唯「いやーわかってるねぇムギちゃん」

唯「やっぱあずにゃんのこのレベルで胸があるなんていわれても」

唯「鼻で笑っちゃうよね~」

紬「フゴフゴ」

梓「そういうのじゃないです」

紬「私一緒になって梓ちゃんをいぢめるのが夢だったの~」

梓「いじめなんですか!?」

唯「ちがうよ~。なんていうか、可愛がりだよ可愛がり」

紬「イジリとも言うわ」

梓「度が過ぎると世間ではいじめっていいませんか?」

紬「先輩たちによってたかっていぢめられる後輩。なんて素敵なシチュエーションなの」

紬「そうだ! これで次の曲をつくろうかしら」

紬「題して『いぢめはオカズ』! どう?梓ちゃん」

梓「だめだこの人も」

唯「すごく個人的な曲だね」

梓「ほらもう出ましょう。ムギ先輩も仕事もどって下さい」

紬「は~い、それじゃあね~」

唯「次は誰のトコにする~?」

梓「じゃあ律先輩で」

梓(あの人ならきっと味方についてくれる)

梓(だって……同類だもんね)

唯「おっけー。じゃあムギちゃんまたね」

紬「ありがとうございました~またのご来店おまちしております~♪」



唯「はろーりっちゃん」

律「よ! どうした夫婦そろって」

梓「夫婦じゃないです!」

唯「それがね、きいてくださいよ奥さん。ウチの旦那毎日ごろごろごろごろ」

律「あらやだ、ウチもよ。毎日ガミガミガミガミ」

律「外で溜め込んできたものをウチで発散するのはやめてっていってるのに!」

唯「ほんと男って年とるにつれてどんどんダメになっていくわ」

梓「なんかはじまった……」

梓「ところでここどこですか?」

律「見てのとおりのファンシーショップだ」

唯「りっちゃんはこう見えても乙女なのです」

律「どっからどーみても乙女だいっ!」

律「そんで今日は遠路はるばる、ペンギンさんとシロクマさんのぬいぐるみを買いに来たんだ」

梓「はぁ……」

律「澪のメルヘンも実は私の影響だからなー」

梓「あぁそうなんですか……もうどうでもいいです」

律「それで、何のようなんだ」

唯「ぺたにゃんケートにご協力ください」

梓「それは無しっ!!」

律「ふむふむ。梓の胸はあるか無いか、か」

律「そうだなー」

梓「り、律先輩は私と同類ですし、もちろん有るって答」

律「うるせえよ壁」

梓「   」

唯「おや、無しに一票っと」

梓「……どうして」

律「あのなー梓よくきけよ?」

律「そもそも無いのと貧しいのでは果てしない差があるんだよ」

唯「そうだよあずにゃん。ほら掛け算してごらん?」

唯「女の魅力=愛嬌×顔×胸だとすると、ね?」

梓「……」

律「私が多少貧しかろうが」

唯「あずにゃんは0だもんね~」

唯「いまさら何を駆けても無駄なんだよ~」

律「つまりスタートラインにすらたてないってこと」

唯「あんだーすたん?」

梓「そんなことないです……」

梓「とあるアニメでも言ってました……」

梓「貧乳はステータスだ、稀少価値だ。って」ゴニョゴニョ

唯「うん。そうだね。でもあずにゃんは無だから」

律「そうそうお前はなんもないから」

唯「すごいよあずにゃん! 人間の永遠のテーマである『無』と生まれながらにして向き合ってるなんて」

律「将来は哲学者だな!」

梓「ひどいです……なにもそこまで」

梓「私なにか悪いことしましたでしょうか……」

律「認めろよな」

唯「生まれの不幸をね」

梓「……ッ! もう知りません! 先輩達の馬鹿!」

梓「おたんこナース!」

ダッ

律「あ、逃げた!」

唯「あの風を切りやすいボディは走ることに対してはうってつけだね」

唯「ぐんぐん加速して、ほらもう豆粒みたいに小さく見えるよ」

唯「夕闇染まる商店街を切り裂く哀れな少女のツインテール」

律「いーから追いかけてこーい」

律「梓、ちょっと泣いてたぞ」

律「ちょっとだけな」

唯「あれ、りっちゃんいまさら罪悪感がわいてきたの?」

唯「ドラムを叩く機械になっても、人間らしい心はうしなってないんだね!」

律「なんのこっちゃ!」

律「まぁ……なんていうか、同情ってやつかな」

唯「わかった気になった上から目線の同情ほどエグイものはないよね!」

律「……そうだな!」

唯「私おいかけてくるよ。そしてこのアンケート結果をまじまじと見せつけてくる」

律「それはやめてやれよ」

唯「だめだよ。だってこれは勝負なんだから」

唯「ちゃんと約束も守ってもらわないと」

律「約束?」

唯「うん約束。負けたほうが勝ったほうの言いなりなんだ」

律「ほーそりゃおもしろそうですなぁ」

唯「でしょ? 私どうしても命令したいことがあるんだ~」

唯「あずにゃんに言う事をきいてもらいたいの!」

律「お前の将来が楽しみだよ……」


……

唯「さがしたよー」

唯「はろーあずにゃん」

唯「やっぱりこの河原にいたんだね」

梓「……」

唯「私たちの思い出の場所だもんね~」

梓「……そうですね」

唯「ふわっふわったぁ~いむ!」

唯「おばあちゃんのためにいっぱい練習したよね?」

梓「ふでぺんでしたけど……」

唯「あれ?怒ってる?」

梓「……当然でしょう?」

唯「はい。これアンケートの結果」

スッ

梓「うぅ……こんなのみせなくていいですよ」

梓「ひどいです……グス」

唯「あははーもっと惨めったらしく泣くがいいさ」

唯「先輩の胸を貸してあげよう!」

梓「……」

梓「……うっ」ブワ

梓「うぇぇえええええええん」

ガシッ

唯「わはは、こりゃまいったな」

唯「まさかホントに泣くとは」

唯「おー、よしよし」

唯「どう私の胸の中は気持ちいい? これが胸ってもんだよあずにゃん」

梓「びええええええぇぇぇ」

唯「おっと火に油を注いでしまったか」

唯「……」ナデナデ

唯「……小動物みたいだね」ナデナデ

梓「グス ヒグ」

唯「可愛い可愛い。つむじグリグリ」

梓「……唯先輩」

梓「……私やっぱりぺったんこなんですね」

梓「うすうす感じてましたよ……」

梓「一体どうしてこんな身体に生まれたんでしょうか」

梓「もっと……澪せ、秋山先輩みたいな身体がよかったのに」

唯「うんそうだね。み、秋山ちゃんみたいなボディは女の子としてはなかなかだと思うよ」

唯「あずにゃん前世でなにか悪いことしたんじゃない?」

唯「カエルふみつぶしてぺったんこにしたとか」

梓「してません! なんで今日はそんなひどいことばっかり言うんですか」

梓「唯先輩らしくありません! あ! さては変装した憂だな」 バッ

梓「偽物め!」ポカポカ

唯「痛い痛いちがうよ! 私だよ!」

梓「じゃあどうしてこんな意地悪するんですか!」

唯「それはねぇ……」

唯「あ、その前に約束まもってもらっていいかな」

梓「……」

唯「忘れたの? 勝った方のいうことを~」

梓「はい。わかってます」

梓「煮るなり焼くなりすきにしてください」

唯「じゃあ焼こうかな」

梓「絶対やめてください」

唯「冗談だよ。よし、ならば早速」

梓「……?」

唯「えいっ」

ギュ

梓「あっ……」

唯「んん~やっぱこれだねぇ」

唯「この無駄のない洗練されたフォルム。最高の抱き心地だよ」

唯「私専用だね~」

梓「ちょ、なにやってるんですかこんなところで」

唯「何っていつもどおり抱きついてるだけだよ?」

梓「それはわかりますけど、どうしてこの流れでいきなり」

唯「え~。だってそりゃあ可愛い物には抱きつかなくっちゃね」

唯「可愛い物に失礼だよ」

梓「可愛いって……どうせまたこの胸のこと言ってるんでしょ」

唯「違うよー。全くもうあずにゃんは!」

梓「じゃあなにをもって可愛いって言ってるんですか」

梓「さんざんいじめといて……」

唯「いじめてないよー可愛がりって言ったじゃん」

唯「それにほら、好きな子ほど……意地悪したくなるって言うじゃん」

唯「あれだよー」

梓「嘘ばっかり。心の底では……ほくそ笑んでるくせに……」

唯「わかんないかな~。よし」

唯「これでどうだっ」

ギュウウウウウ

梓「うっ、ちょっとあんまりきつくしないでください」

唯「ほら、わかるでしょ?」

梓「えっ?」

唯「私もあずにゃんのことよくわかるよ」

梓「えっ!? なんですか」

唯「……すっごく心臓、ドキドキいってる」

梓「あっ……」

唯「あずにゃんは胸がないからさ。その分よく伝わってくるよ?」

梓「う、ぁ……」

唯「ね?」

梓「はい……」

唯「あずにゃんの心臓、すっごくドキドキしてるよね?」

梓「はい……」

唯「私もすごくドキドキしてるでしょ? わかる?」

梓「そう、ですね……」

唯「あずにゃんさ、私が抱きつくたびにドキドキドキドキしてたから」

唯「もしかして私のこと好きなのかな~って勝手に思っちゃった」

唯「一度意識しだしたらなんだか私もね……」

唯「抱きつくたびにすごくドキドキしちゃう!」

梓「唯先輩……」

唯「これってやっぱ好きだからかな?」

梓「うっ、そ、それはたぶん体温が上昇して血流が良くなり鼓動が」

唯「ねぇあずにゃん。負けたほうへの罰ゲーム考えたよ」

梓「このタイミングで……ですか……」

唯「うん。ぺったんこのあずにゃんへの命令」

梓「……うぐ」

唯「ちゃんと約束まもってね?」

梓「……いいでしょう」

唯「あはは、何言われるか不安なんだね」

唯「またすごくドキドキいってるよ?」

梓「そ、そういうこと言うのやめてください」

唯「大丈夫だよあずにゃん。きっとそのドキドキは無駄にしないからね?」

梓「えっ?」

唯「さて本題ですが」

唯「ぺったんこのあずにゃんはきっとお嫁にいけません」

唯「なぜならぺったんこだからです」

梓「えぇっ!?」

唯「ぺったんこの女なんて、世の男性は全く相手にしてくれません」

梓「えっ、えっなんで!?」

梓「……そんな」ジワ

唯「……ふふ」

唯「だからね」

唯「……私が貰ってあげる」

梓「え……」

唯「拒否はできません。ぺったんこに拒否権などないのです!」

梓「え?」

唯「私のモノになるならぺったんこじゃないとだめだよ?」

唯「ぺったんこあずにゃんの抱き心地は天下一なんだからさ」

梓「……」

唯「こうやってドキドキが伝わってくる感じがすごく好き」

唯「あったかい……」

唯「ね。わかった? ほらこっち見て」

グイ

梓「うっ、グス」

唯「あぁ! ごめんごめんもうぺったんこなんて言わないから泣かないであずにゃん」

唯「私が大変悪うございました」

梓「……だめですよ、許しません」

唯「えぇ!? ごめんってばぁ」

梓「勝手に告白するなんてひどいです」

梓「唯先輩はデリカシーもムードもなさすぎます」

唯「う、あずにゃーんお願いだから嫌いにならないでー」

梓「私の勇気……どうしてくれるんですか」

唯「勇気?」

梓「実は、唯先輩たちの卒業の日に」

梓「私……思い切って唯先輩に告白するつもりだったんです……」

梓「その日のために毎日毎日、想いを募らせてきました」

梓「セリフとかシチュエーションとか、いろいろ考えてました……」

唯「あずにゃん……」

梓「だから……」

梓「命令には従います」

唯「ほあぁ!」


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