唯「いやだ、まだ死にたくないよ!…って思って、気が付いたらね」

律「う、うん…」ゴクリ

唯「なんかトラックがなくなってて、かわりにそこらじゅうにアイスが飛び散ってたんだ!」

律「は?」

唯「それで夢中になってアイスを食べてたんだけど!」

律「おいおい、落ちてたアイス食ったのかよ」

唯「ふと気が付いたらこの子が隣に立ってたんだ!!」フンッ!

律「な、なるほど…」

律「でも私事故には遭いたくないぞ…もし何も出なかったらどうするんだよ」

唯「うーん…それもそうだよねー…」

律「強く念じてみればいいのかなぁ」ムムム…

律「……ど、どう?」

唯「やー、何も…」

唯「……あ、あのさりっちゃん、考えたんだけどね」

律「何?」

唯「私のこの子…クリ太なんだけどね」

律「クリ太て。おいしんぼかよ。せめてコー太にしようぜ」

唯「じゃあそれでいいや。コー太なんだけどね、力を使ってものを殴るとアイスにしちゃうみたいなんだ」

律「あ、さっきシュークリームにやってたな」

唯「うん。でね、それを今からりっちゃんにやってみようと思うんだ」

律「は!? お、おい何言ってんだ唯ッ、待てよそんなことされたら私どうなっ」
唯「いくよっ!」ズギャン!


律「うわーーーっ!!」


ガシィイン!!

律「……!?」

―何も起きない?

きつく閉じた目を恐る恐る開ける律。

眼前に迫るコー太の拳。
その拳を、唯のものとは違う何かが腕にしがみついて止めていた。

唯「で、出た… 見てりっちゃん!出たよ!!」

律「あッ!! こ、これが!?」

唯「そう!りっちゃんのだ!!うわーちっちゃい、かわいー☆」

唯のものと比べるとより奇妙な存在である。
人型というよりは大きめの両生類のようである。

律「な、なんじゃこりゃ…」

と、攻撃された反射行動であろうか、
それはしがみついていた腕から離れると不意をついて唯を攻撃した!

ビシィッ!

唯「」


律「あっ!? こ、こらっ、何すんだ!おい唯っ!?大丈夫かっ!!」

唯「ぁ…ぁう…」

律「唯!?」

唯「あ、あれ。痛くないよ」

律「え?」

唯「ちっちゃいから力がなかったのかなぁ…助かったよおお」

律「…で、でもさ唯、ただ殴るだけってのも変だろ。
  お前のクリーマリー…だっけ?触れた物をアイスに出来るんだろ?」

唯「そっか、そうだよねえ…でも私なんとも…あ、あれ?」ジーッ

律「?どした唯」

唯「りっちゃんのおでこに…何か…」ジイイ


デコ『イタク ナイ!ナントモナイゾ!』

唯「……も、文字?文字が浮かんでるよー」

律「は?え、ちょっ鏡かがみ」ゴソゴソ

律「んん… …あ、マジだ。なんだこれ…」

律「…あ、あれ?形が」

グググ…

デコ『モジダ!モジガウカンデルヨー!』

律「書いてある事が変わったぞ。ん?また…」

デコ『イッタイ ナンダロー?』
唯「一体なんだろう? …え!?」

律「もしかしてこれ…唯が思ってる事か?」

デコ『ソウカモ』
唯(そうかも)

唯「!そ、そうみたい…うわーなんか恥ずかしいや…」

スーッ

唯「消えた!」

律「ほんとだ。効果時間…とか?」

唯「かも!うわーでも凄いや、りっちゃんも出せた!」

律「なんかしょぼいけど…すごいな!ははっ、こいつは名前なんてーのかなー、はよ喋れ!」

唯「デコーズ!デコーズだよ、きっと!」

律「……で、でこーず…」

唯「わいずめる!」

律「いやそれはちょっと違うかな」




……

ガチャ

澪「戻ってきたか」

梓「何話してたんですか二人で…」

紬「お茶冷めちゃったから淹れ直すわね」

唯「ごめんごめん」

律「へっへーん、澪ぉ~」

澪「な、なんだよ…」

律「てりゃっ!」ズキュン

ビッシャア!

唯「あっ、りっちゃん!?」

律「私の事好っきか~っ?w」

澪「は…はぁ!?なんだ急に…どうでもいいだろ!普通だ普通!!」

律「ふーん……」スチャ

律「ふむふむ…『ダイスキダ、リツゥ//』とな…」ボソボソ

梓「…な、何してるんですかね律先輩、手鏡で自分の顔見つめて」ヒソヒソ

澪「わ、わからん…やっぱりどっかおかしくなったのかも…」ヒソヒソ

律「ん」

律「おい私はどこもおかしくなってないから」

梓「!?」

澪「えっ、き、聞こえてたのか!?」

律「え(やべっ) あ、ああそうだよーんりっちゃん地獄耳!」

唯「りっちゃん気をつけようよ…」

律「わ、悪い悪い…面白くってつい…」

律(ほんとおもしれーっ!これ!
  唯は思ったことそのまま口にするタイプだからあれだけど…)

唯「でもなんでだろーね?」

律「そうだなぁ…私らだけ急に」

澪「何の話?」

律「いやいやなんでも。こっちの話」

澪「そ、そうか」シュン

律(おっ)チラッ

デコ『リツ…ユイとナイショバナシかよ…サミシイ』

律(プププw澪かわいーw …てか平仮名も出るんだな)

スーッ

律(あ。終わった)


唯「うーん…思い当たることって言えば、二人とも高熱を出したってことだよねぇ」

律「そうだなー…… …ん!?ちょ、ちょっと待て唯。他にも共通点あったぞ!」

唯「え? …んんん」

律「ほ、ほら!これこれ!」プニプニ

唯「…あ!そういえばそうだよ~!確かあれは…」

律「む、ムギ、昨日のアレどうした?」

紬「え? …あ、あぁりっちゃんの拾った?」

律「そうあれ!何だったか調べたのか?」

紬「ごめんね、昨日は帰ってから色々用事があったから結局調べてないわ…
  今日調べてみようと思うんだけど、だめ?」

律「そ、そっかー。いやいいんだけど…」

唯「どうするのりっちゃん?絶対あれだよ」

律「そうだけど…うーん…」

律「じゃあさ、とりあえず軽く調べてみてさ、分からないようなら返してよ」

紬「そう?じゃあ今日は調べられると思うから明日持ってくるわね」

澪「なになに?何を?」

律「昨日の矢じり」

澪「あぁ」

律「澪話題に入れなくて寂しかったんだろ?w」

澪「は!?うるさいぞ律っ!」ガン

律「いで」

梓「もー、とりあえず練習しましょうよ」

律「そうだなー」

唯「えー、じゃあもいっこシューアイス食べてから…」ズキュン

梓「だからシュークリームですよそれは」



……

唯「うーぃい~、あいしゅうぅ~…」

憂「もー。ごはん食べてから!」ジュー

唯「ぅう… …あ、そっか!てぃ!」ズキュン!

唯「ほぁったぁ!」ビッシィア

唯「自分で作れるんだったよ~ うまうま」モグモグ

唯「……あれ、ところで私何アイスにしたんだろ…よく見てなかった…」モグモグ

唯「まぁいっか。うまい!」モグモグ


憂「お姉ちゃんご飯できたよー」

唯「わーい」


憂「…あれ?お姉ちゃんここに私の携帯無かった?」

唯「しらなーい」



……

テレビ「ノーパンしゃぶしゃぶ!」

聡「うははっ、おもれー ゲラゲラ」

律(……しっかしホント面白いもん手に入れたよな~)

律「ほっ」ビッシィ!

聡「はははは!…プククッ」

律(……どれ)サッ

デコ『あ~、ネェちゃんのパンツどうやってトろうかな~』

律「っ!?」

律(このヤロ…澄ました顔して何つーことを…!)

律(……)ジーッ…

デコ『スズ木、ねぇチャンのぱんつと交かんでどんなエロビデくれんノかなー』

律(……ロクな友達いねーなこいつ…っていうか漢字が混じってる)

律(慣れ?)

デコ『いつヤロうかな、やッパ風呂んトキがいいよナぁ』

聡「ははは、ごっつおもれー」

律「…あ~っ、私お風呂入ってこよっかなー」

聡「」ピクッ

律(うはwバーカw)




……

―放課後―


唯「おーっすムギちゃん今日のおやつ何?」

紬「ふふ、今日はね~…フルーツタルト♪」

律「うまそー!」

唯「これはこのままでいいやー」

律「あ、唯。ちょっとちょっと」ビシィ

唯「え?あっ! り、りっちゃんやめてよもー…」

律「いいからいいから。あれから練習して精度上がったんだ!見てみ?」

唯「んん?」

デコ『タルトおいしそー♪』

唯「うん?」

デコ『ひらがながはいってる』

律「平仮名だけじゃないぞ!漢字も出るようになったんだ」

唯「んんん?」

デコ『でてるかなあ…でてないよねえ』

律「な、名前とか思い浮かべてみろよ」

デコ『ひらさわゆい』

律「…やっぱいいわ」

唯「信じるよ!りっちゃん!」

律「どうも…」


紬「………」

唯「それにしてもこれおいひいね~!」モグモグ

紬「そう言ってもらえると嬉しいわ♪」

梓「至福のひととき…練習するよりずっと有意義ですねぇ~」モグモグ

律「ん?梓今なんて?」

澪「ホントおいしい!なぁ律ぅ~ん♪いつまでもデコ見てないで律も食べろよぉう♪」モグモグ

律「あ、あぁ(なんだ?きもちわりー声出しやがって)」

紬「さ、りっちゃんもどうぞ♪」

律「それじゃいっただっきまーす」モグモグ

律「…ホントうまいなぁ~♪み~おっ☆」デレデレ

唯「あずにゃんあ~ん♪」

梓「ふふふ、ゆいせんぱぁい♪あ~~~ん//」


紬(……)

―――――

―昨晩、琴吹家―

紬「ふぅ…調べるとは言ったものの、手がかりが無さ過ぎるよね、これ…」

紬「とりあえず古代文明の遺物図鑑でも見てみようかしら。エジプトあたりでいいかな」ペラペラ

紬「……流石にないわよね…ププ、だって校庭に落ちてたんだもの…」

紬「ん~っ 疲れたぁ…分からなかったって事でこれはりっちゃんに返そう…
  とりあえずこの本戻してこよう…」ゴソゴソ

バササ

紬「あら?何か落ちたわ。紙束…?」

『"弓"と"矢"に関するレポートメモ』

紬「依頼主、SPW財団…何かしら」

紬「……」

紬「…!!こ、これは…」

―――――

紬(…私の手に入れた「リリー・マルレーン」…)


律「み~おっ☆ほっぺについてるぞ♪」ペロッ

澪「ひゃんっ!?り、りつぅ//やったなぁ~このぉ//」テレテレ

唯「あーずにゃあああんこのタルトあずにゃんの味がするぅ♪」

梓「そ、そんなこと言われると私が唯先輩に食べられてるみたいで…嬉しい//」


紬「うふふ、皆とってもなかよしさんなのね♪」


一同「うん!むぎちゃんもだ~い好きだよっ☆」



紬(これが…その能力っ…!!)ジュンッ


紬(でも唯ちゃんとりっちゃん、既に力が発現している二人に見られずに
  お菓子にリリーを"仕込む"のは結構ヒヤヒヤしたわね…)

紬(二人の能力は一体なんだろう?さっきりっちゃんのオデコには
  文字みたいなのが浮かんでたようだけれど……)

紬「まぁ、そのうち分かるかな。今はこの状況を楽しみましょう♪」

唯「りっちゃんあ~ん♪」

律「あ~~~ん♪」パクッ

紬(はぁああぁああぁああんっ!!//)

紬(まさに最高の愉悦っ…!!至福の時っ…!!)ポタタ

唯「ふわぁーごちそうさまー」ゲプッ

律「ふー食った食った」

澪「オッサンかよ」

律「うるせ!」

梓「はっ!な、何くつろいでるんですか練習しますよ!」

紬(食べてる間しか効かないのは仕方ないか…)


律「あ、そういえばムギ、あれ調べてくれた?」

紬「え!?え、ええ…えっと」

紬(どうしよう。言うべきか言わざるべきか…難しい選択ね…
  言うとしたら私が何らかの力を手に入れたと思われるかも…)

紬「えーーーっとねぇ…」コトッ

澪「ん?なんだまたその矢じりの話か…懲りないなー…また手切っても知らないぞ」

律「だ、だって気になるだろ?その…ほら…こんなに綺麗なんだし」

唯「そうそう!気になるよ~」

梓「もう、散々お菓子食べといて今度はそれですか!時間なくなっちゃいます、練習しましょう!」

唯「あずにゃんそんなこと言わないで~、ちょっとだけ!」

梓「だめです!練習が終わるまでこれ没収しますから!」ガッ

紬「あっ!」

律「ちょ、梓っ!気をつけろって!とりあえず返せ!」グイッ

梓「な、なんですかダメですよ練習してからですっ」

サクッ

梓「い゛っ!!」

唯律紬「!!!!」


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