紬「つまり……梓ちゃんは、今まで抱き着かれて嫌がってたりしたけど、演技だったっていうことなの」

律「ま、最初は演技じゃなかったんだろうけどな。今はほら、顔を見ればわかるだろ?」

梓「んにゃ……唯先輩、んっ、んふうう……指、痛くないですかぁ……?」

唯「う、うん、痛くないよ? 大丈夫だよ?」

梓「んにゅ~……で、でも、いつずきずきするかわかりませんから、治るまでお世話させてくださいね?」

唯「んく……ま、まぁ、お世話ってゆうか……えっと、えっと……猫耳付けて、にゃあ、ってゆってくれる?」

梓「は……にゃあ♪ ん、んっ……にゃあん♪」ニャー

唯「ほわぁ……! この強力な癒しパルスは一体……!?」ギュウ

澪「……マタタビで手懐けられた猫みたいだな、見事なまでに。唯も何か変だし」

紬「そう! 梓ちゃんには、唯ちゃんに傷を負わせるという形のマタタビが必要だったのよ!」

澪「どうしてそんなに嬉しそうなんだよムギは」

紬「だって嬉しいんだもの! 私、女子校の先輩と後輩が絡む姿を眺めるのが夢だったの!」ムギュス!

澪「……ああ、はいはい。何かもういい」

律「しかし、軽傷とはいえ、今日は練習するわけにはいきませんなあ」ヘラヘラ

梓「練習なんてとんでもないです! 無理をして怪我が悪化したらどうするんですか!?」

紬「紅茶のお代わり入れるわね~♪」キニシナイ

澪「……まあ、唯と梓がこの調子じゃ、何をどうするもないよな」

律「そうそう。羨ましい限りですなぁ、澪はあたしが少しくらい怪我をしたって全然心配してくれないのに」チラリ

澪「……いや、心配はしてるぞ? ただ、元気に動いてるから、平気なのかなあと」チラリ

律「ん、まぁ。でも……気遣う素振りくらい見せてくれると、嬉しいかもしんないなあ」

澪「律……」

律「澪しゃん……」

澪「『しゃん』っていう、茶化す感じを止めてくれたら気遣うかもしれない」ポッ

律「……澪」

澪「律ぅ……」

紬「あらあら。私だけお邪魔さんみたいね……それじゃ、お先に失礼するわ~」パタパタ

唯「あ。そういや私、今日は憂にお買い物頼まれてたんだっけ」スック

梓「荷物持ちさせてください。いえ、します」スック

律「恥ずかしがり屋なのは知ってるけど……もうちょっとだけ、澪が踏み込んできてくれたら……」

澪「ん……律……」

律「ひゃ!? ちょ、おい、いきなり抱き着いてくるとか……唯に毒されすぎ……だけど、嬉しいよ」

澪「んぅ……律の身体、あったかぁい……♪」

唯「じゃ、私……達、も先に帰るね。え、えっと……ごゆっくり!」



そのご!

唯「あずにゃん、パンの袋くらい持たせてよぉ」

梓「駄目です。傷に悪そうなことは全部私がお引き受けしますので!」ガサッ

唯「ううっ、後輩に荷物持ちさせてる悪い先輩みたいで、周りの視線が痛いよ……」

唯「えーっと……あ、憂? これこれまるまる、今日は多分あずにゃんがお泊まりするから~」

梓「すみません、ご迷惑おかけします」

唯「い、いやぁ、迷惑だなんて……ううん、こっちの話。うん、うん、ちょっと多めに買ったから……うん。じゃあよろしくね、憂」

梓「ほんと、憂にも心配かけちゃって、私……最低ですよね」

唯「うぅん? いっつもふたりっきりだから、あずにゃんが遊びに来てくれて嬉しいって言ってたよ!」

梓「でも、私は……唯先輩の手を……」

唯「……いい、あずにゃん? こんなちっちゃな傷、私はどうってことない。だから、あずにゃんが責任を感じてここまでしてくれることないんだよ?」

梓「…………」

唯「傷はすぐに治っちゃう。治ったら、あずにゃんはいつも通りに戻るよね……今は一緒にいられて嬉しいけど、でも、こんなの……やだよ。残酷だよ」ギュウ

梓「唯、先輩……?」

唯「あずにゃんと一緒にいられて、嬉しくて、幸せなのにっ……う、ううん。いつも通りに戻るだけだよね、うん。やっぱし何でもない」

梓「……え、えっと……唯先輩? 私は、その……」ギュッ

唯「あ! 早く帰らないと憂に心配させちゃう! 行こ、あずにゃんっ」タタタ

梓「は、はい……」タタッ


ひらさわけ!

唯「ただいま~」

憂「おかえり~。梓ちゃん、いらっしゃい」ニコー

梓「お、お世話になります……」

憂「やだ、梓ちゃん。そんなにかしこまらなくたっていいよ?」ニコニコ

唯「えっと……あずにゃん、とりあえずカバン……の前に、お買い物したの、キッチンに置いてきてくれる?」

梓「はい」

憂「こっちにお願い、梓ちゃん」トコトコ

梓「え、えっと、ごめん、唯先輩に怪我させちゃって」トコトコ

憂「うん。事情はお姉ちゃんから聞いたし、梓ちゃんは悪くないと思うよ」トコトコ

梓「…………」トコトコ バサ

憂「それじゃあ、ご飯出来たら呼ぶね~?」

唯「うん……じゃ、私の部屋でご飯まで待ってよっか?」

梓「は、い……」


ゆいのへや!

梓「…………」

唯「あずにゃーん。こっち、こっち……あ、制服……私のスゥエットでいい?」

梓「はい? あ、は、はい……」

唯「あずにゃんちっちゃいからね、合わないかも……だぶだぶでも許してね」ホイ

梓「そんな、許すとか……ん、んしょ……」ヌギヌギ

唯「…………」エヘラ

梓「……やっぱり身長大きいですね、唯先輩。だぶだぶです」タプー

唯「うん。何てゆーか、こお……袖の先から手がちょこっと覗いてるっての、すっごく可愛いね」エヘー

梓「んにゃ!? あ、こ、これは……んしょ……大丈夫ですから!」マキマキ

唯「ああ……サイズの合わない服着て、それでも無理に合わせようとするあずにゃん、やっぱ可愛いよぉ」ギュムー

梓「はう……ん、んぅ……ゆっ、唯せんぱぁい……抱っこは、駄目ですってばぁ」ドキドキ

唯「でも、あずにゃんはそう言うけど、いっつも抱っこさせてくれるよね?」ギュギュー

梓「んっ、は、はぁ……だって、そんなの……私の憧れの人を、跳ね除けたり出来ないですよぉ……?」キュ

唯「ほえ?」

梓「わ、私っ……唯先輩がギター弾いてたから、軽音部に入ったんですよ? あの去年のライブで、生演奏を聴いて……」

唯「……私、そんなに上手じゃなかったと思うんだけど」

梓「はい、腕前は正直まだまだです……でも、あの時はすっごく感動して、これだ! って思って……そ、その、ギターが、唯先輩で……」ギュウ

梓「もしかしたら、唯先輩がギターでなかったら、軽音部に入ってなかったかもしれません」

唯「……私がいたから、あずにゃんは軽音部に入ってくれたの?」スリスリ

梓「……そう、かも、しれません」スリッ

唯「えへへぇ……嬉しいな、それって」

梓「な、何でですか?」

唯「だって、あずにゃんは……私にひとめ惚れしちゃったから、軽音部に入ってくれたんでしょ?」ポ

梓「んにゃ……」

唯「…………」スリッ

梓「……ま、まぁ? そう言えなくもないですけど、暴論ってやつだと思いますよ?」

唯「でもぉ……こんな風に抱っこしても本気で嫌がってないよね? ってゆうことは、抱っこされて嬉しいってことだよね?」フニュス

梓「んっ……ヒトとは、そもそも気持ちいい感覚を求める生物で、ですね?」

唯「ねえ。私に抱っこされるの……嫌、かな?」ギュニュー

梓「……嫌じゃ、ない、です」カアッ

唯「んん? 嫌じゃないってゆーのは……こーゆーこと、されても?」スリリ

梓「ん……唯先輩のほっぺは、すべすべで気持ちいーですから……全然、嫌じゃないですよ?」ニャア

唯「じゃ……こんな風に、身体を触られても?」サワサワ

梓「ん、あ、あぅ……ふ、ふぅ……唯先輩、手ぇ、傷が……」ビクンッ

唯「こっちの手は怪我してない方だよ……でも、嫌がらないってゆーことは……あずにゃん?」サワリッ

梓「……わっ、わざわざ聞かないでくださいよっ。嫌だったら、家まで押しかけるハズないですよっ」ビクビクッ

唯「んっ……そっか。そおだよね、うん……んじゃ、あずにゃん……ほんとに嫌がってない証拠に、キス、してくれるかな……?」サワワ

梓「あ、あんっ……あんまり、えっちぃことするとぉ……憂に、バレちゃいますよぉ?」

唯「バレてもいいからキスしたいよぉ、私……あずにゃんは? どぉかな?」ギュ

梓「私は……キス、されたい側です……ん、え、ええ……唯先輩になら、キス、されても……いいです」ギュ

唯「ふぅ……ん、く……じゃ、じゃあ、しちゃうよ? キス……今、すぐ、嫌だって言わないと、本当にしちゃうからね?」

梓「ん……」ポワワン

唯「んくっ……」

 ちゅっ。

梓「ん、ふ……ふぁ……♪ 唯先輩に、キス、されちゃいました……」ドキドキ

唯「うん……あずにゃんに、キス、しちゃった……」ドキドキ

梓「もお一回、してもらっても……いいですか?」

唯「うんっ……ん、ちゅ……♪」

 ちうっ。

梓「んう、ん、ふぁ……♪」

唯「えへ、えへへ……遂にしちゃった。あずにゃんと、キス」

梓「その、えっと……キスより先に進んでも、私は別に構わないというか……進んで欲しいというか」テレテレ

唯「ふぁ……んぷっ!? あ、あずにゃん、それって、どおゆう……!?」ハナチッ

梓「きょお、は……無理かも、ですけど……本当は私、唯先輩に、えっちぃことされたくって、ですね」ドキドキドキ

唯「い、いいの? 部室で、お金持ちの男の人の玉の輿の話をしてたよね?」

梓「男の人なら、です……その、下世話な話をすれば、女ひとりでも食べるくらいは稼げる時代ですし……そうでなくても、ふたりで暮らしを支えていけばいいだけですし……」ドキドキ

唯「……女の子同士でもいい、って……あずにゃんは思ってるの?」

梓「は、はい……相手にもよります、けど」ドキドキドキ

唯「私じゃ……駄目、かな?」ドキドキ

梓「む、むしろ、唯先輩が相手なことを考えたら、私がいい仕事に就かなきゃって思ってたりしますっ」カアア

唯「……そんな将来のことまで考えてくれてるとか! あっずにゃーん! 私、やっぱりあずにゃんがちょお大好きだよぉ~!」ルパンダイブ!

梓「んにゃああ!? ちょっ、ゆぃせ、あ、わあぁ!?」ヌムギュッ

憂(……ご飯はとっくに出来てるけど! 今この時! 少しでもお邪魔しちゃったら、お姉ちゃんに一生恨まれちゃうよね!?)

唯「わーい、あずにゃんあずにゃんっ! にゃーんっ!」マフマフニュルーン

梓「ひゃああんっ!? あっ、あ、ああああっ!」

~おしまい!~