―いらっしゃいませ~。
澪(入っちゃった……)キョロキョロ
澪(すごい、昼間からみんなお酒飲んでる、あそこのおじさんも、こっちのおばさんも)
澪(普通のご飯って食べられるのかな……)
おばちゃん「お決まりですかぁ~?」
澪「えーっと……(えーとえーとああれメニューか)」
澪「あっ……あの、生姜焼き定食、っていうの、ください」
おばちゃん「定食のほうでいいのね?」
澪「は、はい」
おばちゃん「生姜焼き定食~」
澪(注文をしてしまうと少し気が楽になった)ホッ
澪(あそこのおじさん、顔真っ赤だなぁ。テレビは……競馬映してる)
澪(私みたいな人、他にいないな……家族連れか、お店のおばちゃんと仲良く話してるから地元の人なのかな)
澪(あ、よく見たら生姜焼き定食1000円だ……飲み屋さんだからかな)
澪「まだかな……」ソワソワ
おばちゃん「ごめんねぇ遅くなっちゃってぇ」
澪「えっ!? いえいえいえ!」
おばちゃん「はいお待ちどうさまぁ。生姜焼き定食ね」
澪「……」
<生姜焼き定食>
- ご飯、味噌汁、生姜焼き、キャベツ
- 味噌汁はワカメと豆腐
- 生姜焼きはタレがかなりかかってる
- キャベツ用にマヨネーズが添えてある
澪(普通に……おいしそうだ)
澪「いただきます」
澪「(生姜焼き……)もぐもぐ」
澪(甘いなぁ。でも口にちょうどいい)ムグムグ
澪「(味噌汁……)……ぶっ!」ゲフゲフ!
澪(すっごく熱い。熱すぎて味わかんない……ちょっと舌火傷しちゃった。冷めてからにしよう)
澪「生姜焼きおいしいなぁ」モグモグ
澪(あ、マヨネーズがタレと混ざっちゃった。大丈夫かな)
澪「……」
澪(あれ? おいしいなあ。マヨネーズかかった生姜焼き)
澪「……」モグモグ
澪(嬉しい発見。意外な組み合わせ。ちょっとコッテリ感が増すというか)
澪(これを今度詩にしよう。突然の出会い。でも運命的なカップリング~)
澪「ふふっ(あ、味噌汁冷めてきてる。ああ、ちょうどいいなぁ、このあったかさ)」
おばちゃん「あそのこの女の子、うれしそうに食べるねぇ」
おじさん「母ちゃんもあれぐらいのルックスだったらいいんだけどな!」
おばちゃん「何言ってんのバカだねもうぅ~」
澪(あ、エリって確か仏像好きなんだっけ。メールしてみようかな)パチッ
澪「ん、律からだ」
律『最近さ~澪ふくよかになった?』
澪「ブッ!!」
澪(あいつ~……いや冬になってから確かに体重計薄目で見るようになったけど! 今まさに食べちゃってるけど!)
澪「……」
澪『やっぱ体動かさないとダメだよな。ドラムとかさ。あとドラムとか』
律『(ノД`)・゜・』
澪「ふん!」パチッ
澪(そういえば、他のみんな今日はどうしてるんだろ?)
……
梓「それじゃあ、次はクラブミュージック館に行ってみましょう」
唯「クラブ(蟹)?」
梓「主にダンスミュージックですね。ハウスとかヒップホップとか」
唯「……(第一蟹体操~♪ チャーンチャラチャラーン)」モヤモヤ
梓「普段聴かない音楽に触れてみるのも勉強になりますよ」
唯「う、うん! 私、がんばるよあずにゃん!」
梓「はい!(なんかやる気だなぁ。ふふっ、これで今度から部活の練習も増えるかな)」
―いらっしゃいませー。
唯「な、なんかさっきまでとはまた別世界だね、あずにゃん」
梓「そうですね。やっぱり扱ってる音楽もパーティー用というか、スタイリッシュな感じですから」
唯「……(蟹カニパーティ♪ かにKANIパーティ♪)」モヤモヤ
梓「ここはCDとレコード両方ありますよ」
唯(蟹のパーティーかぁ……)
梓「えーっと、ここがテクノですね。ミニマル、ディスコ、ダブステップ……」
唯「……」プシュー
梓「私も分からないものが多いです。一緒に見ましょう……って唯先輩!?」
唯「カニ……カニ……テク?」プシュー
梓(許容量超えちゃってる!?)
梓「つまり、チェケラッチョイな音楽が専門だと思ってもらえば、たぶん大丈夫です」
唯「オッケーオッケー!」
梓(本当に大丈夫かな?)
唯「……あずにゃんや。このレコード、ジャケットがないよ? 真っ白。中古だから?」
梓「ああ、えっとですね、この手の音楽は12インチ、つまりレコードのシングルが中心なんです。もちろんそれに限らずでもあるんですけど」
唯「12インチ?」
梓「レコードの大きさのことですね。これはさっきまで見てたものと同じ大きさで、12インチです」
梓「でも中身は1曲から4曲くらいしか入ってません。これは視聴用以外に、実際にパーティとかでかけるために使われたりしますから。
ジャケットはこんな風に真っ白なスリーブが多いですね。デザインがあるものもありますけど」
唯「ほあ……」
梓「えっと……ほら! これなんかデザインがついてますね」
唯「……S、K、R、E、A、M。スクリーム?」
梓「たぶんそう読むんでしょうね」
唯「あはは、これ間違ってるよ~。だってスクリームってSCREAMだもん」フフン
梓(ワザとなんじゃないかな~)
唯「チェケラッチョ~」
梓「……!(あれ、スロッビング・グリッスルだ! へぇ~ディスコ扱いなのかなぁ)」ゴソゴソ
唯「ねえねえ、あずにゃん。これカワイイ~」
梓「えっと、The Low And Theory……ATCQだったかな? 確かにオシャレですね~」
唯「あははは! ほら、こっちのコマネチみたい!」
梓「Midnight Maurauders……(確かすごい名盤とか言われてたような……)」
唯「ほわぁ、このへんの人、みんなアディダスのジャージだ。運動するのかな?」
梓(なんだか誤解を増しいるような……でも私このへん門外だしなぁ)
唯「うおっ! 8000円!? えっと……モーディマンン?」
梓(リカルド・ヴィラロボスって、確かミニマルテクノだっけ? うーん、私はまだこのへんは早いかも)
唯「ねえねえ、あずにゃん、私コレ買うよ~」
梓「スヌープ・ドギー・ドッグ……一応言っておくとこれラップですよ」
唯「イラストかわいい~」
梓(先に音楽について教えてから連れてくればよかったかなぁ)
唯「コレくださ~い」
唯「あずにゃんはまだお探しかな?」
梓「もうちょっとまってください……よいしょ」ゴソゴソ
唯「ここのレコードにかかったビニール、つるつるしてて好きだなぁ」
梓「ビニールですか……ん、えーっと、Move Your Body……」
梓(なんだっけ確かどこかで聴き覚えがああそうだ『24アワーパーティーピープル』のサントラに入ってたっけ
そうだそうだ確かピアノで始まってドッチードッチーなハウスで確かこういうジャンルはシカゴハウスっていって
えーとそうだそれでよく聴いた覚えが……)
梓「……私、コレにしますね」
唯「ま、ま、マーショル、じぇふぇる……」
梓「マーシャル・ジェファーソンって読むんですよ。唯先輩、英語の授業の方大丈夫ですか?」
唯「え、だっ、だいじょぉ~ぶだよぉ~?」
梓「勉強もがんばってくださいね」
唯「すみましぇんぬ」クスン
……
澪『それじゃあ、駅で待ち合わせね』
律「ったく~。なぁ~んでお前もついてくるんだよ~」
聡「いいじゃんかよ別にー。姉ちゃんたちだけ夜遊びとかずるいぞ」
律「夜遊びに行くわけじゃないっつの。澪が壁紙の写真撮りたいっていうからその付き添い」
聡「壁紙ってなんの?」
律「パソコーン。今日は昼間は浅草見物してたんだってさ~」
聡「それで連れてけって姉ちゃん言ったんだ?」
律「だって澪しゃんがどうしてもって言うから~」
聡「今日一日暇そうにしてたもんな、姉ちゃん」
律「……さぁとしーっ! コラ!」
聡「ちょっ、八つ当たりかよ!」
律「まだ時間あるなー。どこかで時間潰すかぁ」
聡「あ、じゃあ秋葉原行こうよ秋葉原」
律「……聡、今のうちに言っておく」
聡「なに?」
律「お前の年で彼女できないのはおかしくもなんともないからなっ!」
聡「どういう意味だよそれ!」
律「だって……買いにいくんだろ、ほら、ラブプラスとか」
聡「違うよ! ゲームだよゲーム! モンハン!」
律「姉ちゃんは弟の部屋で見つけるならエロゲーよりエロ本がいい」
聡「だぁから違うって!
―秋葉原
律「デッカイ広告だなぁ。あれはアニメ?」
聡「ゲームだよ。魔法使いの夜。延期だけどね」
律「ふーん。あの女の子とエッチしちゃうの?」
聡「あれは全年齢対応! あの会社は昔はそういうのあるけどこれは違うの! なのにわざわざPC対応なんだぜ!」
律(よくご存じで……)
聡「絵も武内崇じゃなくなっちゃったし、キレイなのはいいけど、一体いつ発売するんだか!」
律(思ったよりも弟はディープだった)
律「あ~姉ちゃんは勝手にブラブラしてるからさ。時間までそっちも好きなとこ行きな」
聡「そう? いいの?」
律「いいのいいの。ただし遅れるなよ~。そんじゃね~」
聡「わかったー」
律「まあ、あたしがいたら買いにくいものもあるだろ」
律「さーて、どうしよっかなー」
メイド「メイド喫茶でーす。どーぞー」
律「ああいう格好も学校だとできるけど、一人だと店に入ったり、着たりする気にはならないなぁ」
律「あ、そうだ、万世橋のカツサンドがあったっけ。それでとりあえず」
律「うーん、りっちゃん様孤独なグルメだわん」
―ありがとうございましたぁ。
律「これ(カツサンド)、漫画より高いんだよな」
律「うーん、上等上等」ムグムグ
律「ソースの味は男の子~ったって、女の子も食べますよ~っと」モグモグ
律「む……澪からメール」
澪『コレ さっきのご飯』
律「浅草で食べたのか。けど、これ私が貸した漫画の影響だな」
律「生姜焼き? おいしそ~……」
律(なんかタレ濃いなぁ。だいぶ甘いんじゃないのコレ。まあ、今度澪が来たとき作ってみるか~)
律「えーっと……『生姜焼き? しょうかしょうが~ アレ ところでコレ男の顔写ってね?』っと」
律「おお、返信はやい。さすが……って電話か」prprprpr
律「はいはーい」
澪「写ってないよ! なんにも写ってないってばぁっ!!」
律「そっかなぁ……ほらぁ、茶碗の真横に物欲しげに口をぱかぁっと開けたやつが」
澪「いないのー! なんにもいないんだってばぁー!! ナンニモイナイナンニモイナイナンニモイナイ……」
律「それよりさー」
澪「あ、そっ、そうだ! いいいい今から浅草寺戻ってお祓いしてもらえばっ!」
律「はいはーい。澪ちゃーん、そろそろこっち帰ってきてね~」
澪「あとで覚えてなさい」
律「はい……いや、澪とこの後合流するのはいいんだけどさー。唯たちは今何してんのかな?」
澪「ああ、そっか、都合がつけばみんな一緒に行くのもいいよな」
律「だしょ~?」
澪「だしょって何?」
律「私は唯と梓に電話してみるからさ、澪ムギに声かけてみてよ」
澪「うん、わかった。それじゃあ、ちょっと切るぞ」
律「うっすー」
澪「切るよー」
律「リコピン!」
澪「……切る、からね」プププ
律「リコピンパワー」
澪「……」プッ アッハッハッハ
律「リコピンスマッ……あ、切りやがった」
最終更新:2011年01月13日 00:32