律「誰もいないな」

梓「気のせいだったのでしょうか」

紬「でもたしかに聞こえたわ」

澪「ガタガタブルブルプシャー」

唯「み、澪ちゃんだいじょう……!!」

梓「澪先輩!?」

澪先輩の後ろには人が立っていました。
いえ、人だったものというほうが正しいのかもしれません。

律「澪!!」

?「どうして……どうして……」

澪「ぐっ……あ……」 バタリ

律「ちくしょう!唯、カメラだ!!」

唯「う、うん!!」

唯「澪ちゃんの仇!!」 パシャパシャ

?「いやぁあああああああああ!!」

紬「消えた……。カメラに封じ込められたのかしら?」

律「わからん。けど今は澪だ!おい、しっかりしろ!!」

澪「う……ん……」

律「よかった意識はあるみたいだぞ!」

唯「無事だったんだね!一安心だよー」

梓「一時はどうなるかと思いました」

紬「ほんとね。写影機があってよかったわ」

律「ああ、ムギのお陰……」

唯「私のお陰でもあるよ!ね、あずにゃん!」

梓「そうですね」

唯「……りっちゃん?どうしたの、怖い顔して

律「……そんな」

紬「りっちゃん?」

唯「あはは、またそーやって驚かそうとしたってその手にはのらないよーだ!」

律「……あ……あ……」 ガタガタ

梓「真に迫りすぎですよ!……冗談、なんですよね?」

紬「こ、ここはいっせーのせ!で振り向いてみいてみましょう」

唯「う、うん。そうだね」

梓「ここまでやらせるなんて律先輩も人が悪いですよね、まったく」

唯「……じゃあいくよ。いっせーの!」

 「「せっ!!」」

そこで私たちの意識は途絶えました



梓「う、う……」

梓「ここは……そうか、あの後気絶して……」

あたりを見回すとすぐ側にムギ先輩、ちょっと離れたところに律先輩、澪先輩が倒れていました。

梓「唯先輩?唯先輩何処ですか?」

湧き上がる不安。私はそれから逃げるように駆け出していました。
その先に私が探している人がいるような気がして……

梓「唯先輩!!」

律「唯が……」

澪「みんなで憂ちゃん探し出して帰ろうって約束したのに」

梓「途中まで追ったんですけど、見失ってしまって……」

梓「そしたら急に怖くなって……うぅ……ごめんなさい……」 グスグス

紬「ううん、梓ちゃんは悪くないわ。だから泣かないで、ね?」

梓「はい……グス……」

律「まったく、あいつも水臭いな。もっと私たちを頼れってんだ!」

澪「ああ、そうだな」

律「梓!唯に会ったら言ってやろうぜ!私たちは仲間なんだから、たまには甘えてもいいんだってな!!」

梓「そう、ですね……私言ってやるです!」

律「うし、その意気だぞ!じゃあ捜索隊の隊長はこの私が」

澪「私がやろう」

梓「はい!」

紬「澪隊長!」

律「澪ばっかりずるいぞ!」


律「さてと、外に出たはいいものの、唯のやつどっちに行ったんだ?」

梓「たしかあっちほうに行きました」

澪「じゃあ、行って見よう。律!お、おまえ先頭歩いていいぞ」

律「あれれ~?澪隊長怖いんですか~?」

澪「ち、違う!隊長はシンガリと相場が決まってるんだ!!」

紬「ホラー映画だと一番後ろの人が真っ先に消えるわぁ♪」

梓「たしかにそうですね」

澪「や、やっぱり私は真ん中がいいかな!」

律「どっちでもいいけど早く行こうぜ」

紬「あっちには蔵しかなかったわね」

梓「鍵もかかってましたし、あそこにはいなそうです」

律「となると、あと気になるのはこの屋敷と向かいの屋敷だな」

澪「随分でかいな。探すのは骨が折れそうだ」

紬「そうねぇ……」

律「お、表札がかかってるじゃん。どれどれ」

律「……」

澪「どうしたんだ?」

律「漢字が読めません」

澪「馬鹿律!」 ポカッ

律「あいたっ!」

紬「こっちが桐生、それで向かいのお屋敷が立花ね」

梓「うーん、どっちのお屋敷から探しましょう」

澪「そうだなぁ……」

紬「見るからに広そうなお屋敷ね」

律「いっそ別れて探さないか?私と澪、ムギと梓でさ」

澪「な、何言ってるんだ!みんなで固まってないと危ないだろう!!」

紬「りっちゃんの考えは悪くないと思うわ。憂ちゃんに加えて唯ちゃんも探さなければいけないんだもの」

梓「ここに長いするのも危険です」

律「効率よくな!ってなわけでここからは別行動をとるぞ」

澪「で、でもまたお化けが出てきたらどうするんだよ!?」

律「そんときはほら、唯が置いていった写影機があるだろ?あれでパシャパシャッとな!」

澪「そ、それでも一つしかないじゃないか!」

梓「そうですね……」

紬「困ったわ……」

律「まぁ、私たちは走って逃げればいいんじゃないか?神速のりっちゃんを舐めるなよぉ!」

澪「冗談言ってる場合か!」

律「澪隊長は随分頼りないなー。ここは、『私に構うな!先に行け』って言うところだぞ?」

澪「それは……」

律「上級生なのになー」

梓「……」

澪「うぅ……」

律「隊長なのになー」

紬「……」

澪「あぁ!もう分かったよ!お化けが出たら律を置いていく気で逃げる!!」

紬「……本当に私たちが写影機を持っていっていいの?」

律「まぁなんとかなるだろう。澪も逃げ足は速いからな」

澪「う、うるさい!」

律「1人で逃げ出して迷子になって泣いちゃう、なんてことのないようにな、澪」

澪「あほ律!」 ポカッ

律「いってぇ!!」

紬「じゃあ写影機は私たちが持っていくわね、りっちゃん、澪ちゃん」

澪「ああ、ムギたちも気をつけてな」

梓「先輩たちも」

律「いざとなったら澪隊長が身体をはってくれるさ」

澪「はらないぞ!」

紬「うふふ」

律「それじゃあ私たちはあっちの屋敷を探すことにしよう」

1 桐生家

2 立花家


※2 立花家


律「私たちは立花の屋敷を探すことにしよう」

紬「なら私たちは桐生家ね」

澪「集合場所はこの灯篭の前な」

梓「了解です」

律「唯も憂ちゃんも見つけて、みんなで無事に帰るんだ!」

 「「おー!」」

律「よし、行くぞ澪!」

澪「あ、おい!お、置いて行くなよ!!」

紬「私たちも行きましょう、梓ちゃん」

梓「はいです!」

律「お……ここから入れるぞ、澪」 ガタガタ

澪「あ、ああ」

律「うわ、すごい埃だ!ゲホッゲホッ!!」

澪「うう、いかにも出そうな感じだな。それに真っ暗でよく見えないぞ」

律「テレッテテー!かいちゅーでんとー!」 パッ

澪「うわぁ!!」

律「澪隊長はほんとに怖がりでしゅねー♪」 ナデナデ

澪「きゅ、急に照らすからびっくりしただけだ!」

律「そーゆーことにしておいてやるよー」 スタスタ

澪「ほ、ほんとだからな!おい、先に行くなってば!!」

ミシ……ミシ……

澪「怖い……怖い……」

律「木造の床を踏みしめる音ってなんだか怖いよな」

澪「言うな!考えないようにしてるんだ!!」

律「ラップ音だっけ?夜中にミシミシ音がしてさ、足音がするやつ」

澪「あーあー!聞こえないー!!」

律「あれって科学的に説明がついてるって話だぞ」

澪「ほ、ほんとか……?」

律「ああ、たしか……」

澪「……?」

律「忘れた」

澪「そこ重要だろう!」

……チリン

澪「……なぁ、今鈴の音が聞こえなかったか?」

律「鈴?気のせいじゃないか?」

澪「気のせいなのかな……」

律「怖いなら手を繋いでやってもいいぞ、澪」

澪「嘘じゃない!」

……チリン

律「……」

澪「や、やっぱり!」

律「二階からみたいだな」

澪「お、おい律。どうするんだ?」

律「行ってみよう」

澪「……わ、分かった」

律「おい、澪」

澪「な、何だよ」

律「手を繋いでやるよ」

澪「べ、別に私は……」

律「私が繋ぎたいんだ」

澪「あ、う……そ、そいうことなら繋いでやるよ」

律「素直じゃないんだな」

澪「おまえだって……」

律「そうだな」 ギュ

澪「……もう」

ギシ……ギシ……

律「誰もいないぞ……」 キョロキョロ

澪「ほ、ほんとか?お化けとかいないなか?」

律「澪、おまえ目をつぶってないで自分の目で見やがれ!」

澪「い、痛い!痛いって律!!」

チリン……

?「……」 ジー

律「うお!?」

澪「な、なんだ!?」

律「唯がいた!」

澪「何!?」 パチクリ

澪「って違うじゃないか!」 ポカッ

律「あうち!!」

歳は10歳前後だろうか。真っ赤な和服を着たおかっぱ頭の女の子が私たちを見ていた。
まるでお人形さんみたいだなと私は思った。

律「幽霊……か?」

澪「わ、分からない」

?「お兄ちゃん……何処にいるの……?」 フラフラ

澪「あ、行っちゃうぞ!」

律「ちょっと待ってくれ!聞きたいことがあるんだ!!」

?「……」 パタパタ

律「追いかけよう!」

澪「ああ!」

律「……あれ?」

澪「いないぞ……」

律「ここの角を曲がったよな?」

澪「ああ、私も見てた」

律「……」

澪「……」

律「唯と憂ちゃんの捜索を続けよう!」

澪「そうだな!」

見なかったことにしました。

律「うーん唯のやつ、こっちの屋敷には来てないのか……」

澪「憂ちゃんもいないな。というか全く手がかりすらないぞ」 キョロキョロ

律「お、澪もなんだかんだで慣れてきたか?」

澪「ま、まぁな」

律「ちぇー、もっとからかっておけばよかったぜい」

澪「おまえなぁ……」

……チリン

澪「おい、律」

律「ああ、聞こえた!あっちの部屋からだ!!」 ダッ


律「たしかこっちのほうからだったよな」

澪「ああ、間違いないと思う」

律「お、あそこが怪しいな!」


1 ボットン便所の中

2 襖の中

3 澪ちゃんのスカートの中


※2



律「襖の中が怪しいな」

澪「……律」

律「……澪」

澪「開けて」

律「……はい」 スススー

澪「……」 ゴクリ

律「誰もいない、な」

澪「ここじゃなかったのか?」

律「あ、奥になにかあるぞ。……紅い表紙の本だ」

ふと、視線を感じた。ああ、これはよく感じるあれだ。
お風呂で髪を洗っているとき。徹夜で試験勉強をしているとき。
急に後ろが気にあることってあるだろ?そいつに似てる。
いつもなら振り返っても誰もいない。そりゃそうだ、実際いたらおっしこちびるぞ。
ただ今回は違う。たしかに『いる』。

澪「律!」

?「お兄ちゃんを返して!!」

律「横からかよ!!」

とっさに避けようとしたけど、押入れの中じゃうまく身動きできない!

?「返して!」

律「ぐ!あぁ!!」

澪「くそ!律を離せ!」

?「きゃあ!」

律「はぁ……はぁ……」

澪「大丈夫か!?」

律「た、助かったぜ。やるときはやるんだな、澪隊長」

澪「言ってる場合か!ライトの光でひるんだけだ。またこっちにくるぞ!」


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