後ろでドラム叩いてるとさ、レフティのベースのネックが、右方向に見えるじゃん。」

澪「?うん。」

律「澪のさ、ベースのネックの動きって、リズムに合わせて動いてるんだ。」

澪「?そうか?。」

律「それ見てさ、あ、少しドラム走ってるかな~って、分かるんだ。で、調整したりして。」

澪「・・・・。」

律「あと・・うん、澪が、其処に居てくれてるって言うか。澪が頑張って演奏してるなってのが

判る気がして、嬉しいんだよ。」

澪「・・・・律。」

律「澪が右弾きになったら、唯とか梓とポジションがかぶるだろ、ネックが見えにくくて嫌だな~・・なんてね!。」

澪「・・・・。」

律「澪は澪のままでいいじゃん。」

澪「・・・・うん・・・・。」

律「左で演奏する澪は・・・かっこいいぞ・・・。」

澪「!な、何だよ、律、気持ち悪いなぁ・・。」

律「・・えへへ~・・。ま、私が言いたいのはそれだけ。」

澪「・・・律・・・。」

律「明日、来るよね?唯達、心配してるぜ。」

澪「うん・・・行く。」

律「待ってるからな。」

澪「・・うん。」


クテク


律「澪、唯さ、成長したよな。最初はカスタネットとか言ってたんだぜ。うんたんうんたんって。」

澪「ああ、そうだな。めきめき上達してるよ。」

律「澪のお陰だと思うよ。」

澪「いや、梓だろ。」

律「今はそうかも。でも、梓の来る前の一年間、基礎を教わったのは澪からだろ?

それがあるから、今の唯があるんだよ。だから、澪のおかげ。」

澪「そうかな・・・。」

律「澪が嫌な奴で、教えるの下手だったらこうはいかなかったさ。」

澪「・・・・。」

律「私もギターやればよかった。」

澪「え?。」

律「・・・何でもないよ!じゃな、明日!。」

澪「・・・・うん・・・。」



翌日



澪「皆、昨日はごめんな。」

唯「あ・・澪ちゃん!。」

梓「澪先輩・・・。」

紬「澪ちゃん。」

澪「あれ?ムギ、キーボードどうしたんだ?。」

紬「あれは・・ち、調子が悪くなって・・・。」

澪「ムギ、変な気を使うなよ。私、あの三人の揃うの、ステージで見れるの凄い楽しみなんだ。」

唯紬梓「・・・・・。」

澪「唯が、軽音部の為に考えてくれた。とっても嬉しいよ。そして梓もムギも応えてくれてるんだ、

凄い良い事だよ。逆に、私に気を使って辞めにするなんてされたら、私の心が苦しいよ。だから、

やろう!今度の演奏会、きっと大成功するよ!。」

唯「グスン・・エグエグッ・・・・。み・・おちゃ・・ごめんなさい・・・・私。」

澪「馬鹿、唯。泣くことあるか。泣くなよ。」

梓「唯先輩・・・。」

紬「唯ちゃん・・。」

澪「昨日さ、軽音部結成の時の事思い出してた。ムギが来てくれて、唯が来てくれて。最初は

どうなるかと思った。でも、最後には素敵な演奏が出来た。唯はギターを全然理解してなかった。

それがこんなに上手くなって。私はさ、凄い嬉しいんだよ。」

唯「・・みおちゃ・・・。」

澪「ちゃんと合わせて、素敵な演奏会にしよう!。」

唯「・・・うん・・。」

梓「はい!。」

紬「そうね、頑張ろう!。」


がちゃ

律「おいーっす!盛り上がってるところ悪いんだけど・・・・。」

唯澪紬「律っちゃん!。」

梓「律先輩!。」

律「講堂使用許可書、また出し忘れてた・・・・。」

唯澪紬梓「!!!!!!!。」

律「ごめんね!って事で、梓!至急書いてくれ!。・・・ん?・・澪さん?

その震える拳は・・・。」

澪「こーのー馬ー鹿ー律ー!!!!!。」

ぼくしっ



演奏会当日


唯「うわぁ・・・なんか緊張してきちゃった。」

梓「ゆ、唯先輩、落ち着いて・・・あれ、やるんでしょ?。」

紬「そうよ、唯ちゃんがリードして付いていくんだから。しっかり!。」

唯「ううう~・・頑張る!。」

澪「最後のリハも完璧だから、問題ないよ!。」

唯「澪ちゃん・・・ありがと。」

澪「・・・律。」

律「ん?。」

澪「行くぞ!。」

律「ん・・・よーし、皆、気合入れてくぞ!。」

唯澪紬梓「おー!!!。」

わーわー、ひゅーひゅー

唯「こ、こんにちわ!放課後ティータイムです!!。」


・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・


「ふぇ~。おわったぁ!。」

梓「やりましたね、唯先輩!!。」

紬「上手く弾けたわ!。」

律「皆ばっちり決まってたな!大成功だ!!。」

澪「今回はアクシデント無くてよかった・・・・。」

律「サービス不足だったんじゃないか~澪~。」

澪「う、五月蝿いな!。」

澪「(・・・律、ありがと。律は嘘が下手だな。私、ネックはなるべく固定して演奏するから、

私のネックの動き見てリズム調整なんて有り得ないよ・・。)」

澪「(・・・でも、律の優しい嘘、嬉しかったな・・・・。)」

澪「律!。」

律「ん?。」

澪「うそつき。」

律「・・・・へへへ。でも、他は本当の事だから!。」

澪「・・・・馬鹿律・・・・ありがと!。」


おしまい



5 ※第三幕