ここは何処だろう。
何で自分がここにいるのかも分からない。
気付いたらここにいた。

この大自然の中に・・・。
周りには木々が生い茂っている。

目の前に大きな崖がある。

唯「離してよ~!!」

聞き慣れた声が崖の上から聞こえて来る。
その先を声の先を見ると

唯「あずにゃん・・・。」

何物かに囚われた唯先輩がいる。
ちょうど崖の影になっていて見えない。

私は未だに状況がつかめず混乱している。

??「返してほしければ助けに来い。」

梓「あ、まっ・・・」

私がそう言う前に唯先輩は消えてしまった。

頭の整理がつかず、そのままボーっとしていると
得体の知れないものが近付いてきた。

梓「木の・・・お化け?」

根っこで歩き、手のような鋭い枝がある。
木のお化けはその枝でいきなり私に襲いかかって来た。

梓「えっ!?」

辛うじて避けることが出来た。
頬からはつーっと血が垂れる。

梓「え!?ちょちょっと何なの?」

私はやっと正気に戻り、逃げ出す。
ちょっと走ったあとに振り返って見る。

梓「あれ?」

どうやら脚は遅いらしい。
根っこだからか・・・?

安心していると右肩を何かが貫いた。

梓「えっ・・・?」

木のお化けの枝が貫いてた。

梓「あの枝、伸びるの!?」

私は無理矢理手で枝を折った。
梓に刺さっていた枝は灰となり消滅したが
向こうにダメージはほとんど無さそうだ。

しかも3匹、5匹と集まって数が増えている。

梓「やばっ・・・。」

梓はひたすら逃げた。
がむしゃらに走った。

すると目の前に虹色の楕円があった。

梓「なにこれ・・・。」

いや、もうツッコミ切れないくらい
色々おかしいんだけども。

後ろを振り向いて見ると
数えきれないほどの木のお化けが・・・。
枝を私に向かって構えている。

梓「えーい!もうどうにでもなれ!!」

梓は虹色の楕円に飛び込んだ。

~~

梓「痛っ・・・。」

私は気がつくと自分の部屋にいた。
肩の怪我は・・・消えている。
一体今のは何だったんだろうか。

梓「そういえば今、何時。」

私は携帯を取り出す。
すると、着信とメールが共に1件入っていた。
両方とも唯先輩だった。
私はメールを読む。



From 唯センパイ
Sub 落ち着いて読んでね

本当は電話で伝えたかったんだけど
あずにゃん電話に出なかったからメール送っておくね。

落ち着いて読んでほしいんだけど
きっとあずにゃんはそのうち
見たこともない世界に飛ばされちゃうと思う。
そしたらすぐに虹色の楕円を探して飛び込んで!
そうすれば現実世界に戻れるよ。

もしかしたら得体の知れないものが
襲ってくるかも知れないけど
その時はむったんを想像して。
あの世界では楽器を具現化出来るよ!
でも身近にあって愛着してる楽器じゃないとダメなんだ。
そのまま攻撃が出来るから。

消したい時は気を落ち着かせれば消せるし
一度具現化した楽器は
つけてる名前を叫べば再び具現化出来るよ。

それじゃあ、あずにゃん・・・バイバイ
愛してるよ

平沢唯



唯先輩らしくない絵文字がひとつもないメールだった。
えっと・・・思考回路が追い付かない。
それに最後のバイバイって・・・?
あらかじめ自分がさらわれるのが分かっていたのか?
なら何故助けを求めようとしないのか。
どうしてこちらから向こうの世界の戻り方を
書いてくれていないのか。

優しい唯先輩のことだ。
恋人である私の身を
案じてくれていたのだろう。

とりあえず私は唯先輩の家に向かうことにした。
もしかしたらメールは唯先輩の悪戯で
たまたま私がそれに近い夢を見たのかも知れない。
きっとそうだ。

自分にそう言い聞かせてるものの私の足取りは早かった。



平沢家

憂「あ、梓ちゃんいらっしゃい」

梓「唯先輩いる?」

憂「2階で勉強してるよ~」

梓「ちょっとお邪魔するね」

私は急いでに家に上がり2階に上がった。

憂「?」

梓「唯先輩!!」

バンと大きな音を立てて私は唯先輩の部屋に入る。

梓「・・・。」

憂「梓ちゃん、どうしたの?・・・え?」

いない。
いるはずの唯先輩がいない。

憂「そんな・・・。私家にずっといたから
お姉ちゃんが外に出たのは有り得ないよ!」

梓「憂!落ち着いて!!」

無理な話だ。私が一番落ち着いてない。

梓「とりあえず、家の中探してみよ?」

憂「うん・・・」

しかし、いくら探しても唯先輩は見つからない。

憂「お姉ちゃん・・・お姉ちゃん・・・」ウルウル

梓「・・・私多分唯先輩が何処に行ったか分かるよ。」

憂「えっ?」

梓「軽音部の先輩方、ここに呼んでも良いかな?」

憂「う、うん・・・」


~しばらくして~

律「唯が行方不明ってどういうことだよ」

梓「とりあえず聞いて下さい」

かくかくしかじか

紬「そんなことが・・・」

澪「いきなり信じろって言われても」

梓「私だって信じられないですよ」

律「でも唯のメールもあるし、実際唯の居場所も分からないし」

憂「うぅ・・・お姉ちゃん・・・」

律「仮に梓の話が本当だとしてこれからどうするよ?」

澪律紬梓憂「うーん・・・」

澪「唯のメールが本当なら私たちは
向こうの世界で戦えるはずだよな?」

梓「そうだと思います」

律「あとはどうやって向こうの世界に行くかだな」

紬「そのワープするための楕円は今何処に?」

梓「それが分からないんです・・・。
気付いたら部屋にいて、そんなもの部屋には無かったんです」

澪「とりあえず梓の家に行ってみよう」

憂「私も行きます!」



~中野家~

梓「ここが私の部屋で・・・って、え?」

澪「虹色の楕円が」

紬「梓ちゃんの部屋に」

律「あるな・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

私の部屋にはあの世界にあったものと同じ
虹色の楕円があった。

律「これで梓の話は本当だったことになるな」

梓「まだ信じてくれてなかったんですか!」

律「すぐに信じろって方が難しいと思うぞ」

梓「うっ・・・」

紬「まあまあ」

澪「今はそれ所じゃないだろ?唯を助けるのが先決だ」

梓「そうですね!」

律「それじゃ、行こうぜ!!」

紬「ちょっと待って」

澪律梓憂「?」

紬「何かしら準備して行った方が良くないかしら」

澪「確かにそうだな。手ぶらというのも無謀過ぎる」

律「各自家に一旦戻って準備しよう」


~しばらくして~

再び中野家

律「それじゃあ今度こそ・・・」

紬「行くわよ?」

梓「はい!!」

澪「・・・いざ行くとなると怖くなってきた」ガクガク

憂「今行くよ!お姉ちゃん」

私たちは重い荷物を持って
一斉に虹色の楕円に飛び込んだ。


~~

どさっ

律「いてて・・・」

澪「うーん・・・」

紬「ここが梓ちゃんの言ってた向こうの世界・・・」

憂「木がたくさん」

梓「うっ・・・」

律「!? 梓、肩が!」

梓「そういえば現実に戻る前に攻撃されたんでした・・・」

憂「木が動いてるよ!!」

今の状況は私が虹色の楕円に
飛び込む直前の状態と全く同じだった。

律「いきなりピンチかよ」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」

律「とりあえず唯が言ってたように
楽器を想像すれば良いんだな。」

律先輩が目を閉じてから数秒後
律先輩の目の前にドラムが現れた。

律「おおっ!これを叩けば良いんだな」

チチッチ チチッチ チチッチ チチッチ チチッチ チチッチ チチッチ チチッチ
ドン タン ドン タン

律先輩が走り気味の8ビートを刻むと同時に
ドラムから衝撃波が飛び出す。

梓「凄い・・・」

紬「あれだけいた木のお化けが・・・」

憂「みるみるうちに・・・」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」


そして

律「全部片付いたか」

梓「律先輩凄いです!」

紬「りっちゃんカッコ良かったわ!」

律「たはは、照れるじゃんか//」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」

律「帰ってこーい・・・」

紬「それより梓ちゃん、怪我が・・・」

梓「こっちに来ると怪我が復活するみたいですね。
右肩で良かったです。左だったらギター背負えないですから」

紬「私、救急箱持って来たから!」

律「おお!流石ムギ」

紬「あら?そういえば荷物がないわ」

律「あ、私もだ。何処かに落としたか!?」

憂「というかこっちに来た時に荷物持ってましたっけ?」

梓「無かったね・・・」

紬「どうしよう・・・」

梓「それより皆さん、楽器を一度具現化させておきましょう。
一度具現化させれば後は名前だけで具現化出来るみたいですから」

澪「そうだな」

律「ドラ美!!」

律先輩が叫ぶと、ドラムが出て来る。

律「おお、本当だ!こりゃ便利」

私、澪先輩、ムギ先輩は楽器を具現化させる。
しかし、憂はおろおろしている。

憂「私はどうすれば・・・」

澪律紬梓「あっ・・・」

憂は楽器を持っていない。

梓「とりあえずギー太は?」

憂「試したんだけど・・・出て来ない」

律「じゃあさ!憂ちゃんの愛着があるものなら
具現化出来るんじゃないか?」

紬「試してみましょう」

憂「えっと・・・じゃあ」

憂が目を閉じて数秒後。
憂の目の前におたまとフライパンが現れた。

梓「憂は本当に家事が好きだね・・・」

憂「えへへ。でもこれ律先輩みたいに衝撃波が出ないよ?」


しばらく色々検証してみた結果
  • 自分の愛着のある物なら具現化が可能
  • 自分の家に存在しない物は具現化不可
  • 具現化した物は現実世界同様に使える
  • 楽器以外は攻撃出来ない
  • 名前がついていない物に関しては
いちいち想像しなければならない
ということが分かった。


梓「じゃあ憂は攻撃出来ないってことになるね」

憂「ごめんなさい・・・」

律「でも憂ちゃんのおかげでご飯食べれるぞ」モグモグ

具現化した食材と調理器具で憂が作った料理をみんなで食べている。
それにしても食材まで具現化出来るなんて凄いな。

紬「憂ちゃんのおかげで梓ちゃんの治療も出来たし♪」モグモグ

憂「お姉ちゃん、良く転んで怪我するから
救急箱にも愛着があったみたい」モグモグ

憂は家にあるほとんどの物を具現化出来そうだ・・・。

律「憂ちゃんはRPGでいう魔法使いみたいだな!」

憂「律さん大袈裟ですよ//」

紬「素敵ね」キラキラ

澪「さて、これからどうする?」

梓「とりあえず私が一番最初にいた場所まで戻りましょう
そう、遠くないはずです。」

澪「そうだな」


そして

梓「この崖の上に唯先輩と唯先輩をさらった奴がいたんです」

憂「この崖を登るはちょっと・・・」

律「無理だな・・・」

澪「どうしよう・・・」

律「崖の右か左の方に行ってみるしかないな」

梓「二手に分かれます?」

澪「それは良いけど・・・どうやって合流するんだ?
もしかしたら片方は行き止まりかも知れないだろ」

梓「そうですね・・・」

律「なあ、携帯を具現化出来ないか?
いつも使ってるんだし、愛着はあるだろ」

紬「やってみましょう」

携帯を具現化出来たけど・・・

律「圏外とは・・・」

梓「考えてみれば電波なんかないから当たり前ですね・・・」

澪「誰か無線を家にある人いないのか?」

律「そんな奴いないだろ!」

紬「あるかも知れないけど・・・
多分、具現化は出来ないわ」

澪「時間はかかるけどみんなで両方行ってみるか」

律「そうだな。
よし!澪じゃんけんするぞ!
私が勝ったら左、澪が勝ったら右!」

律先輩が勝ったので左に行くことになった。
ちなみに私が最初に逃げた方向は右。

しばらく歩いていると
再び木のお化けが大量に現れた。

律「よし、じゃあまた私のドラ美で・・・」

紬「待って!りっちゃん」

律「どうしたんだ?ムギ」

紬「あの敵はそんなに強くないし
りっちゃん以外も実践慣れしておくべきだと思うの
それにみんながどういう攻撃が
出来る知る良い機会じゃない?」

律「それもそうだな!」

梓「じゃあ私から行きます!むったん!!」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」

律「澪はこんなんで大丈夫なのか・・・」


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