澪「まぁ、何だ。どっきりに至る経緯を問い質す為には、ムギの紅茶が必要みたいだな」

紬「はう!? そ……そうよね、やっぱり話し合いに紅茶は欠かせないわよね~」

 うぅん、ムギちゃんのいけずぅ。
 今日のお菓子が何かくらい、用意しながら教えてくれてもいいのに。

律「どっきりかあ。ムギと澪がパート入れ替わってたら結構驚くかもな」

梓「むしろ唯先輩がドラムに鎮座ましましてたら、来た人みんな驚きますよね」

律「あー、打ってたらだけどな」

 うん、前に少しだけ試したよね。
 で、今日のお菓子は何なのかな、かな、ムギちゃん?

紬「あら、懐かしいマグカップが出てるわね。唯ちゃん、今日はこれで飲む?」

唯「いや、いつものカップでお願いします……」

 ……紅茶には使わないって決めたその場にいたくせに、ムギちゃんのいけず。
 それより早く教えてよ、今日のお菓子。

澪「さて……唯より梓に聞いた方が話が早そうだな。さくさくっとかいつまんででいいから、教えてくれないか」

梓「あ……う……」

 う?
 あずにゃんのアイコンタクトだよ!
 任せて、この雰囲気は『上手くアドリブで誤魔化して』だね!

唯「やー、あずにゃんは最後まで嫌がってたんだけどね? みんなを待ってるだけじゃつまんないからって、私が思い付きで誘ったんだよぉ~」

梓「…………」

 あれ? 違う?
 待ってよ、そんな……ええ? みんなにバラせ、って?

澪「ははは、全く。梓も大変だな、唯に振り回されて」

 ……いいよ。
 あずにゃんの告白、冗談じゃないと思うから。
 私も、あずにゃんのことが好きだから、ついさっき告白されたばっかりだけど……バラしてもいいよ。

紬「はーい。今日のおやつは色んなミニケーキの詰め合わせよ~♪」

唯「おおお! ちっちゃいけど、ケーキがすんごい沢山!」

梓「…………」

唯「え、ええと……」

律「まぁ、何だ。所詮唯や梓は、あたしらをどっきりさせる器じゃないってことだ」

唯「……あのね、みんな」

澪「ん? どうした、唯」

紬「……ん……く、んん……」

 恥ずかしい。
 授業が終わるまで普通に顔を合わせてたのに、ここでみんなが集まるのを待ってる間に、あずにゃんとの関係がものすごく変わっちゃった。
 嫌、じゃ、ないよ。
 ただ、とっても恥ずかしいだけ……。

唯「あ、あのね……私、さっきあずにゃんから告白されて……お付き合いすることになりました!」

澪「なっ!?」

律「……に」

紬「い?」

唯「よくぞ合わせてくれました! みんなのお陰で恥ずかしさ半減です!」

 いわゆるカミングアウト、成功?
 やー、よかったよかった。

澪「な、なあ? もうどっきりは終わったんだよな?」

梓「どっきりでも冗談でもないです。確かに今さっき、私から唯先輩に告白しました!」

紬「んく……あ、あらあら、とっておきの茶葉を出すわね~」

 ムギちゃん、指の間から赤いモノが垂れてるよ。
 とっておきは嬉しいけど、その手を洗ってからにしてね。

唯「……とゆうわけです! 私はあずにゃんが好きだし、あずにゃんも同じ気持ちだったとゆことで! 相思相愛なのです!」

梓「……です」

律「ははっ、こりゃ練習どころじゃないなあ」

澪「…………」

紬「あら、お湯を沸かし直さないと……ふぷっ、う、ううう」

唯「……ムギちゃん。ポットにハナチが垂れてるよ……」

紬「あっ、あらら、あらあら!? 私としたことが、こんな、夢を目の前にした程度で……別のポットを使うわね」

 ムギちゃん、あんまり無理しなくていいよ。
 ハナチ出るとか、尋常な状態じゃないもんね……まぁ、もしムギちゃんがあずにゃんに告白されたらハナチじゃ済まないだろうけど?
 ふふん、私はその点しっかり者ですから? 鼻の頭が熱くなるのを感じるくらいで、実際には出ませんけどね?

唯「……あ」

梓「唯先輩っ!?」

 ぎゅむ。

唯「あうー……」

 首の後ろをとんとん叩いてたら、あずにゃんが鼻を強くつまんで頭を下向かせる。
 千切って丸めたティッシュを私の鼻に詰めて、とっても心配そうな表情で。
 ……うん、これが正しいハナチの止め方なんだろうな。

澪「ちょっ、ちょ、律ぅ……本気なのか? 本当なのか? その……唯と梓が……」

律「んー……こいつらの反応を見る限り、本当なんだろうなあ。でなきゃ、ムギはともかく唯まで鼻つっぺする理由がない」

澪「そうなのか……っていうか、律。いやに冷静だな」

律「見てりゃわかるだろ。どっちが先かはともかく、いずれこんな関係になるって」

澪「んなっ」

 えー。
 私、あずにゃんの気持ちに気付く余裕がないくらい必死で抑えてたのに、そんなにわかりやすかったかなぁ。

律「ちなみにあたしも、澪にいつ告白されてもいいように覚悟してますが」

澪「な……にゃにゅを……いきなり……」

紬「あらあらあら。これは逆告白ね、いいものを見させてもらったわ~♪」

 ……女の子同士でもいいのかな。
 ううん、いいんだよね。
 男も女も関係なく、好きな人同士だもんね。
 変に萎縮して思い悩んだって、相手……私の場合、あずにゃんを悲しませるだけだもんね。
 うん。

唯「改めて告白にお返事します! 私もあずにゃんが大好きだよっ!」

梓「はうっ!?」

唯「だから……さっきみたく、抱っこさせてもらっていいかな?」

梓「は……はい、唯先輩……」

 少なくとも、軽音部のみんなの前では遠慮する必要はなさそう。
 ……ムギちゃんだけ相手がいないけど、やけに満足そうに微笑んでるし。

紬「たった一日で軽音部がぱらいそに変わるなんて……夢みたい~♪」

澪「律……ん、うん……私、律のこと……好き……」

律「嬉しいな、澪がそんなこと人前で言ってくれるなんて……あたしも好きだよ、澪」

 何だかあちらさんもいい具合っぽいです。
 ならば、私達がすることはただひとつだけ。
 インスタントコーヒーに浮気しちゃったけど!

唯「とゆーわけだよ! ムギちゃん、紅茶お願い!」

紬「ええ、喜んで♪」

 大好きなあずにゃんを抱っこしながら、沢山のミニケーキを食べながら紅茶を飲んで。
 あずにゃんに食べさせてもらったり、食べさせてあげたり。
 何たって、遠慮する必要も理由もなくなったんだから、ね。

唯「あずにゃん、はい。あーん」

梓「あ、あーん……ん、むぐ」

唯「美味しー?」

梓「はい……ケーキ、とっても甘くて美味しいです……」

唯「んじゃ、今度は私に……あーん」

梓「あ……あーんっ」

 むぐ、もぐもぐ。
 うぅん、美味しいよっ。

唯「あずにゃん、とっても美味しいね」

梓「はい」

唯「はー。あずにゃっは、やわっこくてあったかくてふにふにで、ケーキも美味しいし、紅茶も美味しいし……最高な気分だよぉ」

梓「わ、私、そんな大層なもんじゃないと思いますけど……唯先輩に喜んでもらえて、とっても嬉しいです……」

唯「えへへ、照れてるあずにゃんすっごく可愛い。きゅんきゅんしちゃう」

梓「や、ちょ、そんな……からかわないでくださいよぉ」

唯「からかってなんかないよ? ほんとに、あずにゃん可愛いし……もぉ、どきどきしちゃって、こんなことしたくなっちゃう」

 ぎゅむ、ってちっちゃな身体を抱き締める。
 やっぱり、やわっこくてあったかいし、抱っこしてて気持ちーよ、あずにゃん。

唯「ん♪ んっ♪ んきゅ~♪」

梓「あう、あ、ふぁ……んん……だ、駄目ですよぉ、唯せんぱぁい……先輩方がいるのにぃ……♪」

 あずにゃんの目線を追って、ちらりと横目にみんなを見てみる。

律「みーお♪」

澪「りーつぅ♪」

紬「……ふぷっ」

 りっちゃん達は、私とあずにゃんが作ってるような、自分達だけの世界に入ってる。
 ムギちゃんは、とっても幸せそうにその様子を眺めていて、また鼻元を押さえていたりして。
 ……私達よりりっちゃん達の方に注目してるのが悔しいけど、うん、気持ちはわかるよ。
 私が言うのも何だけど、幼馴染みなのに初々しいもんね、りっちゃん達。

唯「えへへ……だいじょぶみたい。ん、あずにゃん……ちゅー……」

梓「んくっ、あ……んー……♪」

 ちゅ、ちゅっ。

唯「えへ。あずにゃんの唇、いただいちゃいました」

梓「いただかれちゃいました……」

 とか言いつつ、あずにゃんはとっても嬉しそう。
 キスしたいっていう私の気持ち、一方通行じゃなかったんだね。

梓「ん……あ、あの……唯先輩。もっかい、キス……してください……」

唯「ん~ぅ? もっかいだけでいいの?」

梓「いっ、いえ、出来れば……もっともっと……」

 あずにゃんってば、可愛いんだぁ。
 自分から欲しがったくせに、こんなに恥ずかしがって……んもう、私にどうして欲しいのかな!?
 したいの? されたいの? はっきりしてよ! はっきりしてくれるまで、ずうっとキスしてあげるから!

唯「んぅ、ふ、ちゅうっ……んむー、ちゅっ」

梓「んぁぁ、あふ、あっ、んく……んっ、くぷっ、ちゅちゅ……んっ、んむぅ♪」

唯「はふ……きんもちいーね、キスって……癖になっちゃいそぉだよ」

梓「はい、本当に、気持いーです……んく、ちゅっ、くぷ……んぁ、あっ、し、舌が……んるっ、れるっ、るるっ」

唯「んふー。舌も入れちゃう方が気持ちいーと思ったし……嫌だったかなぁ、あずにゃん?」

梓「いえ、その……とっても、素敵で……もっと唯先輩の舌、れろれろさせてください……」

唯「ん。じゃ、今度はもっと長く舌入れてるから……好きなだけれろれろしてね?」

梓「あふ、ん、んちゅ、れるちゅっ……んぅ。はむっ、んぁ、あっ、りゅるる……はぁぅ、はう、んむ、くぷぷ、はむ……♪」

 そんなこんなで、いつもより言葉は少なめで、キスのえっちぃ音ばっかり響いてたけど。
 今日は多分、きっと、今までで一番充実したティータイムになったと思います、まる。

~おしまい!~