30分後

唯「うっ、軽く朝食の準備をしただけでこの減りよう……」


【あずにゃん分メーター】
■■□□□□□□□□□□

唯「とても燃費が悪い……」

唯「いそいで次の補給をすませないと……」

唯「だって命にかかわるからね!」

唯「よし、次は目をつぶって……」ゴソゴソ

唯「……これだぁ!!」

唯「はっ! すごいものを選んでしまった」

唯「これは期待大だよ~」

唯「あずにゃんグッズその⑤~」

唯「あずにゃんリコーダー!」

唯「うわあああもう我慢出来ない!」

ペロペロペロペロ ペロペロ
チュバッ ヌメヌメ ペロ ジュルジュプ

唯「んんひい! おいひい!!」

唯「おいしすぎて言葉にできないよ!」

唯「ラーラーラー ララーーラ!」

唯「ことばに! できない!!」

唯「あずにゃんがお弁当食べた後歯磨かずに使い続けたリコーダー!」

唯「二年近くたいしたメンテナンスもせず置きっぱなしのリコーダー!」

唯「ハチミツのようにあまーい唾液で染め上げられたリコーダー!」

唯「抑える穴からもたまにツバがでてきて、うわぁ……ってなっちゃうリコーダー!」

唯「人類史上まれに見る神器だよね!」

唯「これには……ジュプジュプ、最高にたくさんのあずにゃん分がチュバッ、詰まっている……」

唯「凝縮されたあずにゃんエキスが長年の月日で発酵し」

唯「純白のソプラノリコーダーとうまく溶け合い新たなハーモニーへと生まれ変わる」

唯「それはまさしく食と音楽業界をまたにかけた大革命だよね」

唯「私はいまここにコレをあずにゃん協奏曲と名付けることにするよ!」


唯「んっ、おいし……おいしい! おいしすぎて吐きそう!」

唯「頭も舌も……私の細胞全てが狂っちゃう!!」

唯「あぁぁ! あずにゃん分が、私の中に……流れこんでくるうううううううう!!」

唯「んぁぁああっ!」


【あずにゃん分メーター】
■■■■■■■■■■■■

唯「……さすがあずにゃんリコーダー」

唯「ついつい梓欲(4大欲求の内の一つ)に負けて使ってしまった……」


唯「うわぁ……私の唾液でべしゃべしゃだよ」

唯「朝御飯のあと歯みがいてないから……くさい」

唯「でも洗うとわずかに残ったあずにゃん分までそぎ落としちゃう」

唯「それは実にもったいない」

唯「苦渋の選択だね」

唯「しかしここは唯選手、英断です」

唯「めんどくさいからこのままこっそり返します」

唯「元からちょっと臭ってたし今更たいしたことじゃないよね」

唯「さぁーて、あずにゃん分も補給したし、勉強にギターの練習に大忙しだ!」

唯「いやーすがすがしい朝だよ」

唯「太陽さん小鳥さん青空さんおはよう~!!」


ジャカジャン!

唯「お昼になりました」

唯「ただいまのあずにゃん分は」

唯「ででれこでん!」


【あずにゃん分メーター】
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唯「わーお、まいっちゃうね」

唯「たった数時間でこの減りよう……」

唯「さすがの私もこれには苦笑い」

唯「補給だ……補給しなきゃ」

唯「なにか、なにかないのあずにゃんグッズ」ゴソゴソ

唯「よしこれでいい」

唯「その⑥になります」

唯「あずにゃんメモリー! でーん!」

唯「これは私が二年間がんばってとり続けたあずにゃんの記録」

唯「写真、ムービー、ボイスレコーダー、プリクラ」

唯「たくさんの思い出の欠片たち……」

唯「名前をつけて保存するなら『宝物』がぴったりな美しいメモリーズ」

唯「あらゆる媒体を通して、あずにゃんを多角的にとらえることによって」

唯「私の中に溜まったあずにゃん分は何倍にも膨れ上がり」

唯「乾いた梓欲を優しく満たしてくれるのです」

唯「例えばこの写真。あずにゃんの寝顔なんだけど」

唯「うぅ……ふぅう!」

唯「犯罪レベルの可愛さだよぉ……えへへ」


唯「目覚めの『フガッ』ってなる瞬間を捉えてるから目が半開きなのがいいよね」

唯「ヨダレの跡のだらしなさも、普段からは想像もつかないギャップとなりポイントアップだよ」

唯「乱れた髪の毛もよれよれの襟元も悩ましいなぁ……」

唯「ふぁ~んたすてぃっく!」

唯「仮にこれをオークションに流すとしたら億越えは確実だね」

唯「世界中のコレクターも喉から手が出るほどほしがるに決まってるよ」

唯「まぁ私が全力で落札するけどね」

唯「それくらい価値があるワンショットだよ」

唯「よく考えたら進路はプロのカメラマンってのもアリだね」

唯「だってこんなによく撮れてるんだもん……」

唯「……ほんとにかわいいなぁ」

チュ

唯「あ、またついついキスしちゃったよ……しらない内にこの写真もデロデロだ」

唯「でも捨てるのは惜しいよ……」ペロペロペロ

唯「ふああああまた無意識のうちにいいい!!」

唯「しまっておこう! 殿堂入りあずにゃん写真集にしまって大事にとっておこう!」

唯「次はムービーだね。今日はとっておきを出します」ガサガサ

唯「これは、けいおん部の春の勧誘プロモーション動画」

唯「我が桜高けいおん部の生み出した世界文化遺産とも言える一品です」

唯「もちろん私のイチオシは、次期あずにゃん部長のこのシーン」


 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』


唯「ほぉあああああ!」

唯「これ生で見れてホントよかったぁー!!」

唯「やばい! すごい興奮する……!」

唯「一発でくる。何度見ても鼻血とまらないよ」

 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』
 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』
 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』
 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』
 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』
 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』

唯「ああああ! 入ります入ります! 是非入部させてくださぁい!」

唯「この動画は全体的にゴミみたいな感じだけど、このシーンがあるだけで神と化したね」

唯「しかも写真と違って色褪せない! 優れもの! 現代科学の勝利!」

唯「ただしさっき言ったように、メモリーだけではあずにゃん分を得ることはできない」

唯「あずにゃん分とは、あずにゃん又はあずにゃんの私物に接触することによって得られる不思議パワーである」

唯「講学上、前者を直接的あずにゃん分補給。後者を間接的あずにゃん分補給と呼んでいる」

唯「……もちろんこの世で私オンリーだけどね」

唯「思い出はーいーつもキレイだけどー、そーれだけじゃお腹が空くのー。ってことだね」

唯「……」


 『け、けいおん部にようこそ、にゃん?』


唯「ぐふぅ……出血多量で死んだとしてもこれなら本望だよ」

唯「そして極めつけはこのプリクラ!」

唯「なんとなんとっ!!」

唯「……チューしてるの。ほっぺだけどね」

唯「……ふへへうぇっへっへ」

唯「これ撮らしてもらうのに苦労したなぁ」

唯「たい焼きいっぱい奢ったっけ」

唯「しかも私あのあと興奮しすぎて倒れちゃったんだよね」

唯「『もう……二人だけの秘密ですよ唯先輩……』」クネクネ

唯「あずにゃん可愛かったなぁ」

唯「あぁあああ! 思い出しただけでニヤニヤが止まらないよおおお!」

唯「あずにゃんの隣の幸せそうな人物が私だなんて……」

唯「なけなしの勇気を出して誘ってみて良かったよ」

唯「こんな奇跡はもうこの先おこらないだろうなぁ」

唯「そういえばこれ携帯に貼ろうかとおもったらあずにゃんずいぶん怒っちゃってさ」

唯「しかも一枚しかくれなかったし。ケチんぼだね」

唯「でもせっかくのプリクラなんだから家で眺めるだけじゃなくて」

唯「どこか身近なとこに貼っておきたいなー」

唯「それで思いついたのがコレです!」

唯「あずにゃんピック~」

唯「あずにゃんグッズその⑦だよ。お気に入りだよ」

唯「微かにあずにゃんの指の味がするのさ! 実際はどんなのか知らないけどね」

唯「まぁ、間接的あずにゃん分補給については、これも少しパンチが足りないね」

唯「ちなみにこれは本人の合意の上で交換してもらった正規品ですのであしからず」


唯「では早速例のプリクラを貼ります」ペタ

唯「そしてお守りがわりに財布に入れます」スッ

唯「思い出よ……私の人生をハッピーエンドへ導いておくれ……」

唯「と、そろそろいいかな」

唯「ででれこでん!」


【あずにゃん分メーター】
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唯「おもいではーいーつもきれいだーけど………」

唯「はぁ。心は満たされても、やっぱり梓欲を満たしきるにはいかんせんパワー不足だね」

唯「たぶんこのピックを口に含んだりしたらまた違った結果になるだろうけど」

唯「それは愚行ともいえるからね」

唯「このプリクラだけはなんとしても私の汚れた梓欲から死守したいのです」

唯「といってもこのゲージじゃまだ活動段階まで至ってないなぁ」

唯「補給もそろそろ厳しくなってきた」

唯「これは超とっておきをだすしかないのかな」

唯「でもこれを使うと日曜日が悲惨なことになりそう」

唯「飢えに苦しんでいる私の姿が手に取るように……」ゾワッ

唯「……ならこういうときは無難なアイテムを使うべきだね!」

唯「私はちゃんと学習してるのです!」

唯「さすが天才平沢唯!」ゴソゴソ

唯「いでよあずにゃんティーカップ!」

唯「えへへ、部室からちょっと拝借してきたよ」

唯「ピンクで丸っこくて可愛いね」

唯「これでお茶を飲むのが土日の楽しみなんだ~」

唯「これはええっといまあずにゃんグッズその⑧?⑨? あぁもうどうでもいいや」

唯「早速つかおうそうしよう!!」



【あずにゃん分メーター】
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唯「お茶をいれるだけでこんなことになりました」

唯「予断を許さない状況です」

唯「ということで飲みます」

唯「の前に香りからだね!」

唯「……スゥゥ」

唯「ん~これは!!」

唯「紅茶自体は安物の葉っぱだけど、カップに蓄積したあずにゃん分が溶けて混じり合うことによって」

唯「ベルギー王室ですら泣きながら請い求めるような最高のフレーバーに変貌したよ!!」

唯「もちろん味は……」ズズズ

唯「あっつぅ!!」

唯「全然味わかんないあっつぅ!!! 馬鹿じゃないの!!」

唯「ふぅーふぅー」

唯「……」

唯「お見苦しいトコをお見せしました」

唯「では気をとりなおして」ズズズ

唯「ふぅむ、このマイルドな口当たり……」

唯「これは固形化した唾液的あずにゃん分が紅茶へ融解したことによって生まれたミラクル」

唯「適当なすすぎ洗いがうみだした運命の出会い」

唯「喉の奥の暖かさと、胃に流れこんでくる灼熱のように熱いエナジー」

唯「紅茶という存在を凌駕したこれはまさしく梓茶(あずにゃんティー)」

唯「そしてこの神秘の海に、ときめきシュガーをひとさじ加えると」

唯「……ほぅ」

唯「甘い」

唯「なんとも言えない心地良い甘さが私の舌を、世界を支配していく……」

唯「小鳥のさえずりさえ天使(あずにゃん)の歌声にきこえる」

唯「淑女のひととき……」

唯「土曜の昼に訪れた至高のティータイム」

唯「おっと。あまりにも梓茶がおいしすぎて少しトリップしちゃったよ」

唯「やっぱ無難にあずにゃん分を満たせるこのあずにゃんカップは最高の一品だね」

唯「衣類に比べて瞬発力はないけれど、実は縁の下の力持ちだと思うよ」

唯「堅実にあずにゃん分を私に供給してくれる」

唯「いままで何度救われたことか……感謝感謝」スリスリ

唯「綺麗にあらって返すからまたたくさん飲んでねあずにゃん」

唯「さぁただいまのあずにゃん分はどんなもんかな」

唯「ででれこでん!」



【あずにゃん分メーター】
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唯「ほうほう。なかなかだね」

唯「ムギちゃんから貰ったおいしい紅茶だともっとすごいことになってたんだけどな」

唯「まぁ贅沢はいうまい。こんだけあれば大丈夫でしょ」

唯「あとは放散しないように今日はゴロゴロしながら過ごして」

唯「明日は残りでしのごう」

唯「全く、月曜日が待ち遠しいよ」

唯「あずにゃんさえいてくれたら、抱きついて一発補給完了だからね」


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