大晦日 午後11時頃


ピンポーン

ガチャ

唯「あ、和ちゃん!」

和「久しぶり、唯」

唯「ちょっと待っててね、今用意するから」

和「ええ」

憂「あ、和ちゃ・・・和さん、こんばんは」

梓「こんばんは、和先輩」

和「あら、梓ちゃん、来てたのね」

梓「はい。今日は憂の家で年を越そうって話になってたんです。まだ純が来てないですが・・・」

ドタドタドタ

唯「おまたせー!じゃあ行こっか」

憂「お姉ちゃん、外は寒いから気をつけてね」

梓「唯先輩、和先輩、良いお年を」

唯「そうだね、次にあずにゃんと会う時は来年だねっ」

和「じゃあね、憂、梓ちゃん。良いお年を」

憂「いってらっしゃーい」


・・・・・・
・・・・
・・

唯「うぅ、寒いね~」

和「唯、その手袋、まだ使ってたんだ」

唯「もちろんだよ。憂からのプレゼントだもん」

和「そう・・・」

唯「・・・」

和「・・・」

唯「・・・・・・・・・静かだね」

和「そうね・・・」

唯「みんな、家でゆっくりしてるのかな」

和「紅白でも見てるのかしらね」

唯「紅白よりお笑い番組のほうが面白いよ」

和「あら、仮にも音楽をやってる人が、そんなこと言っていいのかしら」

唯「仮じゃないよ~」

和「ふふ、そうね。唯は今や立派なギタリストよね・・・」

唯「・・・ねぇ、和ちゃん」

和「何?唯」

唯「・・・大学、楽しい?」

和「・・・唯は、楽しくないの?」

唯「うぅん、楽しいよ。みんなもいるしね」

和「そう。私も大学は楽しいわよ」

唯「・・・そっか」

和「・・・」

唯「来年は、憂とあずにゃんもうちを受験するんだって。あと純ちゃんも」

和「・・・そうなんだ。みんな受かったら、高校時代と変わらないわね・・・」

唯「・・・」

唯「さっきね、憂のキーボードの演奏、聴かせてもらったんだ」

和「憂は・・・軽音部でキーボードしてるんだっけ」

唯「うん。すっごく上手くなってた。あれはムギちゃんともいい勝負だよ」

和「・・・唯も、憂と会うの久々だものね」

唯「うん。最初のほうは、憂に助けに来てもらってたりもしてたけどね」

和「最近は、あんまりそういうこともないんだ」

唯「いやぁ、一人暮らしって慣れれば案外なんとかなるもんですねぇ」

和「・・・今日は、憂と一緒に過ごさなくても、良かったの?・・・梓ちゃんも、いたのに」

唯「・・・うん」

唯「和ちゃんとだって、会うの久しぶりだしね」

唯「それに、憂だって、あずにゃんや純ちゃんと話したいだろうし・・・」

和「・・・そう」

唯「憂も、そろそろお姉ちゃん離れしないといけないんだよっ」

和「・・・それは唯にも反対のことが言えるんじゃないの?」

唯「あっ、ひどいよ和ちゃ~ん」

和「ふふ・・・」

唯「・・・だんだん人増えてきたね」

和「みんな除夜の鐘を突きに行くみたいね」

唯「あっ、鐘の音が聞こえたよ」

和「そうね。もう始まってるみたい」

唯「・・・和ちゃん」

和「何?」

唯「今日は誘ってくれてありがとね」

和「・・・」

唯「私、こんなとこまであんまり行ったことなかったから、除夜の鐘が突けるのなんて知らなかったよ」

和「・・・毎年やってるから、有名な所だけどね」

唯「あそこから並ぶみたいだよ」

和「そんなに並んでないわね。すぐに突けそうじゃない」

唯「有名だったんじゃないの?」

和「・・・みんな寒いから、外に出ないんじゃないかしら」

唯「・・・」

唯「あっ、もうすぐ私たちの番だよ」

和「唯はしっかり煩悩を払うのよ」

唯「今日は毒舌だねぇ、和ちゃん」

和「そうかしら?いつもこんなものよ」


・・・・・・
・・・・
・・

唯「いやぁ、これで煩悩が払われましたなぁ」

和「そうね」

唯「参加者全員にお菓子を配ってくれるなんて、太っ腹ですなぁ」

和「・・・さっそく煩悩に取り付かれてるみたいね」

唯「これからどうする?」

和「・・・少し、歩こうかしらね」

唯「そうだね・・・」


・・・・・・
・・・・
・・

唯「・・・なんか、いつもと違うよね」

和「何が?」

唯「街の雰囲気っていうかさ、大晦日だから・・・かなぁ」

和「そうね・・・確かに静かで、心落ち着く感じね」

唯「不思議だね」

和「ええ・・・」

唯「あ、こんなところに公園があったんだ」

和「こっちのほうは来たことなかったわね」

唯「ちょっと入ってみようよ」

和「そうね・・・」

唯「わっ、ブランコ冷た~い」

和「小さい公園ね・・・」

唯「見て見て和ちゃん、昔より大きくこげるよ」

和「危ないわよ。足元も暗くてよく見えないし」


・・・・・・
・・・・
・・

唯「えへへ、楽しかったー」

和「・・・唯は、変わってないわね」

唯「そうかな?」

和「・・・・・・やっぱり、変わったかしら」

唯「えぇ~、どっち~?」

和「少なくとも、中学時代よりは、変わったわよ」

唯「そっかぁ・・・」

和「そうよ。・・・良い意味でね」

唯「そっか・・・」

和「・・・あら?あれは何かしら?」

唯「何か落ちてるね」

和「これは・・・正月飾りね」

唯「どっかから飛ばされちゃったのかな」

和「・・・そうみたいね」

唯「どうしよっか・・・」

和「このまま置いておくわけにもいかないし・・・」

和「・・・仕方ないわね。電柱にでも引っ掛けておきましょう」

唯「そうだね」

和「本当は大晦日に飾るのは良くないんだけどね」

唯「何で?」

和「一夜飾りって言ってね、前日に慌しく飾るのは神様に失礼だっていう風習があるのよ」

唯「ふーん、和ちゃんって物知りだね」

和「そのくらい常識よ」

唯「・・・」

唯「和ちゃん」

和「何?」

唯「ありがとね」

和「あら、今度は何かしら?」

唯「和ちゃんは、いつも私にいろんなことを教えてくれるよね」

和「・・・」

唯「クレヨンを食べようとしたのを止めてくれたのも和ちゃんだし」

唯「今もまた、一つ新しいことを教えてもらったし」

唯「他にも、数え切れないくらい、いろんなことを教えてもらってるよ」

和「・・・そんなこと、私じゃなくても、教えてるわよ」

唯「あと・・・最初に私に部活を勧めてくれたのも和ちゃんだよ」

和「・・・そうだったかしら」

唯「そうだよ。卒業式のとき、高校生になったら何か始めなさいって」

和「・・・よく覚えてるわね、中学のことなんて」

唯「覚えてるよ。和ちゃんが教えてくれたことだもん」

和「・・・」

和「・・・・・・でも、私だけじゃないわよ」

唯「・・・え?」

和「唯だって・・・私に、いろんなこと、教えてくれたわよ」

唯「私が?何を?」

和「・・・さぁ、なんでしょうね」

唯「えっ、なにそれ~」

和「自分で考えなさい」

唯「えぇ~、何だろう・・・」

和「ふふ・・・」

ブーブーブー

唯「あ、メール・・・」

和「あら、私も・・・」

唯「・・・・・・・・・・・・みんなから、あけましておめでとう、だって」

和「私にも来たわ。いつの間に年が明けてたのね・・・」

唯「・・・ねぇ」

和「何?唯」

唯「・・・あけましておめでとう、和ちゃん」

和「・・・あけましておめでとう、唯。今年もよろしくね」

唯「えへへ・・・」

唯「・・・そろそろ帰ろっか」

和「そうね・・・」

唯「和ちゃんもウチで、あったかいおしるこ食べていきなよ。憂が作ったんだ」

和「あらそう。じゃあお邪魔しようかしら」

唯「うんっ、帰ろう帰ろう♪」

和「ふふ・・・」






終わり