律「みんな、大丈夫っぽいよ。なんか、がらくたみたいなのがいっぱい入ってた」

澪「本当に?」

律「ああ。つっても得体のしれないものが多いけど…ん?」ゴソゴソ

唯「りっちゃん危ないよう…」

紬「それは?」

律「ゲームと同じだとすれば…これって”モーショントラッカー”だな」

唯「ほえ? あのヒュインヒュインって音のするやつ?」

律「そ。梓、こっちに歩いてみて」

梓「は、はいです」ソロリソロリ

ヒュイン…ヒュイン…

律「やっぱりな。動くものがレーダーにうつる。でも」

梓「どうですか?」ピタッ

律「止まると反応しない」

唯「便利だねー。鬼ごっこに使えるかも!!」

澪「その発想はなかったわ…」

紬「(あら? このマークどこかで…)」

律「とりあえず、2つあるから、もう一個は梓もって」

梓「あ、はい…」

澪「なんでわざわざもって行くんだよ」

律「迷子になった際に使えそうだろ。それに証拠にもなるし」

梓「まあ、そうですけ」

ヒュイン…

律「唯、あんまうろちょろすんなよ」

唯「ええ、私ここだよ」

律「え…」

ヒュイン…ヒュイン…
梓「何か向こうの林から…距離、10m…」

澪「ちょ、何?」

紬「動物かしら?」

ヒュインヒュイン…
梓「7m…」

律「(やな予感しかしない)」

梓「6m…」

律「!? 逃げろ!!」

全員「えっ!?」

キシャアアアアアアアアアア!!

全員「いやあああああああああああ!!」


律「後見んな!!(やっぱり、あのシルエット…”エイリアン”!!)」

澪「あっ…」

律「澪!?」

澪「あ、足が…」ガクッ

シィィィ…
澪「ひいいい!?」

律「澪、今行く!!」

唯「りっちゃん!?」

梓「先輩!!」

紬「危ない!!」

?「クロロロロロ…」

エイリアン「?」

?「△○※$…」シャキン

律「へ、へへ…もう何きても驚かないぞ…」

澪「律…」

律「AVP…エイリアンVSプレデターだ」


月光の下で影が踊る。

逃げる私と律の影に重なって。

背後でエイリアンの奇声とプレデターの咆哮が響く。

どちらも、聞く人のはらわたをもぎ取るような振動で。

月光に爪が光る。

どちらの爪かはわからないけど…それは映画よりも非現実的なくせにリアルだった。
前を走る唯たちが何かを叫んでいるようだが、何も聞こえない。

夢…だよね。

夢なら、覚めたら言ってやるんだ。律の奴に。

もう怖い話するなって。

そう、夢が覚めたら…


?「ぉ、、みお!!」

澪「うん…」

律「澪、目が覚めたか?」

澪「律…」

律「へへ、よかった…」

澪「律…AVP…」

律「へ、へへ…もしかして夢オチ期待? 私だってそれ期待したけど」

澪「じゃあ」

律「現実だな」

澪「ここは?」

梓「通信塔の管理室です」

唯「澪ちゃん、無事でよかったよお」

紬「…」

律「それでさ、澪」

澪「?」

律「もういいかな、足がしびれちゃった」

澪「えっ? 膝枕?」カアアッ

唯「らぶらぶー」クネクネ

澪「ちょ、唯、変なこと言うな!!」

律「そ、そうだぞ!! ムギもそんなにキラキラした目で…あれ?」

紬「…っ、ぐすっ…」

梓「ムギ先輩?」

紬「…ご、ごめんなさい…私が…私が無人島なんかに連れてこなければ…こんな…」

唯「ムギちゃんは悪くないよ!!」フンス

律「そうだ、こんなこと起こるなんてだれも予想しないって。それに私も悪かった。プレデター死んだみたいな言い方して。二人もいるとは思わなかったし」

梓「そうですね。それに、逆に生きていたから助かった感が…」

澪「誰も悪くないよ。ムギも律も」

梓「そうです!! 練習しないからバチがあたっただけです!!」

律「梓…お前意外とキツイな…」

紬「みんな…ありがとう」

律「で、これからどうするかな」

紬「とりあえず非常用のボタンを押したわ。多分、電波塔の緊急用の有線回線だから、電波の影響はないみたいだし、ここにきていることは家には伝えてるから、何かあったことはわかるはず」

梓「相変わらず携帯はつながらないですけど…多分、あのUFOがいる時点で電波はしばらくだめなんじゃないかと」

律「モーショントラッカーは反応なし。扉は鍵かけてるし。救助が来るまでまつしかないか」

澪「ムギ、どうした?考え込んでるみたいだけど」

紬「え、ああ、ちょっと何かひっかかる感じがあったんだけど…気のせいかな…」

澪「うん…ならいいけど」

唯「あのあとどうなったのかな?」

律「どっちが生きててもいやだな。エイリアンだったら問答無用だし、プレデターも話をして通じる感じもないし」

澪「映画だとどうなんだ?」

律「互角、かな。プレデターは体力もあって武器もあるけど、エイリアンはすばしっこいし。1対1なら武器があるプレデターの方が強いかも」

梓「動画とかでちょっとみましたけど、私も律先輩と同じ意見です」

律「唯、どうした?」

唯「おなかすいた…」テヘ

澪「ま、マイペースすぎてうらやましい」

紬「お茶にしましょう?」

律「ど、どこから!?」

梓「唯先輩以上ですね…」


ティータイム中

梓「非常用品の紅茶に、非常食ですか…でも意外といけるかも」

唯「この非常食クッキーみたいでおいひい」モグモグ

紬「非常時ほどこういう甘いものがいいらしいのよ」

澪「でも本当に安らぐな」

律「非常食うめー!」

ヒュイン…

全員「えっ…」

ヒュイン…ヒュイン…

律「みんな静かに…距離、30m…まだ遠い」

ヒュイン…ヒュイン…ヒュイン

梓「…ちょっとまってください…あの、数が」

澪「う、うそ…」

唯「どっちかが勝ったの?」

紬「こ、これ…10個以上…」

律「みんな、声立てるな!! 灯り消して!!」

梓「は、はい」

ヒュイン…ヒュイン…ヒュイン…

律「やべ…エイリアンとプレデターが一体ずつならと思ったけど…これどう見てもエイリアンだな」

紬「じゃあ…」

律「多分プレデターはやられたかな。さすがに一人じゃ無理だったのかも」

唯「ど、どうしよう」

律「まだ気付かれてないみたいだし、このままやり過ごそう」

澪「う、うん」

紬「一応、逃げる用意しておくわね」

梓「でも、どこに逃げるんですか?」

紬「奥の部屋に地下に続く扉があったの。多分、地下に埋め込んだ送電ケーブルの点検用みたい」

律「…ちょっとまて。むしろそっちもやばくないか?」

梓「あ…」

澪「なんで?」

律「エイリアンって、映画だと地下とか天井裏とかにも忍び込むんだよ」

唯「うう…」

律「梓、モーショントラッカーでそっちから来ないか見て」

梓「わかりました」

紬「私も見てくる」

律「頼んだ」

唯「私もいくよー」

澪「り、りつ…」

律「澪は私と一緒。それならいいだろ」

澪「うん」ギュッ

律「手ならともかく、腰にしがみつくなよ…」

ヒュイン…

澪「こっちのほうは遠ざかっていく…もう反応無くなった」

律「向こうは…っと、ムギの方から来てくれた」

紬「向こうは何の反応もないわよ」

律「ふー。なんとかなったようだな」

紬「救援はそろそろくるかしら…」

澪「時間は…わ、もう夜中の3時…」

律「そのうち夜が明けるな…」

ヒュイン…

律「!?」

澪「ちょ、何?」

紬「これ…3m…?」

律「お、おいこれじゃもう建物の中…あっ?」

澪「律?」

律「ムギ、この建物って屋上あるか?」

紬「た、多分…電波塔に上がるために部屋の中からもいけるはず…あの天井の扉…」スッ

バンッ
キシャアアアアアア…

澪「ひ、ひ…」

律「(くそ、電波塔に1体登ってたんだ)、ムギ、二人と逃げろ!!」

紬「あ…あ」

律「早く!!」

紬「…」コクッ

エイリアン「キシャアアアッ」

律「く、こっちだこの昆虫野郎!!」

エイリアン「シュー…」

律「(よし、ムギとこっちを見比べてるな…時間稼げた)澪、外に逃げるぞ!!」

澪「えっ、えっ?」

律「副部長、しっかりしろ!! またみんなでライブしたくないのか?」

澪「わ、わかった」

律「行くぞ!!」

バンッ
律「(とりあえず、あの群れが行った方とは反対に…)



唯・紬・梓

紬「唯ちゃん、梓ちゃん、逃げて!!」

唯・梓「えっ」

紬「え、エイリアンが」

唯「二人は?」

紬「外に逃げたわ」

ガンッ

梓「もう扉の向こうに?」

紬「唯ちゃん、地下へ!! 梓ちゃんも」

梓「ムギ先輩も早く!!」

バタン
紬「(この扉はまだ頑丈そうだから…あとこの非常用の斧をつっかえ棒に…)」ガシャン

梓「ムギ先輩、はやく!! その扉のすぐ向こうにいます!!」

ヒュイン…ヒュイン…

紬「うんっ!!」


唯「まっくらだねー」

紬「この非常用の蛍光スティックじゃあまり遠くまで見えないわね」

梓「今のところ、後も前も反応なしです」

紬「でも、あの扉が破られるかもしれないから、早めに外に出た方がいいわね」

唯「これどこまでいくんだろう?」

紬「えっと、地図からすると…多分途中でこの点検用のマンホールに着くわね」

唯「…」ピタ

梓「わっ…唯先輩急に止まらないでください」

唯「…点検用のマンホールって、このハシゴで上に行くのかな?」

紬「ええ…」

唯「でも…」スッ

梓「…!?」

紬「え…」

クロロロロロ…

唯「先に開けられたみたい…」



澪・律

律「追って…来ないみたいだな」

澪「ああ…」

律「なんとか別荘まで来たな…灯りは消したままがいいかな」

澪「そうだな…」

律「…バカだな、私」

澪「律?」

律「こっちを追ってこなかったってことは、あのエイリアンは唯達を追ってるんだ。へへ…部長なのに…みんなを危険な目に」

澪「そ、そんなことない!!」

律「澪…」

澪「律はすごいよ…律がいたから、みんなこうやって生きてるんだぞ!! そんな…そんな言い方するなよ…」

律「…澪…へへ、澪って、怒りながら泣くんだな」

澪「う、うるさい!!」



唯・紬・梓

唯「…」

梓「唯先輩!! 危ないです」

紬「唯ちゃん!!」

唯「大丈夫…プー太はおそってくる気ないみたい」

梓「プー太って…」

紬「あ…怪我…」

ォォォォ…

唯「立たなくていいよー座って」

紬「唯ちゃん…」

唯「さっきは守ってくれてありがとうねー」

梓「(別に守ったわけじゃないような)」

プシュ
唯「ひゃっ、なんか足の裏から出た」

梓「あ…動画で見たんですけど、それって確か治療する道具なんじゃ…」

紬「でも、ほとんど体動かせないみたいね…」

唯「よし、じゃあ私がやってあげる!!」

紬「ゆ、唯ちゃん!!」

梓「き、危険です!! 治ったら私たちを襲うかもしれないです!!」

唯「でも放っておけないよー」

ォォォォ…

唯「いたかったー? すぐにお薬を塗ってあげるね」

梓「…私も手伝います」

紬「梓ちゃん?」

梓「本当に唯先輩は甘いんだから…でも、それが唯先輩らしいところです」

唯「あずにゃんありがとー」

梓「はいはい…あ、ムギ先輩はモーショントラッカーでまわりをみてください」

紬「うん…」スチャ

紬「(WにYのロゴ…どこかで…あ!)」

唯「いたいのいたいのとんでけー」

梓「唯先輩、多分それは言葉通じてないです」

紬「(どういうこと? これはどう見てもかなり使いこまれた感じ…でもあの会社は先日できたばかり…)」

唯「じゃ、塗るよー」ピト

グォオオオオオオオオオオオオアアー!!


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