さわ子「今日は何日だったっけ」

さわ子「ああ、24日ね、OK」

さわ子「12月24日か……」

さわ子「出掛けよう」

さわ子「とりあえずケーキくらい買おうかしら」

さわ子「カットケーキを……待てよ、一人分のカットケーキを買うなんて寂しいクリスマスアピールになっちゃうじゃない」

さわ子「しかし……」

さわ子「とりあえずケーキ見て決めよう」

さわ子「確かこの辺にケーキ屋さんが……」

さわ子「うげっ! 混んでる……おまけにカップル多い」

さわ子(気にしない気にしない……)

さわ子「すいませーん、このホールケーキを」

店員「はーいかしこまり……あれ、さわ子?」

さわ子「えっ……あっ!」

店員「久しぶり! 元気そうだね」

さわ子「まあねー。そっちは忙しそうね」

店員「今日は特にね。さわ子がうらやましいわ」

さわ子「これは……」

さわ子(いや、見栄でホールケーキを買う事は黙っておこう)

さわ子「あはは……じゃあ頑張ってね」

店員「ありがとー」


……

さわ子「買ってしまった……6号」

さわ子「せめてもうちょっと小さいのにしておけば……」

さわ子「はあ~あ……誰か一緒に食べてくれないかしら……」

さわ子「……」

?「おや?」

さわ子「え?」

校長「山中先生」

さわ子「校長先生」

校長「パーティですかな?」

さわ子「えっ」

校長「ケーキを持っていたので」

さわ子「いえこれは……まあ、そうですね。校長先生はどこかへお出かけですか?」

校長「孫にクリスマスパーティのお誘いをいただきまして」

さわ子「そうなんですか。よかったらケーキ持っていきませんか?」

校長「いえいえ、それはいただけませんよ」

さわ子「……そうですか」

校長「では私はこれで」



あずサンタ「ちょっと! 何で一緒にケーキを食べる相手が校長なんですか!」

トナカゆい「あれー、ケーキ食べないみたい」

あずサンタ「当然でしょう!」

トナカゆい「そんなこと言っても他に誰がいるのさー」

あずサンタ「そ、それは……あ! この人がよさそうです! さわ子先生の元カレ!」

トナカゆい「おおっ! そんな隠し玉が!」

あずサンタ「これで一番難しいプレゼントも配り終えそうです」

トナカゆい「よかったよかったー」

ゴオオオオオオ

あずサンタ「唯先輩」

ゴオオオオオオ

あずサンタ「唯先輩、前」

ゴオオオオオオ

あずサンタ「唯先輩!」

トナカゆい「え? なにー?」

あずサンタ「だから前を見てくださいってば!」

ゴオオオオオオ

トナカゆい「えー? うるさくて聞こえないよー」

あずサンタ「だから前から飛行機! ジャンボジェットが来てますってば!!!」

トナカゆい「朱鷺が飛んでるって? どこに――」

キキーーッ ドンッ



さわ子「くしゅん」

さわ子「ううっさむ!」

さわ子「早く帰ろう」

さわ子「そうよ、一人でホールケーキ丸ごと食べるなんて中々出来ないじゃない」

さわ子「やったーたのしみだなー」

さわ子「はあ……」

ブロロロロ

さわ子「ん? ……ちょっ!!」

キキーッ

さわ子「きゃあああ!」

さわ子「あっあぶねえええ!!」

さわ子「コラああああ! テメーどこ見て運転してんだあああぁん!?」

さわ子「そんな三輪バイクでアタシを轢こうだなんていい度胸じゃねえか! どこのピザ屋だコラあああ!!」

宅配ピザ屋「すっすみませんでしたああああ……あれ?」

さわ子「え?」

宅配ピザ屋「さわ子……?」

さわ子「え……うそ……さわお?」

沢男「うん。……久しぶり」

沢男「元気そうだね」

さわ子「あ、あははは……そっちは仕事?」

沢男「まあバイトだけどね」

さわ子「そっか。バンドはまだ続けてるんでしょ?」

沢男「うん。そのためのバイトだからね」

さわ子「頑張ってるんだ」

沢男「まだまだだけどね。やっと200人のハコが埋るようになったよ」

さわ子「すごいじゃない!」

沢男「いや、デビューには程遠いよ」

さわ子「ふうん……」

沢男「さわ子はどうしてる?」

さわ子「相変わらず教師やってるわよ。大した出会いもないし今日もこうして……あ」

沢男「そっか」

さわ子「うん」

沢男「あのさ――」

さわ子「そういえば轢きそうになった事は許してないわよ」

沢男「うう……ごめん」

さわ子「どうせぼーっとしてたんでしょ」

沢男「うっ……おっしゃる通りです。ちょっと仕事が……」

さわ子「……ふー。ま、今回は許してあげるわ」

沢男「ありがと。そうだ、これいる?」

さわ子「チキン?」

沢男「うん」

さわ子「いる」

沢男「どうぞ。メリークリスマス」

さわ子「ふふ、しょぼいプレゼントね」

沢男「仕事中だからしょうがない」

さわ子「こんな所で油売ってていいの?」

沢男「もう配達終わったから」

さわ子「そっか。……ねえ」

さわ子「……やっぱりなんでもない」

沢男「?」

さわ子「バンド頑張ってね」

沢男「うん、ありがとう」

さわ子「それじゃ私帰るね」

沢男「気を付けて」

さわ子「ありがと」

沢男「じゃあ……」

ブロロロロロ……


……

さわ子「へ……へくちっ!」

さわ子「うう……急いで帰ろう」

さわ子「はあ……あ?」

さわ子「なにあれ」

?「……っ」

さわ子「う、うごいた……」

さわ子「どうしよう、放っておこうか」

?「う、あ……」

さわ子「……そうもいかないか」

さわ子「すみませんどうしました?」

?「う゛あ……飛行機に体当たりされまして……」

さわ子「はい?」

さわ子「ていうか唯ちゃんじゃない。そんなトナカイの着ぐるみ着て何やってるのよ」

トナカゆい「え? いやあこれには深い訳が……あれ?」

トナカゆい「さわちゃん一人でケーキ持ってる」

さわ子「うるさいわね文句ある?」

トナカゆい「そうじゃなくて誰かと一緒に食べるんじゃないの?」

さわ子「この口がああああああ」

トナカゆい「いひゃいいひゃい! だからちがくて、一緒に食べる人と会わなかったの?」

さわ子「だからいないっていってるでしょおおお!!!」

トナカゆい「ぎーーーーやーーーー!!!!」

さわ子「はあはあ……」

トナカゆい「ぐすっ……」

さわ子「そういうわけだからケーキは唯ちゃんにあげるわ」

トナカゆい「ええっ!? 受け取れないよっ! だってカレシ――」

さわ子「ああん?」

トナカゆい「何でもないです」

さわ子「はいどうぞ」

トナカゆい「ありがとうございます」

トナカゆい「そうだ! じゃあムギちゃんちのマンション行きませんか?」

さわ子「マンション?」

トナカゆい「うん。最近出来たすごいマンションなんだって。みんなでパーティするの!」

さわ子「あんたたち受験生の割には気楽よね」

トナカゆい「ええー、じゃあさわちゃんは来ないの?」

さわ子「お邪魔します」

トナカゆい「やったあ! それじゃあ早速行こう!」

さわ子「それはいいけど、唯ちゃんはトナカイの格好で行くわけ?」

トナカゆい「あ、脱がなきゃ」



律「すげー!」

澪「落ち着けよ」

律「いいじゃんよーだって貸切みたいなもんだぜ」

紬「うん、騒いでも大丈夫よ」

律「ほらー」

澪「そうは言ってもな……」

律「おい見ろよ! 景色がやばいぞ!」

澪「わかったわかった」

澪「どれど……お、おおーーーー!?」

澪「雲と星しかない!」

紬「ここマンションの最上階の1000階だから」

律「く、雲の上じゃねーか!」

澪「ふ、ふわふわ時間……」

紬「一度こんなところでパーティしてみたかったの」

律「いやほんと凄いよムギ!」

澪「星がきれい……あっ何か光った」

律「唯達にも早く見せてやりたいな」

紬「唯ちゃん達が来る前に届くかな」

律「何が?」

紬「実はピザを頼んでみたの」

律「ははっ、食べたかったのか?」

紬「うんっ」

澪「配達員もこのマンションを見たら驚くんじゃないか?」

律「だな!」



宅配ピザ屋「う、うそだろ……」

宅配ピザ屋「ここで合ってるのかな……?」

宅配ピザ屋「スカイガーデン琴吹……間違いない」

宅配ピザ屋「1001号室って10階の1号室じゃなくて1000階の一号室って事だったのか……」

宅配ピザ屋「よし、行くか」

宅配ピザ屋「ええと、エレベーターだな。階段という選択肢は有り得ない」

ポチ ガー

宅配ピザ屋「ええと……1000階……ボタンがありすぎてわからん……」

宅配ピザ屋「あ、あった」

ポチ

宅配ピザ屋「流石超高層マンション、ボタンを探すのも一苦労だ」

?「すみませーん、乗ります」

宅配ピザ屋「あ、はい」


2