澪・律

澪「い、今の声は?」

律「プレデター? 生きていたのか」

ヒュイン…ヒュイン…
律「うお、結構近くで反応がある…動かないで潜んでたんだな」

澪「でも、全部離れていくな…声のする方向かな…」

律「多分な…唯達大丈夫かな…」

澪「…後を追うか…」

律「み、澪?」

澪「ここにいてもしょうがないし、3人とも合流しないといけない。少なくとも声のした方向はみんながいる方向でもあるし、後を追えば逆に気付かれないかも」

律「澪…結構考えてんだな」

澪「あ、あたりまえだ!! 部長一人じゃ頼りないからな!! すぐつっぱしるし、ドラムみたいに」

律「へへ…そういうセリフは震えながらいんじゃないわよん」ププ

澪「!? せっかく格好よく決めたのに茶化すな!!」



唯・紬・梓

唯「び、びっくりしたー」

梓「映画と同じですね…」

紬「(ちょっと、漏れちゃったかも)」///

梓「あ、でもこの声でエイリアンが来るかもです」

唯「あうー、じゃあ、とにかく上にあがろうよ。プー太もうごけるようになったらでちゃってね」ノボリノボリ

梓「…唯先輩に合わせて治療したけど、本当は怖かったんだからね。宇宙人ならもっと友好的に地球にきてよね!!」ノボリノボリ

紬「プレデターさん…あなた本当は…この世界の…いや、この時代の…」

プレデター「…」

紬「ううん…なんでもないわ。とにかく、もとに戻れるといいですね」ノボリノボリ




澪・律

律「なんか、エイリアン達の動きが早くなってきたな、おいつけない」

澪「まさか、唯達が見つかったのか?」

律「何にせよ急がないと…!!」



唯・紬・梓

唯「ふうふう…」

梓「唯先輩、大丈夫ですか?」

紬「頑張りましょう、この山を登り切った先の展望台なら周りが見渡せるから…」

ヒュイン…ヒュイン…

全員「!?」

梓「あ、やばいですよ、これってこっちに向かってきてます!!」

唯「えええ」

紬「と、とにかく急ぎましょう!!」



澪・律

律「あの山の上のは…展望台?」

澪「もしかしたら、三人もそこに?」

律「見晴らしのいいところに行く可能性はあるな…」

澪「急ごう」

律「ああ…(しかし、やばいかな…エイリアンもまっすぐそっちだ)」



展望台

唯「つ、ついた…」ハアハア

梓「ちょっと休憩しませんか…反応も今のところ止まってます…」ゼイゼイ

紬「そ、そうね…」フウフウ



澪・律

律「あれ…動きが止まった」

澪「え」

律「澪、ストップ!! このまま進むと追いついちゃう」

澪「わかった…」

律「しかしなんで急に…そうだ非常用品に入っていた双眼鏡で…」

澪「どうだ?」

律「エイリアンは…木がいっぱいでわかんねぇな。展望台は…あ」

澪「どう?」

律「良かった、3人とも無事みたいだ。展望台にいる」

澪「よかった…」ホッ

律「でも、なんで急に動きを…」



展望台

唯「あうー、おなかすいた」

梓「もうすぐ夜明けですね…」

紬「少しおなかに入れておく?」

唯「ほーい」

梓「緊張感なさすぎです…」

紬「まあまあ」


唯「でもなんで急にとまったんだろう?」ポリポリ

梓「確かに…あ、このカンパン意外とおいしい」サクサク

紬「本当、こっちは動きがないわね…斜面の反対側は…」

ヒュインヒュインヒュイン…
紬「う…そ…」

梓「あ…」

唯「ひ…いきなりこんなに…」

紬「反対側も急に…」

ヒュインヒュインヒュイン…



澪・律

ヒュインヒュインヒュイン…
澪「きゅ、急に動き出したぞ!!」

律「ちょ、なんでまた…気付かずに寝てるかと…唯達も気がついたみたいだ!!」

澪「ど、どうする?」

律「お…なんで3人とも逃げようとしないんだ…反対側に」

澪「まさか?」

律「しまった、他の斜面の木が揺れている!! 囲まれたんだ!!」

澪「逃げ道なくすために他の仲間が来るまでまっていたのか? そんな知能…」

律「うかつだった…あいつら意外に知能あるんだ…行くぞ!!」

澪「り、律!!」

律「怖いけど、このままじゃ3人ともやられる!!」ダッ



展望台

唯「ど、どうしよう…」

紬「…ごめんね、やっぱり私が無人島なんかに…」

唯「ムギちゃんは悪くないよ!!」

梓「と、とにかく高い所に登りましょう!!」

ヒュインヒュイン…
紬「ダメだわ…もう周り囲まれている…」

梓「ゆ、唯先輩…」

唯「あずにゃん…ずっと一緒だから…怖くないから…」ギュッ

キシャアアアアアア
3人「っ!!」

ピギイイィ!!
3人「えっ…」

クロロロロ…
唯「あ、プー太?」

梓「え…」

紬「あそこ…あっちの斜面の開けたところ!!」

プレデター「グオオオオオオ!!」

梓「跳んだ!?」

ドスッ

唯「うおおおおっと」

梓「ひ、いきなり」

紬「(ここまで20メートルはあるのに…すごい)」



澪・律

律「動きがまた止まった?」

澪「律!! あれみて」

律「プレデター? 生きていたんだ」


展望台

プレデター「□○$&@…」ウィイン

エイリアン「キシャアアアアア!!」


そこから先はすごかった。

私達がいる位置からも、容易に確認できた。

律は双眼鏡越しに食い入るように眺めていた。

プレデターから光線が放たれたかと思うと、その着弾点にいたエイリアンは木端微塵になるか、かすっただけでも燃え上がってのたうちまわった。
ときどき撃ち漏らして近づいたエイリアンも、手にした槍のようなもので真っ二つになぎ倒し、返す先端で背後に迫った別のエイリアンを振り向きもせずに刺し貫く。

遠目でなかったら失神していたかもしれない…

でも、あの戦い方はまるで3人を…


律「ちょっと、やばいかも」

澪「?」

律「あのプレデター、押され始めた」

澪「えっ」

律「背中のレーザー…プラズマキャスターだっけか、あれもエネルギーないんだろうな、全然撃ってない…」

澪「じゃあ」

律「くそっ…これじゃ時間の問題だ…こうなったら私がおとりに」

澪「ば、ばか、それじゃ律が…」

律「んじゃどうしろって…」

?「フセロ」

律・澪「!?」



展望台

梓「…やばいです」

唯「え?」

紬「明らかに…押されてきたわ」

梓「エイリアンが徐々に迫ってるです…」

キシャアアア!!

唯「あ、あぶない!!」

プレデター「!?」

ピギイイイ!?

梓「え…」

紬「プレデターが…もう一人?」


そこから先はぼうっと眺めているしかなかった。

突然背後から現れたもう一体のプレデター…しかも日本語で「フセロ」と言った瞬間、あのプラズマキャスターの閃光が展望台に向けて発射され…視力が回復した際にはもう展望台まで跳躍していた。

律「まさか…そうか!?」

律が携帯を取り出して操作する。

律「やっぱり…怖くてあんましみてなかったけど、座席は3人乗りなのに死体は一人だけだ」

そうか…でも、今となってはそれもどうでもいい。

あの3人が助かるなら。

加勢に駆け付けたプレデターは、最初のよりも明らかに強かった。

展望台の包囲網が次第に薄くなり、エイリアンがまばらになると加勢にきた方が追い打ちをかけてせん滅した。

その間、最初のプレデターは展望台にいた…まるで3人を守るかのように。

律「唯ー!!ムギー!!梓ー!!」

唯「りっちゃーん!! 澪ちゃーん!!」ダッ

澪「みんな、大丈夫かー!!」

唯「あうーこわかったよお…」

梓「ううっ…ぐす…」ムギュ

紬「よしよし…」ナデナデ

律「へへ…みんな無事なんて…奇跡かも」

唯「プー太のおかげだよー」

澪「プー太って…」

紬「実はね…」


律「へー、唯が手当てをねー」

澪「よく触れたな…」

梓「唯先輩すごかったです」

律「ってかさ、これって夢なんじゃないよな? プレデターもいつのまにかいないし」

紬「多分、夢じゃないわ」

澪「ムギ?」

紬「このモーショントラッカー…この前コトブキ・インダストリーズと提携を結んだ、ウェイランド・ユタニ社の製品なの」

律「え?」

唯「そういえば憂がTVでみてたね。でも…あれってついこの前でしょ?」

紬「唯ちゃんさすがね…この製品の製造年月日を見て」クルリ

梓「20XX年…み、未来の日付じゃないですか!?」

澪「も、もしかして…」

紬「自分でも、SFじみた発言になるけど…プレデターもエイリアンも、何かが原因で未来から来たのかもしれないわ」

律「おいおい…それこそ夢じゃ…」

紬「そうでしょ、プレデターさん?」

ピッピッピッ…

プレデター「…」

律「で、でたクローキングデバイス!?」

澪「ひいいい」ガクブル

エリートプレデター「ソノトウリダ」

梓「にゃっ!?」

唯「あ、助けてくれた人」

紬「…帰るあてはあるのですか?」

エリートプレデター「…」

紬「…これはお返しします。この時代にはあってはいけないでしょうから」

律「あ、モーショントラッカー」

律「(そうか、プレデターの戦利品か)

エリートプレデター「ナカマガマッテイル…ソコニハカエルコトガデキル」

紬「そうですね…」

エリートプレデター「ムカエダ」

律「うわっ、なんだこの風」

唯「あ、上見て!!」

澪「また、UFO?」

梓「ここでみたのよりずっと大きいです…」

唯「プー太いっちゃうの?」

プレデター「…イタイノイタイノトンデイケー」ナデナデ

唯「えへへ…覚えたんだ、日本語」

エリートプレデター「…ウケトレ」ヒュッ

律「わっ、な、なんだ?」

澪「ま、まぶしっ!?」

紬「ごきげんよう…」


それから1時間後。

私たちは、ムギの父親がよこした救助部隊に助けられた。

でも、どうみても特殊部隊だよな、あれ。

私たちは、正直に話すのをやめにした。

証拠がないからだ。

エイリアンは死滅したと同時に自分の体内の酸で跡形もなく溶け、墜落していたはずのプレデターのUFOも、あの大きなUFOで証拠を隠滅したんだろう。

梓は、真実を話さないことを素直に承諾してくれた。

ムギは、うまく話しを合わせてくれた。停電の上に電波も使えないので緊急ボタンを押した、という点では嘘ではないので、ぼろはでなかった。

唯は承諾というより、しばらくぼんやりとしていた。結果的に私たちを助けてくれたプレデターのことを考えているのか。それとも、本当に彼らは私たちを…

律は最後までごねていた。「世紀の大発見だー」とか「やっぱモーショントラッカーを渡さなければよかった」とか


そして…

律「澪、またパソコンいじってるのか?」

澪「律、いつのまに」サッ

律「まーたあまーいポエムとか書いてんじゃないのか?」

澪「ち、ちがうって…(この前のことを書いてたんだよ…まあ、墓場までもっていくしかないと思うけど)」

律「しっかしさー、あいつも未来からきたならもっと未来っぽいものお土産においていけばいいのに」

澪「まだ、言ってるのか…誰も信じてくれないぞ」

律「だーかーらー、未来のものがあれば信じてくれるだろ」ポイッ

澪「きゅ、急に投げるなよ」アセッ

律「そんな今よりも古いものじゃ証拠になんねーよ。あーあ、ここまで映画どおりでなくてもいいのにさー」


律から放り投げられた古い銃には、こんな刻印がされていた。

Raphael Adolini 1715(ラファエル・アドリーニ 1715年)

Fin