唯「あずにゃん」

梓「なんですか、唯先輩」

放課後、夕方、部室には唯と梓ふたりきり。
唯は梓に貸してもらった本を見ながら背中を向けてギターのメンテ。
梓はソファーに寝転がって音楽雑誌を読みながら終わるのを待っている。

唯「抱きついてもいいかな」

梓「…ダメですっていってもするんでしょう?」

唯「……あずにゃん」

梓「…はい?」

唯「抱きつかせなさい」

梓「は、はい…」

梓「あの、唯先輩」

唯「立って、あずにゃん、それじゃあ抱きつけない」

梓「ハイ…」

梓(なんで命令口調? いつもの先輩じゃないよ…)

梓(別に命令されなくても抱きつくくらい平気なのに…)

唯「じゃ、じゃあ、抱きつくね」

梓「は、はいっ!」

梓(イヤイヤ、もっと普通にしていいんですよ、唯先輩!)

梓(そんなにかしこまってされたら…そんなに顔見られたら…気まずいです……)

ギュッ
フワッ

梓(あああ、なんだかとてもいけないことをしている気分に)

梓(ああ、でも気持ちいいなぁ唯先輩、フワフワして、あたたかい…)

唯「うん、気持ちいいよ、あずにゃん」ナデナデ

梓(みっ、耳、左耳に囁かないで、くすぐったい)

梓(ああ、でも頭をナデナデされるのも好き…ずっとこうしてたい…)

梓(おっぱいもふかふかで気持ちいいなぁ…もっと押し付けたいけど…一応嫌がってることになってるし…)

唯(やっぱりちょっと押し付けてきてる…かわいい)

唯(あずにゃんにもっと喜んでほしいなぁ)

唯(ギー太みたいに触ってあげたら喜ぶかなぁ)

コチョコチョ

唯(…フレット…)

梓(ぴゃっ!?ゆゆゆ唯先輩、うなじはダメです!)

サワサワ

唯(6弦までゆっくり…)

梓(ふわわ、背中もだめですよう!)

梓(なんかおかしい、今日の唯先輩はやっぱり変だ!離れなきゃ…)

梓(あ、でも、ダメ、くびすじ、せなか、きもち…よすぎ)

梓(ちから、抜け…ゆいせんぱい、うますぎれす…)

ヘナヘナ

唯「ちょ、あずにゃん!?」

唯「うわ、だめだ、支えきれ」

倒れこむ唯と梓
唯がお腹に梓を乗っける形になる

唯「あずにゃん、大丈夫!?」

梓「大丈夫じゃないれす!」

唯「!?」

梓「唯先輩のせいで腰が抜けてたてまひぇん!」

唯「???」

梓「罰として」

唯「罰として?」

梓「思う存分フカフカさせろです!」

フカフカ
フカフカフカフカ

梓(気持ちいい…これがやりたかったんだぁ)

ナデナデ

唯(私の胸ってそんなにきもちいいのかなぁ…あったかくて猫みたいだなぁ、あずにゃん)

梓「唯先輩!」

唯「な、何かなあずにゃん」

梓「まさか私以外にさっきの…その…タッチ!をしたりしてませんよね!」

唯「えー、し、してないよ?ギー太以外」

梓「ギー太…? とにかく、今後もしちゃダメです!絶対ですよ!」

唯「えー…わ、わかったよ! ギー太、にもダメ?」

梓「ギー太はいいです」

唯「じゃああずにゃんには?」

梓「なっ…わっ…私は」

梓(ダメっ…私!どんなに気持ち良かったとしても! 次にアレをされたら)

唯「あずにゃん気持よさそうだったから、なんでダメなのかわかんないよう」

梓(駄目だこの人! なんというか『一線』という感覚がない!)

唯「ねぇ、ほら、きもちいいんでしょ?」

サワサワ

梓(ふわあああ! 何この人やっぱり天才だ!)

梓(ダメ…だ、突っ張る腕の力…抜け…)

フカッ

唯「ほら、私の体ベッドにしていいよ?」

フカフカサワサワ

梓(何だこの天国ー!!)


……

唯「ただいまー」

憂「おかえりなさい、お姉ちゃん!おそかったね」

唯「うーん、今日はなんだか疲れちゃった…」

憂(お姉ちゃんから…あからさまな他の人の匂いがする…)

憂「大変だったねー、何してたの?」

唯「あずにゃんとギー太のメンテをしてたよ」

憂(たしかに梓ちゃんのにおい…でもメンテしただけじゃこんなに強くは残らない)

憂(梓ちゃん…してもらったんだ…”アレ”を)

唯「憂ーごはんー」

憂「はーい」

唯(あずにゃんの反応すごかったなー)

唯(憂も最初は喜んでくれたけど、あずにゃんはガマンする顔がかわいいなー)

唯(軽音部のみんなにしてあげたらどんな顔するのかなー)

憂「お姉ちゃん、ご飯はよそ見しないで食べてね」

唯「う? うん!」

憂(お姉ちゃんは『一線』とか『世間体』に興味がないからなー)

憂(変に味をしめておかしなことにならなきゃいいけど)


翌日
軽音部

唯「やっほー! きったよー!」

唯「あずにゃーん! きのうはたのしかったねー!」

梓「ゲッ!唯先輩」

律「あれー?昨日は二人で残ってたのか。何してたんだ?」

唯「えっとねー、ギー太をメンテして、その後あずにゃんとフカフ梓「うわああああああああ」

梓「フカフカの洋服を見に行きました!そう、ショッピングです!」

律「そ、そうか」

唯「え、待ってあずにゃん、私それ覚えて」

梓「しました!」

唯「はい」


廊下

梓「唯先輩、昨日のことは、ふたりだけの秘密にしておいてください」

唯「え…どうして、あずにゃん」

梓「どうしてもです、唯先輩」

唯「う…顔が怖いよあずにゃん、わかったから」

梓「絶対ですよ!」

唯「はい…。あのさ、あずにゃん、ひょっとして昨日の、いやだった?」

梓「……」

唯「そうなんだ…うう…ごめんなさい、昔憂にしてあげたときは喜んでもらえたから…」

梓「!! 憂に!? 同じことを!!?」

唯「ひっ! なんでもないよあずにゃん! ごめんなさい!!」

梓「…! いえ、こちらこそ、大声を出してしまって…」

梓(先輩を怖がらせてしまった…でもそれ以前に)

梓(この人はやっぱり、『ああいうこと』を何も特別だと思っていない!)

梓(できるからしている…それだけ…それだけなんだ、この人にとっては、アレは好意じゃない)

梓(悔しい…分からせたいよ……アレは”特別な行為”なんだって)

唯「あの…あずにゃん、やっぱり、すごくおこってる…?」

梓「唯先輩」

唯「ひっ、はい」

梓「今日の夕方、またアレをしましょう」


夕方
音楽室

唯「バイバイ、りっちゃん!」

律「おい! 唯と梓も、できるだけ早く帰れよ!」

バタン

梓「……これで、ふたりきりですね」

唯「あの、あずにゃん、えっと」

梓「ソファに横になってください」

唯「……」

ごろん

梓「私が上に寝ます。ちゃんと、ギュってしてくださいね」

唯「うん、わかった」

梓(分からせてやるんだ…キスでも何でもうばって、この人に)

梓(じゃないと…首筋と背中だけで2回も…!! 私の立場がないじゃない!)

梓「唯先輩、じゃ、昨日みたいに、触ってください、私のこと」

唯「…わかった、するね?」

サワサワ

梓「……ッ!」

梓(きもちいい! っていうか、”甘い”っ! 感触が”甘い”…昨日より上手い!?)

梓(意識…飛んじゃいそう! でも!)

梓は唯の片方の手を掴んで自分の胸へと押し当てる

唯「え?」

梓「わかりますか唯先輩…私…変ですよね」

唯「うん…全然、いつものあずにゃんじゃない」

梓「そうです、ここ、ドキドキ言ってるでしょう。もっと触ってください。もっとドキドキ言いますよ」

唯「うん、…どんどん強くなってる…気がする」

梓「そうです。誰が触っても、こんなふうになると思いますか」

唯「え…ならないの?」

梓「……っ!!! なるわけないです!! 唯先輩だからです!! 私をこんなに熱くできるのは先輩だけなんです!!」

梓(バカッ……! 先輩のバカ…! 死んじゃえ!)

梓「私は今から先輩にキスをします。ふぁーすときすです」

梓「先輩にとってどうかは知りませんが、私にとってのファーストキスです。おしつけます」

唯「あずにゃん…」

梓「思い知るがいいです」

チュッ

梓(ああ、私、いつからこんなに先輩のことが好きだったんだろう)

梓(唇、柔らかい、きもちいい、しあわせ)

梓(ああ、もう、ずっとこのままでいたい…)

梓(…)

梓(そろそろ、離れ…? 唯先輩、どうして、私の頭、抑え)

梓(…!? 唯先輩、舌!? さすがにそれはまだ、早いんじゃ)

梓(だめ、絡みついて、口の中、くすぐった、あたま、とろけるよう)

唯「ん…ちゅ、くちゅ」

梓(だめ、うますぎ、ちょっと、さんそ、たりな)

梓(ああ、また、しろくなって、飛んじゃ…)

唯「ぷはっ、うふふ、あずにゃん、震えちゃって、かわいい」

梓「あ、ああ、あ」

唯「まだたっぷり時間はあるよ、あずにゃん。いっぱい覚えてね、私の、指も、唇も」

唯「それで、もっともっと、私のこと好きになってね」


翌日

ジャジャーーーン

律「よっしゃあ! 決まったぜ!」

紬「これでおいしいケーキが食べられそうね!」

梓「まだです! 3枚目の中盤あたりはもうちょっと練習できます」

唯「あずにゃん」

梓「!」

唯「抱きしめさせなさい」

梓「!!」

律「はは、そうだな、今日はいつもよりだいぶ練習したほうだし、そろそろ休憩だろ?」

梓「そ…そうですね」

唯「そうだよ、あずにゃん」ギュ

唯「いいこだね、あずにゃん。あとで、ごほうびあげるね」ボソ

梓「……ありがとうございます」


おわり