唯「カーティス・メイフィールド、ジャケットかっこよかったね~」
梓「そうですね」
唯「『カーティス』だっけ、あの黄色いやつ……黄レンジャーってかんじ」
梓「戦隊モノですか……」
唯「りっちゃんって黄レンジャーだよね~」
梓「まぁ、ドラムとカチューシャが黄色ですから」
唯「私はレッドです!」フフン
梓「さり気にリーダーポジション……唯先輩はマスコットって感じです」
唯「戦力外通告!? あ、電話」prprprpr
梓(またタチバナさん?)
唯「もしもし、りっちゃん?」
梓「律先輩ですか?」
唯「うん……えっとー今新宿ー」
唯「そこどこの駅?……ふむふむ……あずにゃん、なんかねりっちゃんがみんなで集まろうぜ~って」
梓「今からですか?」
唯「まだ回ってないところがあるけど……」
梓「……また今度にしましょうか」
唯「そうしよっか」
梓(今日もずいぶん見たしね)
唯「わかったぁ~それじゃあね~」
唯「……あずにゃん、本当はまだ回りたかった?」
梓「えっと、でも今日はもう、ちょっとレコード屋はいっぱいって感じです」
唯「また、絶対来ようね」
梓「はい」
唯「へへへ」
梓(なんか、今日の唯先輩、お姉さんって感じ)
唯「それじゃあ、行こうかぁ~」
梓(憂はいつもこんな感じなのかな)
唯「どんぶらこ~どんぶらこ~」
梓「唯先輩? 駅は逆方向ですよ」
唯「……」
梓「どうしました?」
唯「あのね……申し上げにくいのですが、私、もう一回だけ見たいのものがあるのですが」
梓「……」
唯「ご、ごめんね! でもこれだけ! 本当に一瞬ですから!」
梓(やっぱ唯先輩だな)
唯「執行猶予を~」オウオウ
梓「ザ・フーですか?」
唯「うん、最初に見たやつ。あれやっぱり欲しくなっちゃって」
梓「でも、けっこう高いですよ?」
唯「へへへ、あれ買っちゃったら今月パーです。でもいいんだ」
梓「そういえば、あれだけは視聴もしましたからね」
唯「ジスズマイゼネレーションベイベー♪」
梓「やれやれ」
唯「なんだか一周した気分だねー」
唯「ザ・フーってW?」
梓「はい」
唯「だぶりゅ~……」パタパタ
梓(だいぶ手つきが慣れてきてる)
唯「アレ? ないなぁ……ない」
梓「ホントですか? 次のXに隠れちゃってるとか」
唯「うーん……ない。Vにもない。ないねぇ……」
梓「誰か買っていっちゃったのかもしれないですね」
唯「あぁ……」
梓「(すごく残念そう……)こ、こういうこともありますよ。レコードは一期一会ですけど、また見つかりますって」
梓(あう……今のよくなかったかも……)
唯「……そうだね。ふんす! また会おう! アディオス!」
……
澪「もしもし、ムギ?」
紬「は~い、ムギで~す」
澪「あのさ、今から出てこられる?」
紬「わたし、絶賛24時間営業中なの~」
澪「(妙にテンション高いな)あのさ、みんなでスカイツリー見に行こうと思ってるんだ。それで駅は……」
紬「ふむふむ……招致仕りました~」
澪「うん。なんかムギ元気というか、いいことでもあったの?」
紬「私はみんなのおかげで、毎日とても幸せです」
澪「そうかぁ」
紬「ねーえ、澪ちゃん、澪ちゃんの声って前から私、とても素敵だと思ってるの」
澪「あ、ありがとう」
紬「今ねぇ、いい曲ができそうなの。サビで転調させて澪ちゃんを鳴かせてみたいわぁ~」
澪「へ……?」
―業平橋
律「おいっすー」
唯「うめっしゅー!」
梓「新しい返しですか?」
澪「来たよー」
紬「おまたせ~」
唯「あれ? 聡くんだ、聡くんだ」
律「行きたいっていうからさ」
澪「じゃあ、聡もそろって写真撮ろうな」
聡「あ、はい。なんかスミマセン」
紬「うふふ、かわいい」
律「夜ギリギリ前だな。ツリー、写真に映んないんじゃないの?」
澪「これくらいの明るさがあれば大丈夫だと思うけど」
唯「ライトとかないのかな」
梓「クリスマスには試験でライトアップしたそうですよ」
紬「そう、残念ねえ」
唯「ほっ、私の携帯ちゃんで照らしてあげる!」ペカッ
律「なにぃ! 負けてられん! 田井中ムーンパワー!」ピカッ
聡「姉ちゃんは太陽拳使えばいいじゃん」
律「さぁとしーっ!」
紬「太陽拳ってなあに?」
唯「こうやってオデコ出して……天さん!」
紬「あはははははははははははははっっ!!」
澪「ふむ……」カシャ
唯「撮れたー?」
梓「やっぱり影が多いですね」
澪「まっ、こんなもんかな」
梓「ところで、さっきからムギ先輩が恐いんですが……」
紬「聡くん、あなたのお姉さんはとってもかわいい子なの。物知りだしエスコートもうまいし叩くのもうまいし」
聡「姉ちゃん、この人と普段何してんの?」
律「バンドだよ」
紬「いい音のするチョップなの」
澪「それじゃ、みんなで写真撮ろっか」
唯「はいはーい、私あずにゃんと写るー」
梓「ちょっ、腰のあたり撫でないでくださいよ」
唯「えぇ~。んもう、あずにゃんのイケズゥ」
澪「はい、撮るよー」カシャ
紬「次、私澪ちゃんと写りたいでーす」
律「そんじゃ、私が撮るよ」
澪「む、ムギ、なんで二の腕揉むの?」
紬「腕組んでるだけだよ~♪」
律「はい、チーズ」カシャ
澪「ひゃっ、そこ胸っっ」
紬「いい笑顔~♪」ニコニコ
唯「ほら、あずにゃん、ジャケットカメラに向けて!」
梓「恥ずかしいですよ往来で……」
唯「ほら、ボビーを見せて!」
澪「なんだそれ? レコード? 梓、撮るぞー」
唯「行くよ、あずにゃん! せーの、もんたら!」
――カシャ
梓「やっぱり恥ずかしいです……」
澪「うん、けっこうカッコよく撮れた。この梓、壁紙にしようかな」
梓「ちょっ、澪先輩!?」
紬「撮るよ~」
律「キリッ!」
澪「何を目指してるんだよ」
――カシャ
律「ほれ、聡も入んなよ」
聡「い、いいよ俺はー!」
律「なぁに恥ずかしがってんだ。はいはい、私と澪の間なー」
澪「あれー? 聡背伸びたね」
聡「はぁ。ども」
律(畏まっちゃってるのォ~)
――カシャ
律「サン、二ィ、イチ、キュー!」
唯「ふたりは!」ビシッ
紬「プリキュア!」ビシッ
――カシャ
澪「あ、唯鼻の穴全開」
律「あははは! ひどい美少女戦士!」
唯「カントクゥ~リテイクお願いしますよ~」
律「あ、ダメダメ、これもうゴーサイン出ちゃってるから」
唯「そんな……っっ!」
紬「カントクさん、私カントクさんと写りたいの~」
律「まったく琴吹ちゃんにはかなわんの~。どれ、よっこい正一。あ~そこのAD。僕ら撮って」
澪「誰がADだ」
唯「最後にみんなで撮ろうよ~」
聡「あ、俺やります」
澪「あ、ちょっと待って聡」
唯「お?」
澪「あのっ!」
観光客「ホワッツ?」
律(人に頼むのはわかるけど、なぜわざわざ日本語が通じなさそうな相手を……)
澪「く、く、く」
唯「英語でお願いするときって何だっけ?」
紬「Could you~よ」
澪「ヘルプ・ミー!!」
観光客「!?」
観光客「Are you ready, GIRLS?」
唯「イエスイエース!!」
観光客「OKAY! Here we go! ONE, TWO, THRRREEEEEE!!」カシャ
律(テンション高ェ……)
唯「イエーイ!!」
観光客「YEEEAAAHH!! You are so cool, BABIES!! You are so FUCKIN' COOOOOOLLL!!」
唯「オウイエーオウイエー!!」
澪「せ、せんきゅー!」
観光局「オーライ、ガール。ババァーイ!」
唯「バイバーイ」
紬「お気をつけて~」
梓「ふ、フレンドリーな人でよかったですね」
観光客「あ、ごめんなさい、一つ忘れてた。渋谷駅はどっちですか?」
律「日本語話せんのかい!!」
澪「やれやれ。今日はこんなところかな」
唯「ツリーはまだ出来てないんだねぇ」
紬「完成は次の冬ですって」
梓「未完成のツリーで記念写真かぁ」
律「なーんだよ、不満かー? 完成したときまた来る楽しみができただろー」
唯「そうだねー。また来ようねー」
梓「……そうですね」
唯「あずにゃんとはまた、ユニオンにも行かなきゃねー」
紬「ゆにおん?」
律「なんだおまえら、今日はデートかぁ?」
梓「ちっ、違いますっ!」
唯「え~違うの~?」
梓「もう! 唯先輩も変なこと言わないでください! もうっ!」
律「聡~おまえも澪と今度デートでもすればー?」
聡「は、はぁ!? 何言ってんだよ姉ちゃん!」
澪「デートかどうかはともかく、私は別にいいぞ?」
聡「え、あ、じゃあ」
紬「その前に澪ちゃん私とデートね!」
澪「へっ?」
紬「ねえ、澪ちゃん、赤マムシって飲んだことある?」
澪「赤マムシ!?」
――帰宅
梓「うん、ごめんね、今度は絶対憂も連れてくからさ。ホントだってばー」
梓「なっ、怒ったフリって……やっぱり憂って唯先輩とよく似てるね」ハァ
梓「ん、唯先輩が? いいけど」
唯「もしもしー? あずにゃーん?」
梓「はい、どうしたんです?」
唯「あのね、暴力温泉芸者さんのCD聴いてみたんだけど、演奏が始まらなくってさ~」
梓「えっ、不良品だったんですか?」
唯「うん……あ、話変わるけどさ、なんか最近近所ビリビリがうるさくてね~。お隣さんカラオケでミラーマン歌ってるみたい」アーサヤケノーヒカリノナカニー
梓「あ……唯先輩」
唯「ほい」タータカエボクラノ ミラーマーーーーーーン
梓「それがCDの中身です」
唯「え?」
完
最終更新:2011年01月13日 00:32