――お昼

憂「お姉ちゃんってさ」

憂「かわいいよね?!」

梓「う、うん。かわいいかわいい」

純「あと、おもしろいよー」

憂「だよね! だよね!」

純「それにギターやってるところ見るとかっこいい」

梓「まぁ、そこは同意かな」

憂「えへへ~」

純「うれしそうだな」

憂「お姉ちゃんがほめられるとうれしい!」

梓「あの抱きつき癖を少し抑えてくれればいいんだけどねぇ」

憂「何で!?」

純「ひえぇ」ビクン

梓「」ビクッ

憂「いいじゃない。ちょっとくらい抱きつかれたって」

梓「い、いやでもあんまりちょっとじゃ――」

憂「お姉ちゃんに抱きつかれると気持ちいいでしょ?! ねぇ?」

梓「それはちょっとは気持ちいいけど」

憂「ほらっ」

純「わたし前一回抱きつかれただけだからなぁ」

純「あんまり感触わかない」

梓「そうだったね」

憂「もう……そこはちゃんと集中して感じないと」

純「あ、あはは」

梓「唯先輩ってなんであんなに抱きつくのが好きなのかな」

憂「かわいいのが好きだからだよ」

憂「二人ともかわいいからね~抱きつきたくなるんだよ」

梓「」チラリ

純「」チラリ

梓純「かわいいか~」エヘ

憂「純ちゃんにお姉ちゃんの抱きつきの感触を教えてあげる」スッ

純「はわ……」

――ぎゅ

梓「わぁ~」

純「ちょ、ちょっと憂!」アセアセ

憂「わたしはお姉ちゃんと抱き心地が似てるみたいなの」

憂「和さんが言ってた」

純「ははは、はは」

梓「純、顔赤いよ」

純「そりゃ、こんなに密着されるとだれだって、ね」

憂「とまあ大体こんな感じ」スッ

純「う、うんなんとなくわかったよ」

梓「私はそれをほぼ毎日やられてるわけ」

憂「お姉ちゃんね、あずにゃんに抱きつくと」

憂「あずにゃんも喜んでるって言ってるよ」

梓「よ、喜んでなんかいないよ!」

純「あずにゃん」ププ

梓「わらわない!」

憂「梓ちゃんにもやってあげよっか?」ニコ

梓「え、えっと~」チラ

純「やってもらいなよー」

憂「ん?」ニコ

梓「じゃ、じゃあちょこっとだけ……」

憂「それじゃあ」

――ぎゅ

梓「ふぇえぇぇ……」ポワーン

純「おぉ……梓の表情が見たこともないものに」

梓(似てる! 似てるよこの感触……!)

憂「ふふ、どうかな」

梓「も、もっと……もっとください唯先輩」

純「ちょっ。気を確かにあずさぁ!」

純「目の前のは憂のお姉ちゃんじゃなく憂だ」

憂「えへへ、梓ちゃんうれしそう」

憂「もっとしてあげよう」ギュー

梓「もう最近受験勉強とかであまり会えなかったんですから……」

純「くっ。梓が完全に向こう側にいっちゃってるわ」

憂「あずにゃ~ん」ギュ

梓「はうぅ」

――ぱっ

憂「とまあお姉ちゃんの抱きつきは心地いいの」

梓「はれ、ゆ、唯先輩が」シュン

純「戻ってきたか」

憂「お姉ちゃん、最近忙しくてわたしにも抱きついてこなくて」ズーン

純「ほ、ほら憂はお姉ちゃんと抱き心地似てるんだから」

純「自分で自分を抱く――とか」アハハ

梓「ばか」ボソ

憂「ふふ。鏡の前でお姉ちゃんと同じ格好髪型して試したんだけどね」

憂「うまくいかなくてっ」グッ

純梓(試したんだ)

純「そっかーそれはざんねんだなー」

梓「さすがに無理みたいなのね」

憂「仕方ないからね」

憂「お手製のお姉ちゃん人形抱いてがまんしてるの」

純「人形!?」

憂「うん、等身大のお人形さん」

梓「ま、前泊まったときはなかったよね?!」

憂「なかったね。ごく最近かな、作ったの」

憂「すっごくかわいく作れたんだ~」

梓純(みてみたい……)

憂「お姉ちゃん受験で勉強忙しくて」

憂「がんばっているのはうれしいんだけどね」

梓「あ、唯先輩ちゃんと勉強してるんだ」

憂「それはもちろん。お姉ちゃんの顔すごい真剣なんだよ」フフ

純「憂のお姉ちゃんの真剣な顔、見たことないかもしれん」

梓「目の前に同じ顔の人いるじゃん」

憂「ん?」

純「そーじゃん。憂! かなり真剣な顔してみて!」

憂「うん、いいよ~」

憂「えい」

――キリッ

純「こ、これが憂のお姉ちゃんの真剣な顔……!」

梓(授業中とかでよく見てる気がするけど……)

純「あ、もっとわかるためにリボンほどこう」

憂「ん」スルリ

梓「恐ろしいほどそっくりだなぁ」

純「すごい! 憂のお姉ちゃんかっこいい!」

梓「目の前にいるのは憂だけどね」

憂「ふふどうかな。お姉ちゃんの真剣さは伝わったかな」

純「もうばっちり!」

純「憂のお姉ちゃん中学からポワワンとしてるから緩んだ顔しか記憶にないなぁ」

梓「文化祭で真剣に演奏してたじゃない」

純「おぉ! そうだった。アレ惚れ惚れしたなぁ」

純「澪先輩とかみんなかっこよくてさ」

梓「そんなこと忘れないの」

純「てへ」

梓「」イラ

憂「純ちゃんかわいい」

憂「お姉ちゃん真剣になるとなんでもできるからね」

純「憂と一緒でスペック高そうだし」

梓「ライブん時なんかすごいよ」

憂「今日のお弁当もお姉ちゃんが半分作ってくれたんだぁ」

純「どれどれ」

憂「はい」

純「もぐもぐ」

純「うまい!」テテーン

梓「わ、わたしも」ヒョイ

憂「はい」

梓「おいしい!」

憂「ね?」ニコ

純「憂のお姉ちゃんの意外な一面をみた」

純「前、コップを運ぶのにもふらついてたのに」

憂「お姉ちゃんはそれだけがんばってるんだよ」

梓「それでその唯先輩は今日和先輩と勉強会なのね」

憂「うん。明日土曜日だからね、苦手な分野を克服するんだって」

憂「ああお姉ちゃん。早く受験勉強終わって安心したい」

憂「お姉ちゃんが勉強うまくいってるか不安で不安で……夜も眠れない!」

純「そこまでか!」

梓「ゆ、唯先輩なら絶対受験成功させるって!」

憂「うんわかってるよぉ」

憂「たまに机で寝ちゃってるのを見てるとつらくて」

梓「それだけみんなと一緒に合格したいんだよ」

純「憂のお姉ちゃんはやるときはやるから!」

梓「よしっ。憂の不安を解消するために今日はお泊り会するよ!」

憂「わっ。本当? うれしいなぁ」

純(ちょっと梓? いいの?)ヒソヒソ

梓(いいの。あの人形が気になるし)ヒソヒソ

純(それもそっか)

梓「お泊り会だからぱーっと遊ぶよ!」

憂純「おーーっ!」


――平沢家

憂「さっ。あがってあがって」

梓「お邪魔します」

純「お邪魔します~」

憂「すぐごはんの用意するから待っててね」パタパタ

梓「さて人形は……っと」

純「まあ寝るときになればわかるでしょ」

梓「それもそっか」

純「ごはんまだかな~」

梓「のんきな……」

――――――――――

純「いやー食べた食べた」

梓「憂は相変わらず料理上手だね」

憂「ふふ。よろこんでもらってよかった」

純「食べたら眠くなってきたわ」ゴロン

梓「すぐ横になると太るよ」

純「マジ?」ガバッ

梓「マジ」

憂「ふふ、お風呂用意するね」

純「ほーい」

梓「お風呂のあとは寝るだけ……!」

純「そうすれば……」

純梓「ふふふ」ニヤ

――――――――――

純「あーさっぱりしたあー」

梓「純、遊びすぎだよ」

憂「純ちゃん手で水を飛ばすの上手だねー」

純「でしょーー? 昔練習しまくってたから得意なんだ」ヘヘ

梓「暇人め」

純「飛ばせないからってひがまない」アハハ

梓「くっ」

憂「私の部屋いく? 少し早いからお話でもしよっか」

純「するするー」

梓「すぐ寝ないでよ」

純「コーヒー牛乳飲んだから平気だよ」

憂「いっぱい飲んだもんね」

純「うまかった~」

梓「なんか不安」


――憂の部屋

純「憂の部屋久しぶり~」

憂「ほとんど変わってないよ」

純「おーあの時のカメだっ」

梓「ふむ」キョロキョロ

憂「何探してるの?」

梓「ふぇ。昼間言ってた唯先輩の人形はどこかな~って」

憂「えへへ。みたい?」

純「みたいみたい! 気になるし!」

梓「うん。どんなのかな~ってさ」

憂「今、ベッドに寝てるよ~」

純「うぉ」ビク

純「ここに寝ていたか」

梓「大切にしてるのね」

憂「うん。毎日キレイにしてるんだよ」

憂「見せてあげるね」

憂「はい。お姉ちゃん人形だよ」ジャーン

梓純「こ、これは」

純梓「か、かわいい!!」

憂「ね? お姉ちゃんかわいいでしょー」

純「デフォルメされててすっごいかわいいね」

梓「唯先輩の特徴を捉えた精巧な作りだね」

憂「制服とか部屋着も着せれるんだー」

憂「今はほら、いつものアイス文字のTシャツだよ」

梓「唯先輩が寝てるみたい……」

憂「惜しむらくは表情が変化しないこと……!」

憂「あと中身は綿だから柔らかすぎることかな」プニプニ

憂「実際のお姉ちゃんの感触と違って満足できないの……」

憂「お姉ちゃん……」ポー

梓「うい……」

純「心配しないで憂!」

憂「純ちゃん……」

純「今日は私達がいるよ!」

純「さびしい思いなんかしないさ」

梓「そうそう。もうすぐ受験だって終わるんだし」

梓「それまで毎日お泊りでもいいくらい」

純「いや、さすがに毎日は――」

梓「純!」

純「ひゃう」

憂「えへへ。二人ともやっぱりやさしいね」

純「ま、憂の親友やってますから」

梓「わ、私だって憂の親友だから!」

憂「うん。二人ともわたしの親友だよ~」エヘヘ

――――――――――

梓「さすがに三人ベッドは無理っぽくないかなぁ」

純「平気平気。ほら憂、もっとくっついて」

憂「うん」ギュー

純「梓も憂にくっついて」

梓「くっついてるよ。憂あったかいねー」

憂「えへへ。二人ともあったかい」

純「へへ、もっとあっためてあげる」ギュー

梓「じゃ、じゃあ私も」ギュー

憂「く~く~」

純「憂、もう寝たかな」

梓「寝たよかわいい寝息」

純「私も……そろそろ限界」

梓「コーヒー牛乳役に立たなかったね」

純「そうだね~………………」……ぐ~~」

梓「寝ちゃったか」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………えへ」


――翌朝

純「ん」パチリ

純「よくねた~」ガチ

純「んん??」

憂「ん~……えへへ……」ギュー

純「うぅぅぅ。憂が抱きついててうごけないぃぃ」

純「あ、あずさぁ」

梓「ゆいせんぱい……」ギュ

純「うわっ。梓はお姉ちゃん人形に抱きついてるしっ」

純「こんにゃろ、顔にやけさせて」

憂「おねえちゃ~ん……」エヘヘ

梓「ゆいせんぱ~い……」エヘヘ

純「二人とも……しあわせそうだからいっか……ふふ」


                     おしまい