~ 第一話 汽車 ~
唯 「あっ、あずにゃんだ!」 ギュッ
梓 「きゃっ、お、おはようございます」
唯 「あずにゃん、あったかい」
梓 「息が白いですね」
唯 「そうだ! 機関車ごっこしようよ」
梓 「なんですか、それ?」
唯 「ほら、肩に両手乗せて」
梓 「こうですか」
唯 「二両編成で出発だよ!」
梓 (みんな、見てて恥ずかしい……)
唯 「しゅっぽっぽ、しゅぽっぽ」
梓 「ぶーん!」
~ 第二話 逆上がり ~
梓 「唯先輩、おはようございます」
唯 「……」
梓 「唯先輩?」
唯 「……」
梓 「早く行かないと、1時間目に間に合いませんよ」
唯 「学校行きたくないよ」
梓 「逆上がりまだできないんですか」
唯 「……うん」
梓 「体育、5時間目ですよね」
唯 「そうだよ」
梓 「じゃあ、昼休み一緒に練習しましょう」
唯 「え~、どうせできないよ」
梓 「だいじょうぶです」
唯 「う~ん」
梓 「明日は晴れですね」
唯 「なんで」
梓 「夕日がきれいだと晴れるんです」
唯 「ありがとう、あずにゃん」
梓 「唯先輩、顔に泥ついたままですよ」
唯 「えへへへ」
~ 第三話 拾いもの ~
梓 (木陰にいるのは唯先輩?)
梓 「また、学校に遅れますよ」
唯 「あずにゃん、おはよ」
梓 「なにしてるんですか」
唯 「へ! なにもしてないよっ」
梓 (絶対嘘だ)
梓 「なんかスカートのなかもこもこしてますね」
唯 「ぎくっ」
梓 「なに隠してるんですか」
唯 「えっ、きっ、気のせいだよ」
梓 「憂に言いつけますよ」
唯 「子猫、拾いましたっ!」
梓 (カミングアウト早っ!)
みゃ~ みゃ~
梓 「どうするんですか、その子」
唯 「……」
梓 「やっぱり、考えてなかったんですね」
唯 「あずにゃん、飼えない?」
梓 「そんな急に無理ですよ」
唯 「どうしよう」
梓 「私にきかないでください」
みゃ~ん
唯 「あずにゃん……」
梓 「仕方ないですね。体育館の裏で飼いましょう」
唯 「あずにゃん!」
梓 「みんなには内緒ですよ」
唯 「給食のパン、あんまり食べなかったね」
梓 「ミルクは飲みましたけどね」
唯 「明日はみ~助にハムもってこよっと!」
梓 「もう名前つけたんですか」
……
唯 「ぐっ、ぐっ、……」
梓 「泣いちゃだめです。泣いたら……み~助も悲しみます」
唯 「うあああああああああああん」
梓 「明日、一緒にお墓作りましょうね」
唯 「ああああああああああああああん」
梓 「うっ……うっ……うっ」
~ 第四話 競争 ~
唯 「ねぇ、あずにゃん」
梓 「何ですか?」
唯 「帰りに駄菓子屋寄って帰ろっ」
梓 「いいですよ」
唯 「明日の遠足のお菓子買うんだ!」
梓 「何円までですか?」
唯 「三年だから200円だよ!」
梓 「いいな、いいな。二年は150円でした。ずるいです」
唯 「かけっこしようよ。勝った方が優勝だからね」
梓 「唯先輩!」
唯 「どうしたの?」
梓 「上履きのままですよ」
唯 「あっ、履きかえるのわすれてたー」
梓 「じゃあ、さきに駄菓子屋いってますね」
唯 「ずるなしだよ、そんなの反則だよ」
~ 第五話 火事 ~
唯 「夕日はまっかっかだねぇ」
梓 「火事みたいですね」
ウーカンカンカン
唯 「あっ、ほんとの火事だ!」
梓 「見に行きましょう!」
唯 「東町の方だよね」
梓 「煙見えますよ、あそこ!」
~ 第六話 スカートめくり ~
唯 「あ~ずにゃん!」
梓 「にゃんっ! やめてください!」
唯 「白パンずにゃんだ!」
梓 「ひっ、ひどい……」
唯 「怒ったあずにゃん、おもろい」
梓 「唯先輩だって、どうせブリーフでしょっ」
唯 「私は毛糸のパンツだよ!」
梓 「ぷっ、ださい」
唯 「ひどいよ、白パンのくせに」
梓 「うるさい、もう絶交です」
~ 第七話 ゼッコウ ~
梓 「もう口きいてあげません」
唯 「いっ、いいもん。澪ちゃんと一緒に帰るし」
梓 「残念でした。澪先輩は私と帰りますよ~だ」
唯 「白パンと帰る人なんていないし」
梓 「のろまと帰ってくれる人なんていませんよっ」
唯 「ううう」
梓 「給食も食べるの一番遅いくせに」
唯 「うううううう」
梓 「毎日、給食袋にこっぺパンの食べ残し入れてますよね」
唯 「なっ、なぜそれを……」
梓 「毎日、ぱんぱんの給食袋見れば誰だって分かりますよ」
唯 「うああああああああん」
唯 「あずにゃん、だいっきらい」
梓 (へん、唯先輩がスカートめくるのが悪いんです)
梓 (……私は、悪くないもん)
~ 第八話 まる虫 ~
唯 「ねえ、あ~ずにゃん!」
梓 「絶交してるんだから話かけないでください」
唯 「いいもの見せてあげよっか」
梓 「いりませんよ」
唯 「ほらっ、まる虫!」
梓 「あっ、いっぱいだ。すごい」
唯 「どこにいたか教えてあげるね」
梓 「いっ、いりません。まる虫なんて幼稚くさいです」
唯 「じゃあ、教えてあげないからっ」
梓 「ふんだ。どうせ石の裏でしょ」
唯 「うううう……」
澪 「梓、一緒に帰ろう」
梓 「あっ、はい!」
紬 「唯ちゃんも来ない? 新しいゲーム買ってもらったの」
梓 「唯先輩はまる虫百匹つかまえるから帰りませんよ」
律 「すげえええ」
澪 「じゃあな、唯」
紬 「また明日ね」
律 「ばいば~い」
…………
~ 第九話 しってるよ ~
梓 (ひとり、つまんないな)
唯 「あ~ずにゃん!」
梓 「またですか、またですか」
唯 「あ~そぼ」
梓 「今日は無理です」
唯 「えっ、なんで?」
梓 「今日は日能研にいく日です」
唯 「あー、にちのうけんね」
梓 「知ってるんですか?」
唯 「お父さんもよく行くよ!」
梓 (絶対知らないな)
~ 第十話 そんなことより ~
梓 「唯先輩、またパン残してますね」
唯 「うん」
梓 「家に帰ってから食べるんですか?」
唯 「食べないよ」
梓 「じゃあ、捨てるんですか」
唯 「神社へ持っていくんだよ!」
梓 「はあ、お供えですか」
唯 「ちがうよ」
唯 「神社のハトとかカメにあげるんだよ!」
梓 「でも、神主さん怖くないですか」
唯 「大丈夫♪ 大丈夫♪ アメくれるよ」
梓 「で、でも塾が」
唯 「大丈夫♪ 大丈夫♪ アメおいしいよ」
~ 第十一話 たて笛 ~
梓 「唯先輩、朝のテレビ見ました?」
唯 「第七サティアンでしょ!」
梓 「かみくいしきむらです」
唯 「そうだ、たて笛貸して!」
梓 「いいですけど」
唯 「いくよっ!」
ソ~ミ~ ソ~ミ~ ソミソミ ソ~ミ~
梓 「あははは、すごいです!」
唯 「でしょ! でしょ! でしょ!」
~ 第十一話 いつのまに ~
律 「おまえら、いつ仲直りしたの?」
梓 「あっ、しまった!」
唯 「忘れてたあー」
最終更新:2011年01月09日 23:29